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六月:暗く深い淵へ
どうぞ、彼女のところへ【恋情】
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夫と行った夜会で、ファンデルメイデ辺境伯ご夫妻を拝見しました。
久しぶりのことでした。学園を卒業してから一切お会いしていなかったので、五年ぶりになるのでしょうか。
ご夫妻ともに私と同年代なのですけれど、この王国の貴族子女が通う学園を卒業するまでも卒業してからも、辺境伯領は魔獣の氾濫に苦しめられていたのです。そのため、学園でご夫君のエイディッツ様をお見かけすることは、ほとんどありませんでした。
魔獣素材はお金になりますし、そもそも我が国は魔獣素材によって作られた武器や防具の販売で栄えています。
魔獣の氾濫に対応する力を持つファンデルメイデ辺境伯家の人間は、学園に通わなくても良いと王家に許されているのだそうです。
とはいえ、社交界での人脈作りは必要ですから、エイディッツ様も魔獣の氾濫が落ち着いたときなどには、王都の学園に登校されていたのです。美しい婚約者、今は辺境伯夫人となられたケッテ様にお会いになりたかったのもあるでしょう。
「辺境伯夫人は、相変わらず華やかだね」
「そうですね」
私は夫の言葉に頷きました。
ケッテ様は学園時代から、美しさと華やかさで知られた方でした。
先ほども申しましたようにエイディッツ様が登校なさるのは滅多にないことでしたが、彼女は婚約者が不在でも多くの貴族子息方に取り囲まれて華やかにお過ごしだったのです。
──その取り巻きのひとりがバリー様。
私の元婚約者の伯爵令息でした。
伯爵令息といっても次男だったバリー様は、子爵家の跡取りである私のところへ婿入りなさる予定だったのです。
バリー様は地味で内向的な私と違い、派手好きで社交的な男性でした。
正反対のふたりだからこそ、互いに補い合えると双方の両親は思っていたのでしょう。
今の夫には申し訳ないのですが、私の初恋の相手はバリー様でした。派手好きなバリー様は美しいものを見抜く力があり、優れた画才をお持ちでもありました。私の宝石箱の底に、バリー様に描いていただいた私の肖像画があることは、夫には一生秘密です。
だけどバリー様は、おとなしい私のことを退屈に感じていたのでしょう。
学園に入学して美しく華やかなケッテ様に会うと、たちまち夢中になられたのです。
バリー様はケッテ様を題材にして、何枚も素晴らしい絵をお描きになりました。絵を描くためとおっしゃって、絵を描くための直感を求めてとおっしゃって、いつもケッテ様と行動をともになさっていました。
私が勇気を出して不満を伝えても、バリー様は言うのです。
『レネ、僕とケッテの間にあるのは恋愛じゃないよ、友情だ。滅多にお会いしないファンデルメイデ辺境伯家のエイディッツ様もわかってくれているのに、どうして側にいる君にはわからないの?』
エイディッツ様は自分がいないときのケッテ様が、ほかの貴族子息方と親しくしていることを認めていらっしゃいました。
むしろ自分の代わりにケッテ様を守って欲しいとお願いしていたそうです。
バリー様がおっしゃっていることが嘘ではないこともわかっていました。バリー様はケッテ様に恋してはいらっしゃいませんでした。絵の題材として、気の合う友人として親しくされていただけなのです。
それはつまり、バリー様が私にも恋していらっしゃらなかったということです。
バリー様が恋していたのは絵の題材となる派手なもの美しいもの華やかなもの、それから絵を描くための直感をもたらしてくれる社交であり人間関係でした。
彼は人が人に対して抱く不条理で醜い恋情をご存じなかったのです。ケッテ様と去っていくバリー様の背中を見つめていた私の瞳の熱も、ケッテ様と会うからと約束を反故にされたときの私の胸に落ちた冷たい氷も、バリー様がケッテ様のお話をなさるたびにひび割れていった私の心も……
才能のあるバリー様の絵はさまざまな品評会で賞を取り、美術館で展示されました。
どれもお美しいケッテ様の絵です。
それが続くと、さすがにおふたりの関係を怪しむものも現れるようになりました。ケッテ様はバリー様とだけでなく、ほかの取り巻きの貴族子息方との仲も噂されるようになりました。
学園の卒業を間近に控えたある日、私は父にこの婚約をどうしたいかと聞かれたのです。
『冗談だよね、レネ』
婚約解消を申し出ると、バリー様は心底意外そうにおっしゃいました。
『君は僕を愛してくれているじゃないか。どうして婚約を解消する必要があるんだい? ケッテとの噂には根も葉もない。僕が彼女を愛してなんかいないことは、君が一番よくわかっているだろう?』
わかっていました。バリー様がケッテ様を愛していないことはわかっていました。
だって私は、いつも彼を見つめていたのですもの。
それでも人は嫉妬をするのです。会えない時間を辛いと思うのです。
バリー様がそれを理解出来ないのは、友情を優先しても良いと思っていたのは、だれかを愛したことがないからです。
気が狂いそうなほどの恋情を抱いたことがないからです。
だから……私は婚約を解消したかったのです。
『私がバリー様を愛しているとおわかりの上でケッテ様との友情を大切になさるのなら、それは結局私よりもケッテ様のほうが大切だということではありませんか。婚約者よりも未来の家族よりも友人を優先する方と生きていくことは出来ません。……どうぞ、彼女のところへ』
バリー様は怒りました。
私を愚か者と罵りました。
婚約解消なんかしないと叫びました。
ですがご両親に説得されて、最後には婚約解消を受け入れてくださいました。
別れのとき、彼は悲しげな瞳に私を映していました。
でもそれは私と別れる悲しみではなく、自分を愛している人間に捨てられたことを悲しんでいるだけでした。
学園卒業後、私は友人に今の夫を紹介されて結婚しました。今は子どもも生まれて幸せな毎日を送っています。
バリー様はしばらく新進気鋭の画家として活躍なさっていました。
題材は変わらずケッテ様です。そして、彼女といるときに亡くなられました。
「なんだか不思議だね。辺境伯夫人は華やかなままなのに、周囲にはファンデルメイデ辺境伯閣下しかいないことが」
夫の呟きに、私は思索を止めました。
彼は私よりふたつ年上で、学園の在学期間は一年だけ重なっていました。
ですので、ケッテ様が私の元婚約者のバリー様やほかの貴族子息方に取り囲まれていた光景を覚えているのです。
「……そうですね」
バリー様以外の取り巻きの方々も、ケッテ様といらっしゃるときに亡くなられています。
全員が首を絞められて殺されたのです。
一時はケッテ様が疑われていたようですけれど、女性の腕力では不可能な犯行だったそうですし、なにより彼女はファンデルメイデ辺境伯の……当時はまだご当主ではありませんでしたが……エイディッツ様の婚約者でしたので、すべては不可解な事故として収められたのです。
取り巻き方が全員いなくなって、ケッテ様は辺境伯家へ嫁ぎました。
それまでのケッテ様は、王国の端にある鄙びた辺境伯領へは行きたくない、まだ華やかな王都で暮らしていたい、と結婚を延期させ続けていたという話です。
彼女を愛するエイディッツ様はその願いを聞き続けていたのですが、殺人犯なのではないかと疑う周囲の目に怯えるようになったケッテ様を守るために、結婚を強行して雑音の無い辺境伯領へ連れて行って差し上げたのでした。
ファンデルメイデ辺境伯家の人間が魔獣の氾濫に対応出来るのは、古の精霊の加護を受けているからだと聞きます。
エイディッツ様は特に加護が強く、精霊の愛し子とまで呼ばれているのだとか。
魔獣の氾濫のときもエイディッツ様が現れると、暴れていた魔獣達が鎖に巻き付かれたかのように動かなくなるという噂です。
……バリー様は人が人に対して抱く不条理で醜い恋情をご存じありませんでした。
口ではケッテ様を頼むと言っていても、彼女が取り巻きの貴族子息方と去っていく背中を睨みつけていたエイディッツ様の瞳の炎も、大切な故郷を鄙びていると貶められて結婚を延期されたときに生じたであろう冷たい憤怒も、自分の知らない最愛の女性の笑顔を他人の描いた絵で見たときに渦巻く憎悪も知らなかったし、想像もなさらなかったのでしょう。
ほかの貴族子息方もそうだったのでしょう。
「レネは辺境伯夫妻と同学年だったんだよね。挨拶に行く?」
「そんなに親しいわけではありませんでしたから。……せっかくうちの両親が子どもを預かってくれているのですもの。貴方を私に紹介してくれた友達にだけ挨拶を済ませたら、ふたりでゆっくり過ごしたいですわ」
「ああ、そうだね。僕もだよ、レネ」
私は知っています、不条理で醜い恋情を。
夫が私にその恋情を向けていてくれることも。
この恐ろしい恋情を鎮めるには、同じ恋情で包み込むしかないことも。
だからバリー様、もしまだこの世に留まっていらっしゃるのだとしても、どうぞ、彼女のところへ。
初恋の貴方を忘れることはないけれど、私は夫を愛し、彼に愛されて幸せに生きているのです。
不条理で醜い恋情の恐ろしさを知っているからこそ──ケッテ様の隣で満足そうに微笑んでいらしたエイディッツ様もきっと、それをご存じなのです。
<終>
久しぶりのことでした。学園を卒業してから一切お会いしていなかったので、五年ぶりになるのでしょうか。
ご夫妻ともに私と同年代なのですけれど、この王国の貴族子女が通う学園を卒業するまでも卒業してからも、辺境伯領は魔獣の氾濫に苦しめられていたのです。そのため、学園でご夫君のエイディッツ様をお見かけすることは、ほとんどありませんでした。
魔獣素材はお金になりますし、そもそも我が国は魔獣素材によって作られた武器や防具の販売で栄えています。
魔獣の氾濫に対応する力を持つファンデルメイデ辺境伯家の人間は、学園に通わなくても良いと王家に許されているのだそうです。
とはいえ、社交界での人脈作りは必要ですから、エイディッツ様も魔獣の氾濫が落ち着いたときなどには、王都の学園に登校されていたのです。美しい婚約者、今は辺境伯夫人となられたケッテ様にお会いになりたかったのもあるでしょう。
「辺境伯夫人は、相変わらず華やかだね」
「そうですね」
私は夫の言葉に頷きました。
ケッテ様は学園時代から、美しさと華やかさで知られた方でした。
先ほども申しましたようにエイディッツ様が登校なさるのは滅多にないことでしたが、彼女は婚約者が不在でも多くの貴族子息方に取り囲まれて華やかにお過ごしだったのです。
──その取り巻きのひとりがバリー様。
私の元婚約者の伯爵令息でした。
伯爵令息といっても次男だったバリー様は、子爵家の跡取りである私のところへ婿入りなさる予定だったのです。
バリー様は地味で内向的な私と違い、派手好きで社交的な男性でした。
正反対のふたりだからこそ、互いに補い合えると双方の両親は思っていたのでしょう。
今の夫には申し訳ないのですが、私の初恋の相手はバリー様でした。派手好きなバリー様は美しいものを見抜く力があり、優れた画才をお持ちでもありました。私の宝石箱の底に、バリー様に描いていただいた私の肖像画があることは、夫には一生秘密です。
だけどバリー様は、おとなしい私のことを退屈に感じていたのでしょう。
学園に入学して美しく華やかなケッテ様に会うと、たちまち夢中になられたのです。
バリー様はケッテ様を題材にして、何枚も素晴らしい絵をお描きになりました。絵を描くためとおっしゃって、絵を描くための直感を求めてとおっしゃって、いつもケッテ様と行動をともになさっていました。
私が勇気を出して不満を伝えても、バリー様は言うのです。
『レネ、僕とケッテの間にあるのは恋愛じゃないよ、友情だ。滅多にお会いしないファンデルメイデ辺境伯家のエイディッツ様もわかってくれているのに、どうして側にいる君にはわからないの?』
エイディッツ様は自分がいないときのケッテ様が、ほかの貴族子息方と親しくしていることを認めていらっしゃいました。
むしろ自分の代わりにケッテ様を守って欲しいとお願いしていたそうです。
バリー様がおっしゃっていることが嘘ではないこともわかっていました。バリー様はケッテ様に恋してはいらっしゃいませんでした。絵の題材として、気の合う友人として親しくされていただけなのです。
それはつまり、バリー様が私にも恋していらっしゃらなかったということです。
バリー様が恋していたのは絵の題材となる派手なもの美しいもの華やかなもの、それから絵を描くための直感をもたらしてくれる社交であり人間関係でした。
彼は人が人に対して抱く不条理で醜い恋情をご存じなかったのです。ケッテ様と去っていくバリー様の背中を見つめていた私の瞳の熱も、ケッテ様と会うからと約束を反故にされたときの私の胸に落ちた冷たい氷も、バリー様がケッテ様のお話をなさるたびにひび割れていった私の心も……
才能のあるバリー様の絵はさまざまな品評会で賞を取り、美術館で展示されました。
どれもお美しいケッテ様の絵です。
それが続くと、さすがにおふたりの関係を怪しむものも現れるようになりました。ケッテ様はバリー様とだけでなく、ほかの取り巻きの貴族子息方との仲も噂されるようになりました。
学園の卒業を間近に控えたある日、私は父にこの婚約をどうしたいかと聞かれたのです。
『冗談だよね、レネ』
婚約解消を申し出ると、バリー様は心底意外そうにおっしゃいました。
『君は僕を愛してくれているじゃないか。どうして婚約を解消する必要があるんだい? ケッテとの噂には根も葉もない。僕が彼女を愛してなんかいないことは、君が一番よくわかっているだろう?』
わかっていました。バリー様がケッテ様を愛していないことはわかっていました。
だって私は、いつも彼を見つめていたのですもの。
それでも人は嫉妬をするのです。会えない時間を辛いと思うのです。
バリー様がそれを理解出来ないのは、友情を優先しても良いと思っていたのは、だれかを愛したことがないからです。
気が狂いそうなほどの恋情を抱いたことがないからです。
だから……私は婚約を解消したかったのです。
『私がバリー様を愛しているとおわかりの上でケッテ様との友情を大切になさるのなら、それは結局私よりもケッテ様のほうが大切だということではありませんか。婚約者よりも未来の家族よりも友人を優先する方と生きていくことは出来ません。……どうぞ、彼女のところへ』
バリー様は怒りました。
私を愚か者と罵りました。
婚約解消なんかしないと叫びました。
ですがご両親に説得されて、最後には婚約解消を受け入れてくださいました。
別れのとき、彼は悲しげな瞳に私を映していました。
でもそれは私と別れる悲しみではなく、自分を愛している人間に捨てられたことを悲しんでいるだけでした。
学園卒業後、私は友人に今の夫を紹介されて結婚しました。今は子どもも生まれて幸せな毎日を送っています。
バリー様はしばらく新進気鋭の画家として活躍なさっていました。
題材は変わらずケッテ様です。そして、彼女といるときに亡くなられました。
「なんだか不思議だね。辺境伯夫人は華やかなままなのに、周囲にはファンデルメイデ辺境伯閣下しかいないことが」
夫の呟きに、私は思索を止めました。
彼は私よりふたつ年上で、学園の在学期間は一年だけ重なっていました。
ですので、ケッテ様が私の元婚約者のバリー様やほかの貴族子息方に取り囲まれていた光景を覚えているのです。
「……そうですね」
バリー様以外の取り巻きの方々も、ケッテ様といらっしゃるときに亡くなられています。
全員が首を絞められて殺されたのです。
一時はケッテ様が疑われていたようですけれど、女性の腕力では不可能な犯行だったそうですし、なにより彼女はファンデルメイデ辺境伯の……当時はまだご当主ではありませんでしたが……エイディッツ様の婚約者でしたので、すべては不可解な事故として収められたのです。
取り巻き方が全員いなくなって、ケッテ様は辺境伯家へ嫁ぎました。
それまでのケッテ様は、王国の端にある鄙びた辺境伯領へは行きたくない、まだ華やかな王都で暮らしていたい、と結婚を延期させ続けていたという話です。
彼女を愛するエイディッツ様はその願いを聞き続けていたのですが、殺人犯なのではないかと疑う周囲の目に怯えるようになったケッテ様を守るために、結婚を強行して雑音の無い辺境伯領へ連れて行って差し上げたのでした。
ファンデルメイデ辺境伯家の人間が魔獣の氾濫に対応出来るのは、古の精霊の加護を受けているからだと聞きます。
エイディッツ様は特に加護が強く、精霊の愛し子とまで呼ばれているのだとか。
魔獣の氾濫のときもエイディッツ様が現れると、暴れていた魔獣達が鎖に巻き付かれたかのように動かなくなるという噂です。
……バリー様は人が人に対して抱く不条理で醜い恋情をご存じありませんでした。
口ではケッテ様を頼むと言っていても、彼女が取り巻きの貴族子息方と去っていく背中を睨みつけていたエイディッツ様の瞳の炎も、大切な故郷を鄙びていると貶められて結婚を延期されたときに生じたであろう冷たい憤怒も、自分の知らない最愛の女性の笑顔を他人の描いた絵で見たときに渦巻く憎悪も知らなかったし、想像もなさらなかったのでしょう。
ほかの貴族子息方もそうだったのでしょう。
「レネは辺境伯夫妻と同学年だったんだよね。挨拶に行く?」
「そんなに親しいわけではありませんでしたから。……せっかくうちの両親が子どもを預かってくれているのですもの。貴方を私に紹介してくれた友達にだけ挨拶を済ませたら、ふたりでゆっくり過ごしたいですわ」
「ああ、そうだね。僕もだよ、レネ」
私は知っています、不条理で醜い恋情を。
夫が私にその恋情を向けていてくれることも。
この恐ろしい恋情を鎮めるには、同じ恋情で包み込むしかないことも。
だからバリー様、もしまだこの世に留まっていらっしゃるのだとしても、どうぞ、彼女のところへ。
初恋の貴方を忘れることはないけれど、私は夫を愛し、彼に愛されて幸せに生きているのです。
不条理で醜い恋情の恐ろしさを知っているからこそ──ケッテ様の隣で満足そうに微笑んでいらしたエイディッツ様もきっと、それをご存じなのです。
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