2 / 33
映画のお約束シーンハイライト
しおりを挟む
日にそへて 憂さのみまさる 世の中に 心尽くしの 身をいかにせむ(落窪物語)
時は12世紀末、第3回十字軍の頃。
結界に閉ざされたアトランティスの西海岸、イギリスに面した側に、小さな掘っ立て小屋があった。
燃えるような赤毛の少女、カリアはそこに住んでいた。
「父さん……母さん……」
そうつぶやく彼女に、身寄りはない。アトランティスを真っ二つに割った内戦によって、残らず殺されてしまったからだ。
その悲劇の裏には、魔法使いにとって致命的ともいえる弱点があった。
魔法使いは、そうでないものを魔法で傷つけることはできないのだ。だから、結界を破ってアトランティスの外から招き入れた戦士たちの前に、剣や槍を扱うのが不得意な魔法使いたちはひとたまりもなかった。
やがて、落ちれば命がない断崖に立ったカリアがつぶやくのは、この一言だ。
「何で私……生きてるんだろ」
そのときだった。
心を閉ざして海岸の片隅に隠れ住む少女の前に、ひとりの少年が結界を越えて現れた。
異世界の魔法使いは、程なくして戦士たちに見つかってしまう。
侵入者として追われる身となった彼をかばって、カリアはアトランティス中を逃げ回ることになる。
「あなたが死ぬことはないわ……たとえ私が死んだとしても」
だが、少年はアトランティスの支配を狙うイギリス国王、「冬のライオン」と呼ばれたヘンリー2世の放った密偵だった。
内側の魔法使いに結界を解かせて、大船団が奇襲を掛けられるようにするのがその任務である。
「どうして……どうして、それがあなたなの?」
やがて逃避行に疲れ果て、追手に少年を引き渡してしまう。
「ごめん……私はあなたにとって、やっぱり魔女だったのよ」
再び、海岸のあばら家に引き篭もったカリアは、次の朝、ある決意を秘めて断崖に立つ。
「やっぱり、私は生きていなくてもよかったんだ」
はるか眼下で白い波を立てる海面へ向かって身を躍らせようとしたときだった。
崖の端で、カリアの足が止まった。
その目は、遠く水平線の彼方を見つめている。
「あれは……」
青い空と蒼い海の間にぽつんと白く浮かんだ点が、見る間に白い帆となって迫ってくる。
ひとつだけではない。
今にも海岸に迫るかに見えたイギリスの大船団は、突然、姿を消す。
アトランティスをすりぬけて、結界の反対側へと行ってしまったのだ。
「この島のありかはもう……分かっている」
断崖を離れたカリアは、空間を歪めて瞬間移動を可能にする「狭間隠し」の呪文で姿を消す。
現れたのは、アトランティスの都だった。
少年の居場所を探り当てたカリアは、知恵と魔法の限りを尽くして監獄へと侵入する。
牢の中の少年は、結界を解いてアトランティスの外へ出ようと誘う。
「イギリスの船はまた来る。君も一緒に行こう」
カリアの心は揺れる。
「ここから出れば、私は魔女よ。あなたも、仲間だと思われるわ」
「構わない」
「それに、1人じゃ結界は解けないわ」
「どうして?」
「結界は、強力な『狭間隠し』で歪められた空間なの。たくさんの魔法使いが、一斉に『狭間隠し』で空間を修復しなくちゃいけないの」
「1人じゃできないの?」
「できるけど、ものすごい稲妻が私の身体を焼き尽くすわ。無理な魔法の反動で」
そこで侵入が発見されたカリアを、少年は1人で脱出させる。
「君だけでアトランティスを出ろ。僕の名前を出せば、船が拾ってくれる」
「その先は?」
「イギリスにも、王家に仕える魔法使いはいる。協力すれば生きていけるけど、その気がないなら、逃げろ。地の果てまでも」
再び救出を試みるカリアは鉄壁となった警備に阻まれ、少年の処刑が翌日の朝だということだけを知ることになる。
一晩中、追手との死闘を繰り返したカリアは、再び断崖に戻ってくる。
海の彼方を見つめながら、考える。
「私は……」
少年の命か、自分の命か。
自由か、死か。
生き残れる可能性のある脱出か、絶望的な戦いか。
「私は……」
夜明けとともに、水平線の彼方に照らし出された白い帆の群れが見える。
「私は……!」
背後に、追手の戦士たちが迫る。
振り向きもしないで、カリアは叫ぶ。
「私は、逃げない!」
空が閃光に包まれ、稲妻が少女の姿と追手の影を一瞬で消滅させる。
イギリス軍の上陸による混乱に乗じて、少年は刑場から脱出する。
戦いは大勝に終わり、その断崖にはアトランティスに招かれた戦士たちの累々たる屍が横たわっている。
その間を歩き回っても、カリアは見つからない。
少年は天を仰いで涙をこらえながら、つぶやく。
「どこかで会える。きっといつか……きっといつか」
思い出したハイライトシーンの余韻を、タクシーの運転手は一方的なトークで無神経にぶち壊してくれた。
「いやあ、魔法使いさんたちって、どうやって撮るんですかね、ああいう映画。やっぱり、こう、空撮も自分で空飛んだりとか……」
「まあ、そこまではできませんけど」
業界のことはよく知らないが、分かることは一応、答えておく。
飛翔術は、「狭間隠し」と同じく、限られた者にしか伝えられない。それこそ、アトランティスの連絡員クラスの魔法だ。
そこまではいかなくても、魔法使いたちが生きていくために、その能力を使わないとできない仕事につくことは珍しくなかった。
古くから伝わる薬の調合や健康維持と回復の術は、国の認可のもとに医療行為として一般的に施すことができる。だから、どこの街中にも箒の看板を掲げた薬剤師や整体師はいるが、医者はいない。
魔法使い出身の手品師も、珍しくない。
ただし、正体を隠したり、本当に魔法を使っていると観客に疑われた日には同業者の仕事にも差し障りがあるので、手品が終わったら必ず種を明かすことが営業の作法となっている。常に新しいネタを売りにできるのは、怪我の功名というべきだろう。
芸能界で活躍している者もいる。
魔法を使えば、普通の人間ならSFXを使わなければならない超人的な動きができる。また、相手の立ち居振る舞いを見ることで一種の読心術が使える者もいる。まさに「以心伝心」で息の合った演技ができるため、名を成している俳優も多い。ここでは、魔法使いであることを売りにしている者もあれば、そうでない者もいる。カミングアウトのタイミングも、営業戦略というわけだ。
運転手の話は、さらに続く。
「そうそう、私、魔法女子プロレスも好きなんですよ」
魔法を駆使した超人的な技は、エンタテイメントとしての人気が高い。容姿の優れたレスラーは、ほとんどアイドル扱いだ。
「そういえば、伊能カリアちゃん! 私、大ファンなんですよ」
もちろん、伝説の少女に因んだ名前だ。髪を真っ赤に染めた華奢な女の子で、グラビアでも、レオタード姿や水着姿をちょくちょく目にすることがある。
主に「重力低下」を使った空中殺法で悪役を翻弄することが多いが、最大の見せ場は力ずくでマットに押さえ込まれたときだ。
テレビなんかだと、そこがアップにされるけど、別にいやらしい意味ではない。そういう目でも見られなくもないが、多くの魔法使いが注目するのは別のところだ。
細い手足が、滑らかなカーブを描く身体が、呪文の詠唱と共に膨れ上がる。
それが、「腕力倍増」の魔法だ。
図体のデカい悪役レスラーがあっという間にマットに転がされ、3カウントを取られる。
この大逆転劇こそが伊能カリアの魅力なんだけど、魔法使いじゃない人には分かっているのか、いないのか。
突然、運転手が叫んだ。
「うわああああ!」
近道をしようと入り込んだらしい狭い路地で、急に子供が飛び出してきたのだ。
でも、事故には至らなかった。間一髪でタクシーの車輪が空転し、慌てて立ち止まった子供は来た道を逃げ去っていった。
「危なかった……」
悲鳴に近い声で安堵の息をつく運転手に、僕は声をかけた。
「この辺でいいです」
運賃を聞いて、今度はこっちが悲鳴を上げた。
「高くありません?」
運転手は不機嫌に答えた。
「いつも通りですよ……魔法使いさんのほうのレートが下がったんじゃないですか?」
そう言われると返す言葉もないが、これも時間稼ぎだ。
できるだけノロノロ降りると、タイヤの下はもう、元通りに固まっていた。
地面を液状化する「泥沼」の呪文は、効果を抑えればそれほど長続きするものではない。
「あ……じゃ、いいです、乗せてください」
再び乗り込んだタクシーが発車する。
これで今月のお小遣いはなくなるだろうが、仕方がない。
センターの場所は知っているから、「疾走」の魔法で駆け付けられないこともなかった。
だが、人にぶつかるおそれがあるし、魔法使いとして一目につくのもイヤだった。
それにしても。
あの日、あんな夢を見なかったら、懐をすっからかんにして高いタクシーに乗ることもなかったのだ。
「帰り、どうしよう……」
2人分はおろか、1人を乗せて帰ることもできはしなかった。
時は12世紀末、第3回十字軍の頃。
結界に閉ざされたアトランティスの西海岸、イギリスに面した側に、小さな掘っ立て小屋があった。
燃えるような赤毛の少女、カリアはそこに住んでいた。
「父さん……母さん……」
そうつぶやく彼女に、身寄りはない。アトランティスを真っ二つに割った内戦によって、残らず殺されてしまったからだ。
その悲劇の裏には、魔法使いにとって致命的ともいえる弱点があった。
魔法使いは、そうでないものを魔法で傷つけることはできないのだ。だから、結界を破ってアトランティスの外から招き入れた戦士たちの前に、剣や槍を扱うのが不得意な魔法使いたちはひとたまりもなかった。
やがて、落ちれば命がない断崖に立ったカリアがつぶやくのは、この一言だ。
「何で私……生きてるんだろ」
そのときだった。
心を閉ざして海岸の片隅に隠れ住む少女の前に、ひとりの少年が結界を越えて現れた。
異世界の魔法使いは、程なくして戦士たちに見つかってしまう。
侵入者として追われる身となった彼をかばって、カリアはアトランティス中を逃げ回ることになる。
「あなたが死ぬことはないわ……たとえ私が死んだとしても」
だが、少年はアトランティスの支配を狙うイギリス国王、「冬のライオン」と呼ばれたヘンリー2世の放った密偵だった。
内側の魔法使いに結界を解かせて、大船団が奇襲を掛けられるようにするのがその任務である。
「どうして……どうして、それがあなたなの?」
やがて逃避行に疲れ果て、追手に少年を引き渡してしまう。
「ごめん……私はあなたにとって、やっぱり魔女だったのよ」
再び、海岸のあばら家に引き篭もったカリアは、次の朝、ある決意を秘めて断崖に立つ。
「やっぱり、私は生きていなくてもよかったんだ」
はるか眼下で白い波を立てる海面へ向かって身を躍らせようとしたときだった。
崖の端で、カリアの足が止まった。
その目は、遠く水平線の彼方を見つめている。
「あれは……」
青い空と蒼い海の間にぽつんと白く浮かんだ点が、見る間に白い帆となって迫ってくる。
ひとつだけではない。
今にも海岸に迫るかに見えたイギリスの大船団は、突然、姿を消す。
アトランティスをすりぬけて、結界の反対側へと行ってしまったのだ。
「この島のありかはもう……分かっている」
断崖を離れたカリアは、空間を歪めて瞬間移動を可能にする「狭間隠し」の呪文で姿を消す。
現れたのは、アトランティスの都だった。
少年の居場所を探り当てたカリアは、知恵と魔法の限りを尽くして監獄へと侵入する。
牢の中の少年は、結界を解いてアトランティスの外へ出ようと誘う。
「イギリスの船はまた来る。君も一緒に行こう」
カリアの心は揺れる。
「ここから出れば、私は魔女よ。あなたも、仲間だと思われるわ」
「構わない」
「それに、1人じゃ結界は解けないわ」
「どうして?」
「結界は、強力な『狭間隠し』で歪められた空間なの。たくさんの魔法使いが、一斉に『狭間隠し』で空間を修復しなくちゃいけないの」
「1人じゃできないの?」
「できるけど、ものすごい稲妻が私の身体を焼き尽くすわ。無理な魔法の反動で」
そこで侵入が発見されたカリアを、少年は1人で脱出させる。
「君だけでアトランティスを出ろ。僕の名前を出せば、船が拾ってくれる」
「その先は?」
「イギリスにも、王家に仕える魔法使いはいる。協力すれば生きていけるけど、その気がないなら、逃げろ。地の果てまでも」
再び救出を試みるカリアは鉄壁となった警備に阻まれ、少年の処刑が翌日の朝だということだけを知ることになる。
一晩中、追手との死闘を繰り返したカリアは、再び断崖に戻ってくる。
海の彼方を見つめながら、考える。
「私は……」
少年の命か、自分の命か。
自由か、死か。
生き残れる可能性のある脱出か、絶望的な戦いか。
「私は……」
夜明けとともに、水平線の彼方に照らし出された白い帆の群れが見える。
「私は……!」
背後に、追手の戦士たちが迫る。
振り向きもしないで、カリアは叫ぶ。
「私は、逃げない!」
空が閃光に包まれ、稲妻が少女の姿と追手の影を一瞬で消滅させる。
イギリス軍の上陸による混乱に乗じて、少年は刑場から脱出する。
戦いは大勝に終わり、その断崖にはアトランティスに招かれた戦士たちの累々たる屍が横たわっている。
その間を歩き回っても、カリアは見つからない。
少年は天を仰いで涙をこらえながら、つぶやく。
「どこかで会える。きっといつか……きっといつか」
思い出したハイライトシーンの余韻を、タクシーの運転手は一方的なトークで無神経にぶち壊してくれた。
「いやあ、魔法使いさんたちって、どうやって撮るんですかね、ああいう映画。やっぱり、こう、空撮も自分で空飛んだりとか……」
「まあ、そこまではできませんけど」
業界のことはよく知らないが、分かることは一応、答えておく。
飛翔術は、「狭間隠し」と同じく、限られた者にしか伝えられない。それこそ、アトランティスの連絡員クラスの魔法だ。
そこまではいかなくても、魔法使いたちが生きていくために、その能力を使わないとできない仕事につくことは珍しくなかった。
古くから伝わる薬の調合や健康維持と回復の術は、国の認可のもとに医療行為として一般的に施すことができる。だから、どこの街中にも箒の看板を掲げた薬剤師や整体師はいるが、医者はいない。
魔法使い出身の手品師も、珍しくない。
ただし、正体を隠したり、本当に魔法を使っていると観客に疑われた日には同業者の仕事にも差し障りがあるので、手品が終わったら必ず種を明かすことが営業の作法となっている。常に新しいネタを売りにできるのは、怪我の功名というべきだろう。
芸能界で活躍している者もいる。
魔法を使えば、普通の人間ならSFXを使わなければならない超人的な動きができる。また、相手の立ち居振る舞いを見ることで一種の読心術が使える者もいる。まさに「以心伝心」で息の合った演技ができるため、名を成している俳優も多い。ここでは、魔法使いであることを売りにしている者もあれば、そうでない者もいる。カミングアウトのタイミングも、営業戦略というわけだ。
運転手の話は、さらに続く。
「そうそう、私、魔法女子プロレスも好きなんですよ」
魔法を駆使した超人的な技は、エンタテイメントとしての人気が高い。容姿の優れたレスラーは、ほとんどアイドル扱いだ。
「そういえば、伊能カリアちゃん! 私、大ファンなんですよ」
もちろん、伝説の少女に因んだ名前だ。髪を真っ赤に染めた華奢な女の子で、グラビアでも、レオタード姿や水着姿をちょくちょく目にすることがある。
主に「重力低下」を使った空中殺法で悪役を翻弄することが多いが、最大の見せ場は力ずくでマットに押さえ込まれたときだ。
テレビなんかだと、そこがアップにされるけど、別にいやらしい意味ではない。そういう目でも見られなくもないが、多くの魔法使いが注目するのは別のところだ。
細い手足が、滑らかなカーブを描く身体が、呪文の詠唱と共に膨れ上がる。
それが、「腕力倍増」の魔法だ。
図体のデカい悪役レスラーがあっという間にマットに転がされ、3カウントを取られる。
この大逆転劇こそが伊能カリアの魅力なんだけど、魔法使いじゃない人には分かっているのか、いないのか。
突然、運転手が叫んだ。
「うわああああ!」
近道をしようと入り込んだらしい狭い路地で、急に子供が飛び出してきたのだ。
でも、事故には至らなかった。間一髪でタクシーの車輪が空転し、慌てて立ち止まった子供は来た道を逃げ去っていった。
「危なかった……」
悲鳴に近い声で安堵の息をつく運転手に、僕は声をかけた。
「この辺でいいです」
運賃を聞いて、今度はこっちが悲鳴を上げた。
「高くありません?」
運転手は不機嫌に答えた。
「いつも通りですよ……魔法使いさんのほうのレートが下がったんじゃないですか?」
そう言われると返す言葉もないが、これも時間稼ぎだ。
できるだけノロノロ降りると、タイヤの下はもう、元通りに固まっていた。
地面を液状化する「泥沼」の呪文は、効果を抑えればそれほど長続きするものではない。
「あ……じゃ、いいです、乗せてください」
再び乗り込んだタクシーが発車する。
これで今月のお小遣いはなくなるだろうが、仕方がない。
センターの場所は知っているから、「疾走」の魔法で駆け付けられないこともなかった。
だが、人にぶつかるおそれがあるし、魔法使いとして一目につくのもイヤだった。
それにしても。
あの日、あんな夢を見なかったら、懐をすっからかんにして高いタクシーに乗ることもなかったのだ。
「帰り、どうしよう……」
2人分はおろか、1人を乗せて帰ることもできはしなかった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】うだつが上がらない底辺冒険者だったオッサンは命を燃やして強くなる
邪代夜叉(ヤシロヤシャ)
ファンタジー
まだ遅くない。
オッサンにだって、未来がある。
底辺から這い上がる冒険譚?!
辺鄙の小さな村に生まれた少年トーマは、幼い頃にゴブリン退治で村に訪れていた冒険者に憧れ、いつか自らも偉大な冒険者となることを誓い、十五歳で村を飛び出した。
しかし現実は厳しかった。
十数年の時は流れてオッサンとなり、その間、大きな成果を残せず“とんまのトーマ”と不名誉なあだ名を陰で囁かれ、やがて採取や配達といった雑用依頼ばかりこなす、うだつの上がらない底辺冒険者生活を続けていた。
そんなある日、荷車の護衛の依頼を受けたトーマは――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる