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アリアスの正体
しおりを挟む「やはり無理ですか……」
女神は知っていたかのように言葉を漏らす。
「無理だったとはどういう意味ですか?」
女神の呟きにミミリアが反応する。
「私の予言というのは少しの誤差はありますけど決まった未来なのです。誤差というのは川がどんなに分岐しても行き着く先は海のような物です。そして剣の勇者は予言できない」
ミミリア達の視線が女神に集まる。
「つまり剣の勇者が関われば決まった未来も変わるということです、その未来は私には分かりません」
「じゃあ女神様は剣の勇者が関わった未来の全てが分からないってことなんだね」
ユウカも話に加わる。
「未来に影響がない程の関わりならいいのです。獣族達の最狂の召喚は剣の勇者が大きく関わった未来だから気づくのにも遅れてしまいました、そしてアリアスも大きく未来が変わった人物です」
「だから召喚出来るのも賭けだったと?」
フィリアが疑問を口にする。
「はい、ですがこの召喚でわかった事があります、それは……」
「「「それは?」」」
『アリアス・リル・ミリアードはすでにこの世界にいます』
「アリアス様がこの世界にいるのですか!」
ミミリアが驚きの声を出す。
「同じ世界に同一人物がいる場合、召喚で呼び出すことが出来ません」
「それでは何故アリアス様は姿を見せないんですか?」
「動けない状況にいるか、ユウ君と同じように違う人物になっているか、ですね」
「違う人物になっているが一番有力なんじゃないでしょうか、アリアス様ほどの魔法の使い手が動けない状況にいるというのは考えられません」
「生まれた時に剣の勇者の近くにいた人物が一番アリアスの可能性が高いです」
女神の声と共に視線がリリアに集中する。
「私?」
「一番可能性があります、忘れてはないと思います、アリアスの時の記憶がありますか?」
「全然ないよ?」
リリアは首を振って答える。
「そうですか……違う人物になっても正規の手段で転生した訳ではないので記憶は残るはずなのですが、リリアは違うと」
「なぜそこまでアリアス様が必要なのですか?」
「アリアスの精霊化の能力『絶対召喚』が必要なのです」
「「「絶対召喚?」」」
女神以外の全員が口を揃える。
「さきほどの召喚とは別の召喚方法です。アリアスにしか出来ない方法ですが……それはあらゆる召喚の概念を曲げ、どんな生物でも召喚できる能力。死んでいても生き返らせ、同一人物がこの世界にいても関係がありません、問答無用でその場に召喚できます、しかも全快の状態で召喚できます」
「そんな能力がアリアス様にあるなんて!」
ミミリアは驚きの声を出す。
「ミリアードの貴女が知らない理由はアリアスが剣の勇者を召喚した一回だけしかこの能力を使っていないからです、ですが欠点もあるのです」
「欠点?」
ミミリアが女神の言葉に疑問を返す。
「それはアリアスが全快で召喚した相手の召喚する前の状態を引き継ぐのです。つまり重症な者を召喚するとアリアスが重症を引き継ぎ、死んでる者を呼び出すとアリアス自身が死にます」
「「「それは」」」
「デメリットとメリットが大きな能力なのです」
「ですが肝心のアリアス様がいないと話になりません、女神様なら世界中からアリアス様の魔力を感じる事が可能なのではありませんか?」
「私にはそんな能力ありません」
「そうですか」
もう何も出来ないとその場の全員が思った時。
白銀、黒銀の二色の柱が女神やリリア達を囲むように現れる。
『『その話は本当なのですか?』』
光と闇の精霊神が目に涙を溜めながら降りてきた。
「相反する属性の精霊神ですか? ユウ君は凄いですね、相反する精霊神は協力など絶対にしないと思っていましたから……貴女達ならアリアスを見つけられますね」
女神が精霊神達に言うと。
「「ユウ様を助けるためなら簡単な事です」」
精霊神は少しの間、目を瞑る。
『『テレポート』』
一瞬の光と共に一人の人物が現れる。
「ッ! なんで!」
そこにいた人物を見てユウカが叫ぶ。
「なんでミライちゃんが!」
「あれ? お姉ちゃん! なんで私ここにいるの? さっきまで学園にいたのに」
「キュイ!」
腕の中にはリリアに預けられていたソーダまでいる。
「ミライがアリアス様なのですか?」
ミライはミミリアの言葉にニコリと笑う。
「状況がよく分からないけど……」
その場の全員が答えを待つ。
『違うよ』
ミライはそう言い放った。
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