3 / 81
第1章 遥か高き果ての森
三話 魔力を使ってみよう
しおりを挟むステータスも確認できたことだし、霊力を使ってみるか。一つだけ桁が高かったから、少し気になる。
再び霊力を呼び起こして、いつも訓練でやっているように全身を循環させる。
すると、少しずつ肉体能力が高まっていくのを感じた。同時に、俺の体から灰色の光が吹き上がる。
皇流基本の型、″天日〟だ。朝日のように段々と力が昇っていく様を見て、開祖が名付けたらしい。
よし、問題なく起動できるな。
次は、霊力の調整をしてみる。
皇ノ術にはいくつかの種類があり、今のように体に霊力を巡らせ身体能力を上げる″陽道〟、札などの媒介を通して強力な式神や現象を引き起こす″陰道〟の二つに大きく分けられる。
今回は得意な陽道で実験することにする。陰道はあんまり得意じゃないんだよなぁ。なかなか綿密な式神を編むことができない。
簡単な術式だったら足し算をするみたいに組み立てられるのだが。
爺ちゃんにも、
「どうして儂以上の速度で術式展開できるのに、それが札の回路構成に向かない」
とよく言われた。
それはともかく、今からやるのは、″陽道〟の基礎の基礎、″昇天〟。段階をつけて、少しずつ体のリミッターを外す強化術式。
″昇天〟を起動した途端、すっと頭の中がクリアになる。五感が鋭くなり、全身の筋肉が引き締まる感覚を覚える。これも問題なさそうだ。よし、このまま段階を上げていくか。
循環率10%………問題ない。
循環率20%………問題なし。
循環率30%………まだ大丈夫だ。周りに生き物がいる気配はないし、もう少し出しても大丈夫だろ。
循環率40%………あれ?いつもならここら辺が限界値の筈なんだがな。底上げされて、多少総量が増えてるのか。
循環率50%………これでやっと全体の半分ほど。おかしい。まだまだいける気がする。
循環率60%………待て待て、すでに俺のキャパを20%もオーバーしてるぞ!?
慌てて昇天を解除し、体の中を走っていた霊力を魂の中に戻す。灰色の光は消え、精神の高揚が収まっていく。
ふうーっと息を吐くと、腕組みをして考える体勢に入った。
状況を整理してみよう。
最初に、まだ細かい調整をできない俺は昇天の変換効率もだいたい1割きざみにしかできない。そして普段の俺の魔力の総量は爺ちゃんの4割といったところだ。普段の循環の段階は爺ちゃんを基準にやっていた。
なのに、それをやすやすと超えて強化術式をできている。感覚では60%くらいまでだった筈だ。
つまりあと俺の限界分がまるまる残っているということで…
とすると単純計算で、俺の魔力は2.5倍に跳ね上がっているということになる。
…結論。増幅しすぎだろ!
暴走しないよう御守りが補助してくれるからまだいいが、下手したら肉体の方が耐えきれずに崩壊を起こすぞ。
いや、確か体の方も色々底上げされてるんだった。それもどこまで耐え切れるかわからんから、試すのはまた今度にするか。
とりあえず、今は地球での限界で練習しよう。霊力は使い切ると体が動かなくなる。もしも近辺に危険な生物がいたら目も当てられない。
陽道にも色々とあり、打撃に霊力の衝撃波を乗せる″空波〟や皮膚の表面を霊力で覆い、肉体の強度を上げる″龍鱗〟などがある。
まずは″空波〟から。
腰を引き、左足を前に、右足を後ろに踏み込む。そして腰の回転を軸として魔力を纏わせた右拳を、打つ!
「ハッ!」
バギャァァァァ!!!!
″空波〟が当たった瞬間、目の前にあった木が粉々に吹き飛んだ。衝撃波は止まることはなく、木々を薙ぎ払い、どんどん先に突き進んでいく。
やがて500メートルほど先で、何かの「ギャンッ!!!」という悲鳴とともに″空波〟が消えた。
《おめでとうございます!レベルがアップしました!ステータスを確認してください!》
《おめでとうございます!行動スキル【流動Lv1】を習得しました!》
《魂に蓄積された記憶を検索中…》
《おめでとうございます!行動スキル【流動Lv10】にレベルアップしました!》
《レベルカンストボーナス!全ステータスに100プラスされます!》
《おめでとうございます!行動スキル【流動Lv10】は固有スキル【龍鱗】に変化しました!》
《おめでとうございます!通常スキル【身体能力強化Lv1】を習得しました!》
《魂に蓄積された記憶を検索中…》
《おめでとうございます!通常スキル【身体能力強化Lv10】にレベルアップしました!》
《レベルカンストボーナス!全ステータスに100プラスされます!》
《おめでとうございます!通常スキル【身体能力強化Lv10】は【身体能力超強化Lv1】に進化しました!》
《おめでとうございます!通常スキル【体術Lv1】を習得しました!》
《魂に蓄積された記憶を検索中…》
《おめでとうございます!通常スキル【体術Lv5】にレベルアップしました!》
《おめでとうございます!行動スキル【格闘技Lv1】を習得しました!》
《魂に蓄積された記憶を検索中…》
《おめでとうございます!行動スキル【格闘技Lv4】にレベルアップしました!》
《おめでとうございます!固有スキル【魔術(封)】が解放され、【魔術】となりました!》
あまりの威力にぽかんとしていると、頭の中に明るい女性の声が何度も響く。
しかし、それに反応することはできず、ただただ自分のやったことに現実味を持つことができなくて、拳を振り抜いた体制のまま固まった。
「………………………………………………………………………………………はっ!?」
ようやくこちら側に戻ってくる。体感時間で、おそらく十分はフリーズしていたと思う。
「さて…」
いろいろと頭の痛くなることが連続して起きたわけだが…
まず第一に、俺の″空波〟。あそこまでの威力は地球ではあり得なかった。明らかに霊力の伝導率が上がってる。
伝導率とは、有り体に言えばどれだけ術を強力に、素早く行使できるかだ。
そもそも、陰陽道とは自然の理に干渉する術である。
魂を介して世界の仕組みにアクセスし、霊力という自らの命の力を使って限界を超えたり、特殊な媒体に生命を宿したりする。
陽道は自らの魂との繋がりを強靭にし、入れ物である肉体を強くするもの。
陰道は八百万の神々に祈りを捧げ、自然現象を引き起こすもの。
当然神々には自我があり、どんなに小さな下位神でも人を選別する権利がある。
いかに自然に気に入られ、頼みを聞いてもらえるかで魔力伝導率は決まる。
まだ爺ちゃんに遠く及ばない俺では、せいぜい半径5メートルにいる神や霊にしか命令は聞いてもらえない。
しかし、目測した限りでは500メートル以上〝空波〟は飛んで行った。
しかも、どうやら何らかの生き物を倒しレベルアップしている。通常は牽制程度の威力しかない〝空波〟で、だ。
「一体どういうことだ……?」
ーーウフフ…
ーーアハハ…
「ーーーッ!?」
ばっと体制を整え、周りを見渡す。
しかし、何も出てくる気配はない。
…なんだ、今の笑い声?
しばらく警戒していたが、笑い声はもうどこからも聞こえないので、緊張を解く。霊力を使って近辺を探ろうとしたが、すぐに頭を振ってやめた。
「…いつまでも考え込んでても仕方がないか」
ステータスを確認すれば、ある程度のことがわかるはずだ。
「ステータスオープン」
ーーーーーーーーーー
皇 龍人 17歳
種族:人間
レベル:3
職業:陰陽師
装備:戒めの髪飾り
ステイタス
HP:1800 MP:4400
体力:2000 腕力:1800
耐久:1700 俊敏:2100
精神:2200 知力:2300
称号スキル
【創世神の友】
通常スキル
【身体能力超強化Lv1】【体術Lv5】
行動スキル
【格闘技Lv4】
固有スキル
【魔術】【龍鱗】
ーーーーーーーーーー
「……は?」
たった一回のレベルアップで大幅に強化されたステータスに、俺は間抜けな声を上げた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
※他サイトでも掲載しています
※ちょいちょい手直ししていってます
2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる