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30 魔力の枯渇
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「ナーニョさん、急ぎますね」
フェルナンドさんは状況をいち早く理解してくれたようですぐに医務室に戻った。
ザイオン医務官は驚いていたけれど、空いたベッドに寝かせるようにフェルナンドさんに指示した。
「すぐに軽食をお持ちします」
彼は私をベッドに降ろした後、そう言ってすぐに医務室から出て行ってしまった。
私は小袋に入れていた小さな木の実を取り出して口にした。
「ナーニョ様、顔色が悪そうですが大丈夫でしょうか?」
「えぇ、魔力が底を突いただけですから、問題はありません」
「魔力が底を突いた、ですか!?」
「試作品の指輪で範囲魔法を使ったのです。制御が出来ずに魔力を消費してしまったのは私の落ち度でした」
「怪我人はどれほど回復したのでしょうか?」
ザイオン医務官は心配そうに聞いてきた。
「どうでしょうか。多分一割から二割程度でしょうか。制御が出来なかったのが悔しいところですね。指輪に魔力を持っていかれるような感覚でした。
私が一度前に使った時は指輪を通して範囲内にいる人たちの傷の確認をぼんやりとでも出来たのですが、試作品はただ持っていかれるだけでしたので。
古傷や新しい傷など気にせずに治療していたのかもしれません。その辺は聞き取りをしてもらうまで分かりません」
「その辺は研究員がします。彼らはそういうのは得意ですからね」
ザイオン医務官はお茶を淹れ、渡してくれた。
「医務室にナッツ類を置いておく方がいいな」
「ナーニョ様、お持ちしました」
マルカスさんが軽食を運んできた。
「あれ? フェルナンドさんが行ったと思ったのですが」
「あぁ、ローニャ様のおやつを運んでいる間に彼に会ったんですよ。彼はそのままエサイアス様に知らせに行き、私はナーニョ様にお持ちしました。ローニャ様のおやつは別の者に託したので今お持ちしていると思います」
「ご迷惑をおかけしました」
「迷惑だなんてとんでもない。皆、心から喜んでおります。これくらいどうと言う事はないですよ」
皆の気遣いに感謝しつつ、私は軽食をパクパクと食べ始めた。
食べたそばから魔力に変換されていくのが分かる。
「幾分顔色は良くなったようですね」
「心配かけてごめんなさい。食べて少し休むだけで魔力はかなり回復するので大丈夫です」
バタンと扉が大きな音を立てて開かれた。
私たちは振り向くとそこにはエサイアス様が青い顔をして立っていた。
「ナーニョ嬢、大丈夫か!?」
エサイアス様は駆け寄り、私の手を取った。
「エサイアス様、心配をお掛けしました。魔力も戻ってきましたし、もう大丈夫です」
「こんなに顔色も悪い。君達は働きすぎだ。休みをもぎ取ってきたから今日はこのまま邸に帰ろう。ローニャ嬢も勉強が飽きたと言っていたし、ちょうど良い」
「ですが……」
私は残った患者のことが気になり口を開こうとしたが、ザイオン医務官も止めに入った。
「ナーニョ様、無理はいけない。幸い重症患者は君が治療したし、軽い者は数日で復帰します。大丈夫、何にも心配はいらない。休んだ方がいい」
「わかりました」
私は食事を終えるまで待っていたエサイアス様はさっと立ち上がった。
「じゃぁ、行こうか」
エサイアス様はそう言うと、私をヒョイと抱っこして歩き始める。
「エ、エサイアス様!? 自分で歩けますっ」
「無理はしない方がいい。ナーニョ嬢は羽根のように軽い。このまま馬車へ急ごう」
ザイオン医務官たちは抱えられている私の姿を見て笑みをこぼしている。
私は馬車までの道を恥ずかしさのあまり帽子を深く被るしか出来なかった。
「お姉ちゃん、お帰り! 今日ヒエストロの魔法を使ったんでしょう? ゼロさんに聞いたわ。どうだった?」
ローニャは部屋に着くなり興味津々で聞いてきた。
「指輪の材質のせいで一気に魔力を持っていかれたわ。おばあ様が用意していた指輪は全て銀色だったのは覚えているけど、材質は分からないのよね」
「そうなんだ。私も範囲魔法を使ってみたい。けれど、指輪が無いから難しいよね」
「そうそう、今日は試作品を色々と試した中で使いやすい指輪が一つあったわ。ローニャの分も作ってもらえるみたいよ」
「そうなの? 嬉しい。使える指輪が増えても私、使いこなせるか心配だよ」
「大丈夫よ。ローニャはサーローの指輪を上手に使えているでしょう? あれが使えるのなら殆どの指輪は使いこなせるわ。今だって魔力は不安定だけどヒエロスを上手に使えているように見えるわ。
十分と言っていいほど上手よ? きっと来年あたりから一気に成長するから身体が成長しきってしまえばどの指輪も問題ないわ。ローニャは私よりも優秀なのだし、心配しなくても大丈夫よ」
「そうかなぁ」
ローニャは少し不満そうだったけれど、騎士達がローニャの事を心配していたと話すと喜んでいた。
今日と翌日はマーサさんからゆっくりと休むように言われ、私はベッドの住人となってしまった。
ローニャは自分の部屋でこの国の本を読んでいたみたい。ローニャは覚えるのが早い。凄いわ。反対に私はまだ文字を確認しながら読むしかできない。
もっと頑張らないといけない。
二日目の休みともなると時間があまり刺繍だけでは飽きてくる。
そう思っていると、エサイアス様が外に行こうと誘ってくれた。
フェルナンドさんは状況をいち早く理解してくれたようですぐに医務室に戻った。
ザイオン医務官は驚いていたけれど、空いたベッドに寝かせるようにフェルナンドさんに指示した。
「すぐに軽食をお持ちします」
彼は私をベッドに降ろした後、そう言ってすぐに医務室から出て行ってしまった。
私は小袋に入れていた小さな木の実を取り出して口にした。
「ナーニョ様、顔色が悪そうですが大丈夫でしょうか?」
「えぇ、魔力が底を突いただけですから、問題はありません」
「魔力が底を突いた、ですか!?」
「試作品の指輪で範囲魔法を使ったのです。制御が出来ずに魔力を消費してしまったのは私の落ち度でした」
「怪我人はどれほど回復したのでしょうか?」
ザイオン医務官は心配そうに聞いてきた。
「どうでしょうか。多分一割から二割程度でしょうか。制御が出来なかったのが悔しいところですね。指輪に魔力を持っていかれるような感覚でした。
私が一度前に使った時は指輪を通して範囲内にいる人たちの傷の確認をぼんやりとでも出来たのですが、試作品はただ持っていかれるだけでしたので。
古傷や新しい傷など気にせずに治療していたのかもしれません。その辺は聞き取りをしてもらうまで分かりません」
「その辺は研究員がします。彼らはそういうのは得意ですからね」
ザイオン医務官はお茶を淹れ、渡してくれた。
「医務室にナッツ類を置いておく方がいいな」
「ナーニョ様、お持ちしました」
マルカスさんが軽食を運んできた。
「あれ? フェルナンドさんが行ったと思ったのですが」
「あぁ、ローニャ様のおやつを運んでいる間に彼に会ったんですよ。彼はそのままエサイアス様に知らせに行き、私はナーニョ様にお持ちしました。ローニャ様のおやつは別の者に託したので今お持ちしていると思います」
「ご迷惑をおかけしました」
「迷惑だなんてとんでもない。皆、心から喜んでおります。これくらいどうと言う事はないですよ」
皆の気遣いに感謝しつつ、私は軽食をパクパクと食べ始めた。
食べたそばから魔力に変換されていくのが分かる。
「幾分顔色は良くなったようですね」
「心配かけてごめんなさい。食べて少し休むだけで魔力はかなり回復するので大丈夫です」
バタンと扉が大きな音を立てて開かれた。
私たちは振り向くとそこにはエサイアス様が青い顔をして立っていた。
「ナーニョ嬢、大丈夫か!?」
エサイアス様は駆け寄り、私の手を取った。
「エサイアス様、心配をお掛けしました。魔力も戻ってきましたし、もう大丈夫です」
「こんなに顔色も悪い。君達は働きすぎだ。休みをもぎ取ってきたから今日はこのまま邸に帰ろう。ローニャ嬢も勉強が飽きたと言っていたし、ちょうど良い」
「ですが……」
私は残った患者のことが気になり口を開こうとしたが、ザイオン医務官も止めに入った。
「ナーニョ様、無理はいけない。幸い重症患者は君が治療したし、軽い者は数日で復帰します。大丈夫、何にも心配はいらない。休んだ方がいい」
「わかりました」
私は食事を終えるまで待っていたエサイアス様はさっと立ち上がった。
「じゃぁ、行こうか」
エサイアス様はそう言うと、私をヒョイと抱っこして歩き始める。
「エ、エサイアス様!? 自分で歩けますっ」
「無理はしない方がいい。ナーニョ嬢は羽根のように軽い。このまま馬車へ急ごう」
ザイオン医務官たちは抱えられている私の姿を見て笑みをこぼしている。
私は馬車までの道を恥ずかしさのあまり帽子を深く被るしか出来なかった。
「お姉ちゃん、お帰り! 今日ヒエストロの魔法を使ったんでしょう? ゼロさんに聞いたわ。どうだった?」
ローニャは部屋に着くなり興味津々で聞いてきた。
「指輪の材質のせいで一気に魔力を持っていかれたわ。おばあ様が用意していた指輪は全て銀色だったのは覚えているけど、材質は分からないのよね」
「そうなんだ。私も範囲魔法を使ってみたい。けれど、指輪が無いから難しいよね」
「そうそう、今日は試作品を色々と試した中で使いやすい指輪が一つあったわ。ローニャの分も作ってもらえるみたいよ」
「そうなの? 嬉しい。使える指輪が増えても私、使いこなせるか心配だよ」
「大丈夫よ。ローニャはサーローの指輪を上手に使えているでしょう? あれが使えるのなら殆どの指輪は使いこなせるわ。今だって魔力は不安定だけどヒエロスを上手に使えているように見えるわ。
十分と言っていいほど上手よ? きっと来年あたりから一気に成長するから身体が成長しきってしまえばどの指輪も問題ないわ。ローニャは私よりも優秀なのだし、心配しなくても大丈夫よ」
「そうかなぁ」
ローニャは少し不満そうだったけれど、騎士達がローニャの事を心配していたと話すと喜んでいた。
今日と翌日はマーサさんからゆっくりと休むように言われ、私はベッドの住人となってしまった。
ローニャは自分の部屋でこの国の本を読んでいたみたい。ローニャは覚えるのが早い。凄いわ。反対に私はまだ文字を確認しながら読むしかできない。
もっと頑張らないといけない。
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そう思っていると、エサイアス様が外に行こうと誘ってくれた。
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