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27 聖女の姿
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「この部屋にいる患者の治療は終わりました。ナーニョ様の魔力はどれくらい残っているのでしょうか?」
「半分を切ったところかなぁと思っています。あと、二、三人は治療出来そうな気はします」
「分かりました。今日はこれで終わりにしましょう。何かあるといけないので底を突くまでの魔力は使わない方がいいですね」
「わかりました」
こうして私たちは医務室へと戻った。ローニャはまだ戻ってきていないみたい。
「ナーニョさん、お疲れ様でした。軽食を用意してあるのでお召し上がりください」
「ありがとうございます」
お腹が減っているので遠慮なく食べることにした。ローニャは大丈夫なのか。少し心配になる。
食事を食べている横で研究所の人たちが話を始めた。
「ゼロを治療した時にも凄いと思ったけれど、魔法はとても凄い。第二の君はあれをどう見た?」
「いやぁ、言葉も出なかったですね。欠損も治せる指輪。今後の我々の頑張り次第だという事ですね。ナーニョさんを見ていると、言い伝えの通りになっていますね」
「あぁ、そうだな。そんな言い伝えがあったな」
言い伝え?
ザイオン医務官も研究所の人たちも頷いている。私は不思議に思い、聞いてみた。
「言い伝えとは何の話ですか?」
「あぁ、ほら。あそこの壁に掛かっている絵があるでしょう? あれは聖女が祈り、人々を治療している絵なのです。昔から『魔物がこの世界を闊歩する時、空から聖女が落ちてくる』と言われているんです。大昔は落ち人もたまに落ちてきていたようだからその中で治療ができる人間か獣人がいたのでしょう。聖女と呼ばれる人間は過去に何人かはいたようです」
ザイオン医務官は絵を指さしながら説明してくれる。
「私たちはナーニョさんとローニャさんを見て言い伝えの通り、聖女なのだと思いました」
私の世界には聖女という言葉は無いので不思議な感覚だが、何かとても神様のような神聖な人なのだろうというのは分かった。
私はみんなが思うほど偉くも素晴らしくもないのに……。
否定しようとした時、廊下からドッと大勢の声が聞こえてきた。私はもちろん医務室に居た人たちは一斉に廊下の方に視線を向ける。
「……何か騒がしいですね。様子を見てきましょうか」
「私も行きます」
私はローニャの事が心配になり、軽食を置いてローニャのいる部屋へと向かった。
向かった先は怪我の軽い人たちが入院している部屋は大勢の人たちが一つの部屋にベッドがたくさん置かれている部屋だった。
騒がしくしていたのは元気になった騎士と治療を待っている騎士達の声だったようだ。ローニャが魔法を使う度に声が上がっている。
「ローニャちゃん! ありがとう。俺の骨、くっついてる!」
「治って良かった。次の人は、どこが痛いのかな?」
「俺は腕の怪我と見てわかる通り両足の骨折だ。治せるのかい?」
「うん! ローニャに任せてっ!『ヒエロス』」
ローニャが唱えた魔法は柔らかい光に包まれて治療をしているが、突然パチンッと小さな音がして光が消えた。
「……ごめんなさぃ。魔力が尽きちゃったみたい。明日、続きをするからね」
「ありがとう、完治していなくても痛みはとても軽くなった」
ローニャはしょんぼりしているが、怪我の途中で中止となった騎士は微笑んでいる。
「ローニャ、治療は終わりそう?」
「お姉ちゃん! あのね、途中で魔力が尽きちゃったの。この騎士さんの怪我が途中になってしまったの」
「そう、中途半端は良くないわね。騎士様、お手をお借りしますね」
「あ、あぁ」
私はそっと手を両手で包みヒエロスを唱えた。ローニャの魔法は日に日に丁寧になっている気がする。
私よりも上手になるのは時間の問題かもしれない。
私は怪我の具合を確認しながらローニャの残した傷を治癒していく。
「終わりました。騎士様、右腕に古傷があり、いつも庇っていたようですね。左を中心に細かな古傷がありました。全ての傷は治しましたが、あまり無理はしないようにして下さいね」
「!! そ、そうなんだ。特に雨の日には痛んでいた。すごいっ。傷が全て治っている。これからは無理をしないようにする」
「さぁローニャ、帰るよ。では騎士様方、途中で申し訳ありませんが明日また治療させて下さい」
私はローニャの手を取り一礼して部屋を出た。
ローニャは尻尾をぶんぶんと振り、上機嫌で歩いている。
「さすがお姉ちゃん。ローニャも早く古傷まで治せるようにしたいな。お腹ぺこぺこ!」
「ローニャはとても上手に魔法を使えているわ。すぐに私以上の治療ができるようになるわ。医務室で軽食が用意されているから食べましょう」
「はぁい!」
私はローニャから騎士の治療の話を聞きながら一緒に軽食のロティを食べた。
研究所の人たちは皆で記録した事を確認しながらあれやこれやと難しい話をしていた。
「ローニャ、いっぱい働いて、ご飯を食べたから眠くなっちゃった」
「ローニャさん、私がエサイアス様の邸までお連れしましょう」
ローニャは護衛のマルカスさんに抱っこされる形でウトウトし始めた。
「ザイオン先生、途中で申し訳ないのですが、今日はこのまま帰宅しても良いでしょうか?」
「あぁ、もちろんです。ローニャ殿には無理をさせてしまいました。申し訳ありません」
「いえ、この子は皆の役に立ちたいを自分の体力も考えずに動いたせいです。マルカスさん、このままエサイアス様のところに寄った後、邸に向かってもらってもいいですか?」
「えぇ、もちろん。通り道ですし、お二人の警護のためエサイアス様も一緒に帰宅されると思います」
英雄に警護してもらえるなんて世の女性を敵に回しそうだ、と思ってしまう。
「では、皆様。お先に失礼します」
「ナーニョ様、気を付けて」
「ナーニョさん、また明日ね」
私とローニャを抱えたマルカスさんとフェルナンドさんで医務室を後にした。
騎士団の詰所に寄る途中、ローニャが治した騎士達にすれ違うとみんなにお礼を言われたわ。それと元気をもらったと。
「半分を切ったところかなぁと思っています。あと、二、三人は治療出来そうな気はします」
「分かりました。今日はこれで終わりにしましょう。何かあるといけないので底を突くまでの魔力は使わない方がいいですね」
「わかりました」
こうして私たちは医務室へと戻った。ローニャはまだ戻ってきていないみたい。
「ナーニョさん、お疲れ様でした。軽食を用意してあるのでお召し上がりください」
「ありがとうございます」
お腹が減っているので遠慮なく食べることにした。ローニャは大丈夫なのか。少し心配になる。
食事を食べている横で研究所の人たちが話を始めた。
「ゼロを治療した時にも凄いと思ったけれど、魔法はとても凄い。第二の君はあれをどう見た?」
「いやぁ、言葉も出なかったですね。欠損も治せる指輪。今後の我々の頑張り次第だという事ですね。ナーニョさんを見ていると、言い伝えの通りになっていますね」
「あぁ、そうだな。そんな言い伝えがあったな」
言い伝え?
ザイオン医務官も研究所の人たちも頷いている。私は不思議に思い、聞いてみた。
「言い伝えとは何の話ですか?」
「あぁ、ほら。あそこの壁に掛かっている絵があるでしょう? あれは聖女が祈り、人々を治療している絵なのです。昔から『魔物がこの世界を闊歩する時、空から聖女が落ちてくる』と言われているんです。大昔は落ち人もたまに落ちてきていたようだからその中で治療ができる人間か獣人がいたのでしょう。聖女と呼ばれる人間は過去に何人かはいたようです」
ザイオン医務官は絵を指さしながら説明してくれる。
「私たちはナーニョさんとローニャさんを見て言い伝えの通り、聖女なのだと思いました」
私の世界には聖女という言葉は無いので不思議な感覚だが、何かとても神様のような神聖な人なのだろうというのは分かった。
私はみんなが思うほど偉くも素晴らしくもないのに……。
否定しようとした時、廊下からドッと大勢の声が聞こえてきた。私はもちろん医務室に居た人たちは一斉に廊下の方に視線を向ける。
「……何か騒がしいですね。様子を見てきましょうか」
「私も行きます」
私はローニャの事が心配になり、軽食を置いてローニャのいる部屋へと向かった。
向かった先は怪我の軽い人たちが入院している部屋は大勢の人たちが一つの部屋にベッドがたくさん置かれている部屋だった。
騒がしくしていたのは元気になった騎士と治療を待っている騎士達の声だったようだ。ローニャが魔法を使う度に声が上がっている。
「ローニャちゃん! ありがとう。俺の骨、くっついてる!」
「治って良かった。次の人は、どこが痛いのかな?」
「俺は腕の怪我と見てわかる通り両足の骨折だ。治せるのかい?」
「うん! ローニャに任せてっ!『ヒエロス』」
ローニャが唱えた魔法は柔らかい光に包まれて治療をしているが、突然パチンッと小さな音がして光が消えた。
「……ごめんなさぃ。魔力が尽きちゃったみたい。明日、続きをするからね」
「ありがとう、完治していなくても痛みはとても軽くなった」
ローニャはしょんぼりしているが、怪我の途中で中止となった騎士は微笑んでいる。
「ローニャ、治療は終わりそう?」
「お姉ちゃん! あのね、途中で魔力が尽きちゃったの。この騎士さんの怪我が途中になってしまったの」
「そう、中途半端は良くないわね。騎士様、お手をお借りしますね」
「あ、あぁ」
私はそっと手を両手で包みヒエロスを唱えた。ローニャの魔法は日に日に丁寧になっている気がする。
私よりも上手になるのは時間の問題かもしれない。
私は怪我の具合を確認しながらローニャの残した傷を治癒していく。
「終わりました。騎士様、右腕に古傷があり、いつも庇っていたようですね。左を中心に細かな古傷がありました。全ての傷は治しましたが、あまり無理はしないようにして下さいね」
「!! そ、そうなんだ。特に雨の日には痛んでいた。すごいっ。傷が全て治っている。これからは無理をしないようにする」
「さぁローニャ、帰るよ。では騎士様方、途中で申し訳ありませんが明日また治療させて下さい」
私はローニャの手を取り一礼して部屋を出た。
ローニャは尻尾をぶんぶんと振り、上機嫌で歩いている。
「さすがお姉ちゃん。ローニャも早く古傷まで治せるようにしたいな。お腹ぺこぺこ!」
「ローニャはとても上手に魔法を使えているわ。すぐに私以上の治療ができるようになるわ。医務室で軽食が用意されているから食べましょう」
「はぁい!」
私はローニャから騎士の治療の話を聞きながら一緒に軽食のロティを食べた。
研究所の人たちは皆で記録した事を確認しながらあれやこれやと難しい話をしていた。
「ローニャ、いっぱい働いて、ご飯を食べたから眠くなっちゃった」
「ローニャさん、私がエサイアス様の邸までお連れしましょう」
ローニャは護衛のマルカスさんに抱っこされる形でウトウトし始めた。
「ザイオン先生、途中で申し訳ないのですが、今日はこのまま帰宅しても良いでしょうか?」
「あぁ、もちろんです。ローニャ殿には無理をさせてしまいました。申し訳ありません」
「いえ、この子は皆の役に立ちたいを自分の体力も考えずに動いたせいです。マルカスさん、このままエサイアス様のところに寄った後、邸に向かってもらってもいいですか?」
「えぇ、もちろん。通り道ですし、お二人の警護のためエサイアス様も一緒に帰宅されると思います」
英雄に警護してもらえるなんて世の女性を敵に回しそうだ、と思ってしまう。
「では、皆様。お先に失礼します」
「ナーニョ様、気を付けて」
「ナーニョさん、また明日ね」
私とローニャを抱えたマルカスさんとフェルナンドさんで医務室を後にした。
騎士団の詰所に寄る途中、ローニャが治した騎士達にすれ違うとみんなにお礼を言われたわ。それと元気をもらったと。
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