まさか猫種の私が聖女なんですか?

まるねこ

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119 子供たちの様子

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「ナーニョ様、今、彼らは文字の勉強中です」
「カシュール君はこの時間何をしているの?」

 部屋の外で待機していたカシュール君に案内されながら聞いてみた。

「私は魔法円の書き取りです。これがまた難しくて……」

 カシュール君はへにゃりと眉を下げている。

「それはそうよ? 私やローニャだって何年もかかったわ。毎日基本の円を描くの。私は八歳の時から練習していたわ。

 今でも練習を欠かさず行っている。大丈夫、カシュール君ならできるようになるわ。それにカシュール君は私たち獣人とは違って指輪を付けなくても魔法が使える。詠唱の言葉を覚えれば使えるの。それはとても素晴らしいことよ?」

「ナーニョ様は今もやっているんだ。私はまだまだ未熟で指輪がないと上手に魔法も使えないのです。ナーニョ様に追いつけるように頑張ります」

 カシュール君は私の言葉にフッと笑みを浮かべた。彼は彼なりに思い悩む事もたくさんあるのだろう。

 そして最近になって知ったのだけれど、私たち獣人は魔力が体外に出せないから指輪を使っている。

 グリークス神官長やカシュール君は人間なので指輪を使わなくても詠唱だけで魔法を使えることができるのに指輪を使っているのだ。

 指輪に魔力の意識を持っていきやすいというのが一番の理由だ。

 今まで自分に魔力があるという事を意識していなかった人たちにとって指輪を通して魔力が吸われる感覚が分かることで自分の魔力に気づき、魔力を循環させる練習に入ることができる。

 どうやらカシュール君の話では、使いたい魔法を想像してから魔力を動かすとイメージに似た魔法が使えるのだとか。

 本来の魔法は詠唱や指輪に固定されずに使える万能なものなのかもしれない。

 けれど、初心者には指輪を使うことで使う魔法のイメージを持ちやすくしている効果があるのだろう。

 そしてぼんやりとイメージするよりもしっかりとしたイメージを持つ事でより魔法の効果も大きく上がり、魔力消費もすくないのだとか。

 そのため指輪を使う方がいいのだと判断し、グリークス神官長は今も指輪をしている。

「ナーニョ様!!」

 ノーヨゥルの街で連れてきた子供たちは私に気づき立ち上がった。どの子も一生懸命に文字を練習しているようだった。

「みんな元気そうで良かったわ。不自由な事はないかな?」

「神殿の人たちは優しいし、しっかりとご飯が食べられるし、勉強は難しいけれど、魔法が使えると思うと楽しくて仕方がないです。それに文字の勉強ができるから嬉しい。

 上手く魔法が使えなくても文字を覚えるだけで将来仕事もたくさんあるからね! でも僕は将来魔法使いになって街と王都を人が行き来できるようにしたいんだ!」

 俺も、私もと皆が話をしてくれる。

「こら! お前たちうるさいぞ。ナーニョ様が見てくれているんだ。しっかり良いところを見せろ」

「えーっ。カシュール様はさっきまでナーニョ様と話をしていたんでしょう? それにローニャ様と毎回王宮でいっぱい勉強しているんだし、私たちだってナーニョ様といっぱい話がしたいし、魔法のことを知りたいわ!」

 そうだそうだ! と声を上げる子供たちにカシュール君はぷりぷりと怒っていた。

 子供たちとのやり取りを見ていると、普段からしっかりと勉強を教えたりしているようだ。とても好かれている様子にホッと胸を撫でおろす。

 それから一人一人の勉強を見た後、私はお城へ戻った。そして従者に聖女服と呼ばれるような服を準備してほしいと頼むと、すぐに準備してくれると言っていた。

 とはいえ、できるのは巡視に戻った後のようだ。もしかしたら今週末には着られるかなぁと思っていたけれど、甘かったようだ。残念。



 迎えた当日。

 朝から私たちは侍女たちに磨き上げられていた。

「お姉ちゃん、どう? ドレスがすっごく可愛いよね? お姫様みたい!」
「ローニャ、良く似合っているわ。お姫様みたいじゃなくて本当にお姫様なのよ? おしとやかにね?」
「そうだったね! 大丈夫。ちゃんと勉強して先生には合格をもらえているんだからっ」

 ローニャと話をしながら結われた髪を鏡で確認する。耳を出すようにしっかりと結われている。

 侍女たちの仕事は凄いなと感心してしまう。いつもはしない化粧もこの日ばかりはしっかりとしてもらった。

「ナーニョ様、ローニャ様。お時間でございます」

 侍女長が私たちを呼びに来た。私たちは護衛と共に会場の袂へと足を運んだ。
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