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110 結界の設置
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「エサイアス様、連絡を送れる所は送りました」
「こちらも街の住人たちの移動をどうするか今急いで話し合っている。騎士団で相当魔獣を倒してきたから街に魔獣がくるまでかなり時間が稼げたと思う。だけど、一刻の猶予も無いことは確かだ」
そう話していた瞬間。私の目の前に様々な物資がドサリと届けられた。どうやら王宮からの支援物資のようだ。
『お姉ちゃんっ! 物資は届いた?』
『えぇ! たくさんありがとう。すぐに騎士たちに持たせるわ』
『あのね! 中にある大きな魔獣の牙があるでしょう? それを使って街全体を囲うように挿していって! 後は分かるよね? 街の中央に牙を挿して魔力を流すの。
急いで。試作品なんだけど、街に魔獣が入らないように結界を張るの。お姉ちゃんが魔法で張って、街の誰かが指輪を通して牙に触っていなくちゃいけないんだけどね』
この言葉を聞いたエサイアス様やオリヒスさんが驚いている。
「……あの、触るだけでいいのでしょうか?」
「多分ですが、魔力をかなり吸い取られるでしょうから何人も交代して結界を維持する事になるとは思います」
「自分たちの街を守るのであればそれくらい構いません! すぐに広場に住人を呼び集めます!!」
オリヒスさんは叫ぶように走っていった。
エサイアス様は騎士たちに指示を出した。騎士たちは四十本以上の魔獣の牙を持ち、手分けをして挿していく。
そして私も一番大きな牙を持ち、街の中心に移動する。
焦ってはだめ。
私が成功させないと。
大丈夫。
ローニャや王宮の人たちが頑張って作ってくれたんだもの。
自分を言い聞かせるように街の中心に立ち牙をぐっと地面に挿す。
……が、地面が固く上手く挿せない。
「ナーニョ様、俺が変わります」
エサイアス様が牙を持ち地面に思い切り打ち込んだ。かなり大きな牙。もしも抜けてはいけないと集まってきた住人は手ごろな石を持ち寄り牙が動かないように固定してくれている。みんな魔獣が来るかもしれない焦りもある。
上手くいかなかったらすぐに避難するしかない。騎士たちの帰りを待っている間、オリヒスさんが集まってきた住人に大声で説明をしていく。
今から街全体に結界を張ること、失敗したらそのまま北の方へ避難することなど。住人たちから不安や恐怖の色が見えている。
騎士たちが続々と戻ってくる。
「三十二番! ただいま戻りました」
「よし、これで全員戻ったな! 一同、備えよ」
エサイアス様の命令に騎士たちは頷いた。
私は牙に触れながら範囲結界であるヒュールトーロを唱えた。私の魔力は腕輪を通し、指輪を通って半球の結界が広がっていく。
牙には魔獣の玉もいくつか付いてある。
きっとこれらが力を増幅させているのだろう。それでも街全体を覆う魔力は相当量必要とする。
街を覆う程の結界。
ジリジリと広がっていくのが分かる。五分ほどしただろうか。体感時間はもっと長いような気もしたが、なんとか牙に全ての結界が辿り着いた。
そこから牙が支え合い結界が安定してきた。後は結界の維持分だけ魔力を注げばいい。
これなら街の人たちでも充分だろう。
「結界が無事に張れました。後は少しの魔力を使って維持していくだけです」
私の言葉にわぁぁと歓声が上がった。
オリヒスさんの指示の下、住人たちは一人ずつ並んでいく。残念ながら魔力がないと言われた人たちは見守るしかできないが、彼らは彼らで椅子を用意したり、担架を準備したりしている。
最初の一人が牙に触り、私と交代する。指輪が無いと最初は難しいのでは? と思っていたけれど、人間である彼らは本来指輪が無くても魔法が使える。
今回は牙に触ると魔力を吸い取られる形で問題なく結界を維持できることが分かった。
「おぉぉ。このじわじわと少しずつ吸われているのが魔力なんですね!!! 魔力を感じる! 凄いぞっ」
「体調に変化が出てきたらすぐに次の人と交代して下さいね」
「分かりました!」
住人の数からすれば結界はこれで問題ないだろう。ここからは私たちと騎士で魔獣を倒しながら空間の場所を探していかなければならない。
「ナーニョ様、少し休もう。魔力もかなり消費しているよね?」
「でも、私が動かないと」
「大丈夫。心配ない。待っているから。その間、魔獣の倒し方の情報共有や準備を整える時間だ」
「分かりました」
私は護衛騎士と共に一旦邸に戻り、食事を摂ることにした。どうやらその間にエサイアス様の下に王宮から対魔獣用の武器や装備が送られていたようだ。
こちらの方もかなり研究が進み、以前とは比べ物にならないほど使いやすく、効果が大きくなっている物が殆どだった。
『お姉ちゃん、半日後には魔力が戻りそう?』
『多分戻るわ。半日後だったら明日の早朝よね?』
『うん。その辺りなら私も魔力が回復するから魔法円を描いていてあると助かる』
『魔法円? 誰か来るの?』
『うん。お父様の指示で第十二騎士団だけだと人数が足りないから他の騎士たちも送ることになったの』
『本当!? すぐにエサイアス様に伝えてくるわ』
『うん! 私も参加したいって言ったけど、止められて行けそうにないの。お姉ちゃんの側にいたいのに』
『大丈夫よ! ローニャは最後の希望なのよ? 絶対に私はやり遂げて見せるわ。そこでお父様と一緒にいてちょうだい』
『……分かった。お姉ちゃん、ちゃんと戻って来てね』
『えぇ、必ず』
私たちはそこで会話を止めた。少しでも魔力を満タンにできるよう食事を多く摂る。
食後にエサイアス様の下へ行き、先ほどの事を伝えた。
エサイアス様は隊長たちを呼び、会議を始める。
私は駐屯所に併設されてある訓練場の真ん中に魔法陣を描く。発動が難しいと何度も描いて練習していた魔法陣。今はもう懐かしいくらい。
パロ神父様、私、頑張ります。
「こちらも街の住人たちの移動をどうするか今急いで話し合っている。騎士団で相当魔獣を倒してきたから街に魔獣がくるまでかなり時間が稼げたと思う。だけど、一刻の猶予も無いことは確かだ」
そう話していた瞬間。私の目の前に様々な物資がドサリと届けられた。どうやら王宮からの支援物資のようだ。
『お姉ちゃんっ! 物資は届いた?』
『えぇ! たくさんありがとう。すぐに騎士たちに持たせるわ』
『あのね! 中にある大きな魔獣の牙があるでしょう? それを使って街全体を囲うように挿していって! 後は分かるよね? 街の中央に牙を挿して魔力を流すの。
急いで。試作品なんだけど、街に魔獣が入らないように結界を張るの。お姉ちゃんが魔法で張って、街の誰かが指輪を通して牙に触っていなくちゃいけないんだけどね』
この言葉を聞いたエサイアス様やオリヒスさんが驚いている。
「……あの、触るだけでいいのでしょうか?」
「多分ですが、魔力をかなり吸い取られるでしょうから何人も交代して結界を維持する事になるとは思います」
「自分たちの街を守るのであればそれくらい構いません! すぐに広場に住人を呼び集めます!!」
オリヒスさんは叫ぶように走っていった。
エサイアス様は騎士たちに指示を出した。騎士たちは四十本以上の魔獣の牙を持ち、手分けをして挿していく。
そして私も一番大きな牙を持ち、街の中心に移動する。
焦ってはだめ。
私が成功させないと。
大丈夫。
ローニャや王宮の人たちが頑張って作ってくれたんだもの。
自分を言い聞かせるように街の中心に立ち牙をぐっと地面に挿す。
……が、地面が固く上手く挿せない。
「ナーニョ様、俺が変わります」
エサイアス様が牙を持ち地面に思い切り打ち込んだ。かなり大きな牙。もしも抜けてはいけないと集まってきた住人は手ごろな石を持ち寄り牙が動かないように固定してくれている。みんな魔獣が来るかもしれない焦りもある。
上手くいかなかったらすぐに避難するしかない。騎士たちの帰りを待っている間、オリヒスさんが集まってきた住人に大声で説明をしていく。
今から街全体に結界を張ること、失敗したらそのまま北の方へ避難することなど。住人たちから不安や恐怖の色が見えている。
騎士たちが続々と戻ってくる。
「三十二番! ただいま戻りました」
「よし、これで全員戻ったな! 一同、備えよ」
エサイアス様の命令に騎士たちは頷いた。
私は牙に触れながら範囲結界であるヒュールトーロを唱えた。私の魔力は腕輪を通し、指輪を通って半球の結界が広がっていく。
牙には魔獣の玉もいくつか付いてある。
きっとこれらが力を増幅させているのだろう。それでも街全体を覆う魔力は相当量必要とする。
街を覆う程の結界。
ジリジリと広がっていくのが分かる。五分ほどしただろうか。体感時間はもっと長いような気もしたが、なんとか牙に全ての結界が辿り着いた。
そこから牙が支え合い結界が安定してきた。後は結界の維持分だけ魔力を注げばいい。
これなら街の人たちでも充分だろう。
「結界が無事に張れました。後は少しの魔力を使って維持していくだけです」
私の言葉にわぁぁと歓声が上がった。
オリヒスさんの指示の下、住人たちは一人ずつ並んでいく。残念ながら魔力がないと言われた人たちは見守るしかできないが、彼らは彼らで椅子を用意したり、担架を準備したりしている。
最初の一人が牙に触り、私と交代する。指輪が無いと最初は難しいのでは? と思っていたけれど、人間である彼らは本来指輪が無くても魔法が使える。
今回は牙に触ると魔力を吸い取られる形で問題なく結界を維持できることが分かった。
「おぉぉ。このじわじわと少しずつ吸われているのが魔力なんですね!!! 魔力を感じる! 凄いぞっ」
「体調に変化が出てきたらすぐに次の人と交代して下さいね」
「分かりました!」
住人の数からすれば結界はこれで問題ないだろう。ここからは私たちと騎士で魔獣を倒しながら空間の場所を探していかなければならない。
「ナーニョ様、少し休もう。魔力もかなり消費しているよね?」
「でも、私が動かないと」
「大丈夫。心配ない。待っているから。その間、魔獣の倒し方の情報共有や準備を整える時間だ」
「分かりました」
私は護衛騎士と共に一旦邸に戻り、食事を摂ることにした。どうやらその間にエサイアス様の下に王宮から対魔獣用の武器や装備が送られていたようだ。
こちらの方もかなり研究が進み、以前とは比べ物にならないほど使いやすく、効果が大きくなっている物が殆どだった。
『お姉ちゃん、半日後には魔力が戻りそう?』
『多分戻るわ。半日後だったら明日の早朝よね?』
『うん。その辺りなら私も魔力が回復するから魔法円を描いていてあると助かる』
『魔法円? 誰か来るの?』
『うん。お父様の指示で第十二騎士団だけだと人数が足りないから他の騎士たちも送ることになったの』
『本当!? すぐにエサイアス様に伝えてくるわ』
『うん! 私も参加したいって言ったけど、止められて行けそうにないの。お姉ちゃんの側にいたいのに』
『大丈夫よ! ローニャは最後の希望なのよ? 絶対に私はやり遂げて見せるわ。そこでお父様と一緒にいてちょうだい』
『……分かった。お姉ちゃん、ちゃんと戻って来てね』
『えぇ、必ず』
私たちはそこで会話を止めた。少しでも魔力を満タンにできるよう食事を多く摂る。
食後にエサイアス様の下へ行き、先ほどの事を伝えた。
エサイアス様は隊長たちを呼び、会議を始める。
私は駐屯所に併設されてある訓練場の真ん中に魔法陣を描く。発動が難しいと何度も描いて練習していた魔法陣。今はもう懐かしいくらい。
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