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花冠
しおりを挟む言われるがままに目を閉じた。すると、目に冷たい布が被せられた。布を手で押さえてくれているのが分かる。
思っていたよりも冷たくて少し驚いたけど、熱くなった目にはちょうど良くて気持ちよかった。
「あの、自分で押さえます。」
「いいから。」
しばらく、スティール殿下に目を冷やして貰っていた。きっと時間がたっても布が温かくならないのはスティール殿下が魔法を使ってくれているからだと思う。
本当に優しい人だ。
結局、あの後もめぼしい花は見つからなかったのでスティール殿下と可愛らしい花を集めてエリザベスたちのところに戻った。
エリザベスと一緒に花冠を作り始めたんだけど、花が傷つかないように編み込むのは少し難しくて苦戦した。
最初に探していたようなエリザベスの瞳の色の花ではなくてパステルカラーの花を選んだ。濃い赤色とか、青色、緑色、何となくはっきりした色合いが似合うと思ったんだけど、今日集めたのは、小ぶり、大ぶり、花の形に茎の色まで含め、可愛らしい花たち。華麗というより可憐をイメージしてみた。
私の方がエリザベスよりも早く作り終わったので、隣で編んでいるところを見ていた。
エリザベスが自分のために花を選び、編んでくれていると思うと嬉しくてつい、ニコニコしてしまう……。花冠を編む美少女って天使だね。
しばらくして、エリザベスが顔をあげた。
「出来たわ。」
「私も出来ました!」
お互いの花冠を渡す。
エリザベスが作ってくれた花冠は、赤色の花が中心になっていてとても華やか。花の状態を見ても、丁寧に作業してくれたのがよくわかる。
「ありがとうございます!とっても綺麗で可愛いですね。」
私は、基本的にパステルカラーしか身につけないためこういうはっきりした色は久々だ。赤色が中心になっているのは、エリザベスの瞳の色だからかな…そうだったら嬉しい…!
「……どうして、この花を選んだの?」
「?エリザベスに似合うと思ったからです。」
「そう……」
「気に入らなかったですか?」
もしかして、嫌いな花が入ってしまっていたのかも?!
「ううん、とっても可愛い。……ありがとう。」
そう言って花冠を頭に載せたエリザベスは、眉を下げてふんわり笑った。
……心なしか瞳が揺らいでいたように見えたけど……エリザベスが何も言わないなら私から聞くことは出来ない。いつか、話してくれるといいな…
まだ花冠を載せていなかった私にエリザベスが言った。
「私が載せてあげる。」
私が手に持っていた花冠を取り、私の頭の上に向かって持ち上げている花冠の赤と、エリザベスの瞳の赤が相まってとても綺麗だ。
「とても似合ってるわ。」
「ありがとうございます。エリザベスもよくお似合いです。」
エリザベスの眩い金髪に花冠の柔らかな色みがよく映える。やっぱり、この色合いにして良かった。
「2人とも本当に可愛いよ。」
ルブラン殿下が褒めてくださった……だと!?エリザベスを褒めるのはわかるけど私まで褒めてくださるなんて……
「うん、本当によく似合ってる。」
スティール様まで……!?
「当然よ。アリアが作ってくれたんだもの。」
エリザベスさまぁぁぁぁぁありがとうございます、嬉しすぎる!!なんてこった尊いぞ!!!
「そうですね、エリザベスが作って下さったので似合わない訳ないですね。」
視界がぼやけてるのはきっと気の所為だ
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