美しすぎてごめんなさい☆

商会が来ました

「ブランシュ、ごめんなさいね。王命による召喚状が来てしまったわ。ブランシュにとっては辛いけれど、頑張ってね」

母が涙ながらにそう話す。そして私に渡された一枚の手紙。封を開けると、お茶会の招待状が入っていた。

「お母様、お茶会に王命なんて使うものなのですか？」

私はコテンと頭を傾けて聞いてみる。

「えぇ。これは王子殿下の婚約者選びでもあるのよ。伯爵以上の貴族令嬢は全て出席する事が条件なの。
今までブランシュはお茶会に呼ばれても出席しなかったでしょう？　王家としてはブランシュが気になって仕方がないみたいなの。
色んな手を使って逃げていたけれど、王命を出されてしまっては……。
力のない親でごめんなさい」

母の涙が止まる様子はないようだ。邸の庭すら出る機会もあまりない状態の私。

うぅ、お城なんて行っても大丈夫なの！？
絶対ガクブルよ。絶対、皆が私を見る！
視線が集まること間違いわ。
もしかして虐められてしまう？
嫌味の一つでも吐かれるのかも？

前世の記憶も相まって人の怖さ倍増だ。

「お、お母様。私、怖いですが、王命でしたらしかたがありません。頑張りますわ」

　母はえぐえぐと泣きながら私を抱きしめている。その後、母が落ち着いてから聞いたのはお茶会に着ていくドレスや装飾品を選ぶために商会を呼ぶという話だったわ。

我が家と代々付き合いのある商会なのだとか。きっと美男美女をずっと見てきたから扱いにも慣れているはずよね？



――三日後、商会が邸へとやってきた。

私は邸の人以外と会うのは殆どないので怖い。侍女のマリルの後ろに隠れようとしていたのだけれど、兄が微笑みながら手をつないでサロンまで連れてきてくれたわ。

「ヴェルナー、ブランシュ遅かったわね」

母は一人サロンでお茶を飲んでいる。後ろに控えているのは商会の人達。

「ヴェルナー様、ブランシュ様、宜しくお願い致します」

商会の人達が一斉に頭を下げた。兄は頷いただけで声は出さなかった。

「こ、こちらこそ、お願いしますわ」

兄から離れられないながらもそう答えると、商会の人達がバタバタと倒れてしまった。

「お、お兄様！？　彼等はどうしたの？」

驚いて兄に聞いてみると、兄は微笑みながら私の頬をツンツンした。

「ブランシュの可愛さにみんな気を失ってしまったんだよ。罪作りなブランシュ」

侍女や従者は倒れた商会の人達を起こし始める。『大丈夫、私達も最初はそうでした』なんて声が聞こえたのは気のせいかしら！？

なんだかんだとあったけれど、採寸をして、イメージが湧いてくるのかその場でペンを走らせる商会の人。何枚ものドレスの絵を母に見せているわ。

「お兄様、お茶会には私一人が参加するのですか？」
「いや、僕も参加するから心配しなくても大丈夫だよ」
「よかったです。お、お兄様。私、お兄様に合わせたドレスを着たいです」

兄は私の言葉を聞くとギュウギュウと抱きしめてきた。

「ブランシュ！　もちろんだよ。えっと、君。ブランシュと僕の衣装を合わせてくれるよね？」
「もちろんです！　お坊ちゃま」

イメージを伝えてドレスを注文するまでは出来たと思うわ。

いつもはどうしてるのかって？

マリルが私の採寸を行って母かマリルがイメージを伝えてドレスを作っていたの。

　今回ばかりは城でのお茶会なので私のイメージにぴったりなドレスを作るという事で商会の採寸係やデザイナーが直々にやってきたらしい。彼等が帰るギリギリまでデザイナーの手は止まっていなかったわ。

　夕食時に家族で今日あった事を話しながら食事を取っていると、その場に居なかった父はがっかりしていたわ。