炎奏するルールブレイカー〜追放されたからソロプレイで無双する〜

くらげさん

文字の大きさ
24 / 51

レアスキル

しおりを挟む





 俺は日課の魔物狩りに勤しんでいる。

 略奪戦から逃げてると言われたらそれまでだ。

 国から離れ魔物を斬るほどに負けた罪悪感が薄れていくこの時間は救いだろうか。

 前の国に居た時はたまにだがサクヤと魔物狩りに出かけていた。

 この国に来て今まで一人で魔物狩りをやっていたからか隣にサクヤが居るという状況では懐かしさとやりにくさが共存している。

 いつもの狩場とは違い最奥ではなく国からまだ近い方だが呑気に魔物狩りを楽しみたいなら丁度いい位置だ。

 サクヤとデート! と魔物狩りで舞い上がっていた昔の俺もこのぐらいの位置でサクヤと魔物を狩っていた。

 特に話す事はなく歩きながら魔物を見つけた瞬間に走り出し狩って行くのを繰り返す。

 飽きたとか言う訳じゃなくサクヤは昔と同じ様に微笑みながら俺の後に着いてくる。

 サクヤが何も言わないので情けないがその優しさに漬け込んで甘えている。

 独り善がりな感じだがこの時間が好きだったなと思い出した。

 ルンルン気分な俺はスっと左手を水平に上げて歩みを止める。

 何か聞こえた様な気がした。

 少し待ってみると段々と音は大きくなる。

 サクヤと木の影に隠れ様子を見ると大勢のプレイヤーが目の前を横切って行く。

 クランが十ぐらいか? 合同で編成されていると思われる。

 ザッと見た感じは百人ぐらいは居るんじゃないだろうか?

 プレイヤー全員が黒のフードを深く被り顔が見えないのも印象的だった。

 樹海の奥へ奥へと行進していくその姿を目で追いながら大きかった足音が消えていく。

「どこに行くんでしょうね?」

 サクヤが口を開く。

 なんか面白そうだな。

「分からないけど着いて行ってみる?」

 サクヤは少し考え込む素振りを見せるとコクンと首を縦に振る。

 一応聞いたが。着いて行きたい! と顔に出ていたのだろうか?

 気を遣わせてしまったな。

 だけどしょうがない! 大人数で何をやるんだ? と興味を唆られてしまった。

 早速合同クランを追っていく。

 そこまで距離が離れていなく直ぐに追いついたが立ち止まり木の影から様子を見る。

 少し開けた樹海の真ん中でその集団は輪を作り始めた。

 輪を作るとピキンとクールタイムが発生し一つの乱れもなく全員が一斉に硬直する。

 合同詠唱なんて初めて見た。

 そんな魔法は知らないが全員が詠唱を開始し聞き覚えのない呪文を呟いている。

 レアスキルだ。

 前の国でも図書館に毎日通い千日の皆勤賞で倉庫に入る許可を貰える。そこでしか覚えられない最上位魔法なんかがあったが俺が知らないだけでこのゲームにはレアスキルが数多く存在している。

 入手方法を開示するのも珍しいのだがレアスキルを手に入れて舞い上がった初心者プレイヤーが大抵ばらす。

 それを知った所で意味は無い。

 レアスキルは一人が覚えれば入手方法はその時点で消滅する。

 俺はレアスキルを一つも所持してないが個人的には羨ましいと感じる程の物ではある。

 レアスキルはどれも強力なスキルで入手するだけで一生金には困らないと言われている。

 それなのに目の前の光景は目を疑う。

 全員が同じレアスキルを扱っているのだから。

『『『ジョーカー』』』

 呪文の詠唱を終えたのかスキル名を唱え全員がその場でバタバタと倒れていく。

 そして円の真ん中にサラサラと魔法の輝きが集まり黒い小さな点の様な物が出来上がった。

 黒い点は重力に従い地面に落ちて行き、地面と衝突するとポチャンと音を立て地面が硬さを失ったように小さく波打つ。

 それを見届けるとプレイヤー達はフラフラになりながら立ち上がり輪を解くとまた同じ道を行進して帰って行った。

 クソみたいなレアスキルを見てしまった。

 誰も居なくなった開けた樹海の真ん中に行ってみる。

 黒い点が吸い込まれた所を足で踏んでみるが「地面だ」と当たり前の感想しか出て来なかった。

「なんの魔法なんでしょうね」

「魔物の名前だから魔物を呼び出すんじゃない? なんかの儀式みたいだったし」

「へっ?」

 サクヤがなんでお前が知ってるんだと思うかもしれないが。


『だってジョーカーって未開の地で俺が初めて殺された魔物の名前だしね』


 懐かしい人型の魔物。

「シン君がやられたのですか?」

 サクヤが大きな目をさらに見開く。

「ここでもしそんな魔物が出たら強制的にスタンピードが発生するだろうね」

「スタンピードとはなんですか?」

 サクヤは知らないのか。

 少しの解説を挟み負ければ国の全プレイヤーの所持金が半分になると伝える。

「じゃあシン君が勝てない相手がスタンピードを起こせばもう半分になるの確定じゃないですか!」

 強力な魔物でスタンピードを起こし国の所持金を半分にしたら誰が得をするのか? 国の所持金で発言力が増す国同士の会議でミースティアと競っている国が怪しいが。

 決めつけるのは良くない。

 後訂正を加えとかないと。


『ジョーカーぐらいなら余裕だけどね』


「あっ、余裕なんですね」

 ジョーカーは未開の地に入って序盤の敵という事には変わりない。

 油断したら負ける相手だが油断しなければ勝てる魔物だ。

「良いもの見れたし帰ろうか」

「は、はい」

 俺はサクヤの動揺を他所に複数人で発動するレアスキルを見てルンルン気分で国に帰った。

 

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

キメラスキルオンライン 【設定集】

百々 五十六
SF
キメラスキルオンラインの設定や、構想などを保存しておくための設定集。 設定を考えたなら、それを保存しておく必要がある。 ここはそういう場だ。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

処理中です...