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29 ラルド殿下視点
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「総団長! 大丈夫でしょうかっ!? 魔女殿、ここで何をなさるんですっ」
「ラルド、よい。この方はな、これから儂の代わりにここ魔法使い総団長となる人だ。彼女の魔法をよく見ておくんだ」
「!? はい」
モンシェール総団長の部屋に入った私は、彼女がモンシェール様に何かしようとしているのに驚き、止めに入ろうとしたが、逆に止められてしまった。
鮮烈な印象を与えた彼女の名は魔女クロエ。
大魔法使いユーグ様の唯一の弟子で黒髪に黒の瞳を持つ忌み子だった。
詳しい話を聞けば、彼女はまだあどけなさの残る若さだ。四つも年下なのに、いくつもの魔法円を使いこなしている。
忌み子だと忌避されていた存在が魔法使い総団長になり、王宮魔法使いたちは蜂の巣を突いたように騒いだが、彼女は実力でみんなを黙らせてしまった。
素晴らしい。
その一言に尽きる。
魔法使い総団長となってからの彼女は、大魔法使いの記憶を有しているためか王宮魔法使いたちへの指導も上手で魔法使いたちはめきめきと上達していくのが目に見え、驚くばかりだった。
彼女は笑顔で私や魔法使いたちに接していたが、ふとした瞬間に憂い顔をみせる時がある。
そんな時、私はどうしていいか分からなくなる。子供だった印象の彼女と一緒に過ごしていくうちに人となりも分かってくる。
そして総団長は目を見張るような美人に成長し、王宮魔法使いたちも総団長に会いたくて理由を付けては執務室にやってくるようになっていた。
見目も美しいだけでなく、彼女の内面も本当に素晴らしい。普段は子供のような話し方をするが、先日は隣国からの外交官が来た時にも第二言語で難なく話をしていた。
父たちも総団長の知識の深さや所作に舌を巻いた。
「クロエ殿は大魔法使いの唯一の後継者だ。彼女に選ばれるのは一体どこの誰なのだろうな」
モンシェール様は不敵な笑みを浮かべ、私に発破をかけるように言っている。
総団長はとても魅力的だ。だが、私は第三王子で彼女は平民。
どうしても爵位が邪魔をする。
一度、父に話をしてみたが、やはり後ろ盾になる貴族令嬢を迎えることが王家のために必要だと言われてしまった。
彼女を愛妾にはできないし、したくない。彼女は私にとって高嶺の花だ。
迎えるのなら妻として迎えたい。
私はクロエ殿にいつ頃から好意を抱いていたのだろうか。最初からかもしれない。
気が付けば好意を寄せていた。
彼女の横にいるのは私でありたいと思うし、思っている。彼女を迎えるために動いてはいるけれど、いつまで経っても爵位の問題はなくならない。
悶々としながら数年が過ぎた。
そしてとうとう、モンシェール様の寿命が尽きようとしていた。
モンシェール様には感謝しかない。寿命を延ばし、私を魔法使いとして迎え入れてくれた。そして最後に知識を授けようとしてくれている。
今の自分はまだ人より魔力が多いだけで魔法使いとしては半人前だ。
分かっていたこととはいえ、まだまだモンシェール様の元で学びたかった。私の後悔や悲しみを無駄にしないように彼女は粛々と継承の儀の準備をしている。
モンシェール様は彼女に絶大な信頼を寄せていた。
私も彼女に全幅の信頼を置いている。
もし、名実ともに私が大魔法使いとして世に認められた時、彼女を妻に迎えたい。
クロエ殿は笑って私のことを受け入れてくれるだろうか。
私の傍で様子を見守っている彼女に安心感を覚えながらゆっくりと眠りに入った。
「ラルド、よい。この方はな、これから儂の代わりにここ魔法使い総団長となる人だ。彼女の魔法をよく見ておくんだ」
「!? はい」
モンシェール総団長の部屋に入った私は、彼女がモンシェール様に何かしようとしているのに驚き、止めに入ろうとしたが、逆に止められてしまった。
鮮烈な印象を与えた彼女の名は魔女クロエ。
大魔法使いユーグ様の唯一の弟子で黒髪に黒の瞳を持つ忌み子だった。
詳しい話を聞けば、彼女はまだあどけなさの残る若さだ。四つも年下なのに、いくつもの魔法円を使いこなしている。
忌み子だと忌避されていた存在が魔法使い総団長になり、王宮魔法使いたちは蜂の巣を突いたように騒いだが、彼女は実力でみんなを黙らせてしまった。
素晴らしい。
その一言に尽きる。
魔法使い総団長となってからの彼女は、大魔法使いの記憶を有しているためか王宮魔法使いたちへの指導も上手で魔法使いたちはめきめきと上達していくのが目に見え、驚くばかりだった。
彼女は笑顔で私や魔法使いたちに接していたが、ふとした瞬間に憂い顔をみせる時がある。
そんな時、私はどうしていいか分からなくなる。子供だった印象の彼女と一緒に過ごしていくうちに人となりも分かってくる。
そして総団長は目を見張るような美人に成長し、王宮魔法使いたちも総団長に会いたくて理由を付けては執務室にやってくるようになっていた。
見目も美しいだけでなく、彼女の内面も本当に素晴らしい。普段は子供のような話し方をするが、先日は隣国からの外交官が来た時にも第二言語で難なく話をしていた。
父たちも総団長の知識の深さや所作に舌を巻いた。
「クロエ殿は大魔法使いの唯一の後継者だ。彼女に選ばれるのは一体どこの誰なのだろうな」
モンシェール様は不敵な笑みを浮かべ、私に発破をかけるように言っている。
総団長はとても魅力的だ。だが、私は第三王子で彼女は平民。
どうしても爵位が邪魔をする。
一度、父に話をしてみたが、やはり後ろ盾になる貴族令嬢を迎えることが王家のために必要だと言われてしまった。
彼女を愛妾にはできないし、したくない。彼女は私にとって高嶺の花だ。
迎えるのなら妻として迎えたい。
私はクロエ殿にいつ頃から好意を抱いていたのだろうか。最初からかもしれない。
気が付けば好意を寄せていた。
彼女の横にいるのは私でありたいと思うし、思っている。彼女を迎えるために動いてはいるけれど、いつまで経っても爵位の問題はなくならない。
悶々としながら数年が過ぎた。
そしてとうとう、モンシェール様の寿命が尽きようとしていた。
モンシェール様には感謝しかない。寿命を延ばし、私を魔法使いとして迎え入れてくれた。そして最後に知識を授けようとしてくれている。
今の自分はまだ人より魔力が多いだけで魔法使いとしては半人前だ。
分かっていたこととはいえ、まだまだモンシェール様の元で学びたかった。私の後悔や悲しみを無駄にしないように彼女は粛々と継承の儀の準備をしている。
モンシェール様は彼女に絶大な信頼を寄せていた。
私も彼女に全幅の信頼を置いている。
もし、名実ともに私が大魔法使いとして世に認められた時、彼女を妻に迎えたい。
クロエ殿は笑って私のことを受け入れてくれるだろうか。
私の傍で様子を見守っている彼女に安心感を覚えながらゆっくりと眠りに入った。
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