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七月・八月:狂恋
最初で最後の【悪夢】
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「それくらいのことで婚約を解消したいだなんて言うものじゃないよ。最初のダンスはマリアンナと踊ってくれたんだろう?」
「……はい」
マリアンナは、子爵家当主である父の言葉に頷くしかなかった。
確かにそれくらいのことなのだ。
この王国の貴族子女が通う学園で開催された舞踏会で、婚約者の伯爵令息サムエレがマリアンナとのファーストダンスを終えた後で、級友のチカトリーチェと踊った。それくらいのことで婚約解消を言い出すなんて、マリアンナが嫉妬深いだけだと思われても仕方がない。
(でも……)
「マリアンナ?」
母亡き後、男手ひとつで育ててくれた父の言葉に頷いてから、マリアンナは頭を上げることが出来ないでいた。
体が重いのだ。
それくらいのこと、それくらいのことだ。サムエレは、愛人の娘であるがゆえに父親が当主を務める男爵家で冷遇されているというチカトリーチェのことが放っておけなかった、それで手を差し伸べただけなのだ。サムエレの優しさは幼馴染で婚約者のマリアンナが一番知っている。
(でも……チカトリーチェ様と踊る幸せそうなサムエレ様のお顔を、私はきっと一生忘れることは出来ないわ……)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マリアンナが直接サムエレに婚約解消を申し出たのは、彼とチカトリーチェがキスしているのを目撃した数日後だった。
「僕達は確かに惹かれ合っていたかもしれない。だけどその気持ちを封じ込めて、それぞれの人生を歩むことを決めたんだ。あれは最初で最後のキスだ。僕は君を選んだんだ。君のために彼女と別れたんだ」
舞踏会でのふたりの幸せそうなダンスを見たときにひび割れて、キスするところを目撃したときに崩れ落ちたマリアンナの心を、サムエレの言葉が踏み躙る。
(私のために、と言うのなら婚約を解消してくだされば良いのに。本当はご実家の伯爵家を継げない次男坊のご自分が婿入り先を失うのが怖いだけのくせに)
チカトリーチェは、愛人を囲っていたことで信用を失い男爵家の身代を傾けた父親が、金目当ての政略結婚に出すと言って引き取った娘だ。
家を継ぐのは正妻の産んだ嫡子で、政略結婚先が見つからなければ彼女の行く当てはない。
それでも……とマリアンナは思う。それでもサムエレとチカトリーチェのふたりは、この恋を良い想い出にして生きていくのだろう。マリアンナの心を砕いたことへの罪悪感さえ、彼らにとっては甘い蜜なのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
サムエレがチカトリーチェとの別れを告げて一ヶ月もしないうちに、彼女には新しい恋人が出来た。
気難しくて婚約者のいなかった侯爵令息だ。
今度はだれ憚ることのない関係なので、学園のいたるところで仲睦まじくしている姿が見られた。
(ほかの殿方でも良いのなら、最初からサムエレ様に近づかないでいてくれたら良かったのに)
そう思うマリアンナの心に熱はない。
サムエレのことが好きだった。優しい幼馴染で素敵な婚約者だった。父の友人の息子で子どものころから一緒だったから、刺激のない関係だったかもしれない。
それでも彼が好きだった。
彼がチカトリーチェと過ごす姿を目にして、心臓を締め付けられていたマリアンナはもうどこにもいない。
継ぐ家のない次男坊の彼は、やがて子爵家に婿入りするだろう。
ひとり娘のマリアンナとは白い結婚では済まされない。子爵家の跡取りが必要なのだ。でもマリアンナは知っている。
(初夜の床で私と体を重ねても、あの日チカトリーチェ様にキスをしていたときのような熱がサムエレ様の瞳に灯ることはないのでしょう)
★ ★ ★ ★ ★
サムエレは、悪夢から目覚めた。
マリアンナとは白い結婚ではなかったが、夫婦の営みをおこなった回数は片手の指で足りるほどしかない。同衾すると彼女が体調を崩すからだ。最近では寝室自体べつにしている。
早鐘を打つ胸に手を当てて思う。
(マリアンナはこんな……こんな悪夢をいつも見ていたのか?)
離縁を切り出されたのは一ヶ月ほど前、学園を卒業したふたりが結婚してから一年と少しが経ったころだ。
白い結婚ではないし、マリアンナの体調不良が理由だからサムエレがこれからの生活に困らない程度の慰謝料は払うと言われ、莫迦にされているように感じて離縁を拒んだ。
頷かないサムエレに結婚継続の条件としてマリアンナが要求したのが、悪夢の肩代わり、であった。魔女の薬と称して飲まされたのはただの酒だったし、そもそもそんなこと出来るわけがないと思っていたサムエレだが、あれは本物だったようだ。
ひとりでは広過ぎる寝台の上で体を起こし、サムエレは天井を見上げた。
マリアンナは結婚前に使っていた二階の自室で眠っている。
サムエレがいる夫婦寝室は王都子爵邸の一階にあるのだ。当主である義父は領地にいる。たまに王都へ来ると、弱っていく娘を後悔に包まれた顔で見つめていた。
サムエレと別れてすぐに侯爵令息を射止めたチカトリーチェだったけれど、男爵家にとっては大喜びでも侯爵家にとっては利のない関係だ。
チカトリーチェは学園卒業から一年間、領地で修業を積む侯爵令息と離れて王都の侯爵邸で教育を受けることになった。
そして、侯爵家の下男と浮気をして令息に捨てられた。
一ヶ月ほど前に呼び出されて会ったとき、チカトリーチェは嵌められたのだと泣きついてきた。自分と令息の関係を良く思わない侯爵家の人間が下男を差し向けてきたのだと。
サムエレもそう思う。
その男は貴族令息といっても通りそうなほど洗練された美青年だった。おそらくチカトリーチェに浮気をさせるために雇われた役者かなにかだったのだろう。
とはいえ男は力尽くでチカトリーチェを奪ったわけではない。誘惑に落ちたのは彼女自身の選択だ。
(マリアンナは僕がチカトリーチェと会ったことを知っていたんだな。それで離縁を……)
悪夢の中でマリアンナの父子爵が言っていたように、最初はそれくらいのことだ。
婚約をしていなければ、マリアンナと出会う前ならば、それくらいのことは過去のこととして消化出来ただろう。
しかしサムエレはマリアンナと婚約をしていた。婚約者よりもほかの人間を優先することは、本当はそれくらいのことではない。婚約していても浮気をする人間は、結婚しても浮気をする人間だと思われても仕方がないのだ。
サムエレは本格的に体を起こし、寝台横の椅子に腰かけた。
眠り直して悪夢の続きを見る気にはなれなかったのだ。
悪夢の中のマリアンナが思っていたように、初夜の床のサムエレの瞳に熱はなかった。当時のサムエレはチカトリーチェに新しい恋人が出来たことを祝福したいと思っても胸が騒いで、どうにも飲み込めないでいたのだ。その反動か最初で最後のキスを神聖化し、マリアンナとの結婚を汚らわしいことのように感じていた。
そんな屑でしかない自分の姿を、心を壊されたマリアンナの瞳で見たくはなかった。
悪夢には一ヶ月ほど前、マリアンナが離縁を告げてくる直前の記憶もあるかもしれない。
侯爵令息との関係が消え、実家の男爵家にも絶縁されたチカトリーチェと会ったサムエレが、それを隠して子爵邸へ戻って来たときの記憶だ。疚しいことはしていないものの、チカトリーチェに頼られて浮かれていた。チカトリーチェにとってのサムエレは、いくらでもほかの男と取り換えの利く都合の良い存在に過ぎないのに。
(朝になったら離縁を受け入れよう)
今さらそんなことをしても贖罪にならないことはサムエレにもわかっている。
だが、離縁を受け入れたらマリアンナは見せてくれるかもしれない。
結婚してから一度も見せてくれたことのない心の底からの笑顔を。彼女にとっては悪夢でしかなかったこの結婚生活で、最初で最後になる真実の笑顔を──
(幼馴染だった。婚約者だった。子どものころから一緒だったから、刺激のない関係だった。でも……)
サムエレは、自分がマリアンナの笑顔が好きだったことを思い出したのだ。
<終>
「……はい」
マリアンナは、子爵家当主である父の言葉に頷くしかなかった。
確かにそれくらいのことなのだ。
この王国の貴族子女が通う学園で開催された舞踏会で、婚約者の伯爵令息サムエレがマリアンナとのファーストダンスを終えた後で、級友のチカトリーチェと踊った。それくらいのことで婚約解消を言い出すなんて、マリアンナが嫉妬深いだけだと思われても仕方がない。
(でも……)
「マリアンナ?」
母亡き後、男手ひとつで育ててくれた父の言葉に頷いてから、マリアンナは頭を上げることが出来ないでいた。
体が重いのだ。
それくらいのこと、それくらいのことだ。サムエレは、愛人の娘であるがゆえに父親が当主を務める男爵家で冷遇されているというチカトリーチェのことが放っておけなかった、それで手を差し伸べただけなのだ。サムエレの優しさは幼馴染で婚約者のマリアンナが一番知っている。
(でも……チカトリーチェ様と踊る幸せそうなサムエレ様のお顔を、私はきっと一生忘れることは出来ないわ……)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
マリアンナが直接サムエレに婚約解消を申し出たのは、彼とチカトリーチェがキスしているのを目撃した数日後だった。
「僕達は確かに惹かれ合っていたかもしれない。だけどその気持ちを封じ込めて、それぞれの人生を歩むことを決めたんだ。あれは最初で最後のキスだ。僕は君を選んだんだ。君のために彼女と別れたんだ」
舞踏会でのふたりの幸せそうなダンスを見たときにひび割れて、キスするところを目撃したときに崩れ落ちたマリアンナの心を、サムエレの言葉が踏み躙る。
(私のために、と言うのなら婚約を解消してくだされば良いのに。本当はご実家の伯爵家を継げない次男坊のご自分が婿入り先を失うのが怖いだけのくせに)
チカトリーチェは、愛人を囲っていたことで信用を失い男爵家の身代を傾けた父親が、金目当ての政略結婚に出すと言って引き取った娘だ。
家を継ぐのは正妻の産んだ嫡子で、政略結婚先が見つからなければ彼女の行く当てはない。
それでも……とマリアンナは思う。それでもサムエレとチカトリーチェのふたりは、この恋を良い想い出にして生きていくのだろう。マリアンナの心を砕いたことへの罪悪感さえ、彼らにとっては甘い蜜なのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
サムエレがチカトリーチェとの別れを告げて一ヶ月もしないうちに、彼女には新しい恋人が出来た。
気難しくて婚約者のいなかった侯爵令息だ。
今度はだれ憚ることのない関係なので、学園のいたるところで仲睦まじくしている姿が見られた。
(ほかの殿方でも良いのなら、最初からサムエレ様に近づかないでいてくれたら良かったのに)
そう思うマリアンナの心に熱はない。
サムエレのことが好きだった。優しい幼馴染で素敵な婚約者だった。父の友人の息子で子どものころから一緒だったから、刺激のない関係だったかもしれない。
それでも彼が好きだった。
彼がチカトリーチェと過ごす姿を目にして、心臓を締め付けられていたマリアンナはもうどこにもいない。
継ぐ家のない次男坊の彼は、やがて子爵家に婿入りするだろう。
ひとり娘のマリアンナとは白い結婚では済まされない。子爵家の跡取りが必要なのだ。でもマリアンナは知っている。
(初夜の床で私と体を重ねても、あの日チカトリーチェ様にキスをしていたときのような熱がサムエレ様の瞳に灯ることはないのでしょう)
★ ★ ★ ★ ★
サムエレは、悪夢から目覚めた。
マリアンナとは白い結婚ではなかったが、夫婦の営みをおこなった回数は片手の指で足りるほどしかない。同衾すると彼女が体調を崩すからだ。最近では寝室自体べつにしている。
早鐘を打つ胸に手を当てて思う。
(マリアンナはこんな……こんな悪夢をいつも見ていたのか?)
離縁を切り出されたのは一ヶ月ほど前、学園を卒業したふたりが結婚してから一年と少しが経ったころだ。
白い結婚ではないし、マリアンナの体調不良が理由だからサムエレがこれからの生活に困らない程度の慰謝料は払うと言われ、莫迦にされているように感じて離縁を拒んだ。
頷かないサムエレに結婚継続の条件としてマリアンナが要求したのが、悪夢の肩代わり、であった。魔女の薬と称して飲まされたのはただの酒だったし、そもそもそんなこと出来るわけがないと思っていたサムエレだが、あれは本物だったようだ。
ひとりでは広過ぎる寝台の上で体を起こし、サムエレは天井を見上げた。
マリアンナは結婚前に使っていた二階の自室で眠っている。
サムエレがいる夫婦寝室は王都子爵邸の一階にあるのだ。当主である義父は領地にいる。たまに王都へ来ると、弱っていく娘を後悔に包まれた顔で見つめていた。
サムエレと別れてすぐに侯爵令息を射止めたチカトリーチェだったけれど、男爵家にとっては大喜びでも侯爵家にとっては利のない関係だ。
チカトリーチェは学園卒業から一年間、領地で修業を積む侯爵令息と離れて王都の侯爵邸で教育を受けることになった。
そして、侯爵家の下男と浮気をして令息に捨てられた。
一ヶ月ほど前に呼び出されて会ったとき、チカトリーチェは嵌められたのだと泣きついてきた。自分と令息の関係を良く思わない侯爵家の人間が下男を差し向けてきたのだと。
サムエレもそう思う。
その男は貴族令息といっても通りそうなほど洗練された美青年だった。おそらくチカトリーチェに浮気をさせるために雇われた役者かなにかだったのだろう。
とはいえ男は力尽くでチカトリーチェを奪ったわけではない。誘惑に落ちたのは彼女自身の選択だ。
(マリアンナは僕がチカトリーチェと会ったことを知っていたんだな。それで離縁を……)
悪夢の中でマリアンナの父子爵が言っていたように、最初はそれくらいのことだ。
婚約をしていなければ、マリアンナと出会う前ならば、それくらいのことは過去のこととして消化出来ただろう。
しかしサムエレはマリアンナと婚約をしていた。婚約者よりもほかの人間を優先することは、本当はそれくらいのことではない。婚約していても浮気をする人間は、結婚しても浮気をする人間だと思われても仕方がないのだ。
サムエレは本格的に体を起こし、寝台横の椅子に腰かけた。
眠り直して悪夢の続きを見る気にはなれなかったのだ。
悪夢の中のマリアンナが思っていたように、初夜の床のサムエレの瞳に熱はなかった。当時のサムエレはチカトリーチェに新しい恋人が出来たことを祝福したいと思っても胸が騒いで、どうにも飲み込めないでいたのだ。その反動か最初で最後のキスを神聖化し、マリアンナとの結婚を汚らわしいことのように感じていた。
そんな屑でしかない自分の姿を、心を壊されたマリアンナの瞳で見たくはなかった。
悪夢には一ヶ月ほど前、マリアンナが離縁を告げてくる直前の記憶もあるかもしれない。
侯爵令息との関係が消え、実家の男爵家にも絶縁されたチカトリーチェと会ったサムエレが、それを隠して子爵邸へ戻って来たときの記憶だ。疚しいことはしていないものの、チカトリーチェに頼られて浮かれていた。チカトリーチェにとってのサムエレは、いくらでもほかの男と取り換えの利く都合の良い存在に過ぎないのに。
(朝になったら離縁を受け入れよう)
今さらそんなことをしても贖罪にならないことはサムエレにもわかっている。
だが、離縁を受け入れたらマリアンナは見せてくれるかもしれない。
結婚してから一度も見せてくれたことのない心の底からの笑顔を。彼女にとっては悪夢でしかなかったこの結婚生活で、最初で最後になる真実の笑顔を──
(幼馴染だった。婚約者だった。子どものころから一緒だったから、刺激のない関係だった。でも……)
サムエレは、自分がマリアンナの笑顔が好きだったことを思い出したのだ。
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