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83 魔獣の肉
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「ナーニョ様、大丈夫ですか?」
待機していた護衛は部屋を出るとすぐに小袋を渡してくれる。袋を受け取ってすぐに口に放り込んだ。
今回用意してくれていたのはドライフルーツだった。甘くて疲れも吹き飛びそうだ。
「部屋に軽食を用意しています」
「ありがとう。もうお腹がぺこぺこなの。すぐにいただくわ」
話の途中で退席するのは悪いなと思いながらも人前でボリボリ食べるのもどうかと思う。
これは毎回何とかならないものかと思うけれど、どうにもできないのが残念で仕方がない。
治療した彼らにとって急に出て行ってしまった私のイメージは悪くなっているのではないだろうか。
気になるけれど仕方がない。急ぎ足で部屋に戻り、テーブルに置かれた軽食を手に取りそのまま口に流し込む。
「ふぅ、落ち着いたわ。ごめんなさい。いつも余裕が無くて」
「ナーニョ様、大丈夫です。相当の魔力を消費するのですから仕方がありません。治療してもらって誰も責めはしません。責める人がいたなら私がナーニョ様の代わりに文句を言ったやつらを元に戻してみせます」
先ほどのザレンさんなら腕がまた無くなるということ。冗談だと思うけれど、一生懸命に私をフォローしてくれる護衛騎士の方々には本当に救われている。
「いつもありがとう。そう言ってくれるだけで救われた気持ちになります」
私は感謝を素直に口にすると護衛騎士たちは笑顔で応えた。軽食を摂ってしばらくすると空腹も落ち着いてきた。
「魔力も落ち着いてきたので先ほどの部屋に戻りましょうか」
私は護衛騎士たちと元の部屋へ戻った。先ほど治療した二人は既に帰宅し、部屋にはワット神官と商会長の二人が残って話をしていたようだ。
「先ほどは途中で退席してしまってすみません」
「ナーニョ様、体調はもう大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、大分落ち着きました。彼らの方はどうでしたか? 痛がる様子はありましたか?」
「いえ、痛がるようなそぶりはなかったですね。自分の手がまた使えるようになって興奮して痛みが分からない可能性はありますが」
ガハハと笑いながら商会長は笑顔で話をする。
「後日また痛みが出るようなら教えて下さい」
「わかりました」
「それにしても魔法は凄いですね。私も足がこの通りすっかり治り、今すぐにでも小躍りしたくなるほどですよ」
「ワット神官は痛みが出なかったですか?」
「ええ、全くありません。痛みが出る人もいるのでしょうか?」
「稀に私の魔力が合わないというのでしょうか、魔法に抵抗力があるのか分かりませんが、治療した後に僅かに体内に魔力が残る場合があるようです。数日で魔力は無くなるのですが、その間はピリピリと痛むみたいです」
「そうなのですね。たとえ痛みがあったとしても再び元の生活に戻れるのであれば数日の痛みなど気になりません」
「そうですよ。先ほどの二人は夢を諦めなければいけなかったんです。ナーニョ様に治していただいて泣いていたでしょう? 彼らのような手足のない者はたくさんおります。ナーニョ様は我らの希望です」
「ナーニョ様、明日も二人ほど連れてきますがよろしいでしょうか」
「ええ、もちろん構いません。魔力が底を突くと一旦退室して休憩しなければいけませんが……」
「もちろん我々は構いません! 不躾なことを聞きますが、魔力が底を突くとどうなるのでしょうか」
商会長は心配そうに私に聞いてきた。特に隠す事はしていないのでそのまま話をする。
「魔力を持っている人たちは魔力が底を突くと倒れたりする人もいます。私の場合は、お腹が減るのです」
「……お腹が減る、のですか……?」
「ええ、途轍もなくお腹が減って、減りすぎて倒れてしまうのです」
「なんと……そうだったのですか」
「先ほども空腹で倒れそうになり、余裕なく退室してしまいました。いつもはこうして護衛騎士たちに小袋を用意してもらっていて、すぐに口に入れるようにしているのです」
そう言いながら小袋を見せた。商会長は小袋をジッと見つめている。
「あの、その小袋の中身は何が入っているのでしょうか?」
「これですか? 中身は木の実やドライフルーツが入っています。護衛騎士たちが私のためにいつも中の品を選んでくれています」
「ナーニョ様、その小袋の中身や治療時の食べ物をこちらで用意させていただきたい」
突然の商会長の申し出にどうすれば良いのか分からずに護衛騎士に視線を向けると、近くにいた騎士が私の代わりに答えた。
「商会長の申し出は大変に有難いことです。ですが、王女様は現在騎士団の巡視に同行している身であり、食事のことは騎士団団長のエサイアス様を通していただけると助かります」
「分かりました。この後、駐屯所にお伺いをたてておきます」
商会長は護衛騎士の言葉にうなずき、笑顔で話した。この巡視にかかる費用は各領主が負担している。主に駐屯所の管理や滞在にかかる食事などだ。
私は王族なので別の場所に宿泊しているのと、護衛騎士の給料は王家から支払われている。とは言っても、ほとんど神殿に泊っているのでグリークス神官長のおかげで宿泊費はほぼタダだと聞いた。
何から何まで本当に有難いことだ。
「ナーニョ様、好き嫌いや食べたいものはありますか?」
ワット神官が心配そうに聞いてきた。
「特に好き嫌いはありません。食べたいものは、魔獣の肉、かな。王都には無かったのでどんな味なのか食べてみたいです」
神官は驚いたようだ。ワット神官の代わりに商会長が答える。
「魔獣の肉は年々食べる者が増えているのですが、まだ珍味という類いですがね。食べやすい物を選んで今度お持ちします」
「本当ですか!? 無理を言ってすみません」
ワット神官と商会長を交えた雑談を少しした後、明日に備えて部屋で休むことにした。
待機していた護衛は部屋を出るとすぐに小袋を渡してくれる。袋を受け取ってすぐに口に放り込んだ。
今回用意してくれていたのはドライフルーツだった。甘くて疲れも吹き飛びそうだ。
「部屋に軽食を用意しています」
「ありがとう。もうお腹がぺこぺこなの。すぐにいただくわ」
話の途中で退席するのは悪いなと思いながらも人前でボリボリ食べるのもどうかと思う。
これは毎回何とかならないものかと思うけれど、どうにもできないのが残念で仕方がない。
治療した彼らにとって急に出て行ってしまった私のイメージは悪くなっているのではないだろうか。
気になるけれど仕方がない。急ぎ足で部屋に戻り、テーブルに置かれた軽食を手に取りそのまま口に流し込む。
「ふぅ、落ち着いたわ。ごめんなさい。いつも余裕が無くて」
「ナーニョ様、大丈夫です。相当の魔力を消費するのですから仕方がありません。治療してもらって誰も責めはしません。責める人がいたなら私がナーニョ様の代わりに文句を言ったやつらを元に戻してみせます」
先ほどのザレンさんなら腕がまた無くなるということ。冗談だと思うけれど、一生懸命に私をフォローしてくれる護衛騎士の方々には本当に救われている。
「いつもありがとう。そう言ってくれるだけで救われた気持ちになります」
私は感謝を素直に口にすると護衛騎士たちは笑顔で応えた。軽食を摂ってしばらくすると空腹も落ち着いてきた。
「魔力も落ち着いてきたので先ほどの部屋に戻りましょうか」
私は護衛騎士たちと元の部屋へ戻った。先ほど治療した二人は既に帰宅し、部屋にはワット神官と商会長の二人が残って話をしていたようだ。
「先ほどは途中で退席してしまってすみません」
「ナーニョ様、体調はもう大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、大分落ち着きました。彼らの方はどうでしたか? 痛がる様子はありましたか?」
「いえ、痛がるようなそぶりはなかったですね。自分の手がまた使えるようになって興奮して痛みが分からない可能性はありますが」
ガハハと笑いながら商会長は笑顔で話をする。
「後日また痛みが出るようなら教えて下さい」
「わかりました」
「それにしても魔法は凄いですね。私も足がこの通りすっかり治り、今すぐにでも小躍りしたくなるほどですよ」
「ワット神官は痛みが出なかったですか?」
「ええ、全くありません。痛みが出る人もいるのでしょうか?」
「稀に私の魔力が合わないというのでしょうか、魔法に抵抗力があるのか分かりませんが、治療した後に僅かに体内に魔力が残る場合があるようです。数日で魔力は無くなるのですが、その間はピリピリと痛むみたいです」
「そうなのですね。たとえ痛みがあったとしても再び元の生活に戻れるのであれば数日の痛みなど気になりません」
「そうですよ。先ほどの二人は夢を諦めなければいけなかったんです。ナーニョ様に治していただいて泣いていたでしょう? 彼らのような手足のない者はたくさんおります。ナーニョ様は我らの希望です」
「ナーニョ様、明日も二人ほど連れてきますがよろしいでしょうか」
「ええ、もちろん構いません。魔力が底を突くと一旦退室して休憩しなければいけませんが……」
「もちろん我々は構いません! 不躾なことを聞きますが、魔力が底を突くとどうなるのでしょうか」
商会長は心配そうに私に聞いてきた。特に隠す事はしていないのでそのまま話をする。
「魔力を持っている人たちは魔力が底を突くと倒れたりする人もいます。私の場合は、お腹が減るのです」
「……お腹が減る、のですか……?」
「ええ、途轍もなくお腹が減って、減りすぎて倒れてしまうのです」
「なんと……そうだったのですか」
「先ほども空腹で倒れそうになり、余裕なく退室してしまいました。いつもはこうして護衛騎士たちに小袋を用意してもらっていて、すぐに口に入れるようにしているのです」
そう言いながら小袋を見せた。商会長は小袋をジッと見つめている。
「あの、その小袋の中身は何が入っているのでしょうか?」
「これですか? 中身は木の実やドライフルーツが入っています。護衛騎士たちが私のためにいつも中の品を選んでくれています」
「ナーニョ様、その小袋の中身や治療時の食べ物をこちらで用意させていただきたい」
突然の商会長の申し出にどうすれば良いのか分からずに護衛騎士に視線を向けると、近くにいた騎士が私の代わりに答えた。
「商会長の申し出は大変に有難いことです。ですが、王女様は現在騎士団の巡視に同行している身であり、食事のことは騎士団団長のエサイアス様を通していただけると助かります」
「分かりました。この後、駐屯所にお伺いをたてておきます」
商会長は護衛騎士の言葉にうなずき、笑顔で話した。この巡視にかかる費用は各領主が負担している。主に駐屯所の管理や滞在にかかる食事などだ。
私は王族なので別の場所に宿泊しているのと、護衛騎士の給料は王家から支払われている。とは言っても、ほとんど神殿に泊っているのでグリークス神官長のおかげで宿泊費はほぼタダだと聞いた。
何から何まで本当に有難いことだ。
「ナーニョ様、好き嫌いや食べたいものはありますか?」
ワット神官が心配そうに聞いてきた。
「特に好き嫌いはありません。食べたいものは、魔獣の肉、かな。王都には無かったのでどんな味なのか食べてみたいです」
神官は驚いたようだ。ワット神官の代わりに商会長が答える。
「魔獣の肉は年々食べる者が増えているのですが、まだ珍味という類いですがね。食べやすい物を選んで今度お持ちします」
「本当ですか!? 無理を言ってすみません」
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