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21 初めての実践
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「モンシェール総団長。隣にいる少女は……」
私は口を開くことなく静かに立っている。
質問した男の人は確か第一団団長だったような気がする。
モンシェール様はまだ答える気はないらしい。横から見ていても上機嫌なのが見て取れる。
これから起こることはきっとモンシェール様にとって余興の一つでしかないのかもしれない。
魔法使いたちが整列するとようやくモンシェール様が前に立った。
体調もあってここ最近は人前に出ていなかったのかもしれない。久々のモンシェール様の姿に魔法使いたちの士気はとても高いように見える。
ラルドさんも声を掛け終わり、モンシェール様の隣へと立った。
「諸君、突然呼び出してすまない。だが、重要な話があり君たちをここへ呼び出した。呼び出した理由はな、ここに立っている魔女クロエ殿が儂に代わり魔法使い総団長として務めてくれることになった。今後のことは彼女の指示にしたがうように。以上だ」
モンシェール様はそう言うと、すぐに手が上がった。
「突然、何故ですか? 魔法使い棟で仕事をしていない魔女になぜ総団長の座を任せるのですか」
魔法使いたちはその言葉に「そうだ、そうだ」と相槌を打つ声が聞こえてくる。
その声にモンシェール様は表情を変えることなく口を開いた。
「彼女は大魔法使いユーグ様の唯一の弟子だ。ユーグ様は長年総団長を務めていたのはこの国の歴史として習っているだろう。知識、技能、魔力量において彼女を超える者は現在ここにはいない。私が断言しよう」
モンシェール様の言葉に納得がいかない魔法使いたちは不満を態度で示している。
「魔法使いは実力主義です。どうか私に彼女の実力を試させて下さい」
そう言って一人の男の人がモンシェール様の前に立ち礼を執る。
「クロエ殿、いいか?」
モンシェール様は含み笑いをしながら私に聞いてきた。
これは圧倒的な差を付けて負かせろってことだよね?
「うん。対人戦は初めてだけど、やってみるね。えっと、お名前は」
「私は第一団魔法使い団長オルク・ジェイルです。よろしく」
第一魔法師団団長のオルクさんは長身で騎士のような体格をしている。
魔法使いには見えないという印象だ。
「クロエです。よろしくね。えっと、モンシェール様」
「なんですかな?」
「ラルド様と戦わなくていいの? 彼がモンシェール様の次に強そうだけど」
私の言葉に周囲はざわついた。何か不味いことを言ってしまったのだろうか。
「ラルドはまだ実践経験はないからオルクがちょうどいいでしょう」
「わかった。じゃあオルク様、よろしく」
ラルド様は王族だから実戦経験はまだないんだ。という私だって魔の森で魔獣を倒すくらいしか経験ないんだけど。
しかも私が一番幼いのに。
いやんなっちゃう。
私達は互いに挨拶を交わす。
整列していた魔法使いたちは訓練場の端に移動し、私達の手合わせを見学するようだ。
「子供だからと言って手加減はしませんよ」「構わないよ。私も手加減するつもりだけど、対人戦をしたことがなくて。まだ上手く使いこなせないかも」
確か過去にユーグ師匠はモンシェール様と対戦した時の方法があった。私は戦い方を記憶の隅から引っ張り出してくる。
魔法を使うときはいつも詠唱を行うけれど、魔獣や対人戦において詠唱は時間が掛かり良い手ではない。
威力は落ちるけれど詠唱せずに攻撃するのが最善だろう。
あと、対人戦において有効なのは派手なことだろう。師匠は数多くの魔法円を浮かび上がらせて相手を威圧していた。
「クロエ殿、いつでもどうぞ」
オルク様はそう言葉を掛けてきた。どうやら私の魔法を見てから動き対応しようとしているようだ。
私は師匠と同じように魔法円を足元、背中、右横、左横、頭上、斜め上、自身の前に展開する。
防御魔法に見えるような仕掛けがしてある。けれど、見学者たちは展開された魔法円の数を見てどよめいている。
「そんなに魔法円を展開しても私の攻撃は避けられませんよ」
「どうかな。やってみないとわからないよ」
私はさらに手から無数の氷の矢を出し、オルク様を攻撃してみる。彼は軽々と風の盾で氷の矢の軌道を変えてみせた。
「防御に力をいれてこんな攻撃しかできないのか。見かけ倒しだな」
オルク様は呆れたように私に言い放った。
「……さて、準備ができたよ。オルク様いいかな?」
「準備?」
私は浮き上がると、足元の魔法円以外は私から距離を取って白、緑、青、茶、黒色の魔法円に分かれていく。
足元の魔法円からはマグマが噴き出すようにじりじりと地面を焦がしてゆく。
それはゆっくりとオルク様へと向かっていく。白い魔法円からは羽根が風に舞うようにゆっくりと空から降りてくるが、弱毒が含まれているので触れると徐々に毒に侵されていく。
緑色の魔法円は地面から何十、何百もの蔦が土から立ち上がり、オルク様を絡め取り動けなくしていく。
オルク様は火魔法で蔦を焼こうとしているがそれを阻止するように青い魔法円から数千もの小さな水の球が降り注いでいる。
茶色の魔法円はというと、地面を揺らし、水面のように柔らかく変化させ、青い魔法円から降り注いだ水を吸収し、泥になりゆっくりとオルク様を足元へと沈めていくものだ。
オルク様は焦ったように火魔法を止め、風魔法で蔦を切ることにしたようだが、彼はじりじりと地面へ沈んでいく。
そして最後の黒い魔法円からは二本足で立ち、斧を持った、牛の顔をした魔獣人が現れた。
黒い魔法円は召喚術で魔獣人を呼び出すのは強さに応じて従わせる魔力と命令する魔力が必要だ。
魔法使いたちはあまりの出来事に声を失ったのか訓練場は静まり返っていた。
私は口を開くことなく静かに立っている。
質問した男の人は確か第一団団長だったような気がする。
モンシェール様はまだ答える気はないらしい。横から見ていても上機嫌なのが見て取れる。
これから起こることはきっとモンシェール様にとって余興の一つでしかないのかもしれない。
魔法使いたちが整列するとようやくモンシェール様が前に立った。
体調もあってここ最近は人前に出ていなかったのかもしれない。久々のモンシェール様の姿に魔法使いたちの士気はとても高いように見える。
ラルドさんも声を掛け終わり、モンシェール様の隣へと立った。
「諸君、突然呼び出してすまない。だが、重要な話があり君たちをここへ呼び出した。呼び出した理由はな、ここに立っている魔女クロエ殿が儂に代わり魔法使い総団長として務めてくれることになった。今後のことは彼女の指示にしたがうように。以上だ」
モンシェール様はそう言うと、すぐに手が上がった。
「突然、何故ですか? 魔法使い棟で仕事をしていない魔女になぜ総団長の座を任せるのですか」
魔法使いたちはその言葉に「そうだ、そうだ」と相槌を打つ声が聞こえてくる。
その声にモンシェール様は表情を変えることなく口を開いた。
「彼女は大魔法使いユーグ様の唯一の弟子だ。ユーグ様は長年総団長を務めていたのはこの国の歴史として習っているだろう。知識、技能、魔力量において彼女を超える者は現在ここにはいない。私が断言しよう」
モンシェール様の言葉に納得がいかない魔法使いたちは不満を態度で示している。
「魔法使いは実力主義です。どうか私に彼女の実力を試させて下さい」
そう言って一人の男の人がモンシェール様の前に立ち礼を執る。
「クロエ殿、いいか?」
モンシェール様は含み笑いをしながら私に聞いてきた。
これは圧倒的な差を付けて負かせろってことだよね?
「うん。対人戦は初めてだけど、やってみるね。えっと、お名前は」
「私は第一団魔法使い団長オルク・ジェイルです。よろしく」
第一魔法師団団長のオルクさんは長身で騎士のような体格をしている。
魔法使いには見えないという印象だ。
「クロエです。よろしくね。えっと、モンシェール様」
「なんですかな?」
「ラルド様と戦わなくていいの? 彼がモンシェール様の次に強そうだけど」
私の言葉に周囲はざわついた。何か不味いことを言ってしまったのだろうか。
「ラルドはまだ実践経験はないからオルクがちょうどいいでしょう」
「わかった。じゃあオルク様、よろしく」
ラルド様は王族だから実戦経験はまだないんだ。という私だって魔の森で魔獣を倒すくらいしか経験ないんだけど。
しかも私が一番幼いのに。
いやんなっちゃう。
私達は互いに挨拶を交わす。
整列していた魔法使いたちは訓練場の端に移動し、私達の手合わせを見学するようだ。
「子供だからと言って手加減はしませんよ」「構わないよ。私も手加減するつもりだけど、対人戦をしたことがなくて。まだ上手く使いこなせないかも」
確か過去にユーグ師匠はモンシェール様と対戦した時の方法があった。私は戦い方を記憶の隅から引っ張り出してくる。
魔法を使うときはいつも詠唱を行うけれど、魔獣や対人戦において詠唱は時間が掛かり良い手ではない。
威力は落ちるけれど詠唱せずに攻撃するのが最善だろう。
あと、対人戦において有効なのは派手なことだろう。師匠は数多くの魔法円を浮かび上がらせて相手を威圧していた。
「クロエ殿、いつでもどうぞ」
オルク様はそう言葉を掛けてきた。どうやら私の魔法を見てから動き対応しようとしているようだ。
私は師匠と同じように魔法円を足元、背中、右横、左横、頭上、斜め上、自身の前に展開する。
防御魔法に見えるような仕掛けがしてある。けれど、見学者たちは展開された魔法円の数を見てどよめいている。
「そんなに魔法円を展開しても私の攻撃は避けられませんよ」
「どうかな。やってみないとわからないよ」
私はさらに手から無数の氷の矢を出し、オルク様を攻撃してみる。彼は軽々と風の盾で氷の矢の軌道を変えてみせた。
「防御に力をいれてこんな攻撃しかできないのか。見かけ倒しだな」
オルク様は呆れたように私に言い放った。
「……さて、準備ができたよ。オルク様いいかな?」
「準備?」
私は浮き上がると、足元の魔法円以外は私から距離を取って白、緑、青、茶、黒色の魔法円に分かれていく。
足元の魔法円からはマグマが噴き出すようにじりじりと地面を焦がしてゆく。
それはゆっくりとオルク様へと向かっていく。白い魔法円からは羽根が風に舞うようにゆっくりと空から降りてくるが、弱毒が含まれているので触れると徐々に毒に侵されていく。
緑色の魔法円は地面から何十、何百もの蔦が土から立ち上がり、オルク様を絡め取り動けなくしていく。
オルク様は火魔法で蔦を焼こうとしているがそれを阻止するように青い魔法円から数千もの小さな水の球が降り注いでいる。
茶色の魔法円はというと、地面を揺らし、水面のように柔らかく変化させ、青い魔法円から降り注いだ水を吸収し、泥になりゆっくりとオルク様を足元へと沈めていくものだ。
オルク様は焦ったように火魔法を止め、風魔法で蔦を切ることにしたようだが、彼はじりじりと地面へ沈んでいく。
そして最後の黒い魔法円からは二本足で立ち、斧を持った、牛の顔をした魔獣人が現れた。
黒い魔法円は召喚術で魔獣人を呼び出すのは強さに応じて従わせる魔力と命令する魔力が必要だ。
魔法使いたちはあまりの出来事に声を失ったのか訓練場は静まり返っていた。
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