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57 巡視?
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「ローニャ、心配かけてごめんね。もう大丈夫よ」
「良かった! ローニャ、いっぱいお姉ちゃんに甘えてばかりだったの。ごめんなさい。今日だってお姉ちゃんは辛かったはずなのに兄様のために治療してくれたんだもん」
「そんなことないわ。ローニャのおかげでゆっくり考えることができたんだもの。そうだ、ケイルート兄様のお見舞いにいきましょう?」
「そうね! 兄様元気になったとはいえ、まだ静養中だもんね」
ローニャは侍女に頼み、兄のお見舞いへ行きたいと伝えた。その間に私は部屋着を着替えて待った。
「いつでも部屋に来てよいそうです」
「わかった。お姉ちゃん、行こう」
二人で仲良くケイルート兄様の部屋へと向かった。
「兄様! きたよ!」
「おーローニャ。待ってた」
ケイルート兄様はベッドに寝かされ、ローニャの声に気づいて起き上がった。
「ケイルート兄様、怪我の具合は大丈夫ですか?」
「あぁ、ナーニョのおかげでこの通り。すっかり元気だ。でも寝ておけってみんなが五月蠅いからな」
「良かったっ! ローニャのせいで死んじゃうかと思ったの。ごめんね、兄様」
「大丈夫、俺は死なない。むしろローニャも大変だっただろう? かなりの怪我人を治したと聞いたぞ?」
「うん! お姉ちゃんみたいに身体が大きくなってきたから魔力が安定したんだと思う。でもまだまだ魔力は増えそうな気がするの」
「それは凄いな。ナーニョも大丈夫か? こんなにやせ細って」
「兄様、心配かけてごめんなさい。もう大丈夫です。それにしても、兄様、怪我人がいつもより多いと聞きました。何かあったのですか?」
「ああ、いつもならエサイアスの団を中心に王都近くに出る魔獣を討伐していたんだが、生憎とエサイアスは別に討伐に出ていた所、強い魔獣が出たんだ。他の団はちょっとシめなおさないとな。エサイアスに頼りきりなのもあと少しだからな」
「あと少しってなぁに?」
ローニャがベッドに腰かけ、足をバタバタさせながらケイルート兄様に聞いている。
すっかり大人になったローニャだが、幼いころの動きがまだ抜けていないようだ。
「ローニャ、はしたないわ」
「はあい」
私が窘めると、ローニャはえへへと笑った。
「最近はナーニョとローニャのおかげで騎士たちはすぐに戦闘に復帰している。そのため王都周辺の魔獣はかなり倒すことができているんだ。だが、地方はまだまだ手が届いていないのが実情だ。定期的に国は騎士たちを国中に巡視させているんだ。今回はエサイアスが率いる第十二団に任せることになった」
「今までの巡視ってどうだったの? 私たちはいなかったんだから怪我人も多かったんじゃない?」
「あぁ。王都に戻ってくる前に全滅した団もある。正直言って厳しい。今回も厳しいだろう」
兄のいる第一騎士団はエリート集団で人数は三十人位の規模だけれど、第二団から徐々に人数が増え第二十五団は千人近くいたはず。
千人近くが巡視で命を落としていた……。
その事実を知って私もローニャも言葉に詰まった。
魔獣の脅威と戦うためにエサイアス様は死を覚悟して巡視するということだ。
ケイルート兄様が怪我して死にかけたが魔法で助けることができた。エサイアス様が怪我をするかもしれない、死ぬかもしれない。
またあの思いをするの?
私は、何もできないの?
自分の魔法で彼を助けることができる。でも、何かあった時、ローニャを残すことになる。
私はどうすればいいんだろう。
「すまんすまん。暗い話をしてしまったな。ナーニョもローニャも心配するな。そういえば長官が新しい指輪がそろそろできると言ってたぞ?」
兄様は私たちの表情を見て話題を変えた。
「本当? 楽しみ! 明日第二研究所に行って聞いてみる」
第二研究所はずっと指輪を研究していて私たちが持っていた魔法の教科書を元に少しずつ使える指輪を増やしてくれている。もちろん研究所に任せっきりという訳ではない。
私たちも部屋に戻ってからこっそりと自分達でも何があってもいいように魔法の詠唱を全て覚えるよう勉強しているのだ。
あの教科書には詠唱する言葉が書かれてあった。きっと魔法使いならみんな覚えていたはずだ。
ある日の夜、金属のペーパーナイフを持って何気なく魔法を使ってみたのだ。それは伝言鳥を飛ばすという簡単な魔法。『ローニャ、声が聞こえるかしら?』と親指サイズの小さな鳥に覚えさせて飛ばす。
隣の部屋にいたローニャにはしっかりと届いたようで同じように小さな鳥がすぐに返ってきた。これは誰にも話をしていない二人だけの秘密。
そしてこの魔法を使う事で気づいたこともあった。
別の指輪をしていても問題なく魔法が使えたことだ。指に複数の指輪を付けると混乱して上手く発動できない時があるけれど、指輪を付けた状態でペーパーナイフや別の装飾品など魔力をどの部分から使用するのかしっかりと意識を変えるだけで使えるようだ。
器用な人は指にいくつもの指輪をつけていても問題なく魔法は使えるのだろう。
私は第二研究室にお願いを出していたことを思い出した。
「良かった! ローニャ、いっぱいお姉ちゃんに甘えてばかりだったの。ごめんなさい。今日だってお姉ちゃんは辛かったはずなのに兄様のために治療してくれたんだもん」
「そんなことないわ。ローニャのおかげでゆっくり考えることができたんだもの。そうだ、ケイルート兄様のお見舞いにいきましょう?」
「そうね! 兄様元気になったとはいえ、まだ静養中だもんね」
ローニャは侍女に頼み、兄のお見舞いへ行きたいと伝えた。その間に私は部屋着を着替えて待った。
「いつでも部屋に来てよいそうです」
「わかった。お姉ちゃん、行こう」
二人で仲良くケイルート兄様の部屋へと向かった。
「兄様! きたよ!」
「おーローニャ。待ってた」
ケイルート兄様はベッドに寝かされ、ローニャの声に気づいて起き上がった。
「ケイルート兄様、怪我の具合は大丈夫ですか?」
「あぁ、ナーニョのおかげでこの通り。すっかり元気だ。でも寝ておけってみんなが五月蠅いからな」
「良かったっ! ローニャのせいで死んじゃうかと思ったの。ごめんね、兄様」
「大丈夫、俺は死なない。むしろローニャも大変だっただろう? かなりの怪我人を治したと聞いたぞ?」
「うん! お姉ちゃんみたいに身体が大きくなってきたから魔力が安定したんだと思う。でもまだまだ魔力は増えそうな気がするの」
「それは凄いな。ナーニョも大丈夫か? こんなにやせ細って」
「兄様、心配かけてごめんなさい。もう大丈夫です。それにしても、兄様、怪我人がいつもより多いと聞きました。何かあったのですか?」
「ああ、いつもならエサイアスの団を中心に王都近くに出る魔獣を討伐していたんだが、生憎とエサイアスは別に討伐に出ていた所、強い魔獣が出たんだ。他の団はちょっとシめなおさないとな。エサイアスに頼りきりなのもあと少しだからな」
「あと少しってなぁに?」
ローニャがベッドに腰かけ、足をバタバタさせながらケイルート兄様に聞いている。
すっかり大人になったローニャだが、幼いころの動きがまだ抜けていないようだ。
「ローニャ、はしたないわ」
「はあい」
私が窘めると、ローニャはえへへと笑った。
「最近はナーニョとローニャのおかげで騎士たちはすぐに戦闘に復帰している。そのため王都周辺の魔獣はかなり倒すことができているんだ。だが、地方はまだまだ手が届いていないのが実情だ。定期的に国は騎士たちを国中に巡視させているんだ。今回はエサイアスが率いる第十二団に任せることになった」
「今までの巡視ってどうだったの? 私たちはいなかったんだから怪我人も多かったんじゃない?」
「あぁ。王都に戻ってくる前に全滅した団もある。正直言って厳しい。今回も厳しいだろう」
兄のいる第一騎士団はエリート集団で人数は三十人位の規模だけれど、第二団から徐々に人数が増え第二十五団は千人近くいたはず。
千人近くが巡視で命を落としていた……。
その事実を知って私もローニャも言葉に詰まった。
魔獣の脅威と戦うためにエサイアス様は死を覚悟して巡視するということだ。
ケイルート兄様が怪我して死にかけたが魔法で助けることができた。エサイアス様が怪我をするかもしれない、死ぬかもしれない。
またあの思いをするの?
私は、何もできないの?
自分の魔法で彼を助けることができる。でも、何かあった時、ローニャを残すことになる。
私はどうすればいいんだろう。
「すまんすまん。暗い話をしてしまったな。ナーニョもローニャも心配するな。そういえば長官が新しい指輪がそろそろできると言ってたぞ?」
兄様は私たちの表情を見て話題を変えた。
「本当? 楽しみ! 明日第二研究所に行って聞いてみる」
第二研究所はずっと指輪を研究していて私たちが持っていた魔法の教科書を元に少しずつ使える指輪を増やしてくれている。もちろん研究所に任せっきりという訳ではない。
私たちも部屋に戻ってからこっそりと自分達でも何があってもいいように魔法の詠唱を全て覚えるよう勉強しているのだ。
あの教科書には詠唱する言葉が書かれてあった。きっと魔法使いならみんな覚えていたはずだ。
ある日の夜、金属のペーパーナイフを持って何気なく魔法を使ってみたのだ。それは伝言鳥を飛ばすという簡単な魔法。『ローニャ、声が聞こえるかしら?』と親指サイズの小さな鳥に覚えさせて飛ばす。
隣の部屋にいたローニャにはしっかりと届いたようで同じように小さな鳥がすぐに返ってきた。これは誰にも話をしていない二人だけの秘密。
そしてこの魔法を使う事で気づいたこともあった。
別の指輪をしていても問題なく魔法が使えたことだ。指に複数の指輪を付けると混乱して上手く発動できない時があるけれど、指輪を付けた状態でペーパーナイフや別の装飾品など魔力をどの部分から使用するのかしっかりと意識を変えるだけで使えるようだ。
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