星降る夜を貴方に

ごま

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お弁当と小石

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目的地は、広い草原で近くには小川が流れているし、少し歩いたところには花畑もある。見通しもいいため、ピクニックにはピッタリだと思う。



敷布をセットして4人で座る。エリザベスが用意して下さったお弁当を早速いただくことになった。


サンドイッチは、野菜が中心に彩り鮮やかでとっても美味しそう!バケットと3種類のソースもある!!



「とっても美味しそうですね!」


「……そう言ってもらえるとうれしいわ。ちゃんと彩りも考えたのよ?」


え、もしやこのお弁当は

「エリザベスがお作りになったのですか!?」


「えぇ、そうよ。……何よ文句あるわけ?不満なら食べなくてもいいわ!」


拗ねたように口を尖らせてそっぽを向いてしまった。そんな、こんな素晴らしいお弁当がいただけないなんて!エリザベスに誤解をさせて悲しませてしまうなんて!何たる失態。挽回を図らねば……

「そんな、ぜひ頂きたいです!見た目も綺麗で彩りまで考えられているので、エリザベスのお気遣いが感じられてとっても素晴らしいです!むしろ頂かせてください!」



「……ふん。有難く頂きなさい。」

満足げに微笑んだエリザベスは、とっても可愛いくて私もついつい笑顔になってしまう。

「ありがとうございます!」


「ありがとう、エリザベス。とっても美味しそうだ。」


「ありがとう、エリザベス嬢。めっちゃ美味そうだな!」


3人でお礼を言うと、エリザベスは花がほころぶような笑顔をこぼした。







みんなで美味しくお弁当を食べ終わったあと、私はクッキーを出すか否か悩んでいる。一緒に食べていてわかったことなんだけど、エリザベスは、普通に甘いサンドイッチも、バケットもジャムを塗って食べているし、いつものお茶会でもスコーンに甘~いクリームをつけたり、クッキーもよく食べる。でも、殿下達はそうでもないように見えた。



ルブラン殿下は、お茶会でもお菓子は自分からは食べないけど、エリザベスが進めたお菓子とかあまり甘くないものを少し食べるくらい。
スティール殿下は、普通にお菓子は食べているイメージだけど、甘いサンドイッチも食べているからもういらない可能性もある。でも、私から出してしまえば断れなくて無理をなさるかも……と思ってずっと出せないでいる。
……後でエリザベスだけに渡そうかな。




しばらく雑談した後、小川のそばで涼むことにした。初夏の今は、新緑の香りを含んだ爽やかな風が心地いい。水の流れる音も涼やかだ。


「なぁ、ちょっと川に入ってもいい?」
と、スティール殿下が言った。


「……私も入ろうかな。」
とルブラン殿下も同意した。

エリザベスと私は、あまり暑いと感じていないけど殿下達には、少し暑いのかもしれない。ルブラン殿下まで入るとは思っていなかった。


隣に座っているエリザベスを見ると、特になんとも思っていないみたい。


しばらく、川に入って涼む2人を見ているとすごく気持ちよさそうで私も入りたくなってしまった。……はしたないって思われてしまうかな。


体育座りをしている足を両腕でぎゅっと抱きしめ、下を向いた。






小川の方からさくさくと草をふむ音が聞こえる。その足音は、私の近くで止まった。


「アリア、はい。」



私は、顔をあげると澄んだ青空のような瞳と目があった。

「手、出して。」

言われるがままに手を差し出すと、スティール殿下は手のひらに小さい石を置いた。アクアマリンのように明るい水色の石だった。川底にあったためか丸みを帯びた可愛らしい形をしている。


「キレイ……」




「だろ!アリアにあげるよ。」


どこか得意げに笑った殿下の頬に汗が滑った。その水滴が、太陽に照らされてキラキラと光っていてとてもキレイだと思った。



……私は、それに指を伸ばした。



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