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この二週間、何も考えず、ただ窓の外を眺めていただけだった。ずっとダリアたちが私の気持ちを解そうとしていたの。出国する時より幾分気分も安定しているのはダリアたちのおかげだわ。
私がサロンに足を踏み入れると、そこには王妃様以外の王族がいた。
陛下と王太子夫妻、そしてその息子。ドルク王子と妻のシャーロット妃、そしてドルク王子の愛妾の三人赤毛と緑毛と茶毛。
三人とも豊満な体つきでドルク王子の好みがよくわかる。対照的にシャーロット妃はシャンパンゴールドの髪でスレンダー美人だ。
「お待たせいたしました。ドルク王子の側妃として参りましたリヴィアです。よろしくお願いします」
「リヴィア王女、よく来たね。歓迎するよ」
カイン王太子殿下が笑顔で応えてくれた。カイン殿下はドルク王子に似ているが、柔和な顔をしている。王太子妃と笑顔で迎えてくれる様子を見ていると、二人は仲が良いのだろう。
反対にドルク王子とシャーロット妃は目も合わせようとしていない。そしてこの場に相応しくないと思われる愛妾三人。
誰も何も指摘することはないのだろうか。
「はぁ、なんで俺が側妃を娶らなくちゃなんないんだ? しかもこんな鳥ガラみたいな女を。俺は嫌だからな! 兄貴が側妃を娶ればいいだろう?」
「失礼なことを言うな。リヴィア王女は才女で有名なんだぞ? ケルノッティ国が奪われたくないと思っているほどにな。
それにリヴィア王女を王太子の側妃にすれば、反対に我が国が乗っ取られる危険もある。リヴィア王女をケルノッティ国にそのまま置いておくのも勿体ない。それほどリヴィア王女のことを私は買っておる」
陛下がそう言うが、ドルク様は納得がいかない様子で反論する。
「なら国に招いて側近として取り立てればいいだろう?」
その言葉を聞いて今度はカイン王太子殿下がふうと溜息を吐いた。
「ドルク、お前の頭はどこまでも残念なのだな。未婚の王女を側近にして国のために働かせるのか? ありえんな」
じっと黙って聞いているが、内容は酷い。私は売られてきたはいいが、要らないと言われ、宙ぶらりんの状態なのだろう。
どこに行っても私はお荷物なのかもしれない。
私はただ黙って状況を見守るだけ。ドルク様の愛妾三人は仲が良いのか私を見ながらクスクスと笑っている。
しばらく押し問答した後、陛下は私に言った。
「リヴィア王女、ドルクはああ言っておるが、納得させる。婚姻式までしばらく後宮で待っていてくれ」
「……畏まりました」
私はようやく話が終わったと思い、サロンを出ようとした時、緑毛の愛妾が私に声を掛けてきた。
「リヴィア王女様だっけ? あらぁ、ご愁傷様ね。ドルクは胸のある女性が好きなのよ? ふふっ。この調子じゃいつまでも側妃になれないかもしれないわねぇ?」
「あら、キャロ。そう言っちゃリヴィア王女様が可哀想よ。ケルノッティから彼女は売られて来たんでしょう? もっと優しくしてあげなきゃ」
「ミロ、あんまり王女様を可哀想っていうものじゃないわ? 私達より見た目が劣っていただけだもの。クスクス」
緑毛はキャロ、赤毛はミロという名らしい。
「俺の妻たちは優しいな! リヴィア王女、いいだろう? これが俺の三人の嫁でキャロット、ミローヌ、ジェシカだ」
ドルクは自慢気に私に言い放った。やはり私には理解出来ない。何故愛妾を妻だと言い切り、この場にいることが出来るのか。
私の知るカインディール国の知識は間違っていたのかもしれない。何と返事を返せばいいのか分からなくて言葉に詰まっていると、後ろから声がした。
「ドルク、そこの三人は妻ではないだろう。そこの妾三人は不敬罪で牢屋に入れば気が済むか? 属国とはいえ一国の王女。失礼にも程がある」
カイン王太子殿下が窘めるが、妾の三人には効果がないようだ。ドルクに抱きつきながらキャアキャアと騒いでいる。
……私は本当にこんな人の側妃になるのだろうか。
嫌悪感が増していく。
腐っても一国の王女。
顔に出すことなく私は一礼してサロンを出た。
サロンを出た所でティポーが何も言わず後ろを付いてくる。部屋に戻り、ティポーと明日以降の話をする。
「リヴィア様、二日後に離宮へ発つようになっています」
「ティポー、婚姻式の話は聞いているかしら?」
「いえ、特には。確認しておきますか?」
「いや、いいわ。ドルク様が納得して書類にサインをするとは思えないし。そのうちあちらから何か言ってくるまで待つわ」
「畏まりました」
「ティポーも疲れたでしょう? 今日は私ももう休むわ」
「畏まりました。リヴィア王女様、お休みなさいませ」
ティポーが部屋を出ようとした時、扉をノックする音が聞こえてきた。私の返事と共に一人の従者が部屋に入ってきた。
「どうしたのかしら?」
「シャーロット様の伝言をお伝えに来ました」
シャーロット妃、ドルク様の正妻ね。あの場では一言も口を開く事が無かった彼女。一体どんな話があるのだろう。
「伝言は?」
「明日の午前は王妃様の待つ後宮へ向かって下さい。午後はカレンデュラの間でお茶を頂きましょう、とのことです」
「分かりました。午前は後宮、午後はカレンデュラの間ね」従者にそう伝えると一礼をしてすぐに去っていった。
……何を言われるのかしら。
サロンに短時間居ただけなのに心がドサリと重くなるほど疲れた。
家族仲が悪いのはどこの国も同じようなものなのかしら。
リヴィアの安定してきていた心はまた疲れて動くことさえ億劫になっていた。
「リヴィア王女様、大丈夫ですか」
「ええ、大丈夫よ。心配かけてごめんなさい」
「無理はしないでくださいね」
こうして私は重い身体を横たえた。
私がサロンに足を踏み入れると、そこには王妃様以外の王族がいた。
陛下と王太子夫妻、そしてその息子。ドルク王子と妻のシャーロット妃、そしてドルク王子の愛妾の三人赤毛と緑毛と茶毛。
三人とも豊満な体つきでドルク王子の好みがよくわかる。対照的にシャーロット妃はシャンパンゴールドの髪でスレンダー美人だ。
「お待たせいたしました。ドルク王子の側妃として参りましたリヴィアです。よろしくお願いします」
「リヴィア王女、よく来たね。歓迎するよ」
カイン王太子殿下が笑顔で応えてくれた。カイン殿下はドルク王子に似ているが、柔和な顔をしている。王太子妃と笑顔で迎えてくれる様子を見ていると、二人は仲が良いのだろう。
反対にドルク王子とシャーロット妃は目も合わせようとしていない。そしてこの場に相応しくないと思われる愛妾三人。
誰も何も指摘することはないのだろうか。
「はぁ、なんで俺が側妃を娶らなくちゃなんないんだ? しかもこんな鳥ガラみたいな女を。俺は嫌だからな! 兄貴が側妃を娶ればいいだろう?」
「失礼なことを言うな。リヴィア王女は才女で有名なんだぞ? ケルノッティ国が奪われたくないと思っているほどにな。
それにリヴィア王女を王太子の側妃にすれば、反対に我が国が乗っ取られる危険もある。リヴィア王女をケルノッティ国にそのまま置いておくのも勿体ない。それほどリヴィア王女のことを私は買っておる」
陛下がそう言うが、ドルク様は納得がいかない様子で反論する。
「なら国に招いて側近として取り立てればいいだろう?」
その言葉を聞いて今度はカイン王太子殿下がふうと溜息を吐いた。
「ドルク、お前の頭はどこまでも残念なのだな。未婚の王女を側近にして国のために働かせるのか? ありえんな」
じっと黙って聞いているが、内容は酷い。私は売られてきたはいいが、要らないと言われ、宙ぶらりんの状態なのだろう。
どこに行っても私はお荷物なのかもしれない。
私はただ黙って状況を見守るだけ。ドルク様の愛妾三人は仲が良いのか私を見ながらクスクスと笑っている。
しばらく押し問答した後、陛下は私に言った。
「リヴィア王女、ドルクはああ言っておるが、納得させる。婚姻式までしばらく後宮で待っていてくれ」
「……畏まりました」
私はようやく話が終わったと思い、サロンを出ようとした時、緑毛の愛妾が私に声を掛けてきた。
「リヴィア王女様だっけ? あらぁ、ご愁傷様ね。ドルクは胸のある女性が好きなのよ? ふふっ。この調子じゃいつまでも側妃になれないかもしれないわねぇ?」
「あら、キャロ。そう言っちゃリヴィア王女様が可哀想よ。ケルノッティから彼女は売られて来たんでしょう? もっと優しくしてあげなきゃ」
「ミロ、あんまり王女様を可哀想っていうものじゃないわ? 私達より見た目が劣っていただけだもの。クスクス」
緑毛はキャロ、赤毛はミロという名らしい。
「俺の妻たちは優しいな! リヴィア王女、いいだろう? これが俺の三人の嫁でキャロット、ミローヌ、ジェシカだ」
ドルクは自慢気に私に言い放った。やはり私には理解出来ない。何故愛妾を妻だと言い切り、この場にいることが出来るのか。
私の知るカインディール国の知識は間違っていたのかもしれない。何と返事を返せばいいのか分からなくて言葉に詰まっていると、後ろから声がした。
「ドルク、そこの三人は妻ではないだろう。そこの妾三人は不敬罪で牢屋に入れば気が済むか? 属国とはいえ一国の王女。失礼にも程がある」
カイン王太子殿下が窘めるが、妾の三人には効果がないようだ。ドルクに抱きつきながらキャアキャアと騒いでいる。
……私は本当にこんな人の側妃になるのだろうか。
嫌悪感が増していく。
腐っても一国の王女。
顔に出すことなく私は一礼してサロンを出た。
サロンを出た所でティポーが何も言わず後ろを付いてくる。部屋に戻り、ティポーと明日以降の話をする。
「リヴィア様、二日後に離宮へ発つようになっています」
「ティポー、婚姻式の話は聞いているかしら?」
「いえ、特には。確認しておきますか?」
「いや、いいわ。ドルク様が納得して書類にサインをするとは思えないし。そのうちあちらから何か言ってくるまで待つわ」
「畏まりました」
「ティポーも疲れたでしょう? 今日は私ももう休むわ」
「畏まりました。リヴィア王女様、お休みなさいませ」
ティポーが部屋を出ようとした時、扉をノックする音が聞こえてきた。私の返事と共に一人の従者が部屋に入ってきた。
「どうしたのかしら?」
「シャーロット様の伝言をお伝えに来ました」
シャーロット妃、ドルク様の正妻ね。あの場では一言も口を開く事が無かった彼女。一体どんな話があるのだろう。
「伝言は?」
「明日の午前は王妃様の待つ後宮へ向かって下さい。午後はカレンデュラの間でお茶を頂きましょう、とのことです」
「分かりました。午前は後宮、午後はカレンデュラの間ね」従者にそう伝えると一礼をしてすぐに去っていった。
……何を言われるのかしら。
サロンに短時間居ただけなのに心がドサリと重くなるほど疲れた。
家族仲が悪いのはどこの国も同じようなものなのかしら。
リヴィアの安定してきていた心はまた疲れて動くことさえ億劫になっていた。
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