【完】隣国に売られるように渡った王女

まるねこ

文字の大きさ
22 / 35

22

しおりを挟む
 翌日、ゆっくりと起床し、後宮へと向かった。

 後宮前にいた従者に話をすると、従者は『確認してきます』と私とティポーを置いて後宮へと入っていった。

 しばらく待った後、従者が戻ってきた。

「付いてきて下さい」

 従者は表情を変えることなく私達を連れて歩き出した。後宮に入ると一番に花が咲き誇る庭園が目に入ってきた。

 その中に一人優雅にお茶を飲んでいる人がいる。きっとあの人が王妃様なのだろう。お茶を淹れている若い執事は王妃様のお気に入りなのかもしれない。

 王妃様は花々に守られているかのように凛としてとても美しい人だ。私は王妃様の前に立ち礼をすると、王妃様は微笑んで席につくよう促した。

「初めまして。リヴィア・ジョール・ケルノッティ王女。私はこのカインディール国の王妃エリス・アンブロシュ・ベルツよ。謁見の間にいなくてごめんなさいね」
「いえ、こちらの方こそお気を使わせてしまい申し訳ありません」

「ごめんなさいね。ヴィリタス陛下が無理やりドルクの側妃にって貴女を指名してしまって。私がこちらに移っている間に全てが終わっていたのよね。
 息子のドルクには私も呆れているのよ。午後はシャーロットに会うのでしょう?貴女ならきっと彼女と仲良くなれると思うわ」

 気になることを聞いてみた。

「あの、王妃様。どうして私がドルク様の側妃に選ばれたのでしょうか? 飢饉の支援の交換条件として私は牛と一緒に送られたのだ聞きました」

 王妃様は少し困った顔をしながらも微笑みながら答えてくれた。

「気分を悪くさせてごめんなさいね。本当はそんなことをするつもりは無かったのよ? 貴女を教えていた教師達から貴女の評判を聞いてこちらに呼び寄せようと思っていたのよ。
 でもオリーディ王妃は貴女を女王にさせようと頑張っていたわ。
 私としては三男のフェルツを婿にさせてケルノッティをより良い方向で治める手筈だったの。
 けれどケルノッティの王は貴女のためだと思ってこちらが話をする前にさっさと婚約者を宛てがってしまったわ。
 フェルツは私から見てもいい子なのよ。残念で仕方がなかったのよね。
 そこからあなたをこちら側に引き込む機会を窺っていたの。
 アンバーと息子達が馬鹿で良かったわ! 私もこっちで色々動いている間にまさかカインディールに送られてくるとは思わなかったけれど。
 今回の件は陛下が勝手に決めたことだから覆すのは難しいけれど、ドルクの側妃にさせるのはもったいないと私は考えているわ。
 私がどうにか出来ればよいのだけれど、後宮に下がってしまった身なの。
 こちらから出来る限り動いてみるけれど、ごめんなさいね」

「こちらこそ、お気遣いありがとうございます」
「何か困ったことがあれば手紙を寄こしてちょうだい。これから色々とあるでしょうけれど、シャーロットと仲良くしてほしいわ」
「わかりました。こちらこそ宜しくお願いいたします」

 そうして短い時間だったけれど、王妃様と話をすることが出来た。思っていたよりも私の評価は悪くない、のね。


 一度部屋に戻った後、私はカレンデュラの間へと向かった。
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし

さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。 だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。 魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。 変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。 二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。

報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を

さくたろう
恋愛
 その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。  少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。 20話です。小説家になろう様でも公開中です。

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」  信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。  私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。 「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」 「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」 「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」  妹と両親が、好き勝手に私を責める。  昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。  まるで、妹の召使のような半生だった。  ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。  彼を愛して、支え続けてきたのに…… 「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」  夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。  もう、いいです。 「それなら、私が出て行きます」  …… 「「「……え?」」」  予想をしていなかったのか、皆が固まっている。  でも、もう私の考えは変わらない。  撤回はしない、決意は固めた。  私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。  だから皆さん、もう関わらないでくださいね。    ◇◇◇◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです。

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...