まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

文字の大きさ
17 / 125

17 英雄の元で保護されています

しおりを挟む
「ナーニョ、ローニャはこの後、どうするのか? 行く当てはあるのかい?」

 陛下の問いに私達が答えようとした時、エサイアス様が答えた。

「ナーニョ嬢とローニャ嬢は私の邸に落ちてきました。今、我が家で保護していますが、これからも我が家に住んでもらう予定です」

「ふむ、そうだな。こんなに可愛い娘達が路頭に迷うなんてことはさせてはならん。英雄の元で保護していると聞けば他は何も言えまい。ナーニョとローニャにはまだまだ詳しく話を聞きたい。
 当分の間、エサイアスと共に城に来て色々と教えてくれぬか? じぃの頼みじゃ。お菓子も用意しておく」

「うん! いいよ! 私、木の実が好きなの」
「おぉ、そうかそうか。用意させるから安心しておいで」

 ローニャは今にも零れそうなほどの笑顔で返事をした。普段はもっと大人びた口調なのに今は幼子のような返事。
 ローニャは甘えるのが上手い。我が妹ながら抜かりないようだ。

 こうして初めての謁見は終わった。

 私達は帰る前に陛下からお菓子を貰い、ローニャは上機嫌だ。

「邸に帰る前に少し騎士団の詰所に寄ってもいいだろうか?」

 二人とも予定もないのでそのまま騎士団の詰所に寄ることになった。王宮を出てすぐに建物がある。

 これが騎士団の詰所という場所なのだろう。エサイア様のような服装をした人達が詰所を行き来している。そして彼を見るなり皆、頭を下げている。

 身体の大きな人も多くて先ほどとは違い、ローニャは私の腕をギュッと掴んでいる。

「エサイアス様! お怪我は大丈夫だったのでしょうか?」

 彼が働いている部署の部屋に入るとすぐに声が飛んできた。忙しそうにしていたが、一瞬でみんなの手が止まった。

「あぁ、みんなのおかげでこの通り無事だ。明日から仕事に復帰できるだろう。心配をかけたな」

 彼の言葉に泣き出す者もいる。みんなエサイアス様を慕っているのだろう。彼に話し掛けてきた一人と目が合う。

「団長、後ろにいる可愛い彼女達は……?」
「あぁ、今、俺の邸で保護をしている女の子達だ。この世界の最重要人物だ。国王陛下のお気に入りでもある。無礼なことは慎むように」
「このお嬢さん達が……? 承知いたしました!」

 私はペコリと頭を下げた。エサイアス様は副団長と呼ばれる人と何か仕事の話をした後、私達とすぐに帰宅し、私たちは部屋に戻った。


 さすがに緊張して疲れた。ローニャも同じようでベッドにゴロリと横になっている。

「ローニャ、今日は頑張ったね。いつも人見知りなのに国王陛下は大丈夫だったの?」
「うん。何となくだけど国王様ってモジョのおじいちゃんに似ていない?」
「あー、確かに似ているわね。雰囲気というか優しい感じ?」

「うん。だから大丈夫かなーって思ったんだよね。国王様も私の事をヨシヨシってしてくれていたし、大丈夫じゃないかな」
「相変わらず適当ね。でもローニャの勘の良さは当たるのよね」

「今日のご飯は何かなー? 久々に魔法を使ったからお腹減っちゃった!」
「ローニャは食いしん坊ね」

 ――コンコンコン

 扉のノック音で私たちは振り返ると、そこにはマーサさんが立っていた。

「ナーニョ様、ローニャ様。食事の用意が出来ました」
「「はーい!」」

 食堂に向かうとエサイアス様も席に着いていた。

「先ほどはお疲れ様。ナーニョ嬢もローニャ嬢も疲れただろう」
「私達は大丈夫です」
「お城はどうだったかい?」
「人間の多さに驚きましたが、国王陛下が優しそうな人で良かったです」

「明日から魔法の事や異世界の話をたくさん聞く事になるだろうから今日は早めに休むように」
「お気遣いいただき、ありがとうございます」
「今日のローニャ嬢はよく食べるな。美味しいかい?」
「うん。とても美味しい。魔法を使うと一杯お腹が減るからね」

 もぐもぐとロティを口に入れながら話すローニャ。

 ロティというのは穀物を粉にして水で捏ね、焼いて作るこちらの世界の主食なのだとか。

「そうなのか。一杯食べてほしい」

 ローニャはフルーツを中心にパクパクと食べている。よほどお腹が空いていたようだ。

「ローニャ、せっかくマナーを教えてもらったんだからゆっくり順番に食べなさい」
「はぁい」

 エサイアス様はそんな様子を笑顔で見ている。

「エサイアス様、五月蠅くてごめんなさい」
「いや、いいんだ。私はいつも一人で食べていたから楽しい。二人ともおかわりはまだまだたくさんあるから食べてくれ」

「「ありがとうございます」」
「エサイアス様、明日から私達はどのようになるのでしょうか?」
「きっと陛下の執務室へ呼ばれるのだと思う。その後は異次元研究室に通うことになるかもしれない」
「異次元研究室?」

「あぁ。君達の世界が異次元の空間を閉じたように私達人間の世界も日々異次元の空間を閉じようと研究しているんだ。中々成果は出ていないが」
「お姉ちゃん、あの本を持って行った方がいいのかな?」

 ローニャは私がおばあ様に貰った魔法の教科書の事を言っているのだろう。私もあの本はしっかりと目を通した。

 ローニャは熟読していたようで私より内容を覚えている。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

底無しポーターは端倪すべからざる

さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。 ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。 攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。 そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。 ※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。 ※ごくまれに残酷描写を含みます。 ※【小説家になろう】様にも掲載しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?

咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。 ※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。 ※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。 ※騎士の上位が聖騎士という設定です。 ※下品かも知れません。 ※甘々(当社比) ※ご都合展開あり。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

処理中です...