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そうして迎えた結婚式当日。
私とリューク様は一月ぶりの再会。
王都の神殿で朝から準備に追われているの。神殿側としてはリシェ様に邪魔されないように聖騎士を配備していただいたわ。
ロマーノ公爵は我が家に連日突撃してくるリシェ様の行動に目を覚ましたらしく、私達の式の祝福とリシェ様が突撃してこれないようにしておくと連絡を頂いた。
「お嬢様、とてもお美しいです。きっとリューク様も喜びになさいますわ」
「マーラありがとう」
「イーリス、準備は出来たかしら?」
「お母様、今まで有難うございました。ようやく花嫁姿を見せることが出来ましたわ」
「ふふっ。リューク君と喧嘩したらいつでも戻ってらっしゃい」
「もしかしたら3年後には戻って来るかもしれませんわ」
「どうでしょうね?楽しみに待っているわ」
「リス姉さま、素敵!!幸せになって下さいね」
「ララもバルトも有難う」
神官から時間になったと告げられる。私は父にエスコ―トされ会場へと入っていく。先ほどまでいた母達は既に親族席にいたわ。
一歩、また一歩と歩いて行く先には微笑むリューク様。
「イーリス、世界で一番美しい」
リューク様はそう言って父からエスコートを代わり歩き始める。
「リューク・ランドル。貴方はイーリス・ブライトンを妻として生涯慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「イーリス・ブライトン。貴女はリューク・ランドルを夫として生涯慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「では誓いのキスを」
私達は誓いの言葉を述べリューク様は私のベールを上げてそっとキスをした。客席からは大きな拍手が送られたの。
その中に1つの叫び声が聞こえて会場は一気に静まり返った。
入場口から歩いてくる1人の女。ぶつぶつと何かを喋りながら髪はボサボサの状態。よく見ると、リシェ様のように見える。
「こんな結婚式、私は認めない。認めない。認めない」
その異様さに人々は息を飲む。リューク様は私を守るように前に出た。
「リューク、私よ。待っていたのよ。私と結婚するんでしょう?その女をすぐに殺してあげるから」
彼女は一歩、また一歩と近づき、リシェ様は手を伸ばす。私達に手が届きそうになった時、バチッと火花と共に音が鳴った。
「痛い!何?何なの!?あたしの邪魔をするのは誰よ!!リューク、こっちに来て!私達の仲を邪魔するこの女から離れてっ!」
そうしてまたリシェ様は手を伸ばしかけた。するとリシェ様が急に光ったかと思うと轟音が鳴り響いた。私は音と光で一瞬目を閉じてしまう。
再び目を開くとそこには黒こげになったリシェ様の姿があった。
「リューク様・・・」
「イーリス。大丈夫かい?」
リューク様はギュッと私を抱きしめた。会場の人達もリシェ様の姿に静まり返る。
「聖女様!・・・遅かったか」
その言葉と共に慌ただしく入ってきたのは複数の神官達。
「神官様、どういう事なのでしょう、か」
最前席に居た父が神官の1人に話しかけた。
「『聖女リシェが一組の夫婦を壊そうとしている、聖女に審判を』そう神は告げられたのだ。慌てて私達は聖女リシェ様を探し、この場に到着したのだが、一足遅かったようだ」
神官はそう告げた。残りの神官達はリシェ様を数人で抱え上げてその場から去っていく。
「聖女リシェは神の国へ行き、これから審判を受ける事になるでしょう。そして彼女が今まで行ってきた罪の重さに応じて神の国で修練を行う事になると思います。
リューク、イーリス夫妻。ご迷惑をおかけしました。神は二人を祝福しております。ご多幸をお祈り申し上げます」
神官はそう告げると頭上から花びらがひらひらと舞い降りてきた。会場の誰かが
「神が祝福している!!」
と言うと皆が歓声を挙げた。おめでとう、と。
そうして私達の結婚式は神様が見守る中、なんとか無事に終える事が出来た。
私たちの結婚式が貴族達の中で話題になったのは言うまでもなかった。聖女リシェ様は私達二人の仲を割こうとして神罰が下ったのだと。私の悪い噂は一瞬にして消え去ったと言ってもいいわ。
あれから聖女リシェ様は荼毘に付されたとなっている。修行をした後、神の国から復活するとかで神殿の地下に遺体を安置し復活を待っているという話もあるのだとか。
本当の所は私達には知らされなかったわ。公爵は精神的なショックが大きかったようでリシェ様の兄であるカイ様が引き継ぎ、公爵となり、ロマーノ公爵様は隠居し領地に引きこもってしまった。
リシェ様を溺愛していたようだし仕方がないわよね。堕ちた聖女の生家としてこれからしばらくは公爵家は厳しい視線に晒されていくことになる。
「イーリス、君を愛している。ずっと一緒に居てほしい」
「あら、私たちは政略結婚ですのよ?」
「これから毎日君に伝わるように言葉にし、傍にいるからね」
「ふふっ。嬉しいわ。ずっと傍に居てくださいませ?」
「ああ。約束する」
リューク様は結婚してから仕事をセーブして私との時間を取るようになった。仕事の無い日はずっと傍にいて愛を囁かれている。
私はリューク様に愛されているのかしら、と実感も湧いてきた今日この頃。
3年後の白い離婚は出来ないかもしれないわね。
【完】
私とリューク様は一月ぶりの再会。
王都の神殿で朝から準備に追われているの。神殿側としてはリシェ様に邪魔されないように聖騎士を配備していただいたわ。
ロマーノ公爵は我が家に連日突撃してくるリシェ様の行動に目を覚ましたらしく、私達の式の祝福とリシェ様が突撃してこれないようにしておくと連絡を頂いた。
「お嬢様、とてもお美しいです。きっとリューク様も喜びになさいますわ」
「マーラありがとう」
「イーリス、準備は出来たかしら?」
「お母様、今まで有難うございました。ようやく花嫁姿を見せることが出来ましたわ」
「ふふっ。リューク君と喧嘩したらいつでも戻ってらっしゃい」
「もしかしたら3年後には戻って来るかもしれませんわ」
「どうでしょうね?楽しみに待っているわ」
「リス姉さま、素敵!!幸せになって下さいね」
「ララもバルトも有難う」
神官から時間になったと告げられる。私は父にエスコ―トされ会場へと入っていく。先ほどまでいた母達は既に親族席にいたわ。
一歩、また一歩と歩いて行く先には微笑むリューク様。
「イーリス、世界で一番美しい」
リューク様はそう言って父からエスコートを代わり歩き始める。
「リューク・ランドル。貴方はイーリス・ブライトンを妻として生涯慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「イーリス・ブライトン。貴女はリューク・ランドルを夫として生涯慈しむ事を誓いますか?」
「誓います」
「では誓いのキスを」
私達は誓いの言葉を述べリューク様は私のベールを上げてそっとキスをした。客席からは大きな拍手が送られたの。
その中に1つの叫び声が聞こえて会場は一気に静まり返った。
入場口から歩いてくる1人の女。ぶつぶつと何かを喋りながら髪はボサボサの状態。よく見ると、リシェ様のように見える。
「こんな結婚式、私は認めない。認めない。認めない」
その異様さに人々は息を飲む。リューク様は私を守るように前に出た。
「リューク、私よ。待っていたのよ。私と結婚するんでしょう?その女をすぐに殺してあげるから」
彼女は一歩、また一歩と近づき、リシェ様は手を伸ばす。私達に手が届きそうになった時、バチッと火花と共に音が鳴った。
「痛い!何?何なの!?あたしの邪魔をするのは誰よ!!リューク、こっちに来て!私達の仲を邪魔するこの女から離れてっ!」
そうしてまたリシェ様は手を伸ばしかけた。するとリシェ様が急に光ったかと思うと轟音が鳴り響いた。私は音と光で一瞬目を閉じてしまう。
再び目を開くとそこには黒こげになったリシェ様の姿があった。
「リューク様・・・」
「イーリス。大丈夫かい?」
リューク様はギュッと私を抱きしめた。会場の人達もリシェ様の姿に静まり返る。
「聖女様!・・・遅かったか」
その言葉と共に慌ただしく入ってきたのは複数の神官達。
「神官様、どういう事なのでしょう、か」
最前席に居た父が神官の1人に話しかけた。
「『聖女リシェが一組の夫婦を壊そうとしている、聖女に審判を』そう神は告げられたのだ。慌てて私達は聖女リシェ様を探し、この場に到着したのだが、一足遅かったようだ」
神官はそう告げた。残りの神官達はリシェ様を数人で抱え上げてその場から去っていく。
「聖女リシェは神の国へ行き、これから審判を受ける事になるでしょう。そして彼女が今まで行ってきた罪の重さに応じて神の国で修練を行う事になると思います。
リューク、イーリス夫妻。ご迷惑をおかけしました。神は二人を祝福しております。ご多幸をお祈り申し上げます」
神官はそう告げると頭上から花びらがひらひらと舞い降りてきた。会場の誰かが
「神が祝福している!!」
と言うと皆が歓声を挙げた。おめでとう、と。
そうして私達の結婚式は神様が見守る中、なんとか無事に終える事が出来た。
私たちの結婚式が貴族達の中で話題になったのは言うまでもなかった。聖女リシェ様は私達二人の仲を割こうとして神罰が下ったのだと。私の悪い噂は一瞬にして消え去ったと言ってもいいわ。
あれから聖女リシェ様は荼毘に付されたとなっている。修行をした後、神の国から復活するとかで神殿の地下に遺体を安置し復活を待っているという話もあるのだとか。
本当の所は私達には知らされなかったわ。公爵は精神的なショックが大きかったようでリシェ様の兄であるカイ様が引き継ぎ、公爵となり、ロマーノ公爵様は隠居し領地に引きこもってしまった。
リシェ様を溺愛していたようだし仕方がないわよね。堕ちた聖女の生家としてこれからしばらくは公爵家は厳しい視線に晒されていくことになる。
「イーリス、君を愛している。ずっと一緒に居てほしい」
「あら、私たちは政略結婚ですのよ?」
「これから毎日君に伝わるように言葉にし、傍にいるからね」
「ふふっ。嬉しいわ。ずっと傍に居てくださいませ?」
「ああ。約束する」
リューク様は結婚してから仕事をセーブして私との時間を取るようになった。仕事の無い日はずっと傍にいて愛を囁かれている。
私はリューク様に愛されているのかしら、と実感も湧いてきた今日この頃。
3年後の白い離婚は出来ないかもしれないわね。
【完】
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最後までお読み頂きありがとうございました⭐︎
面白かったー
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