天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

文字の大きさ
2 / 201

やっと帰れる

しおりを挟む
 

 俺は魔王を倒し今、この異世界に召喚された部屋にいる。

 平々凡々だった俺は、部屋で寝る支度をしていたら、いきなり部屋中が光で満たされ、それが収まると金髪美少女がいて『勇者様、世界を救ってください』と言われたので世界を救うことにした。

 美少女からのお願いだったからな、下心満載で承諾したね。

 当時、黒髪黒目、特にモテる訳じゃなく普通の高校一年生の沖田優おきたゆうがそんなのに憧れないわけないだろ?

 勇者な俺の能力は異世界言語の自動翻訳と理不尽を切り裂く剣の召喚。

 剣と魔法のファンタジーな世界なのに魔力が少なく、魔法はあまり使えなかったが何時の間にかこの異世界で誰の追随をも許さない最強の剣士。


 魔法を切り裂き、悪を切り裂く、剣の勇者と呼ばれるようになっていた。

 最初の頃は良かったよ、剣と魔法のファンタジー世界。

 魔法もワクワクしていたし冒険にも心踊った。

 でも進めば進む程に死と隣合わせの状況に精神を磨り減らされ、仲間の裏切りや剣の未熟さで何度も何度も死にそうになり、段々と平和への渇望が俺の中で大きくなっていった。

 異世界に行って十年ぐらいはたったと思う。

 そんな俺がやっと平和な元の世界に帰れる。

 魔の者を倒すとその強さと同等の魔力を宿した石、魔法石が手に入る。

 魔王を倒すとその魔法石は莫大な魔力を宿している。

 その莫大な魔力を利用して俺を召喚した魔法の術式を反転させて、また召喚魔法を起こせば俺は元の時間と元の世界に帰れるらしい。

 仲間とずっと支え続けてくれたこの国のお姫様の金髪美少女に別れを告げて俺は魔法石を使い反転召喚魔法陣を発動させる。


 誰かに引っ張られる感触を覚えながら目の前が真っ暗になり、海の中のような俺の意識が浮上する。

 やっと帰ってこれたか。

「オギャー」

 耳元で煩いな。

「オギャー」

 誰だよ、煩い!

「オギャーオギャー!」

 えっ! これ俺が喋ってないか?

「オギャー! オギャー?」

 俺は右手を見ると自分の手が異様に小さいことを確認する。

 なんだこれはぁぁぁぁぁぁ!

「オギャャャャャャャ!」

「はいはい、クレス。ご飯の時間ですよ」

 そこには美人? 少し幼さが残る整った顔に蒼の瞳と金髪の美少女がそこにはいた。

 そしてボリュームがある胸を……。

 うん、反転魔法陣の誤作動により俺は生まれ変わりと言う奴を体験しているんだと思う。

 柔らか……。

 え~と、それから俺の体にある、ほんの少しの魔力が感じ取れるからここは異世界なんだろう。

 ふにふに、ふにふに、ふにふに。


「ダメよ、クレス、そんなにしがみついて」

 ふにふに、ふにふに、ふにふに。

「もう、甘えん坊なんだから」


 平和に渇望していて元の世界に戻りたいと思っていたが。

 ふにふに、ふにふに。

 異世界! いいな! 俺のお母様 (たぶん)がこんなに。

 ふにふに、ふにふに、ふにふに。

「ダメだって、あっ!」

 俺! この世界で平和に暮らすわ!

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

処理中です...