まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

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108 待ち望んだ指輪

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 ノーヨゥルの街の人たちや周辺の村の人たちは魔法が少し使えると自覚していたみたいだけれど、この街の人たちは全く自覚がないようで魔法を使うということは全く無かったようだ。

 魔法を使っていないのにもかかわらずこの魔力量だとすれば、凄い。

 幼いころから訓練していけば私やローニャと変わらない人も出てくるのかもしれないわ。私は今日の結果を巡視から返ってきた騎士団に定期便を届ける時にエサイアス様に報告した。

「エサイアス様、今日は商業ブロックAを測定したのですが、ノーヨゥルの街の人たちに比べて少し高めに出ました。期待ができそうです」
「そうなんだ。良かった。ちょっとホッとしたよ。商業ブロックの人たちなら魔法が商業に転用できるようになると大喜びするんじゃないかな?」
「そうですね。各都市への物流が大きく変化しそうな気がしますね」

 どこの街も街人同士協力して生きているため保守的になりやすいのは分かる。けれど、商人に魔力が多ければきっと儲けるために他の街との交流が盛んになるのではないかと思う。

 魔法を使えば魔獣からの被害もないからだ。

 そしてこの街は工業の街。他の街へ輸出する側なのでとても喜ばれるはずだ。きっと魔法を学びたいと思う人も多いのではないかと思う。

 少し希望を持ちながらこの日は早々に床に就いた。


 翌日は街の人たちの怪我を治療した後、昨日と同じように魔力測定をしていく。

 翌日は畑に魔法を掛け、三日後には井戸に魔法を掛けてから魔力測定をした。最初は魔力測定に困惑していた街の人たちも先に測定が終わった人たちから話を聞いて興味を持ちはじめたみたいだった。

 みんなの協力でかなり早いペースで測定が進んでいる。

 そんな中、私宛に小さな小包が送られてきた。私はそっと小包を開けると、大きくかなり緻密な装飾がされてある指輪だった。

 ……グリスコヒュールの指輪。

 初めて見る形状の指輪。

 研究者の人たちが何度も何度も作り試弾して完成させた物だ。指輪の存在を知ってからもう三年近く経っている。この指輪は異界を閉じる特別な指輪。

 ローニャが試弾して確かめたのだろうか。

 異次元の空間が研究所に開いているわけではないので効果は確認できない。私もぶっつけ本番でこの指輪を使うには怖さを感じる。

 けれど、この指輪はこの世界の安寧をもたらすもの。とても大事な指輪。

 私はそっと指輪をネックレスに付けていつでも使えるようにする。この街に来てから空間が開いたという話は聞いていない。

 次の異次元の空間が開くまでに指輪ができて良かった。私はすぐにエサイアス様の下へ行き、指輪を見せた。

「ナーニョ様、それは……?」
「えぇ、エサイアス様も見たことのない指輪ですよね? これが、私たちの求めていた異次元の空間を閉じることのできる指輪、グリスコヒュールの指輪です」
「!!! ……そうなんだね。ついに、ついに完成したんだ」
「えぇ。ようやく完成したようです」

 エサイアス様も感慨深げに指輪を眺めている。

「これから俺たちの未来は明るい魔獣に怯えずに過ごすことができるのか……」
「問題は次の空間が何処にできるか、ですね」
「あぁ。街道近くで見つけやすいといいな」
「そうですね」

 すぐにこのことを隊長たちに告げ、そこから騎士たちに伝わった。騎士たちは本当に、心の底から喜んでいた。

 今まで魔獣のために何人、何百人、何千人と命を落としてきたのだ。その脅威が格段に減る。そして魔法を使える人を見つけ出したこと。

 歴史がガラリと変わろうとしている。
 興奮せずにはいられない。


 急遽明日を休日にしてエサイアス様をはじめ、他の人たちはこのまま街に祝杯を上げに行くことになった。

 私はローニャから連絡があるので少しだけ顔を出してすぐに戻ったわ。

 護衛たちに飲みに行くように勧めたけれど、ローテーションで休みの日に飲み明かしますのでと断られてしまった。

 きっとみんな祝いたいはずよね。私は心の中で謝っておく。

『お姉ちゃん、指輪は届いた?』
『えぇ! もちろんよ。ようやく完成したのね。凄いわ』
『どんな形にするのかかなり悩んで何度も形を変えたんだよ! それ、私のデザインで作ったものなの!』

 ……私は驚いた。
 妹は本当に凄い。

 私を追い越して手の届かない先に軽々と行ってしまったのだと。
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