まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

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120 ナーニョのドレス

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 翌日は眠そうなローニャと食事をした後、ローニャと研究所に顔を出した。

「ナーニョ様、おはようございます。お久しぶりです。この度はおめでとうございます。今週の式典が楽しみですね」

 マートス長官はすぐに話しかけてきた。ゼロさんたちも一斉に頭を下げる。

「皆様、おはようございます。私一人ではなにもできなかった。エサイアス様や研究所の方々のおかげです」

 私は各部屋に挨拶をした後、騎士団にも顔を出した。いつも支えられているみんなにしっかりと挨拶する事は必要だと思ったからだ。

 騎士団の詰所には団長たちが笑顔で迎え入れてくれた。エサイアス様は邸で今週末の準備をしているらしく、今週は休みになったと言っていた。

 やはり異次元の空間が閉じた事で騎士団の人たちもどこかホッとしているようで穏やかな表情だ。第十二団の人たちも今週末まではお休みのようだ。久々の自分の家に戻ることができて大喜びに違いない。

 そして私は医務室にも足を運んだ。

「ザイオン医務官、エリオットさん、おはようございます」
「おぉぉ、これはナーニョ様。戻られたのですね」

 医務官は笑顔で迎え入れてくれた。ちょうど騎士の手当をしていたようだ。

「お仕事中にすみません」
「いやいや、仕事というほどの事ではないですよ。彼は打ち身で医務室に来ただけですから」

 と気軽そうに話をする。

 昨日のローニャの話では医務室に来るのは週二回、神殿にも週一回治療に訪れるだけのようだ。

 相変わらず怪我人はいるそうだが、ローニャが定期的に治療を続けているので医務室はそこまで忙しくはないようだ。

 何か仕事を取り上げてしまったようで申し訳なく思っていると、それは違うと言われ、むしろ感謝されてしまった。

 どうやらザイオン医務官もエリオット助手も騎士の訪問が減ったおかげで流行り病の研究に本格的に参加することになったようだ。

 今までは怪我人で手が回らずに薬剤官たちが病気の研究をしていたが、今はザイオン医務官も一緒に取り組むことができるようになって新薬の研究も目覚ましいと言っていた。

 ……魔獣による怪我人が減った事で全てが良い方向に向かっているといいな。

「ナーニョ様、お時間でございます」

 侍女の言葉で私はザイオン医務官とエリオット助手に挨拶をした後、王族専用のサロンに移動する。

 サロンでは既にいくつものドレスがトルソーに掛けられて準備されていた。

「お待たせしました」

 私は待っていた人たちに挨拶すると素早くドレスを何着も着ては脱いでを繰り返すことになった。

 ドレスって大変なのね。重いし、お腹は苦しいし、やはり好きになれない。
 わがままは言えないんだけれどね。

 侍女長がドレスを着た私を見て装飾品をどうするか商会の人たちと細かく打ち合わせをしている。

 ドレスも最終調整のようで腕のだぶつきや背中の余った部分を詰めるように指示をしている。全てが終わった頃にはもうぐったり、という言葉しか出てこなかった。

 人間世界の貴族令嬢はいつもこうしてドレスを選んでいるのか。私は生涯騎士服でいいやと思った。

 今日、父に直談判してみよう。

 食事前にローニャは研究所から帰ってきて今日の話をする。

 そして夕食時、意を決して父にもう、生涯騎士服でいたいと泣きついてみたが、みんなに笑われてしまった。

 確かに貴族令嬢は大変だろうなと理解はしてくれたみたいだけど、王女でいる限り公務はドレスを着る事もあるから諦めなさい、と。

 私の気持ちを表すように耳もへにゃりと垂れた。それを見たナーヴァル兄様は頭をワシャワシャと撫でる。

「ナーニョは神殿から聖女の祭事服をもらえばいいんじゃないか? あれならドレスより楽だぞ? あれを着ればドレスを着る機会なんて滅多にこないんじゃないか?」

「だが、ナーニョは魔法使いになりたいのだろう? 聖女になってしまうぞ?」
「……そうですね。悩ましいとは思いますが、諦めるしかないですね」

「なら、聖女っぽい服装を用意すればいいんじゃないかしら? ナーニョは明日、神殿に行くのでしょう? グリークス神官長に話をしておくといいわよ。神官長なら駄目って言わなそうよね」

 母はこれくらいは許されるわと笑っている。

 もし神殿から許可が降りれば王宮にいる間は騎士服か聖女っぽい服装でいられるわ。

 母の言葉に垂れた耳も復活する。

 ローニャは研究所の研究員の服だけど、たまに着るドレスはお姫様みたいで可愛いと喜んで着ているので問題はないようだ。
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