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41 金の指輪
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「まず、今まで怪我をした騎士達の中に魔力を持つ者はいましたか?」
「いいえ、いなかったです」
「ローニャもいなかったよー」
私たちの言葉に、彼は考え込むように目を動かし小さく頷いている。
「魔力を持つ者と持たない者はどうやって見分けているのですか?」
「感覚的なものです。私たち獣人は皆、大小の違いはあれど、魔力を持っています。治癒魔法を流すと魔力は相手の身体に流れ始めるんです。
魔力が多いほど、相手の体内に流れる際の抵抗が大きくなります。ただ、これは元気な相手に限りますが。
流す相手との魔力の相性や瀕死の重症者、魔力が少ない方は魔力の抵抗なく治療ができます。私が感じたこちらの世界の人々は魔力が無く、砂に水を掛けるように魔力が流れていくと言えば分かりやすいでしょうか。
抵抗が全くないのです。グリークス神官長に回復魔法を掛けた時、微弱ながら抵抗がみられたので魔力があるのだと思いました」
「ローニャも、お姉ちゃんが言ったみたいな感じだよ」
「魔力の抵抗があると治療は出来ないのでしょうか?」
「いえ、相手の持っている魔力の形に合わせて行います。古傷など治療する時はそうしています。ただ、私の感覚でそう思っているだけかもしれません」
「お姉ちゃんそうなの? だから治療が上手なんだ。私は全体をぐるぐるって包む感じで魔力を出していたから細かなところが上手く出来ていなかったんだ。聞いて良かった!」
ローニャの話を聞いて私も納得する。
やはり感覚は人によって違うため治療にも効果の違いが出るのはそのせいなのだろうと。
「なるほど。魔力を持っている人間はかなり少ないのかもしれませんね。で、本題なのですが、魔力を持っている私も治療魔法を使いたいと思っています。教えていただいても構いませんか?」
「もちろんかまわないです。あれですよね? この間、研究所の人が作った試作品の指輪が必要なのですよね?」
神官長が侍女に話していたのは指輪の事だった。
侍女はタイミング良く指輪の入った小さなケースをテーブルの上に置いてケースを開けた。
先日私が触って確認していた指輪がそこにはあった。
「どの指輪が良さそうですか?」
正直なところ不安しかない。
私たちの感覚は純粋な人間とは違うのかもしれないと。でも、魔力を持っている以上やる価値はある。
ナーニョは自分が一番使いやすかった指輪をケースから取り出してグリークス神官長に差し出した。
「これは私が一番使いやすいと思った指輪です。この金色の指輪は上位魔法を使うのに適している感じですが、最初に魔力を外に出す練習としてこれは良いのかもしれません」
「……なるほど。これを嵌めて『ヒエロス』と唱えれば良いのでしょうか?」
「はい」
グリークス神官長は最初に使いやすかった指輪をつけて近くに居た神官を呼び、神官に手を当てて魔法を唱えた。
……が、光らない。
何度か試してみるが変わらない。金で出来た指輪に替えて唱えてみる。
が、やはり何も起こらない。
神官長は何かを思案するようにゆっくりと「ヒエロス」と唱えた。
何か感触があったようだ。グリークス神官長が一瞬光ったように見えた。
「あっ! 光った! 光ったよ」
ローニャは驚いてピンと尻尾を立てて目を丸くしている。
「!!! 一瞬ですが、光りましたね!」
「私も見えた~! 凄いね。私が神父様から指輪を貰った時はこんなにすぐに魔法が使えなかったよ?」
「ローニャ様、そうなのですか?」
「うん。最初は魔力が分からなくって指輪が使えなかったんだ。ずっと嵌めて力を入れてみたり、念じてみたり色々したよ。それである瞬間に上手く出来てあ、これだ! って思ったの。そこからは早かったかな」
私は指輪を貰ってすぐに魔法が使えたため何も考えていなかったけれど、ローニャは苦戦していたことを思い出した。
今は魔法が使えるためすっかり忘れていたけれど、そういえば何度も練習をしていたわ。
「金色の指輪で魔法が使えたのならその指輪で練習を重ねていったほうが良さそうですね。指輪を変えて何か感じが変わったのですか?」
「いえ、最初は変わらなかったのですが、戦っている時の力の入れ方を思い出しながら唱えてみたんです。そうしたら出来たんです!」
グリークス神官長は興奮しながら話をしている。
指輪を元のものと比べてみたが、やはり金の指輪をはめていると魔力が動いているのを感じやすいのだとか。
自分にとって使いやすい物が一番だろう。
彼は話をしながら何度も魔法を使おうと神官に向けてヒエロスを唱えていた。
「グリークス神官長、そんなに魔法を使って大丈夫ですか?」
「……どういう事でしょうか?」
「魔法は底をつくと倒れてしまう人もいるらしいのです。私たちは魔力が底をつけばお腹が減り、補うために食事を摂っています」
「ローニャも指輪が使えるようになった時に楽しくって畑の野菜を全部実らせて怒られちゃったことあるんだ」
「ローニャ、あれは成長させたから怒られたんじゃないでしょう? お腹が減りすぎて動けなくなったから心配して怒ったのよ?」
「へへっ。そうだったね。あの時はいっぱいお野菜を持って帰ってすぐ食べなさいっておじいちゃんたちは言ってたね」
ローニャはグリークス神官長に魔法の使い過ぎは危ないのだと自分の失敗例を挙げて教えようとしているのね。
ローニャが笑顔で話すのを聞いてグリークス神官長もフッと力が抜けたようで笑顔になった。
「……なるほど。今は何ともありませんが気を付けます。あと、私がもう少し魔法を使えるようになったら魔力を持つ人間を見つける事は可能でしょうか?」
「もちろん可能だと思います」
「いいえ、いなかったです」
「ローニャもいなかったよー」
私たちの言葉に、彼は考え込むように目を動かし小さく頷いている。
「魔力を持つ者と持たない者はどうやって見分けているのですか?」
「感覚的なものです。私たち獣人は皆、大小の違いはあれど、魔力を持っています。治癒魔法を流すと魔力は相手の身体に流れ始めるんです。
魔力が多いほど、相手の体内に流れる際の抵抗が大きくなります。ただ、これは元気な相手に限りますが。
流す相手との魔力の相性や瀕死の重症者、魔力が少ない方は魔力の抵抗なく治療ができます。私が感じたこちらの世界の人々は魔力が無く、砂に水を掛けるように魔力が流れていくと言えば分かりやすいでしょうか。
抵抗が全くないのです。グリークス神官長に回復魔法を掛けた時、微弱ながら抵抗がみられたので魔力があるのだと思いました」
「ローニャも、お姉ちゃんが言ったみたいな感じだよ」
「魔力の抵抗があると治療は出来ないのでしょうか?」
「いえ、相手の持っている魔力の形に合わせて行います。古傷など治療する時はそうしています。ただ、私の感覚でそう思っているだけかもしれません」
「お姉ちゃんそうなの? だから治療が上手なんだ。私は全体をぐるぐるって包む感じで魔力を出していたから細かなところが上手く出来ていなかったんだ。聞いて良かった!」
ローニャの話を聞いて私も納得する。
やはり感覚は人によって違うため治療にも効果の違いが出るのはそのせいなのだろうと。
「なるほど。魔力を持っている人間はかなり少ないのかもしれませんね。で、本題なのですが、魔力を持っている私も治療魔法を使いたいと思っています。教えていただいても構いませんか?」
「もちろんかまわないです。あれですよね? この間、研究所の人が作った試作品の指輪が必要なのですよね?」
神官長が侍女に話していたのは指輪の事だった。
侍女はタイミング良く指輪の入った小さなケースをテーブルの上に置いてケースを開けた。
先日私が触って確認していた指輪がそこにはあった。
「どの指輪が良さそうですか?」
正直なところ不安しかない。
私たちの感覚は純粋な人間とは違うのかもしれないと。でも、魔力を持っている以上やる価値はある。
ナーニョは自分が一番使いやすかった指輪をケースから取り出してグリークス神官長に差し出した。
「これは私が一番使いやすいと思った指輪です。この金色の指輪は上位魔法を使うのに適している感じですが、最初に魔力を外に出す練習としてこれは良いのかもしれません」
「……なるほど。これを嵌めて『ヒエロス』と唱えれば良いのでしょうか?」
「はい」
グリークス神官長は最初に使いやすかった指輪をつけて近くに居た神官を呼び、神官に手を当てて魔法を唱えた。
……が、光らない。
何度か試してみるが変わらない。金で出来た指輪に替えて唱えてみる。
が、やはり何も起こらない。
神官長は何かを思案するようにゆっくりと「ヒエロス」と唱えた。
何か感触があったようだ。グリークス神官長が一瞬光ったように見えた。
「あっ! 光った! 光ったよ」
ローニャは驚いてピンと尻尾を立てて目を丸くしている。
「!!! 一瞬ですが、光りましたね!」
「私も見えた~! 凄いね。私が神父様から指輪を貰った時はこんなにすぐに魔法が使えなかったよ?」
「ローニャ様、そうなのですか?」
「うん。最初は魔力が分からなくって指輪が使えなかったんだ。ずっと嵌めて力を入れてみたり、念じてみたり色々したよ。それである瞬間に上手く出来てあ、これだ! って思ったの。そこからは早かったかな」
私は指輪を貰ってすぐに魔法が使えたため何も考えていなかったけれど、ローニャは苦戦していたことを思い出した。
今は魔法が使えるためすっかり忘れていたけれど、そういえば何度も練習をしていたわ。
「金色の指輪で魔法が使えたのならその指輪で練習を重ねていったほうが良さそうですね。指輪を変えて何か感じが変わったのですか?」
「いえ、最初は変わらなかったのですが、戦っている時の力の入れ方を思い出しながら唱えてみたんです。そうしたら出来たんです!」
グリークス神官長は興奮しながら話をしている。
指輪を元のものと比べてみたが、やはり金の指輪をはめていると魔力が動いているのを感じやすいのだとか。
自分にとって使いやすい物が一番だろう。
彼は話をしながら何度も魔法を使おうと神官に向けてヒエロスを唱えていた。
「グリークス神官長、そんなに魔法を使って大丈夫ですか?」
「……どういう事でしょうか?」
「魔法は底をつくと倒れてしまう人もいるらしいのです。私たちは魔力が底をつけばお腹が減り、補うために食事を摂っています」
「ローニャも指輪が使えるようになった時に楽しくって畑の野菜を全部実らせて怒られちゃったことあるんだ」
「ローニャ、あれは成長させたから怒られたんじゃないでしょう? お腹が減りすぎて動けなくなったから心配して怒ったのよ?」
「へへっ。そうだったね。あの時はいっぱいお野菜を持って帰ってすぐ食べなさいっておじいちゃんたちは言ってたね」
ローニャはグリークス神官長に魔法の使い過ぎは危ないのだと自分の失敗例を挙げて教えようとしているのね。
ローニャが笑顔で話すのを聞いてグリークス神官長もフッと力が抜けたようで笑顔になった。
「……なるほど。今は何ともありませんが気を付けます。あと、私がもう少し魔法を使えるようになったら魔力を持つ人間を見つける事は可能でしょうか?」
「もちろん可能だと思います」
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