3 / 125
3将来は魔法使いに
しおりを挟む
時は過ぎてナーニョは十五歳になった。
来年は成人を迎え、教会を出ていく歳になった。
私は魔法使いになろうと考え、大きな街に出ることを神父様に相談したら神父様もシスターも賛成してくれた。
神父様は連絡も取っていなくても先祖返りした祖母を持っているのであれば国王軍の受付は話を聞いてくれるだろうと言っていた。
もちろん私の就職が決まればローニャも一緒に街に出る。
ローニャも今年で十一歳になり、身体はまだ小さいけれど殆どのことは一人で出来る。
あと一年。その間にする事も多い。
「神父様、行ってきます! ローニャいい子にして待っていてね」
「気をつけていくんじゃよ」
「お姉ちゃん、早く戻ってきてね」
私は王都から来た若い聖騎士様に連れられて王都の教会へと向かった。
魔法使い志望の私は国王軍の試験が必要になるため、神父様かシスターと一緒に王都へ向かうのだが、神父様もシスターも高齢のため、教会本部に要請を出した。
教会は神父様の要請を聞き、若い聖騎士を一人案内役に向かわせたのだ。
「ナーニョといいます。よろしくお願いします」
「私の名はファンダム。国王軍の試験を受けると聞いた。君を王都の孤児院に案内するまでの護衛に就くことになった。よろしく」
ファンダム様は犬の獣人らしく、犬の特徴が濃い。
彼も先祖返りなのだろうか。疑問に思いながらも聞くのは失礼かなと思い、黙って馬車に乗り込んだ。
村は王都からさほど離れていなかったのか馬車で三日ほど移動した後、到着した。
「いらっしゃい。今日はローラ樹の実が安いよ!」
「もっとまけとくれよ」
「ターロの指輪いかがですかー?」
初めて見る王都。
様々な場所で露店が開かれ、人々の活気がある声が聞こえてきた。
石道路には馬車が通り、人通りの多さに私は圧倒されていると、ファンダム様が話しかけてきた。
「ナーニョ、案内する。こっちだ」
「は、はい!」
ファンダム様はキビキビと歩き始めた。
今の私はシスターと同じ服を着ているので見習い修道女のように周りから見られているのだろう。
ファンダム様は国王軍の拠点である大きな建物の前に来た。
「ここが国王軍の拠点だ。ここで手続きをした後、試験を受ける。合格発表まで数日かかるが、その間は今から行く教会に泊まる事になっている」
私はうなずいた後、そのままファンダム様の後を歩いて行く。王都は店も沢山あって露店が所狭しと並んでいてまるで迷路のよう。
気を抜けばすぐに迷子になってしまいそうだ。
ここで私とローニャは暮らしていけるのか心配になる。
露店街を通り抜け、雑貨店を右に曲がり一本道を進んだ先に孤児院があった。
そこはとても小さな孤児院でここの神父様も村の神父様と同じくらい高齢の方だった。
「ハナン村から来ましたナーニョです。国王軍の試験を受ける間、よろしくお願いします」
私は神父様に頭を下げた。
「パロ神父は元気かのぉ? アイツも大分ジジィになっただろうな。カカカッ。まぁ、ここはなーんも無いがいくらでも泊っていくといい」
「ありがとうございます。ファンダム様、お連れ下さり、ありがとうございました」
私はファンダム様にお礼を言うと、教会に戻るついでだと言って国王軍の受付まで連れて行ってくれる事になった。
私は荷物を神父様に預けた足取りで国王軍の建物の中にある受付まで連れて行ってもらった。私はお礼を言うと、帰りは行きに降りた場所でハナン村行きの馬車を探すのだと教えられた。
ファンダム様と別れた後、建物の中に入っていった。
軍服を着た人達が往来している中でシスター服を着た私は悪目立ちをしているのは仕方がない。
「若いシスター、国王軍に何か用かな?」
リスの獣人と思われる軍人に声を掛けられた。私はビクッとなりながらも答える。
「あ、あのっ。国王軍の魔法使いになりたくて試験を受けに来たんです」
「ふ~ん。そっかぁ。魔法使いかぁ。難しいけど、まぁ、頑張って? 受付はあっちだよ」
「ありがとうございます」
私の言葉に興味を失ったようだったが、リスの獣人にお礼を言って指差した方向に歩いていった。
「ここで魔法使いの試験が受けられると聞いたのですが」
私は不安になりながら受付のユキヒョウ姿の軍人に聞いてみた。
「あっ? あぁ……。君、孤児? そういう子多いんだよねー。殆どの子はなれないからさ、君も諦めた方がいいんじゃない? 君、可愛いから飲み屋の仕事とか人気が出そうだし、あっちに応募したほうがいいんじゃないか?」
明らかに面倒だと言わんばかりの態度を見て私は不安で泣きそうになる。
ずっと魔法使いを目指して頑張って勉強してきたのに私は試験を受けることすらできないの?
泣きたくなる気持ちを耐えて必死に受付の軍人に話す。
「で、でもっ。神父様から君は魔法使いの素質があるって。どうしても試験を受けたくて、ハナン村から来たんです」
「あーそういうの真に受けるタイプの子? あれは子供騙しだから。そういうの信じちゃ駄目だよ」
「で、でも! 両親はマロ村で亡くなったので今は孤児だけど 、祖母は先祖返りをしていて……」
軍人の態度が怖くて尻すぼみな言葉になりながらも試験を受けたい一心で説明する。
すると彼はハッと目を丸くし、別人のように変わった。
「君、もう一度言ってくれ」
「? 両親はマロ村で亡くなって、ハナン村の教会で育った、のですが、祖母は先祖返りをしていて……?」
「君の祖母の名前は分かるかい?」
「祖母の名前はサーナス・カーシャルです」
祖母の名を聞いた途端に尻尾をピンと立てて受付の軍人は奥へと走っていった。
どういう事だろう?
来年は成人を迎え、教会を出ていく歳になった。
私は魔法使いになろうと考え、大きな街に出ることを神父様に相談したら神父様もシスターも賛成してくれた。
神父様は連絡も取っていなくても先祖返りした祖母を持っているのであれば国王軍の受付は話を聞いてくれるだろうと言っていた。
もちろん私の就職が決まればローニャも一緒に街に出る。
ローニャも今年で十一歳になり、身体はまだ小さいけれど殆どのことは一人で出来る。
あと一年。その間にする事も多い。
「神父様、行ってきます! ローニャいい子にして待っていてね」
「気をつけていくんじゃよ」
「お姉ちゃん、早く戻ってきてね」
私は王都から来た若い聖騎士様に連れられて王都の教会へと向かった。
魔法使い志望の私は国王軍の試験が必要になるため、神父様かシスターと一緒に王都へ向かうのだが、神父様もシスターも高齢のため、教会本部に要請を出した。
教会は神父様の要請を聞き、若い聖騎士を一人案内役に向かわせたのだ。
「ナーニョといいます。よろしくお願いします」
「私の名はファンダム。国王軍の試験を受けると聞いた。君を王都の孤児院に案内するまでの護衛に就くことになった。よろしく」
ファンダム様は犬の獣人らしく、犬の特徴が濃い。
彼も先祖返りなのだろうか。疑問に思いながらも聞くのは失礼かなと思い、黙って馬車に乗り込んだ。
村は王都からさほど離れていなかったのか馬車で三日ほど移動した後、到着した。
「いらっしゃい。今日はローラ樹の実が安いよ!」
「もっとまけとくれよ」
「ターロの指輪いかがですかー?」
初めて見る王都。
様々な場所で露店が開かれ、人々の活気がある声が聞こえてきた。
石道路には馬車が通り、人通りの多さに私は圧倒されていると、ファンダム様が話しかけてきた。
「ナーニョ、案内する。こっちだ」
「は、はい!」
ファンダム様はキビキビと歩き始めた。
今の私はシスターと同じ服を着ているので見習い修道女のように周りから見られているのだろう。
ファンダム様は国王軍の拠点である大きな建物の前に来た。
「ここが国王軍の拠点だ。ここで手続きをした後、試験を受ける。合格発表まで数日かかるが、その間は今から行く教会に泊まる事になっている」
私はうなずいた後、そのままファンダム様の後を歩いて行く。王都は店も沢山あって露店が所狭しと並んでいてまるで迷路のよう。
気を抜けばすぐに迷子になってしまいそうだ。
ここで私とローニャは暮らしていけるのか心配になる。
露店街を通り抜け、雑貨店を右に曲がり一本道を進んだ先に孤児院があった。
そこはとても小さな孤児院でここの神父様も村の神父様と同じくらい高齢の方だった。
「ハナン村から来ましたナーニョです。国王軍の試験を受ける間、よろしくお願いします」
私は神父様に頭を下げた。
「パロ神父は元気かのぉ? アイツも大分ジジィになっただろうな。カカカッ。まぁ、ここはなーんも無いがいくらでも泊っていくといい」
「ありがとうございます。ファンダム様、お連れ下さり、ありがとうございました」
私はファンダム様にお礼を言うと、教会に戻るついでだと言って国王軍の受付まで連れて行ってくれる事になった。
私は荷物を神父様に預けた足取りで国王軍の建物の中にある受付まで連れて行ってもらった。私はお礼を言うと、帰りは行きに降りた場所でハナン村行きの馬車を探すのだと教えられた。
ファンダム様と別れた後、建物の中に入っていった。
軍服を着た人達が往来している中でシスター服を着た私は悪目立ちをしているのは仕方がない。
「若いシスター、国王軍に何か用かな?」
リスの獣人と思われる軍人に声を掛けられた。私はビクッとなりながらも答える。
「あ、あのっ。国王軍の魔法使いになりたくて試験を受けに来たんです」
「ふ~ん。そっかぁ。魔法使いかぁ。難しいけど、まぁ、頑張って? 受付はあっちだよ」
「ありがとうございます」
私の言葉に興味を失ったようだったが、リスの獣人にお礼を言って指差した方向に歩いていった。
「ここで魔法使いの試験が受けられると聞いたのですが」
私は不安になりながら受付のユキヒョウ姿の軍人に聞いてみた。
「あっ? あぁ……。君、孤児? そういう子多いんだよねー。殆どの子はなれないからさ、君も諦めた方がいいんじゃない? 君、可愛いから飲み屋の仕事とか人気が出そうだし、あっちに応募したほうがいいんじゃないか?」
明らかに面倒だと言わんばかりの態度を見て私は不安で泣きそうになる。
ずっと魔法使いを目指して頑張って勉強してきたのに私は試験を受けることすらできないの?
泣きたくなる気持ちを耐えて必死に受付の軍人に話す。
「で、でもっ。神父様から君は魔法使いの素質があるって。どうしても試験を受けたくて、ハナン村から来たんです」
「あーそういうの真に受けるタイプの子? あれは子供騙しだから。そういうの信じちゃ駄目だよ」
「で、でも! 両親はマロ村で亡くなったので今は孤児だけど 、祖母は先祖返りをしていて……」
軍人の態度が怖くて尻すぼみな言葉になりながらも試験を受けたい一心で説明する。
すると彼はハッと目を丸くし、別人のように変わった。
「君、もう一度言ってくれ」
「? 両親はマロ村で亡くなって、ハナン村の教会で育った、のですが、祖母は先祖返りをしていて……?」
「君の祖母の名前は分かるかい?」
「祖母の名前はサーナス・カーシャルです」
祖母の名を聞いた途端に尻尾をピンと立てて受付の軍人は奥へと走っていった。
どういう事だろう?
72
あなたにおすすめの小説
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
底無しポーターは端倪すべからざる
さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。
ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。
攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。
そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。
※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。
※ごくまれに残酷描写を含みます。
※【小説家になろう】様にも掲載しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?
咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。
※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。
※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。
※騎士の上位が聖騎士という設定です。
※下品かも知れません。
※甘々(当社比)
※ご都合展開あり。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる