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64 フォード伯爵
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「ナーニョ様、お待たせしました。お食事をお持ちいたしました」
私は眠い目を擦りつつ、扉を開けて神官たちを部屋に入れた。
「先ほどはすぐに戻ってごめんなさい。本当なら怪我人の状態を確認しなければいけないのですが、旅の疲れもあって……」
「いえいえ、こちらの方こそ無理をさせて申し訳ありません」
修道女はテーブルの上に食事を置いていく。
「怪我人の方はどうですか? 魔法が効かなかった方はいましたか?」
「いえ、みなさん怪我が治りほとんどの者が喜んで家に戻りました。重傷者もかなりよくなり、何もしなくても二、三か月で自宅に戻れると思います」
「それは良かった。街の人たちの治療についてなのですが、エサイアス様と滞在中の話し合いができればいいと思っております」
「先ほどエサイアス様から知らせがありました。この後、滞在計画を領主と話をするそうなので私たちも参加したほうが良さそうですね」
「そうでしたか。私も急いで食事を済ませますね」
私は用意された質素な食事を食べ始めた。
この街の木は実を付ける物が多いようで食事にもふんだんに取り入れられていた。食事をしている間に魔力もかなり回復し、ホッとする。
その後、神官と一緒に駐屯地に向かった。
「ナーニョ様! 言ってくれれば迎えに行ったのに」
「エサイアス様、私こそ領主との話し合いに立ち合いたいとわがままを言ってしまったのですから」
エサイアス様は笑顔で手を差し出した。
「では一緒に参りましょうか」
「はい」
私はエサイアス様の手の温もりを感じながら馬車までエスコートされ、神殿の馬車に乗り、領主の邸へと向かう。
カラカラと馬車の軽快に道を進む音を耳にしながら神官に聞いてみた。
「神官、ここの領主はどのような方なのですか?」
「領主のケインズ・ソール・フォード伯爵はとても物静かで芸術を好む方ですね。ただ、魔獣が出た時は自ら先陣に立ち、民を守る素晴らしい人です。
領主の鏡と言っても過言ではありません。近年、魔獣との怪我で子息も大怪我を負い、自らも足を失われてからはあまり邸から出てこないです」
神官は沈痛な面持ちでそう話す。
神官の様子から見てフォード伯爵はみんなに慕われていたのだろう。
子息はどのような怪我だったのだろうか。
その事に触れても大丈夫だろうか。
不安になりながらも私たちは領主の邸へと到着した。
「王宮騎士団のエサイアス様ですね。お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」
私たちは執事の案内で応接室に案内された。すぐに領主のフォード伯爵がやってきた。
彼の身体は大きく、ケイルート兄様のような雰囲気の持ち主だ。優しい顔つきで心地良い感じがする。
そう思ったのは私だけかもしれないが。そして目についたのは彼の右の足が膝上から無い。
普段は義足で生活しているのだろう。
「初めまして。王宮騎士団第十二団騎士団団長エサイアス・ローズルード・シルドアと申します。今回の巡視の責任者を務めております。そして横にいらっしゃるのがナーニョ・ヘルノルド・アローゼン王女です」
「ナーニョ・ヘルノルド・アローゼンです。今回の巡視を受け入れて下さりありがとうございます。巡視に同行するにあたり怪我の治療を担当しております。よろしくお願いいたします」
「!?」
フォード伯爵はぎょっとしたように動きを止め、私を見て驚いている。
まぁそうだろう。
人間の頭には無い物が付いているのだ。それなのにアローゼンと名乗っている。
「貴女様が噂の王女様ですか。先ほどから騒がしかったのもそのせいか」
「ケインズ様、ナーニョ様が怪我人を治療して下さったのです!」
「そう、でしたか。ありがとうございます。あの、その耳と尻尾は本物なのでしょうか?」
伯爵は耳と尻尾をちらりと見て聞いてきた。私としては慣れた質問だ。
「えぇ、私は落ち人です。猫種の獣人です。つい最近、養女となりました。私は騎士団と共に行動し、魔法で怪我を治療したり、戦闘に参加したりする予定です」
私は笑顔でそう言うと、隣にいたエサイアス様が驚き、視線を送ってきた。
彼は私を戦闘に参加させる気は微塵も考えていなかったようだ。
あくまで後ろで控えて怪我人の治療に当たる事を考えていたのだと思う。
「勇ましい王女様ですね。私としては巡視を歓迎しています。どうか滞在中、なんなりとお申し付け下さい」
私たちは軽く挨拶を済ませた。もちろん私の滞在が神殿になることも話はしている。
そして大まかな巡視の日程をエサイアス様と話をしていた。
二週間程度の滞在で魔獣の出没具合により滞在期間の切り上げや延長もあるようだ。そして私は毎日エサイアス様に同行する。
街に戻ってからは魔力が無くなるまで怪我人の治療に当たることも話をした。
その話を聞いた神官はとても興奮し、先ほどの怪我人の治療の様子を伯爵に熱く語った。
彼はフムフムと興味深そうに神官様の話を聞いていた。
「あ、あのっ。フォード伯爵、右足が義足だとお見受けします。先ほど怪我人を治療したのでどこまで魔力が持つかわかりませんが、治療しても宜しいですか?」
「……それは、本当ですか? 良いのですか?」
「えぇ、もちろんです。お隣に移動しても?」
「!! お、お願いします」
私は眠い目を擦りつつ、扉を開けて神官たちを部屋に入れた。
「先ほどはすぐに戻ってごめんなさい。本当なら怪我人の状態を確認しなければいけないのですが、旅の疲れもあって……」
「いえいえ、こちらの方こそ無理をさせて申し訳ありません」
修道女はテーブルの上に食事を置いていく。
「怪我人の方はどうですか? 魔法が効かなかった方はいましたか?」
「いえ、みなさん怪我が治りほとんどの者が喜んで家に戻りました。重傷者もかなりよくなり、何もしなくても二、三か月で自宅に戻れると思います」
「それは良かった。街の人たちの治療についてなのですが、エサイアス様と滞在中の話し合いができればいいと思っております」
「先ほどエサイアス様から知らせがありました。この後、滞在計画を領主と話をするそうなので私たちも参加したほうが良さそうですね」
「そうでしたか。私も急いで食事を済ませますね」
私は用意された質素な食事を食べ始めた。
この街の木は実を付ける物が多いようで食事にもふんだんに取り入れられていた。食事をしている間に魔力もかなり回復し、ホッとする。
その後、神官と一緒に駐屯地に向かった。
「ナーニョ様! 言ってくれれば迎えに行ったのに」
「エサイアス様、私こそ領主との話し合いに立ち合いたいとわがままを言ってしまったのですから」
エサイアス様は笑顔で手を差し出した。
「では一緒に参りましょうか」
「はい」
私はエサイアス様の手の温もりを感じながら馬車までエスコートされ、神殿の馬車に乗り、領主の邸へと向かう。
カラカラと馬車の軽快に道を進む音を耳にしながら神官に聞いてみた。
「神官、ここの領主はどのような方なのですか?」
「領主のケインズ・ソール・フォード伯爵はとても物静かで芸術を好む方ですね。ただ、魔獣が出た時は自ら先陣に立ち、民を守る素晴らしい人です。
領主の鏡と言っても過言ではありません。近年、魔獣との怪我で子息も大怪我を負い、自らも足を失われてからはあまり邸から出てこないです」
神官は沈痛な面持ちでそう話す。
神官の様子から見てフォード伯爵はみんなに慕われていたのだろう。
子息はどのような怪我だったのだろうか。
その事に触れても大丈夫だろうか。
不安になりながらも私たちは領主の邸へと到着した。
「王宮騎士団のエサイアス様ですね。お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」
私たちは執事の案内で応接室に案内された。すぐに領主のフォード伯爵がやってきた。
彼の身体は大きく、ケイルート兄様のような雰囲気の持ち主だ。優しい顔つきで心地良い感じがする。
そう思ったのは私だけかもしれないが。そして目についたのは彼の右の足が膝上から無い。
普段は義足で生活しているのだろう。
「初めまして。王宮騎士団第十二団騎士団団長エサイアス・ローズルード・シルドアと申します。今回の巡視の責任者を務めております。そして横にいらっしゃるのがナーニョ・ヘルノルド・アローゼン王女です」
「ナーニョ・ヘルノルド・アローゼンです。今回の巡視を受け入れて下さりありがとうございます。巡視に同行するにあたり怪我の治療を担当しております。よろしくお願いいたします」
「!?」
フォード伯爵はぎょっとしたように動きを止め、私を見て驚いている。
まぁそうだろう。
人間の頭には無い物が付いているのだ。それなのにアローゼンと名乗っている。
「貴女様が噂の王女様ですか。先ほどから騒がしかったのもそのせいか」
「ケインズ様、ナーニョ様が怪我人を治療して下さったのです!」
「そう、でしたか。ありがとうございます。あの、その耳と尻尾は本物なのでしょうか?」
伯爵は耳と尻尾をちらりと見て聞いてきた。私としては慣れた質問だ。
「えぇ、私は落ち人です。猫種の獣人です。つい最近、養女となりました。私は騎士団と共に行動し、魔法で怪我を治療したり、戦闘に参加したりする予定です」
私は笑顔でそう言うと、隣にいたエサイアス様が驚き、視線を送ってきた。
彼は私を戦闘に参加させる気は微塵も考えていなかったようだ。
あくまで後ろで控えて怪我人の治療に当たる事を考えていたのだと思う。
「勇ましい王女様ですね。私としては巡視を歓迎しています。どうか滞在中、なんなりとお申し付け下さい」
私たちは軽く挨拶を済ませた。もちろん私の滞在が神殿になることも話はしている。
そして大まかな巡視の日程をエサイアス様と話をしていた。
二週間程度の滞在で魔獣の出没具合により滞在期間の切り上げや延長もあるようだ。そして私は毎日エサイアス様に同行する。
街に戻ってからは魔力が無くなるまで怪我人の治療に当たることも話をした。
その話を聞いた神官はとても興奮し、先ほどの怪我人の治療の様子を伯爵に熱く語った。
彼はフムフムと興味深そうに神官様の話を聞いていた。
「あ、あのっ。フォード伯爵、右足が義足だとお見受けします。先ほど怪我人を治療したのでどこまで魔力が持つかわかりませんが、治療しても宜しいですか?」
「……それは、本当ですか? 良いのですか?」
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「!! お、お願いします」
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