まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

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84 びりびりに驚く

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 翌日、いつものように巡視に出掛けた。私が部屋に戻るとすぐに商会長はエサイアス様のところへ行き、私の食事について話をしたようだ。

 エサイアス様は『申し出はありがたく受け取ることにした』と言っていたので早ければ今日の午後からの治療で食事が出るらしい。私は少し浮かれながら時間を過ごしている。

 初めて食べる魔獣の肉はどんな味がするのだろう?
 やはり癖の強い味?
 それともファラナ牛のように美味しいのかな?

 浮かれた気分に尻尾が動き、他の人にクスリと笑われてしまったわ。

「エサイアス様、騎士団の皆様、今日もお疲れ様でした」

 私は解散の合図と共に軽く皆に魔法を掛けてから神殿へと向かった。

 今日も魔獣専門店の人は買い取りをし、騎士たちはホクホク顔で街に繰り出すと言っていた。

「ワット神官、今日もよろしくお願いします」
「ナーニョ様、よろしくお願いします」

 商会長は今回仕事で参加できなかったようだ。代わりに二人の怪我人が昨日と同じように席に座っていた。

「ナーニョ様、商会長から預かっております」

 怪我人の一人が小さな巾着袋を片手で差し出してくれた。今日治療する怪我人二人は、腕や指、足を欠損しているようだ。私はお礼を言って小袋を受け取った。

「では治療を始めますね」

 そう言ってから私は一人の肩に手を置いて治療をはじめる。手と足の指を失っているのと、腹部が抉られているようだ。私はよく生きていたなと内心驚いた。

 淡い光はゆっくりと欠損している箇所を再生していった。昨日と同じように怪我人は生えてくる自分の指をみつめ、声が出ない様子だ。

「治療が終わりました。指や足はすぐに再生できましたが、腹部はかなり損傷が酷かったようですね。二、三日安静にして様子を見てくださいね。では次の方の治療に入ります」
「よろしくお願いします!!」

 彼は右腕の肘から下がなかった。いつものように身体に魔力を通すと、背中に大きな傷跡があった。傷の影響で立つことができないかもしれない。

 私は魔力の出力を上げて一気に治療していった。

「……治療が終わりました。立つことができますか?」

 私はそう声を掛けながら先ほどもらった巾着に手を伸ばし、中身を口にする。

 どうやら商会長は魔獣の肉を塩漬けにして干したものを用意してくれたようだ。パクリと口に入れた途端、身体中にビリビリと刺激が走った。

「!!!」

 驚きのあまり小袋を手から落としてしまい、慌てて拾った。

 怪我人は私のことを気にする余裕もなく、再生された手を握りしめ、そっと立ち上がった。

「立てるぞ! 力が入る!! ありがとうございます!!」
「二人とも治って良かったです。商会長に、『小袋の中身、とても嬉しかったです。明日も同じものをいただけると嬉しいです』とお伝え下さい。神父様、申し訳ありません。部屋に戻ります」
「ナーニョ様、顔色が優れない。すぐに修道女が向かわせますので部屋にお戻り下さい」

 私はもらった小袋を握りしめて軽く頭を下げた後、護衛騎士に支えられるように部屋を出た。

「ナーニョ様、大丈夫でしょうか?」
「……えぇ。大丈夫。いつもの小袋はありますか?」
「お口に合いませんでしたか?」
「味、は……少し癖がありましたが、この魔獣肉は……魔力を帯びているようなのです」

 騎士は私の言葉に驚きながらいつもの小袋を渡す。私は勢いよく小袋を開けて口に流し込んだ。
 ほっと一息ついた頃に部屋に着いた。

「上手く説明できないのだけれど、この魔獣の肉は魔力が少し残っていて食べるとほんの少しだけど魔獣の魔力を取り込む感じ、かな? でも自分たちの持つ魔力と少し違うみたいで変換するのにビリビリして、木の実よりかは早くに魔力が回復しています」
「それは大発見ですね!」
「一口食べた時はとても驚きました。これはローニャに送ろうと思って取っておいたんです」

「そうだったんですね。軽食後に魔獣専門店へ向かいますか?」
「いいですか? いくつか買って研究所に送った方がいいですよね」

「その方が良いと思いますね。あと、魔獣専門店が肉を卸している店があったはず。夕食はそこで食べてみますか?」
「是非、お願いします」

 木の実を食べ終えてお茶を飲んでいると修道女が軽食を持ってきてくれた。

 夕食は外で食べてくることを告げると笑顔でいってらっしゃいと返ってきたわ。

 素早く軽食を摂った後、私と護衛騎士三人と一緒に魔獣専門店へ行き、品物を見ていく。

 専門店というだけあって、毛皮や骨、牙や肉を加工したものが所狭しと置かれ、売られている。

 店の裏では騎士団が狩った魔獣を処理仕切れず数人がかりで肉や皮の処理をしているようだ。
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