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新章 切掛
60 家族会議
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「では採寸に入りますね」
キャリーさんはてきぱきと採寸し、紙に書き留めていく。そして採寸後にデザインを描き始めた。
「これ、いいんじゃないか?」
いつの間にかユーグ王子は食事を終え、何枚も描かれたデザインのうちの一枚を取り、キャリーさんに声をかけた。
「私もそのデザインがクロエ様に一番似合うと思っております」
「あと、これと、これも」
ユーグ王子は迷いがないようで次々にデザインを選んでいく。
「……ではそのデザインでドレスを作らせていただきます」
「ああ、キャリー。金に糸目はつけない」
「ありがとうございます! 国内一、いや、世界一素敵なドレスを作ってみせます」
キャリーさんは満面の笑みを浮かべ、デザインが描かれた紙を全て鞄に入れていた。
「では頼んだぞ」
ユーグ王子はキャリーさんを転移させた。
迷いなく相手を転移させているのが師匠らしい。
私は五百年も生きてきていまだに人を転移させるのは得意ではない。
私はさっきの方法でユーグ王子が持ってきた騎士服に着替えた。
「さて、クロエ。久々に王宮へ行くか」
彼はそう言いながら立ち上がり、私の傍に来た。
「そうだね。ジルディット陛下たちが首を長くして待ってるしね」
「あー面倒だ」
「行くよ」
「ああ、待ってくれ」
ユーグ王子はそう言うと、私をぎゅっと抱きしめて頬にキスをする。
「クロエ、俺はお前が好きだ。お前しか見ていない。そのことを忘れるなよ」
「……わかってる」
顔に熱が集まるのを感じる。
「じゃあ、行くか」
私たちは王宮のジルディット陛下のもとへ転移した。
「ユーグ、もう大丈夫なの!?」
ふわりと風に運ばれて薔薇の香りがする。
私たちが転移した先は王族専用の区画にある中庭だった。
そこにはジルディット陛下やメルローズ妃、アルノルド王太子がそこでお茶をしていたようだ。
「ああ、母上。俺はもう大丈夫だ」
「お隣にいるのは誰かしら?」
「彼女は魔女クロエ様だ。この姿が本来の姿。俺の最愛だ」
ユーグ王子は私の腰を抱き、私を見つめながらメルローズ妃に話をしている。
「クロエ様、どういうことでしょうか? なぜユーグがクロエ様を最愛と言っているのですか?」
メルローズ妃は怪訝な顔をしながら私に聞いてきた。
「さあ? メルローズ妃はユーグ王子がお腹にいる時から違和感を抱いていたんじゃない? 生まれた時に彼の肩には印があった。
遅かれ早かれ、封印は解かれる。封印は彼の前世の記憶だった。ただそれだけだよ。私はただ見守っていただけに過ぎない。選んだのは彼自身だからね」
私の言葉に思う部分があったようで、メルローズ妃は言葉に詰まっている。
「この際だから言いますが、ユーグは第二王子です。平民のクロエ様を愛妾に迎えるのは歓迎しません」
「母上、何か、勘違いをしているな。俺はクロエ様を愛妾になんて迎えるつもりはない。私が生まれる前からも、そして今、これからもクロエだけだ」
ユーグ王子がそう言うと、ジルディット陛下もアルノルド王太子も渋い顔をしている。
「ユーグよ、ではポストマ公爵令嬢はどうするのだ?」
「兄上、俺は眠りにつく前に父に伝えたはずだが? 彼女に興味はない。彼女のためにも一刻も早く婚約解消をした方がいい」
「だが、公爵家から多額の支援を受けているのは事実だ。今更なかったことにはできないだろう」
アルノルド王太子は腕を組み、婚約解消には否定的なようだ。
ジルディット陛下は魔法によって生活が一変することを理解している。
そのため私という存在が国にとって重要人物であることを理解し、ユーグ王子が眠りについている間に婚約破棄に動いていることも知っている。
「父上の方が知識のある魔術師がどれほど重要なことなのかを理解している。兄上、公爵家からの支援は打ち切っても構わない。俺とクロエでその支援額を上回る収益をだせるからな」
ユーグ王子は従者が用意した椅子に座った。
私も隣に椅子が用意されたので座ろうとすると、彼は腰をグイッと引っ張り、私はユーグ王子の膝の上に座ることになった。
そして私の髪を撫で、頬を触り、家族の前で見せつけるような仕草をしている。
「どういうことだ? たかだか数十名しかいない魔術師の魔法で何ができるというんだ」
兄であるアルノルド王太子はユーグ王子の態度に眉間に皺を寄せ、苛立ちはじめているようだ。
ユーグ王子はというと、余裕のある様子でポケットから一つの小瓶をジルディット陛下に投げて寄越した。
「……ユーグよ、これはなんだ?」
「これは研究途中の若返りの薬ですよ。父上」
ユーグ王子の言葉にメルローズ妃が目を見開いた。
「若返りの薬、だと?」
「ええ。寿命が延びるわけではないが、これを肌に付けると数日間は十代の頃の肌に戻るというものだ」
「ユーグ、貸してみなさい」
メルローズ妃がそう言って自分の侍女に液体を使わせてみた。古くから王妃に仕えている侍女で彼女のことを信頼している。
侍女は数滴、顔に塗り広げると、淡い光が顔を包み、瞬く間にシミや皺がなくなり、十代の女性の顔になった。
キャリーさんはてきぱきと採寸し、紙に書き留めていく。そして採寸後にデザインを描き始めた。
「これ、いいんじゃないか?」
いつの間にかユーグ王子は食事を終え、何枚も描かれたデザインのうちの一枚を取り、キャリーさんに声をかけた。
「私もそのデザインがクロエ様に一番似合うと思っております」
「あと、これと、これも」
ユーグ王子は迷いがないようで次々にデザインを選んでいく。
「……ではそのデザインでドレスを作らせていただきます」
「ああ、キャリー。金に糸目はつけない」
「ありがとうございます! 国内一、いや、世界一素敵なドレスを作ってみせます」
キャリーさんは満面の笑みを浮かべ、デザインが描かれた紙を全て鞄に入れていた。
「では頼んだぞ」
ユーグ王子はキャリーさんを転移させた。
迷いなく相手を転移させているのが師匠らしい。
私は五百年も生きてきていまだに人を転移させるのは得意ではない。
私はさっきの方法でユーグ王子が持ってきた騎士服に着替えた。
「さて、クロエ。久々に王宮へ行くか」
彼はそう言いながら立ち上がり、私の傍に来た。
「そうだね。ジルディット陛下たちが首を長くして待ってるしね」
「あー面倒だ」
「行くよ」
「ああ、待ってくれ」
ユーグ王子はそう言うと、私をぎゅっと抱きしめて頬にキスをする。
「クロエ、俺はお前が好きだ。お前しか見ていない。そのことを忘れるなよ」
「……わかってる」
顔に熱が集まるのを感じる。
「じゃあ、行くか」
私たちは王宮のジルディット陛下のもとへ転移した。
「ユーグ、もう大丈夫なの!?」
ふわりと風に運ばれて薔薇の香りがする。
私たちが転移した先は王族専用の区画にある中庭だった。
そこにはジルディット陛下やメルローズ妃、アルノルド王太子がそこでお茶をしていたようだ。
「ああ、母上。俺はもう大丈夫だ」
「お隣にいるのは誰かしら?」
「彼女は魔女クロエ様だ。この姿が本来の姿。俺の最愛だ」
ユーグ王子は私の腰を抱き、私を見つめながらメルローズ妃に話をしている。
「クロエ様、どういうことでしょうか? なぜユーグがクロエ様を最愛と言っているのですか?」
メルローズ妃は怪訝な顔をしながら私に聞いてきた。
「さあ? メルローズ妃はユーグ王子がお腹にいる時から違和感を抱いていたんじゃない? 生まれた時に彼の肩には印があった。
遅かれ早かれ、封印は解かれる。封印は彼の前世の記憶だった。ただそれだけだよ。私はただ見守っていただけに過ぎない。選んだのは彼自身だからね」
私の言葉に思う部分があったようで、メルローズ妃は言葉に詰まっている。
「この際だから言いますが、ユーグは第二王子です。平民のクロエ様を愛妾に迎えるのは歓迎しません」
「母上、何か、勘違いをしているな。俺はクロエ様を愛妾になんて迎えるつもりはない。私が生まれる前からも、そして今、これからもクロエだけだ」
ユーグ王子がそう言うと、ジルディット陛下もアルノルド王太子も渋い顔をしている。
「ユーグよ、ではポストマ公爵令嬢はどうするのだ?」
「兄上、俺は眠りにつく前に父に伝えたはずだが? 彼女に興味はない。彼女のためにも一刻も早く婚約解消をした方がいい」
「だが、公爵家から多額の支援を受けているのは事実だ。今更なかったことにはできないだろう」
アルノルド王太子は腕を組み、婚約解消には否定的なようだ。
ジルディット陛下は魔法によって生活が一変することを理解している。
そのため私という存在が国にとって重要人物であることを理解し、ユーグ王子が眠りについている間に婚約破棄に動いていることも知っている。
「父上の方が知識のある魔術師がどれほど重要なことなのかを理解している。兄上、公爵家からの支援は打ち切っても構わない。俺とクロエでその支援額を上回る収益をだせるからな」
ユーグ王子は従者が用意した椅子に座った。
私も隣に椅子が用意されたので座ろうとすると、彼は腰をグイッと引っ張り、私はユーグ王子の膝の上に座ることになった。
そして私の髪を撫で、頬を触り、家族の前で見せつけるような仕草をしている。
「どういうことだ? たかだか数十名しかいない魔術師の魔法で何ができるというんだ」
兄であるアルノルド王太子はユーグ王子の態度に眉間に皺を寄せ、苛立ちはじめているようだ。
ユーグ王子はというと、余裕のある様子でポケットから一つの小瓶をジルディット陛下に投げて寄越した。
「……ユーグよ、これはなんだ?」
「これは研究途中の若返りの薬ですよ。父上」
ユーグ王子の言葉にメルローズ妃が目を見開いた。
「若返りの薬、だと?」
「ええ。寿命が延びるわけではないが、これを肌に付けると数日間は十代の頃の肌に戻るというものだ」
「ユーグ、貸してみなさい」
メルローズ妃がそう言って自分の侍女に液体を使わせてみた。古くから王妃に仕えている侍女で彼女のことを信頼している。
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