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35 王宮での話し合い1
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ナーニョ達が謁見の間を出た後、国王陛下、宰相、グリークス神官長、マートス長官、ザイオン医務官で話し合いが行われた。
「さて、落ち人であるナーニョ・スロフ、ローニャ・スロフの話ですが、皆様の意見を伺います」
進行役の宰相が話を始めた。
「ナーニョたちの魔法は本物だ。実際、騎士達を何人も治しておる」
「私も半信半疑で見ていましたが、魔法の存在を認めざるを得ません。特にナーニョ様の治癒魔法効果は素晴らしく、深い怪我や過去に出来た傷も瞬く間に治してしまった。そして人格も素晴らしい。彼女こそ聖女でしょう」
陛下に続き、ザイオン医務官がナーニョを褒める。
「ローニャの方はどうでしょうか?」
「あの子は可愛い。二人とも可愛いがローニャは特に人懐っこいところがいい。儂の孫に迎えたい」
「そうですね。ローニャ嬢は人懐っこくて人の懐に上手に入ってくるし、話し上手だ。ローニャ嬢は『姉より上手く魔法が使えない』といいながらも研究員の研究に協力的です。言葉を覚えるが早い。
そして二人とも賢い。
ローニャ嬢は人をよく見ている。必死に自分たちの居場所を作ろうと頑張っているのかもしれない。素直さが彼女の持ち味でもあるだろう」
マートス長官がローニャの普段の様子を話す。
「研究の方は進んでおりますかな?」
「ええ。ナーニョ嬢が持っていた教科書を我々が読み解き、第二研究室は指輪の研究、第三研究室は兵士強化の研究、第四研究室が空間の研究を更に進めているところです。
彼女たちのおかげで多くの情報を得ることができました。今後、魔獣や異空間、魔法など様々な事柄の研究成果を加速度的に出せるだろうと考えております」
陛下がその報告を聞いて機嫌が良さげに頷いている。
「ということは、異世界はここより文明が進んでいるのだろうか?」
「同じような文化の水準だそうですが、ナーニョ嬢たちがいた世界では王族と庶民の二つに分かれるだけのようです。
貴族は少ないながらもいるという感じなのだそうです。この辺は彼女達の知識はないようで詳しくは分からなかったのですが、彼女達の食事の水準を考えると、我々貴族が食べている物が彼女達の世界では村の教会で出されていた食事と変わらない。
つまり食べるものが、村の孤児院にまで行き届いているような安定した世界なのだろうと考えております。
彼女達のいた世界は我々が住んでいる世界よりももっと安全な世界なのでしょう」
マートス長官はナーニョの話す姿を思い出しながら語った。
「魔法の研究はマートス長官に引き続き研究してもらうが、教会としてはどのようなお考えなのでしょうか?」
「あぁ、彼女の治療魔法は本物だ。そしてナーニョ様は私に魔力があると仰った。もっと詳しく話を聞きたいと思う。教会側としては彼女たちを聖女とし、人々の心の安寧に寄与していただきたい」
グリークス神官長の言葉に食いついたのはマートス長官だった。
「神官長、それは本当ですか!? グリークス神官長に魔力が? ナーニョ嬢達は何と言っていたのでしょうか?」
「あぁ、ナーニョ様は私が無意識に魔力を身体強化するために使っているのではないかと仰っておりました。確かに大斧を扱える者は数少ない。戦っている間は武器の重さを感じなかったのはそのせいなのだと今なら納得できます」
「という事はこの世界にも魔法を使える者が存在するということですか?」
「大昔は落ち人の中には魔法使いがいたのだ。子孫がいてもおかしくはないだろう」
マートス長官は人間の中にも魔力を持つ者がいると知り、身を乗り出して聞いてきた。
その様子に陛下は当たり前だというような感じで話をする。
「では国内で魔法を使う事のできる人間を探し出す事が急務となりますね。グリークス神官長はどこの出身なのでしょうか? 出身地周辺の人間から探しましょう」
「マートス長官、すまない。私は孤児なのだ。物心ついたときから王都の孤児院にいた。両親がどこの出身かが分からない。
当時、孤児院に居た時に神父が言っていたのが、旅の格好をした母親が私を孤児院に置いていったようだ。傷だらけだったと言っていた。命が尽きる前に私を神父に託して母は何処かへ向かったと。それ以上は分からない」
グリークス神官長の言葉に皆一瞬がっかりしたようだが、まだ望みは断たれていない。
「ではやはり地道に探していくしかなさそうですね。だが、そうなると魔法使いを見分けるのはナーニョ嬢のみとなります。ローニャ嬢はまだ幼い。彼女を連れて国内を歩くのは危険が伴うのではないでしょうか?」
宰相はナーニョ達の今後に話を切り替えた。
「まず、治療した騎士達の中に魔法が使える者はいるのだろうか? 騎士達も様々な地域から来ているはずだ」
陛下の言葉にザイオン医務官が口を開いた。
「確かにお二人を危険な場所に連れ歩くより、まず近場で魔力がある者がどれだけいるのか調べた方が良いですね」
確かにそうだと全員が頷いている。
「さて、落ち人であるナーニョ・スロフ、ローニャ・スロフの話ですが、皆様の意見を伺います」
進行役の宰相が話を始めた。
「ナーニョたちの魔法は本物だ。実際、騎士達を何人も治しておる」
「私も半信半疑で見ていましたが、魔法の存在を認めざるを得ません。特にナーニョ様の治癒魔法効果は素晴らしく、深い怪我や過去に出来た傷も瞬く間に治してしまった。そして人格も素晴らしい。彼女こそ聖女でしょう」
陛下に続き、ザイオン医務官がナーニョを褒める。
「ローニャの方はどうでしょうか?」
「あの子は可愛い。二人とも可愛いがローニャは特に人懐っこいところがいい。儂の孫に迎えたい」
「そうですね。ローニャ嬢は人懐っこくて人の懐に上手に入ってくるし、話し上手だ。ローニャ嬢は『姉より上手く魔法が使えない』といいながらも研究員の研究に協力的です。言葉を覚えるが早い。
そして二人とも賢い。
ローニャ嬢は人をよく見ている。必死に自分たちの居場所を作ろうと頑張っているのかもしれない。素直さが彼女の持ち味でもあるだろう」
マートス長官がローニャの普段の様子を話す。
「研究の方は進んでおりますかな?」
「ええ。ナーニョ嬢が持っていた教科書を我々が読み解き、第二研究室は指輪の研究、第三研究室は兵士強化の研究、第四研究室が空間の研究を更に進めているところです。
彼女たちのおかげで多くの情報を得ることができました。今後、魔獣や異空間、魔法など様々な事柄の研究成果を加速度的に出せるだろうと考えております」
陛下がその報告を聞いて機嫌が良さげに頷いている。
「ということは、異世界はここより文明が進んでいるのだろうか?」
「同じような文化の水準だそうですが、ナーニョ嬢たちがいた世界では王族と庶民の二つに分かれるだけのようです。
貴族は少ないながらもいるという感じなのだそうです。この辺は彼女達の知識はないようで詳しくは分からなかったのですが、彼女達の食事の水準を考えると、我々貴族が食べている物が彼女達の世界では村の教会で出されていた食事と変わらない。
つまり食べるものが、村の孤児院にまで行き届いているような安定した世界なのだろうと考えております。
彼女達のいた世界は我々が住んでいる世界よりももっと安全な世界なのでしょう」
マートス長官はナーニョの話す姿を思い出しながら語った。
「魔法の研究はマートス長官に引き続き研究してもらうが、教会としてはどのようなお考えなのでしょうか?」
「あぁ、彼女の治療魔法は本物だ。そしてナーニョ様は私に魔力があると仰った。もっと詳しく話を聞きたいと思う。教会側としては彼女たちを聖女とし、人々の心の安寧に寄与していただきたい」
グリークス神官長の言葉に食いついたのはマートス長官だった。
「神官長、それは本当ですか!? グリークス神官長に魔力が? ナーニョ嬢達は何と言っていたのでしょうか?」
「あぁ、ナーニョ様は私が無意識に魔力を身体強化するために使っているのではないかと仰っておりました。確かに大斧を扱える者は数少ない。戦っている間は武器の重さを感じなかったのはそのせいなのだと今なら納得できます」
「という事はこの世界にも魔法を使える者が存在するということですか?」
「大昔は落ち人の中には魔法使いがいたのだ。子孫がいてもおかしくはないだろう」
マートス長官は人間の中にも魔力を持つ者がいると知り、身を乗り出して聞いてきた。
その様子に陛下は当たり前だというような感じで話をする。
「では国内で魔法を使う事のできる人間を探し出す事が急務となりますね。グリークス神官長はどこの出身なのでしょうか? 出身地周辺の人間から探しましょう」
「マートス長官、すまない。私は孤児なのだ。物心ついたときから王都の孤児院にいた。両親がどこの出身かが分からない。
当時、孤児院に居た時に神父が言っていたのが、旅の格好をした母親が私を孤児院に置いていったようだ。傷だらけだったと言っていた。命が尽きる前に私を神父に託して母は何処かへ向かったと。それ以上は分からない」
グリークス神官長の言葉に皆一瞬がっかりしたようだが、まだ望みは断たれていない。
「ではやはり地道に探していくしかなさそうですね。だが、そうなると魔法使いを見分けるのはナーニョ嬢のみとなります。ローニャ嬢はまだ幼い。彼女を連れて国内を歩くのは危険が伴うのではないでしょうか?」
宰相はナーニョ達の今後に話を切り替えた。
「まず、治療した騎士達の中に魔法が使える者はいるのだろうか? 騎士達も様々な地域から来ているはずだ」
陛下の言葉にザイオン医務官が口を開いた。
「確かにお二人を危険な場所に連れ歩くより、まず近場で魔力がある者がどれだけいるのか調べた方が良いですね」
確かにそうだと全員が頷いている。
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