陰陽師の異世界騒動記〜努力と魔術で成り上がる〜

熊1969

文字の大きさ
2 / 81
第1章 遥か高き果ての森

二話 転移、いきなり森の中。

しおりを挟む

   肥沃な大地の霊力を感じ、パチっと目を開ける。

   上体を起こして周りを見ると、無数の木が視界に入ってくる。ここは…森の中か。暇潰しに読んでいたウェブ小説では定番だったな。

   両足に力を込めて立ち上がり、手で服についた砂を払う。そしてぐっと伸びをした。 

   心なしか、いつもより体が軽い。これが底上げの効果ってやつなのかな。

「よし、それじゃ…」

   周りに生き物の気配がしないことを確認し、集中して自らの中に意識を向ける。すると、胸の中心を起点として、そこから透き通るような何かが全身を循環している感覚を覚えた。

   どうやら霊力の廻りは問題ないようだ。それどころか、以前より総量が増している気がする。

   体に異常がないことがわかったので、今度は自分の格好を見てみる。

   無地の白い半袖シャツに、茶色いベルトで締めている七分袖の灰色のズボン。黒い靴下と運動用のスニーカー。

   死ぬ寸前までは夏だったので、地味で目立たないラフな格好をしている。     

   いや、俺の髪灰色だった。しかも両方のもみあげに霊力が暴走しないように御守りのアクセサリーをつけてるから、外出するときはそれはそれは目立ってたな。

   俺の外見は適当に切り揃えられた生まれつき灰色の髪に、友人曰くそこそこ整った顔立ち。瞳の色も灰色だ。身長は175センチくらい、長年地獄のような生活で鍛えてきたから、結構筋肉はついている。

   浮世離れしたこの外見に、学校のやつらは大半が薄気味悪いって近寄ってこなかった。気にも留めなかったのはあいつくらいだ。

   ああでも、文化祭で一度だけ女装させられた(友人に強制的に)ときはかなりヤバかった。男にしては髪が長いし、整ってはいるがその意味が女顔の方だったみたいだから、物好きな女子生徒にいじられまくった。おのれ友人、あの時腹抱えて爆笑しやがって。

   ……なんか一人語りしてたら悲しくなってきた。

「森の中で何やってるんだろう、俺…」

   地面に両手両膝をついて項垂れていると、ブルブルとポケットが振動した。

   入っていたスマホを取り出し、立ち上げる。すると、一通メールが届いていた。

『拝啓、親愛なる龍人くんへ。

やあ、このメールを見ているということは、目を覚ましたんだね。良かった。
突然だけど、重ね重ね謝罪する。
直前に手元が狂ったみたいで、間違えてその世界で前人未到と言われている秘境に転移させてしまった。ポンコツな神でごめんね。
お詫びの印として、君に案内役の下級神をつけることにした。そちらの世界のことも全て知っているはずだから、バンバン質問してやってくれ。
あと、言い忘れてたことが二つほど。
君のスマホ、そちらの世界に合わせて少しいじらせてもらったよ。マップとか。
それと、その世界にはステータスと呼ばれるものがある。頭の中でステータスオープンと念じると自分のステータスが確認できるから、やってみて。
長々とすまない。それじゃあ、第二の人生を謳歌してくれ。

君の親愛なる友人、伊邪那岐より』

   メールを読み終わるとともに、思わず額に手を当てる。

   色々言いたいのをぐっとこらえ、代わりにため息をつく。

   さて、これからどうしようかと考えていると、不意にスマホの画面が真っ暗になった。

   何事かと持ち上げてみれば、今度は真ん中にゲージのようなものが表示されている。

   一体なんだ、これ?

   …まあいいや。とりあえず、今はステータス確認をしてみよう。

「ステータスオープン」

   そう呟くと、脳内にリストのようなものが浮かんできた。

ーーーーーーーーーー
皇 龍人 17歳
種族:人間
レベル:1
職業:陰陽師
装備:戒めの髪飾り
ステイタス
HP:1000 MP:3600
体力:1200 腕力:1000
耐久:900 俊敏:1300
精神:1400 知力:1500
称号スキル
【創世神の友】
行動スキル
なし
固有スキル
【魔術(封)】
ーーーーーーーーーー

   ふーん、これがステータスか。まだレベルは一、と。ま、この世界に来たばかりだし当然だ。称号スキル?ってのは…とりあえず保留で。

   【魔術(封)】…多分、皇ノ術がこの世界ではそういう風に認識されているんだろう。なんて封印されているのかは知らないけど。

   その後も調べて聞いてみると、ある程度のことがわかった。

レベル:強さの値のようなもの。魔物や高レベルの相手と戦うと経験値が入り、上がっていく。
HP:生命力を数値化したもの。ゼロになると死ぬ。
MP:魔力を数値化したもの。ゼロになると魔法を行使できなくなる。
体力:そのまんま。多ければ多いほど長く行動できる。
腕力:そのまんま。高ければ高いほど攻撃した時より大きなダメージを与えられる。
耐久:頑丈さのこと。高ければ高いほど持久力がある。
俊敏:いかに素早く動けるかを数値化したもの。長距離を全力疾走すると伸びることがある。
精神:そのまんま。これが低いと状態異常(混乱や酩酊など)になりやすい。
知力:そのまんま。低いイコールバカ。

要約すると、こんな感じだ。

   あとは、これがどれだけ通用するかだな。もしかしたらこの世界の人間の方がもっと強いのかもしれないし、逆に俺が普通より強いと言うこともあり得る。

要検証、だな。
しおりを挟む
感想 79

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

処理中です...