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ウタワセテ、ワタシ二、ウタワセテ!!!
歌が好きなの。
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……目が覚めた。
陽炎のように視界は歪んでいる。
「……ぁぁ…」
夢の中での幸せは、目が覚めたと同時に消えてしまった。
現実に引き戻される。
頬を熱いものが伝う。
涙。
手で拭えば、その水を目視することになる。
どこか海のような味のする液体で濡れた手をすぐに引っ込めた。
赤に、紅に見えたのだ。
彼の色。
彼の、紅。
「ぅあ……」
小さな呻き声のような、なんとも言えぬ声が口の端から漏れた。
泣きそうになるのを堪え、あの人にそっとおはよう、と送った。
関係は途切れても好きなんだ。
ただの、片想い。
恋人たちが必ず通るはずの道を、私は通っていない。
初めて、『片想い』を実感した瞬間だった。
やがて、おはよう、とかわいらしい顔文字付きで返信がくる。
付き合っている時にはぶっきらぼうで、おはようなんて送っても何も返ってこなかったのに。
彼は皆の人気者。
私なんかとは比べ物にならない程モテるし、顔もいいし。
ただ、深入りすればするほどこの彼という人間がクズなのだと理解する。
私はたくさんの人と性格しかわからないネットの世界で関わってきたけれど、これ程までにクズだと思ったのは彼が初めてだ。
「……一本のきっかけで辛くもなるし幸せにもなるって言うけど、傷と優だってあまり変わらない気がする。心があるかないかくらいの違いじゃない」
好きと嫌い
好きと愛してる
好きと普通
傷と、優しさ
これらは全部紙一重とでも言うのか。
でも、存外、間違いではないのだろう。
そんなことを考えておるうちに、紅に見えた涙は乾いていた。
「 愛を失った世界にぽつり 一人きりの私
君への愛は君の器に乗ることなく零れ落ちる 」
いつか覚えた曲を、そっと口ずさむ。
昔とは違った歌い方。
これは、彼の影響で変わったんだったな。
「……歌い、たい」
私の小さな呟きは、誰にも届かず心の中で消えてゆく。
陽炎のように視界は歪んでいる。
「……ぁぁ…」
夢の中での幸せは、目が覚めたと同時に消えてしまった。
現実に引き戻される。
頬を熱いものが伝う。
涙。
手で拭えば、その水を目視することになる。
どこか海のような味のする液体で濡れた手をすぐに引っ込めた。
赤に、紅に見えたのだ。
彼の色。
彼の、紅。
「ぅあ……」
小さな呻き声のような、なんとも言えぬ声が口の端から漏れた。
泣きそうになるのを堪え、あの人にそっとおはよう、と送った。
関係は途切れても好きなんだ。
ただの、片想い。
恋人たちが必ず通るはずの道を、私は通っていない。
初めて、『片想い』を実感した瞬間だった。
やがて、おはよう、とかわいらしい顔文字付きで返信がくる。
付き合っている時にはぶっきらぼうで、おはようなんて送っても何も返ってこなかったのに。
彼は皆の人気者。
私なんかとは比べ物にならない程モテるし、顔もいいし。
ただ、深入りすればするほどこの彼という人間がクズなのだと理解する。
私はたくさんの人と性格しかわからないネットの世界で関わってきたけれど、これ程までにクズだと思ったのは彼が初めてだ。
「……一本のきっかけで辛くもなるし幸せにもなるって言うけど、傷と優だってあまり変わらない気がする。心があるかないかくらいの違いじゃない」
好きと嫌い
好きと愛してる
好きと普通
傷と、優しさ
これらは全部紙一重とでも言うのか。
でも、存外、間違いではないのだろう。
そんなことを考えておるうちに、紅に見えた涙は乾いていた。
「 愛を失った世界にぽつり 一人きりの私
君への愛は君の器に乗ることなく零れ落ちる 」
いつか覚えた曲を、そっと口ずさむ。
昔とは違った歌い方。
これは、彼の影響で変わったんだったな。
「……歌い、たい」
私の小さな呟きは、誰にも届かず心の中で消えてゆく。
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