まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

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36 王宮での話し合い2

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「ナーニョ様が怪我を治した騎士達の中にグリークス神官長の言うような話はなかったです。お二人にはもう一度確認した方がよいと思います」

ザイオン医務官はそう話をし、宰相が次にどうするかを聞いてきた。

「見つけた後はどうしますか。グリークス神官長は指輪を使って治療ができるようになるのでしょうか」

「ナーニョ様の話では使えないことはない。練習が必要だが、私のように身体強化に魔法を使っている場合、使い方が独特なのか治療のような魔法の使い方をするのは苦手な者が多いと言っていた。

もし、治療魔法が使えるのなら苦手だとのんきに言っている場合ではないのは承知している。私はこの歳になって魔法を修行するかもしれないと思うだけでワクワクしているのだ」

笑顔のグリークス神官長に理解を示しながらマートス長官が意見する。

「人間は獣人と違って指輪を使わずに魔法が使えると言っていたが、ナーニョ嬢達は体内から魔法を出しやすくするための道具として指輪を使っている。

私たちは『魔法が使える』かも分らない状況です。グリークス神官長、まず彼女達の使っている指輪を使ってみるのはどうでしょうか? 言葉を発するだけですから」

「ナーニョ様達から指輪を借りるのですか?」

宰相の問いにマートス長官は首を振る。

「いえ、今第二研究室が指輪の研究を行っています。先日指輪の試作品をいくつか作ったのです。その中で一つだけ『ヒエストロ』の魔法に合った指輪がありました。何度か試作を重ねて指輪が完成したらグリークス神官長にもお渡ししましょう」

「一人でも治療できる者が増えればそれだけで救われる者が増えるな」

陛下はそう言いながら安堵し、椅子に背をもたげた。

「そうですね。ナーニョ嬢たちの解説を聞きながら作り上げた本には異次元の空間が開く前に唱えて予防する浄化魔法や魔獣達からの攻撃を防ぐための結界魔法、異次元の空間を閉じる魔法が存在すると聞いた。

エサイアス様から王都の街に異次元の空間ができかけていたらしく、ローニャ嬢が浄化魔法で防いだとの報告もある」

宰相は髭を撫でながら陛下の言葉にうなずいた。

「我々も研究を急ぎ行う必要がありますね。未来は明るい。だが課題も多い。彼女達はまだ成人ではないのが痛いところです。特にローニャ嬢は十一歳だと言っていたが、まだ身体は三~四歳程度の大きさです。

連れ去られる危険も多く、魔力もまだ安定していないのだとか。王宮や教会で彼女達を守る必要があります」

マートス長官の言葉に皆が頷いている。

もしものことを危惧しているのだ。

「ザイオン医務官、ナーニョは『自分は聖女ではない』と言っていたな。妹を必死に守ろうとする姿も健気だ。やはり儂の養女として迎えるのが一番ではないか?息子たちも彼女たちなら大手を振って賛成するはずだ」

「陛下、ナーニョ様もローニャ様も素直で騎士達に優しく、人によって態度を変えることもありませんでした。特にナーニョ様が治療した騎士たちは彼女を崇めるほどです。彼女たちが否定しても周りが聖女と称えるのは時間の問題でしょう」

「私もザイオン医務官に同意します。私も彼女の治療を見学させてもらいましたが、騎士たちが信奉する気持ちも納得できます。

彼女はとても素晴らしい治療者だと思います。ただ、私たちが今一番必要な魔法が回復魔法なので彼女達の活躍は限定されていますが、本によれば魔法により土を豊かにし、水や植物も操ることができる。

大地を潤す存在にもなりえ、攻撃魔法を使い、魔獣を討伐できる存在です。我々としても二人に尽力していただきたい。

彼女たちの扱いは聖女という枠に限定するのではなく、慎重にするべきものだと思います」

ザイオン医務官の言葉に補足するようにマートス長官が話をした。

「そうだな」
「では、今後の彼女達はどこに所属する形を取りますか?」
宰相の言葉にグリークス神官長はすぐに反応した。
「是非、教会で彼女たちを預からせていただきたい」

「いや、儂の養女として彼女達の将来を支えるのが一番だろう。幸いにして彼女たちは女だ。将来子を産み育てることが可能だ。聖女として祭り上げてしまえば婚姻できず生涯子を産むことはない。子ができれば魔法を使える可能性も否定できないだろう? 今は無理せず、将来を見据え王女として嫁ぐことができるようにすべきだ」

陛下の言葉にグリークス神官長はグッと言葉を詰まらせる。

宰相達も陛下の言葉に納得する。

彼女達が持つ魔法が固有のものであれば聖女として祭り上げ守る方が良いが、魔法を使える子ができるかもしれないのであれば増やす方向で考えていくべきだろう。

だからといって誰彼構わずに子を産ませるほど非人道的な行為をすることはできない。何せ国王が一目見ただけでも気に入ってしまうほどの可愛い二人だ。陛下も二人には激甘だ。

陛下がそこいらの貴族にナーニョとローニャを嫁がせるわけがない。結局、ナーニョ達の今後を考え、養女として城に住むことに決まった。

「では彼女達は陛下の養女となり当面、研究室は研究を急ぎ、彼女達には騎士達の怪我の治療をしながら魔法が使える者を探してもらう事で良いですか?」

宰相が最後に確認するように話をしているとグリークス神官長は焦ったように手を出し、進行を止めた。

「ちょっと待ってくれ! 治療を望む者は多い。週一回でも良いから教会の方で治療する事は出来ないだろうか?王都には様々な人が集まるから魔法が使える人間も探しやすくなるでしょう?」

「まぁ、教会に協力しないわけではないからな。その辺は彼女達に無理をしないのであれば儂が許可しよう。お前達も反対はないか?」
「「もちろんありません」」
「では今回の話し合いはこの辺で。英雄エサイアスにも連絡をしておきます」

そうして宰相の言葉で話し合いは終了した。
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