天才な妹と最強な元勇者

くらげさん

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褒美

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 俺が持ってきた魔法石は質が高かったらしく中級の冒険者プレートを貰った。

 フランは魔力量だけで上級者に上がった。

 まぁ俺の魔力量の無さは諦めてる。

 ネームレスから始めなくてよかったのは大きいな!

 俺の魔力量には驚かれたが、ギルドのお姉さんの対応は雑ではなくちゃんとしていた。

 ここのギルドが特別なのか? 



 俺達はさっそく国の真ん中に建っているお城に行くことにした。

 ギルドのお姉さんはフランの事を聞いても教えてくれなくて。

 貴方達知らないの? という目をしながら自分の口からは喋りたくないオーラを放っていた。

 だから俺達は何も聞かず、プレートを貰ったらすぐにギルドから出てきたのだ。

「なぁ、フラン」

「なんですか?」

「王様に会う隠し通路とかないのか?」

「ないですよ、お城の門の騎士さんに会えば通してくれると思います」

「母親とルナリアに行くときフードとか被らなかったか?」

「なんで知ってるんですか? お母様が陽射しが眩しいから被りなさいって何時もフードつきのコートを羽織らせてくれました」

 王様が良い奴だといいんだがな。



「止まれ!」

 城の門の所で騎士に止められた。

「何をしに来た」

「フランが来たと王様に伝えろ」

「フラン様だと!」

 騎士はチラッと俺の右横にいるフランを見ると。

「待っていろ、確認を取る」

 騎士は待機していた他の騎士に目配せする。

「確認が取れた、入って良いぞ」

 テレパシーか何かで王様と連絡を取ったようだ。


 城の中に入ると、案内すると言うメイドが現れた。

「私についてきてください」

 無表情のメイドの後をついて行く。

 暫く歩くと。

「こちらです」

 豪華な扉の前で止まると扉を開けながら入室を促す。


 扉が開くと豪華な椅子に腰掛けた一人の老人。

 フランを見て優しく微笑むと声をかけてきた。


『よく来たなフランよ、無事であったか』


「おじ様!」

 笑顔で迎え入れる王様の顔を見たフランは部屋へ飛び込む。

「貴様は誰じゃ?」

 フランの後から入ってきた俺に王様は言葉をかける。

「これは失礼しました、ルナリア王」

 俺は片膝をつけ頭を下げる。

「よいよい、頭を上げよ。フランを無事に送り届けてくれたんだからな」

 王様も勘づいたようだ。

 俺は許しをもらい、立ち上がる。

「それではフラン様の母上の事はもう御存知ですか?」

 騎士がフラン様と言っていたんだ、ここで様をつけないとな。

「魔王が現れたらしいな、元剣聖でもさすがに追い払えなかったか」

 魔王か……。

 王は何でそこまで知ってるんだ? 例えば千里眼のように遠くを見ることの出来る魔法の痕跡があるはずだが、俺が見た限りフランを助けた場所にはそれが無かった。

 母親は元剣聖だから王との通信手段を持っていた可能性はある、でもなんで知っていたなら国からフラン達を助けに来なかった?

 魔王が来ることを王は最初から知っていたんじゃないか?

 そしてフランは剣聖の娘か。

「貴様にはフランをここまで連れてきた礼をせねばなるまい」

「いえ、旅の途中にたまたま逃げてきたフラン様を見つけ、旅のついでにと思ったまでです。礼はいりません」

「名を教えよ、せめてもの褒美だ。ルナリアの国にいる間はどの宿に泊まっても金などかからないように手配しよう」

 当たり前だろ! 魔王討伐に寝る間もなく魔物退治してたんだ、一年中この国に世話になってもお釣りがくるぞ。

「クレス・フィールドです」

「なに!」

 これじゃギルドの時みたいに勘違いされるな。

「違いますよ、英雄とは名前が一緒なだけです」

「ふむ、クレス・フィールドか伝えておこう。帰ってよいぞ」

「それではそのご厚意に甘えさせてもらいます」

 俺はその場を後にする。

「クレス様、ありがとうございました」

 メイドが扉を閉める時にフランが頭を下げて感謝してるのがわかった。

 そして王の目に狂気が宿ってたのを見て見ぬふりは出来ないよな。



 お城を出た俺は速攻でこの国一番の宿に泊まりに行った。

「アリアス見張りはよろしく」

「はい、ユウ様」

 俺はベットに倒れ込む。

 アリアスは人化して、フランの城の様子を映像に映し出して見ている。

 監視カメラみたいな感じだ。

 これが千里眼の魔法だ。

 魔力感知能力がそうとう高い奴じゃないとアリアスの魔法はわからないだろう。

 部屋は二人部屋ってことで結構広い、家具の一つ一つに金をかけてんなと思うぐらいの感性しかないんだけどな。


 高い宿だからなのか風呂も個室で完備されていて、食事も運んできてくれた。

 でも味気ないんだよな、リリアの手料理が食いたい。

 俺はベットでダラダラしてる間に眠りについていたようだ。





「ユウ様、起きてください!」

 もう人化が保てなくなったのか?

 俺はボヤッとする視界でゆっくりと起き上がる。

「囲まれています」

 ドンドンと扉を叩く音が聞こえる。

「はいはい、なんですか~」

 アリアスはチビドラゴンに戻り俺の左肩に乗っている。

 俺は潔く扉を開けると騎士が廊下を埋めるぐらいにギッシリといた。

「クレス・フィールド様ですよね、元剣聖フローラ様殺害の罪がかかっています。王城に今すぐ来てもらおう」

 フランの母親の名前か? フローラって。

「いいぞ」

 騎士は俺が刃向かうと思っていたのか、素直すぎてビックリしたようだ。

「刃向かうと言うのならしかたない! ここで罪を償い死んでもらう!」

 なるほど、俺が筋書き通りにならなかったからビックリしてたのか。

 証拠を出せ! とかこんなの横暴だ! とかだよな普通は。

「いやいや、刃向かうとかしないからそのまま連れていってくれよ」

「斬りかかれぇぇぇ!」

 騎士の声に廊下を埋め尽くしていた騎士達が部屋になだれ込む。

 コイツらを相手してる暇はなさそうだな。


 俺は宿のベランダに走り飛び降りる。

 上でガシャガシャと鎧の擦れる音が聞こえるがそんな重装備では無理だ。

 六階建てのビルぐらいの高さがあるからな。

 魔法を放てば民の家まで巻き添えになる。

 余裕で着地して俺は城へ走る。

「アリアス! フランはまだ無事だったか?」

「きゅい!」

 首を縦に振って鳴き声を上げるアリアス。

 安心は出来ないが無事で居てくれよ!


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