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胎動
胎動3
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その男に出会うまではいつもと同じつまらない任務だと思っていた。
姉と慕う姫殿下の視察に同行しての警護。
お忍びなのだろう護衛は少数、行先は聞いたこともないような地方都市だった。
領地から王都へ、そこで王、貴族を交えて妹君との会食。仲が悪いと聞いていたが傍目にはそうは見えなかった。
数日の王都での滞在。その後エリデルと言われる地方都市へ。
やけに兵の数が多く警戒が厳重だった。ここはエリオット伯の領地だそうだが警護している兵は全て妹君配下の者達、練度は非常に高そうだった。
シリウスは思い出す。姫殿下は都市に入る前こう仰った。
「シリウス、あなたの眼で見て不審に思えたものはその力を躊躇なく使い捉えなさい。」
何かが起きることを非常に心待ちにしているようなそんな笑顔が美しかったのを覚えている
拾われて15年か・・・
シリウスは王国人ではない。皇国の出だ。20年前の戦で戦利品として連れて来られた母が王国に来て8か月後に生んだ子。
力を持つ皇国人はただの人ではない。
皇国内で甲種、乙種、丙種、丁種と4段階に分けられるその力を持つものは年月を重ねるごとにその力を結晶として体内に蓄えていく。
力を行使すればするほど腎に貯まり、瞑想を重ね、地と結びつくように力を練れば練るほど心に貯まる。
前者を腎石といい後者を心石という。齢100を超える甲種の心石は心の臓そのままの形で取れるといわれている。
そんな力を持った石は様々な奇跡を呼び起こす。それは光であり熱である。つまり奇跡の力そのものだ。
何を引き出すかは引き出すための魔道具によって様々だ。力ある皇国人であれば力の行使の触媒としても使う。
そんな王国が皇国に戦を仕掛ける目的はただ一つ、力を持った石達と人だ。
古代遺跡より発掘されるさまざな魔道具の使用には腎石や時には心石が必須。
だが皇国は厳密な戸籍制度により人の生死を厳重に管理し石を集め他国への供給をかなり絞っていた。
精製の技術が他国に流れた200年前より皇国は石の供給をコントロールしはじめた。そしてその事は定期的に王国と皇国は戦を繰り返す主因となった。
戦争の結果戦利品として連れ去られた皇国人は王国でどうなるのか。
そのほとんどは王直轄の地で厳重に監視され力を王国のため使い余生を過ごす。
苦しんで死ぬと石が濁ると言われているため老人は薬で安楽死させられる。
ならば増やせばいい、だれもが思いつく手段だが力は地と結びついているらしく王国本土で新たに妊娠をし生まれた子供たちは力を全く持たない。
そんな中で一番扱いに困るのがより大きな力を持つものをどうするかだ。甲種などは皇国でも非常に貴種でありその力は絶大で危険だ。
子どもであれば隔離される。各地の神殿に預けられ一切の外界の情報と教育を与えず祈りの日々だ。年を取り寿命が尽きるまで閉じた世界から出ることはかなわない。
そんな彼が外に出られたのは姉と慕うイングリッド姫殿下が父である王に無邪気にもペットとして彼をねだったからに過ぎない。
だがその結果彼は閉じた世界から5歳にして初めて外の世界を見ることができた。彼にはイングリッドに対して感謝の想いしかない。
シリウスという名もその時イングリッドから与えられたものだ。ちょっと前に死んでしまった彼女の犬の名前と一緒だというのを知ったのはずいぶん後になってからだ。
街についてから二日目の夜、イングリッドが突然出立すると言い出した。不審に思ったが気まぐれなのはいつもの事。馬車に同乗しろと言われたので乗り込み疑問を口にする。
「どちらに向かわれるのです?」
イングリッドはとても楽しげに答えた。
「妹が作っているおもちゃを見学する許可がやっと下りたのよ。」
「おもちゃとは何なのです?」
「あなたが詳細を知る必要は今はないわ。」
「わかりました。」
聞いても答える気はないのだろう。こういう時は引いた方が機嫌を損ねずに済むと経験則で知っている。
2時間ほど走っただろうか、突然馬車が止まり御者と警護の者が慌ただしく動く音が聞こえた。
「ちょっと外を見てきます。」
扉を開けると検問所なのだろう。かがり火とバリケード、そして幾人かの兵の姿が見えた。
警護の兵の中でも古参の男が走り寄って耳元で囁く。
「ここからは徒歩になるそうです」
シリウスはムッとする。
「姫殿下に徒歩で歩けと?」
「馬車は無理そうですなぁ、そもそもお忍びです。こちらの身分を知らされてはおらんのでしょう。」
やれやれと言った表情で古参の男が手のひらを上げてお手上げですと言った。
「仕方ないか・・・姫殿下には私から話そう。目的地は遠くはないのだろ?」
「ここからは見えませんが少し歩くと切り立った崖になるそうです。そこを降りれば目的地だと」
前方を見やる。崖の下の窪地からの明かりのせいか夜だというのに上空の雲が明るく見えた。
馬車の扉を御者が開いた。イングリッドが顔をのぞかせる。シリウスは急いで歩み寄るとその手を取った。
石畳でもないただ踏み固められた土の上をイングリッドが歩くというだけでシリウスの心に怒りに似た感情が湧く。
「気にしないでよい。」
イングリッドの顔にはこれから見るなにかへの期待感からか明らかに興奮めいたものがあった。
10分ほど歩くとまた検問所がありそのさきはすぐに崖となっていた。
30メートルほどの切り立った崖。シリウスは眼に力を集中させた。一時的に視力が上がる。目算する、直径20kmほどの窪地そして中央に湖。
湖の周りには木造の一棟が非常に大きな倉庫が15、異様な工場群だ。夜だというのに明かりが煌々と灯されている。
明かりが白いため魔道具によるものだとわかる。しかもこの規模。一体いくらかけているのか・・・。
「降りたところで馬車を待たせてあるそうです。」
古参の警備が再度近寄ってきて耳元で囁いた。
その言葉でやっと正気に戻ったシリウスは後ろからゆったりと歩いてきたイングリッドに同じことを伝えた。
シリウスの表情を見てふっと笑うと影のある表情で言った。
「なかなかのものでしょ。あの妹にしてはよくやったと褒めてあげてもいいわ。他人の領地にこれだけのものを作って、一体どんな手を使って伯を誑し込んだのでしょうね。」
シリウスはあえて無表情を装った。相槌を打つのも危険な話題だ。
「魔道具の量もこれだけの腎石もどうやって集めたのか。あちらに昇降機もあるようです。」
「私もかなり提供させられたわ。それにしたってこれだけ全てを妹の領地の財力で補えなえたとは思えない。ほんと、どうしたのでしょうね。」
昇降機で崖下へ降りるとイングリッドの異母妹にあたるライヤ殿下が出迎えた。
イングリッドが王国直系の血筋を思わせる金髪碧眼であるのに対し、ライヤは黒髪そしてブラウンとブルーのオッドアイ。
退廃的ともいえるけだるさと甘ったるさを宿したその表情は男に暗いものを自然に抱かせる。
シリウスは姿勢を正す。イングリッドが一番嫌いなのが男たちが妹に見せるそんな暗い視線なのをよく知っている。
娼婦の姫・・・
事実、ライヤの母は娼婦の出だ。その出自すら怪しまれる身なのに姫となったのは王と同じあざが太ももの内にあるためだと言われている。
イングリッドは王国内でも有力な貴族の出、仲が悪いのも致し方が無いのかもしれない。
「姉上、よくおいでなさいました。」
いつ聞いても色気がありすぎる声だな・・・
シリウスは努めて無表情を装ってそんなことを思った。
「二日も待たせるなんてどういうつもりなの?」
道中と違いライヤを目の前にしたイングリッドは明らかに不機嫌だった。
王都で多数の貴族の前であった時とは明らかに違う。
「姉上がいらっしゃられるには汚すぎまして、この後見ていただけるとわかりますがこれでも工房総出で掃除させたのです。そうそう、技術的なことはこの者がご説明いたします。」
ライヤの後ろで頭を垂れひざまずいていた男が顔を上げる。
「ご尊顔を拝することが出来まして恐悦至極にございます。ファナティックと呼ばれております、ここの技術者の元締めのようなことをさせていただいております。」
イングリッドは鷹揚にうなずいた。
「姉上、では約束通りシリウスをお借りいたします。今後の事については後程改めまして。」
「ライヤ、わかったわ。シリウス、その力、存分に使いなさい。」
突然の事にシリウスは動揺する。何も聞かされていない。
イングリッドは用意されていた馬車に乗り込むと警護とファナティック達を引き連れて言ってしまった。
残されたのはシリウスとライヤ、そしてその警護の者たち数名。
「さて、聞かされていると思うけどあなたにはその力を使って皇国のネズミ退治をしてもらいます。いるのは確か、でも巧妙で見つけられない。外部への情報伝達に能力を使っていることは間違いないわ。だからあなたが必要なの。」
全て初めて聞いたことだがシリウスは理解しているという表情を作ってうなずいた。
その後、イングリッドは二日この場所に滞在しシリウスに日々鍛錬を怠らないようにとだけ言って領地へと帰っていった。
彼がネズミを見つけたのはこの1週間後の事である。彼が同じ力を持つものと戦ったのはその時が初めてだった。
姉と慕う姫殿下の視察に同行しての警護。
お忍びなのだろう護衛は少数、行先は聞いたこともないような地方都市だった。
領地から王都へ、そこで王、貴族を交えて妹君との会食。仲が悪いと聞いていたが傍目にはそうは見えなかった。
数日の王都での滞在。その後エリデルと言われる地方都市へ。
やけに兵の数が多く警戒が厳重だった。ここはエリオット伯の領地だそうだが警護している兵は全て妹君配下の者達、練度は非常に高そうだった。
シリウスは思い出す。姫殿下は都市に入る前こう仰った。
「シリウス、あなたの眼で見て不審に思えたものはその力を躊躇なく使い捉えなさい。」
何かが起きることを非常に心待ちにしているようなそんな笑顔が美しかったのを覚えている
拾われて15年か・・・
シリウスは王国人ではない。皇国の出だ。20年前の戦で戦利品として連れて来られた母が王国に来て8か月後に生んだ子。
力を持つ皇国人はただの人ではない。
皇国内で甲種、乙種、丙種、丁種と4段階に分けられるその力を持つものは年月を重ねるごとにその力を結晶として体内に蓄えていく。
力を行使すればするほど腎に貯まり、瞑想を重ね、地と結びつくように力を練れば練るほど心に貯まる。
前者を腎石といい後者を心石という。齢100を超える甲種の心石は心の臓そのままの形で取れるといわれている。
そんな力を持った石は様々な奇跡を呼び起こす。それは光であり熱である。つまり奇跡の力そのものだ。
何を引き出すかは引き出すための魔道具によって様々だ。力ある皇国人であれば力の行使の触媒としても使う。
そんな王国が皇国に戦を仕掛ける目的はただ一つ、力を持った石達と人だ。
古代遺跡より発掘されるさまざな魔道具の使用には腎石や時には心石が必須。
だが皇国は厳密な戸籍制度により人の生死を厳重に管理し石を集め他国への供給をかなり絞っていた。
精製の技術が他国に流れた200年前より皇国は石の供給をコントロールしはじめた。そしてその事は定期的に王国と皇国は戦を繰り返す主因となった。
戦争の結果戦利品として連れ去られた皇国人は王国でどうなるのか。
そのほとんどは王直轄の地で厳重に監視され力を王国のため使い余生を過ごす。
苦しんで死ぬと石が濁ると言われているため老人は薬で安楽死させられる。
ならば増やせばいい、だれもが思いつく手段だが力は地と結びついているらしく王国本土で新たに妊娠をし生まれた子供たちは力を全く持たない。
そんな中で一番扱いに困るのがより大きな力を持つものをどうするかだ。甲種などは皇国でも非常に貴種でありその力は絶大で危険だ。
子どもであれば隔離される。各地の神殿に預けられ一切の外界の情報と教育を与えず祈りの日々だ。年を取り寿命が尽きるまで閉じた世界から出ることはかなわない。
そんな彼が外に出られたのは姉と慕うイングリッド姫殿下が父である王に無邪気にもペットとして彼をねだったからに過ぎない。
だがその結果彼は閉じた世界から5歳にして初めて外の世界を見ることができた。彼にはイングリッドに対して感謝の想いしかない。
シリウスという名もその時イングリッドから与えられたものだ。ちょっと前に死んでしまった彼女の犬の名前と一緒だというのを知ったのはずいぶん後になってからだ。
街についてから二日目の夜、イングリッドが突然出立すると言い出した。不審に思ったが気まぐれなのはいつもの事。馬車に同乗しろと言われたので乗り込み疑問を口にする。
「どちらに向かわれるのです?」
イングリッドはとても楽しげに答えた。
「妹が作っているおもちゃを見学する許可がやっと下りたのよ。」
「おもちゃとは何なのです?」
「あなたが詳細を知る必要は今はないわ。」
「わかりました。」
聞いても答える気はないのだろう。こういう時は引いた方が機嫌を損ねずに済むと経験則で知っている。
2時間ほど走っただろうか、突然馬車が止まり御者と警護の者が慌ただしく動く音が聞こえた。
「ちょっと外を見てきます。」
扉を開けると検問所なのだろう。かがり火とバリケード、そして幾人かの兵の姿が見えた。
警護の兵の中でも古参の男が走り寄って耳元で囁く。
「ここからは徒歩になるそうです」
シリウスはムッとする。
「姫殿下に徒歩で歩けと?」
「馬車は無理そうですなぁ、そもそもお忍びです。こちらの身分を知らされてはおらんのでしょう。」
やれやれと言った表情で古参の男が手のひらを上げてお手上げですと言った。
「仕方ないか・・・姫殿下には私から話そう。目的地は遠くはないのだろ?」
「ここからは見えませんが少し歩くと切り立った崖になるそうです。そこを降りれば目的地だと」
前方を見やる。崖の下の窪地からの明かりのせいか夜だというのに上空の雲が明るく見えた。
馬車の扉を御者が開いた。イングリッドが顔をのぞかせる。シリウスは急いで歩み寄るとその手を取った。
石畳でもないただ踏み固められた土の上をイングリッドが歩くというだけでシリウスの心に怒りに似た感情が湧く。
「気にしないでよい。」
イングリッドの顔にはこれから見るなにかへの期待感からか明らかに興奮めいたものがあった。
10分ほど歩くとまた検問所がありそのさきはすぐに崖となっていた。
30メートルほどの切り立った崖。シリウスは眼に力を集中させた。一時的に視力が上がる。目算する、直径20kmほどの窪地そして中央に湖。
湖の周りには木造の一棟が非常に大きな倉庫が15、異様な工場群だ。夜だというのに明かりが煌々と灯されている。
明かりが白いため魔道具によるものだとわかる。しかもこの規模。一体いくらかけているのか・・・。
「降りたところで馬車を待たせてあるそうです。」
古参の警備が再度近寄ってきて耳元で囁いた。
その言葉でやっと正気に戻ったシリウスは後ろからゆったりと歩いてきたイングリッドに同じことを伝えた。
シリウスの表情を見てふっと笑うと影のある表情で言った。
「なかなかのものでしょ。あの妹にしてはよくやったと褒めてあげてもいいわ。他人の領地にこれだけのものを作って、一体どんな手を使って伯を誑し込んだのでしょうね。」
シリウスはあえて無表情を装った。相槌を打つのも危険な話題だ。
「魔道具の量もこれだけの腎石もどうやって集めたのか。あちらに昇降機もあるようです。」
「私もかなり提供させられたわ。それにしたってこれだけ全てを妹の領地の財力で補えなえたとは思えない。ほんと、どうしたのでしょうね。」
昇降機で崖下へ降りるとイングリッドの異母妹にあたるライヤ殿下が出迎えた。
イングリッドが王国直系の血筋を思わせる金髪碧眼であるのに対し、ライヤは黒髪そしてブラウンとブルーのオッドアイ。
退廃的ともいえるけだるさと甘ったるさを宿したその表情は男に暗いものを自然に抱かせる。
シリウスは姿勢を正す。イングリッドが一番嫌いなのが男たちが妹に見せるそんな暗い視線なのをよく知っている。
娼婦の姫・・・
事実、ライヤの母は娼婦の出だ。その出自すら怪しまれる身なのに姫となったのは王と同じあざが太ももの内にあるためだと言われている。
イングリッドは王国内でも有力な貴族の出、仲が悪いのも致し方が無いのかもしれない。
「姉上、よくおいでなさいました。」
いつ聞いても色気がありすぎる声だな・・・
シリウスは努めて無表情を装ってそんなことを思った。
「二日も待たせるなんてどういうつもりなの?」
道中と違いライヤを目の前にしたイングリッドは明らかに不機嫌だった。
王都で多数の貴族の前であった時とは明らかに違う。
「姉上がいらっしゃられるには汚すぎまして、この後見ていただけるとわかりますがこれでも工房総出で掃除させたのです。そうそう、技術的なことはこの者がご説明いたします。」
ライヤの後ろで頭を垂れひざまずいていた男が顔を上げる。
「ご尊顔を拝することが出来まして恐悦至極にございます。ファナティックと呼ばれております、ここの技術者の元締めのようなことをさせていただいております。」
イングリッドは鷹揚にうなずいた。
「姉上、では約束通りシリウスをお借りいたします。今後の事については後程改めまして。」
「ライヤ、わかったわ。シリウス、その力、存分に使いなさい。」
突然の事にシリウスは動揺する。何も聞かされていない。
イングリッドは用意されていた馬車に乗り込むと警護とファナティック達を引き連れて言ってしまった。
残されたのはシリウスとライヤ、そしてその警護の者たち数名。
「さて、聞かされていると思うけどあなたにはその力を使って皇国のネズミ退治をしてもらいます。いるのは確か、でも巧妙で見つけられない。外部への情報伝達に能力を使っていることは間違いないわ。だからあなたが必要なの。」
全て初めて聞いたことだがシリウスは理解しているという表情を作ってうなずいた。
その後、イングリッドは二日この場所に滞在しシリウスに日々鍛錬を怠らないようにとだけ言って領地へと帰っていった。
彼がネズミを見つけたのはこの1週間後の事である。彼が同じ力を持つものと戦ったのはその時が初めてだった。
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