まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

文字の大きさ
109 / 125

109 ローニャの研究と騎士の怪我

しおりを挟む
『流石ローニャね。凄いとしか言いようがないわ。自慢の妹ね』
『お姉ちゃんに褒めてもらえるのが一番嬉しいっ! でも、お姉ちゃんの協力がなければできなかった指輪なの』
『そうなの?』

『だって、この指輪。よく見て? いつもの金属に加えて魔獣の小さな玉も散らばっているでしょう? 玉や素材が使えると知らなかったら成功しなかったの。
 この極小の玉は王都周辺の小さな魔獣を何十匹も狩って集めて作ったんだよ! これにも時間が掛かったんだよね』
『ローニャが狩ったの?』

『そうだよ! もちろん騎士団に付いていって一緒に狩って玉の有無を調べたりしたよ』
『とても大変だったんじゃない?凄いわ』
『もっと褒めて~! あ、そうだ。この指輪ね、試弾してみたんだけど、空間が無いから効果は分からなかったんだよね。でも爆発したりしないから大丈夫だよ』

『そうよね。分かった。こっちで確認してみるわ』
『あと、ガーナントの街の報告書をマートス長官と読んだよ! 研究員の人たちが俄然張り切っちゃって昼夜問わずに魔法の教科書を作ったり、指輪や指導の仕方を一つずつ本にしたりしているの』

『教科書があれば教えやすいものね。カシュール君たちはどう?』
『カシュール君の封印を来月にも解くって話になってるみたい。お父様とグリークス神官長が話し合ってたわ。

 フェゼットさんは順調に魔法の知識が付いてきた感じなんだ。今は、指輪で少しずつ魔法の練習をしているけれど、ヒエロスを使いこなすには至ってないかな。

 でもファール(手紙)やファッジ(小包)の魔法は少しずつ使えるようになったよ。練習していけば重たい物も送れるようになりそう。フェゼットさんは魔力循環が上手くないから魔法が途切れちゃうんだよね。

 まだ指輪無しでは小さな火や水しか出せないのもそれが関係してそうだってマートス長官は言ってたよ』

『そっか。カシュール君、グリークス神官長の下で頑張ってるんだね』
『うん! そうそう、ガーナントの街の人たちはどういう感じ?』

『それがノーヨゥルの街の人たちは多少使える自覚はあったでしょう? ガーナントの街の人たちは今まで自覚したことは一度もないみたい。

 自分に魔力があると聞いて驚く人ばっかりだったわ。でもね、全然魔法を使っていないのにノーヨゥルの街の人たちより魔力がありそうなんだ。

 ここの街の人たちは保守的だけど、商業地区の人たちは商売上有益な話だし喜んで覚えてくれそうな気がするわ』
『そっか。これからが楽しみだね』
『えぇ、そうね』

 久々にローニャと長く話をしたわ。そこから約一週間は巡視も魔力量の調査も問題なく進めることができたの。

 けれど、恐れていたことが起こった。


「エサイアス様、お帰りなさい。……その傷。すぐに治療しますね」
「あぁ。頼む。他の騎士たちも怪我人が多く出ている。すまないが治療をすぐにして欲しい」

 ここ最近、怪我することが無かったのに。

 嫌な予感がしてバクバクと心臓が鳴っているのが分かる。

 エサイアス様の治療を終えた後、騎士たちを見るとどの人も負傷しているように見える。

「みなさん、すぐに治療しますね」

 私はすぐに範囲魔法のヒエストロを唱えた。重傷者はいないようだが、支えられている人は何人かいた。

 数回掛けてようやく軽傷者はいなくなり、中傷の人は軽傷までになっている。あとはヒエロスで一人ずつ回復させていった。

「ナーニョ様、ありがとうございます。あの場にナーニョ様がいなくて良かった」

 騎士たちは口々にそう言っている。

 私も危険な目に遭っていたかもしれない?
 いや、きっと私がいた方が彼らの助けになったはずだ。

 彼らはそう言っていたけれど、付いて行かなかった私は非常に後悔した。そして言葉に詰まりながら最悪の事を口にする。

「……もし、かして、空間が開いた、のですか?」

 騎士たちの顔色は暗く反応は良くない。やはり異次元の空間が開いたのだろう。

「……あぁ。ナーニョ様のいう通りだと思う。だが、まだ空間の場所は特定できていないんだ」
「……そうなのですね。これからどうするのですか?」
「すぐにオリヒスに連絡を取り、街の人たちの避難を開始する。巡視の騎士団だけでは足りない。ナーニョ様は公爵へ連絡を。あと、王宮にも異次元の空間が開いたと知らせて欲しい」
「分かりました。すぐに知らせます」

 私はエサイアス様の言葉を聞いて怖かった。

 今までとは違う緊張感。

 けれど、今、私ができる事をすぐにしなければならない。緊急の呼び出しに伝言魔法を使い、ローニャに連絡を取る。

『ローニャ!! 至急返事して!! 緊急事態発生』

 するとすぐにローニャから返事が返ってきた。

『お姉ちゃんっ。どうしたの? 緊急事態って?』
『異次元の空間が開いたみたい。まだ場所が特定できていないわ。すぐにお父様に伝えて欲しいの』
『わかった。今すぐお父様たちに知らせるわ!!』

 私は公爵の所へすぐに手紙を書いて王女の印を押した手紙を小包魔法で送った。

 緊急用として王国から数字の書いてある魔法円が各街に配布されたのだ。

 巡視を行っていない地域にどれだけ行き渡っているかはわからないけれど、公爵のいる領地は今まで魔獣に対処できていたのだし、問題なく設置されているはずだ。

 この小包用の魔法円は届くと音がなるようになっている。

 そうして公爵には空間が開いて魔獣が出てきている事を知らせた。向こうから連絡を取る手段がまだないのがもどかしい。

 確か、今日の巡視は南側の街道を外れた場所で行っていたはず。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

底無しポーターは端倪すべからざる

さいわ りゅう
ファンタジー
運び屋(ポーター)のルカ・ブライオンは、冒険者パーティーを追放された。ーーが、正直痛くも痒くもなかった。何故なら仕方なく同行していただけだから。 ルカの魔法適正は、運び屋(ポーター)に適した収納系魔法のみ。 攻撃系魔法の適正は皆無だけれど、なんなら独りで魔窟(ダンジョン)にだって潜れる、ちょっと底無しで少し底知れない運び屋(ポーター)。 そんなルカの日常と、ときどき魔窟(ダンジョン)と周囲の人達のお話。 ※タグの「恋愛要素あり」は年の差恋愛です。 ※ごくまれに残酷描写を含みます。 ※【小説家になろう】様にも掲載しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?

咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。 ※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。 ※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。 ※騎士の上位が聖騎士という設定です。 ※下品かも知れません。 ※甘々(当社比) ※ご都合展開あり。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

処理中です...