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七月・八月:狂恋
公爵令息の初恋【令嬢の兄】
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私には恋がわかりません。
公爵令嬢エリザーベトには理解出来ないのです。
幼いころに婚約して以来、ずっとお慕いしてきたつもりの王太子殿下への想いは恋ではなかったのかもしれません。
ええ、恋ではなかったのでしょう。
私にはわかりません。
この王国の貴族子女と裕福な平民が通う学園へ入学した途端、擦り寄ってきた男爵令嬢のリューゲ様に夢中になって、婚約者の私を無表情で冷たいつまらない女だと嘲るようになられた王太子殿下のお気持ちが。
わかるものですか!
母を亡くしてから家族三人で支え合ってきたにもかかわらず、リューゲ様に恋をしてからというもの、実妹の私を悪女と罵るようになったパトリックお兄様のお気持ちなど。
わかりたくありません。理解したくもありません。
男爵令嬢を取り囲んでいるのは、王太子殿下と兄だけではないのです。
宰相様のご子息、近衛騎士団長のご子息、さらには学園の教師までが彼女に夢中なのです。ほかの殿方と親しくしている姿を目の当たりにしているのに、それでも彼女を思い続ける心情がわかりません。
相手に都合良く操られるのが恋だとしたら、私にはそんなもの必要ありません。
もうすべてを捨ててしまいたいと願っても、私は王太子殿下の婚約者です。
未来の国母なのです。
そして、それ以前に王家から分かれ王家を支える公爵家の娘なのです。
彼女、男爵令嬢リューゲ様を野放しにしておくことは出来ません。
取り巻きの殿方を従えて校内を練り歩くような女性を放っていたら学園の風紀が乱れますし、なにより彼女自身のためにもなりません。
だから苦言を呈しているのに、殿下や兄はそんな私を否定するのです。……なにもかもが嫌になります。
「エリザーベトお嬢様、冷えてしまったようなので新しいお茶をお淹れしてよろしいでしょうか」
「アントーン。……ええ、お願いするわ」
私の目の前の茶碗のお茶は冷えてはいません。
零れ落ちた涙が入ってしまっただけです。
でも侍従のアントーンの言葉で、少し我に返ることが出来ました。泣いていても、悩んでいてもどうしようもないのです。いざとなったら、公爵であるお父様のお力を借りることも考えなくてはならないかもしれません。
アントーンが淹れ直してくれたお茶は温かく、なんだか体だけでなく心にまで染み入るような気がしました。
彼は父の親友の息子で、私よりみっつ年上です。
学園は、私の入学と入れ代わりに卒業しています。
「ねえアントーン。貴方は恋をしたことがあるかしら?」
「はい」
「その方と結婚するの?」
「いいえ。私は継ぐ家のない三男坊ですし、その方には跡取りとなるご兄弟がいらっしゃいますので」
「……そう」
アントーンは悪戯な笑みを私に見せました。
「それに、そもそも私の片想いですから。……その方には愛する人がいらっしゃるのです」
「恋というのは難しいものね」
「はい」
今度アントーンが浮かべた笑みは、なんだかとても優しくて、なんだかとても切なげなものでした。
★ ★ ★ ★ ★
公爵令息パトリックは恋をしていた。
初恋だった。
学園で出会った男爵令嬢リューゲ、実妹のエリザーベトと同い年の少女がその相手だ。
「父上」
公爵家の当主である多忙な父が久しぶりに王都の公爵邸へ戻っていたので、パトリックは父の執務室の扉を叩いた。
「なんだい、パトリック」
王家から分かれた公爵家の当主であり、この王国で一番の権威を持つ男は、どんなに忙しくても息子と娘を大切にすることを忘れない。
妻亡き後、三人の家族は互いを慈しみながら生きてきた。
パトリックもリューゲに恋をするまでは、実妹のエリザーベトが世界一大切な存在だったのだが、
「エリザーベトのことで話があります」
「ああ、聞いているよ。王太子殿下に近づく男爵令嬢のことで問題を起こしているようだね」
「そうです。エリザーベトは学園で、ところかまわずリューゲに当たり散らしているのです」
「嫉妬を露わにするのは見苦しいね」
「はい。今のエリザーベトは王太子殿下の婚約者に相応しいとは思えません」
パトリックはリューゲに恋をしている。
残念ながら、彼女の本命はパトリックではない。
リューゲはエリザーベトの婚約者、この王国の王太子を愛している。
彼女を愛するパトリックは、彼女の恋を実らせてやりたいと思っていた。
そのためには実妹エリザーベトと王太子の婚約破棄が必要だ。
パトリックは父にそれを申し出ようとしていた。
息子の言葉に顔色を曇らせた父を見て、パトリックは勝利を確信する。
父もエリザーベトのおこないに批判的だ。
リューゲのほうが王太子妃に相応しいと告げれば、きっと聞き入れてくれるに違いない。そう思って男爵令嬢を称賛する言葉を口にしようとしたとき、公爵は言った。
「ではパトリック。エリザーベトが醜い嫉妬をしなくても良くなるように、お前が男爵令嬢を始末しなさい」
「……はい?」
「王太子殿下に近づく塵芥を排除するのは、王家を支える我が公爵家の大事な役割だよ。本当はエリザーベト自身に始末させるべきなのだけれど、あの子はまだ子どもで優し過ぎるからね。我が家の暗部や王家の影が動き出す前に、男爵令嬢本人が身を引くように厳しい言葉を投げかけているのだろう」
でも、と公爵は続ける。
「それであの子が嫉妬に狂う愚かな令嬢だと思われたのでは本末転倒だ。未来の国母が求心力を失ったら国が乱れる。パトリック、学園卒業前の君も子どもに当たるが、君はいずれ我が公爵家を継ぐための教育を受けてきた。なすべきことはわかっているね? うちの暗部を使っても良いし、計画書を作って陛下に奏上しても良い。王太子殿下にはなにひとつ教えてはいけないよ。私達の主君はまだ彼ではないのだからね」
「……」
言葉を返せないパトリックの気持ちを誤解したらしく、公爵は微笑んだ。
「そうだね。どうしてもと言うのなら、君が殺しても良い。上に立つものは気軽に手を汚すべきではないけれど、一度くらいなら経験しておくのも悪くない。それとも変装して下町の暗黒街へ行き、裏社会の首領と会って暗殺者を雇うという行為に憧れているのかな? ふふふ、パトリックもまだまだ子どもだね」
パトリックはなにも答えられなかった。
★ ★ ★ ★ ★
私と王太子殿下の婚約は破棄されました。
いいえ、破棄ではありません。
解消です。男爵令嬢リューゲ様との浮気が本気になって、殿下は自ら廃太子となられたのです。ええ、自らがお決めになられたことですわ……たぶん。
王家との婚約がなくなった私は公爵家を継ぐことになりました。
パトリックお兄様が俗世を離れて、神殿へ入ることになったからです。
殿下の浮気を止められなかったご自分を責めて……というのが理由ですが、私は父である公爵に聞いて知っています。兄は男爵令嬢を始末出来なかったことで、公爵家の跡取りに相応しくないと見做されたのです。苦言で済ませていた私も甘いと怒られました。
とはいえ、なんらかの方法で男爵令嬢を排除しなくてはいけないとわかっていただけ、私のほうがマシだと父は判断なさったのです。
円満な婚約解消に見せかけていても、王太子だった殿下が王家と公爵家の契約を足蹴にしていた結果だということは明白です。
王家と王国の評判を守るためには、殿下と男爵令嬢の関係は無かったことにするのが最善だったのです。男爵令嬢が自分で殿下から離れてくれていたら、一番良かったのですけれど……もっと激しく怒鳴りつけていれば良かったのかしら。
まあ、終わったことを悔やんでも仕方がありません。
女公爵となるのですから、今後はお父様を見習って冷徹非情な貴族となることを目指します。
それに、今の私はひとりではありません。
「エリザーベトお嬢様、お菓子を買って来ましたよ」
「アントーン様、お嬢様ではないでしょう?」
私の言葉に、外出から戻ったアントーン様が微笑みました。
「そうでした。……そうだったね、エリザーベト」
彼は私が学園を卒業したら、この家へ婿に入ってくれることになったのです。
今は侍従ではなく、父の補佐として仕事を仕込まれています。
お休みの今日は、私が学園へ行っている間に街でお菓子を買ってきてくれました。……以前彼が恋していると言った相手は、私のことだったのです。王太子殿下の婚約者として努力していた私を支えたいと思ってくれていたのだそうです。
「まあ! アントーン様は私の好きなお菓子をご存じでしたのね」
「もちろん。ずっと貴女のことを見ていたからね」
公爵家の当主夫婦となれば、家のため王国のため非情な決断をしていかなくてはなりません。それでも彼とふたりなら、やっていけると思うのです。
──それからしばらくして、男爵令嬢とその取り巻きだった殿方達が事故死したり病死したりしたという話を聞きました。廃太子となった殿下もです。
神殿へ入ったパトリックお兄様だけは無事でした。
公爵家当主として非情な決断をなさるお父様ですが、やはり身内に対しては情を捨てきれなかったようです。
<終>
公爵令嬢エリザーベトには理解出来ないのです。
幼いころに婚約して以来、ずっとお慕いしてきたつもりの王太子殿下への想いは恋ではなかったのかもしれません。
ええ、恋ではなかったのでしょう。
私にはわかりません。
この王国の貴族子女と裕福な平民が通う学園へ入学した途端、擦り寄ってきた男爵令嬢のリューゲ様に夢中になって、婚約者の私を無表情で冷たいつまらない女だと嘲るようになられた王太子殿下のお気持ちが。
わかるものですか!
母を亡くしてから家族三人で支え合ってきたにもかかわらず、リューゲ様に恋をしてからというもの、実妹の私を悪女と罵るようになったパトリックお兄様のお気持ちなど。
わかりたくありません。理解したくもありません。
男爵令嬢を取り囲んでいるのは、王太子殿下と兄だけではないのです。
宰相様のご子息、近衛騎士団長のご子息、さらには学園の教師までが彼女に夢中なのです。ほかの殿方と親しくしている姿を目の当たりにしているのに、それでも彼女を思い続ける心情がわかりません。
相手に都合良く操られるのが恋だとしたら、私にはそんなもの必要ありません。
もうすべてを捨ててしまいたいと願っても、私は王太子殿下の婚約者です。
未来の国母なのです。
そして、それ以前に王家から分かれ王家を支える公爵家の娘なのです。
彼女、男爵令嬢リューゲ様を野放しにしておくことは出来ません。
取り巻きの殿方を従えて校内を練り歩くような女性を放っていたら学園の風紀が乱れますし、なにより彼女自身のためにもなりません。
だから苦言を呈しているのに、殿下や兄はそんな私を否定するのです。……なにもかもが嫌になります。
「エリザーベトお嬢様、冷えてしまったようなので新しいお茶をお淹れしてよろしいでしょうか」
「アントーン。……ええ、お願いするわ」
私の目の前の茶碗のお茶は冷えてはいません。
零れ落ちた涙が入ってしまっただけです。
でも侍従のアントーンの言葉で、少し我に返ることが出来ました。泣いていても、悩んでいてもどうしようもないのです。いざとなったら、公爵であるお父様のお力を借りることも考えなくてはならないかもしれません。
アントーンが淹れ直してくれたお茶は温かく、なんだか体だけでなく心にまで染み入るような気がしました。
彼は父の親友の息子で、私よりみっつ年上です。
学園は、私の入学と入れ代わりに卒業しています。
「ねえアントーン。貴方は恋をしたことがあるかしら?」
「はい」
「その方と結婚するの?」
「いいえ。私は継ぐ家のない三男坊ですし、その方には跡取りとなるご兄弟がいらっしゃいますので」
「……そう」
アントーンは悪戯な笑みを私に見せました。
「それに、そもそも私の片想いですから。……その方には愛する人がいらっしゃるのです」
「恋というのは難しいものね」
「はい」
今度アントーンが浮かべた笑みは、なんだかとても優しくて、なんだかとても切なげなものでした。
★ ★ ★ ★ ★
公爵令息パトリックは恋をしていた。
初恋だった。
学園で出会った男爵令嬢リューゲ、実妹のエリザーベトと同い年の少女がその相手だ。
「父上」
公爵家の当主である多忙な父が久しぶりに王都の公爵邸へ戻っていたので、パトリックは父の執務室の扉を叩いた。
「なんだい、パトリック」
王家から分かれた公爵家の当主であり、この王国で一番の権威を持つ男は、どんなに忙しくても息子と娘を大切にすることを忘れない。
妻亡き後、三人の家族は互いを慈しみながら生きてきた。
パトリックもリューゲに恋をするまでは、実妹のエリザーベトが世界一大切な存在だったのだが、
「エリザーベトのことで話があります」
「ああ、聞いているよ。王太子殿下に近づく男爵令嬢のことで問題を起こしているようだね」
「そうです。エリザーベトは学園で、ところかまわずリューゲに当たり散らしているのです」
「嫉妬を露わにするのは見苦しいね」
「はい。今のエリザーベトは王太子殿下の婚約者に相応しいとは思えません」
パトリックはリューゲに恋をしている。
残念ながら、彼女の本命はパトリックではない。
リューゲはエリザーベトの婚約者、この王国の王太子を愛している。
彼女を愛するパトリックは、彼女の恋を実らせてやりたいと思っていた。
そのためには実妹エリザーベトと王太子の婚約破棄が必要だ。
パトリックは父にそれを申し出ようとしていた。
息子の言葉に顔色を曇らせた父を見て、パトリックは勝利を確信する。
父もエリザーベトのおこないに批判的だ。
リューゲのほうが王太子妃に相応しいと告げれば、きっと聞き入れてくれるに違いない。そう思って男爵令嬢を称賛する言葉を口にしようとしたとき、公爵は言った。
「ではパトリック。エリザーベトが醜い嫉妬をしなくても良くなるように、お前が男爵令嬢を始末しなさい」
「……はい?」
「王太子殿下に近づく塵芥を排除するのは、王家を支える我が公爵家の大事な役割だよ。本当はエリザーベト自身に始末させるべきなのだけれど、あの子はまだ子どもで優し過ぎるからね。我が家の暗部や王家の影が動き出す前に、男爵令嬢本人が身を引くように厳しい言葉を投げかけているのだろう」
でも、と公爵は続ける。
「それであの子が嫉妬に狂う愚かな令嬢だと思われたのでは本末転倒だ。未来の国母が求心力を失ったら国が乱れる。パトリック、学園卒業前の君も子どもに当たるが、君はいずれ我が公爵家を継ぐための教育を受けてきた。なすべきことはわかっているね? うちの暗部を使っても良いし、計画書を作って陛下に奏上しても良い。王太子殿下にはなにひとつ教えてはいけないよ。私達の主君はまだ彼ではないのだからね」
「……」
言葉を返せないパトリックの気持ちを誤解したらしく、公爵は微笑んだ。
「そうだね。どうしてもと言うのなら、君が殺しても良い。上に立つものは気軽に手を汚すべきではないけれど、一度くらいなら経験しておくのも悪くない。それとも変装して下町の暗黒街へ行き、裏社会の首領と会って暗殺者を雇うという行為に憧れているのかな? ふふふ、パトリックもまだまだ子どもだね」
パトリックはなにも答えられなかった。
★ ★ ★ ★ ★
私と王太子殿下の婚約は破棄されました。
いいえ、破棄ではありません。
解消です。男爵令嬢リューゲ様との浮気が本気になって、殿下は自ら廃太子となられたのです。ええ、自らがお決めになられたことですわ……たぶん。
王家との婚約がなくなった私は公爵家を継ぐことになりました。
パトリックお兄様が俗世を離れて、神殿へ入ることになったからです。
殿下の浮気を止められなかったご自分を責めて……というのが理由ですが、私は父である公爵に聞いて知っています。兄は男爵令嬢を始末出来なかったことで、公爵家の跡取りに相応しくないと見做されたのです。苦言で済ませていた私も甘いと怒られました。
とはいえ、なんらかの方法で男爵令嬢を排除しなくてはいけないとわかっていただけ、私のほうがマシだと父は判断なさったのです。
円満な婚約解消に見せかけていても、王太子だった殿下が王家と公爵家の契約を足蹴にしていた結果だということは明白です。
王家と王国の評判を守るためには、殿下と男爵令嬢の関係は無かったことにするのが最善だったのです。男爵令嬢が自分で殿下から離れてくれていたら、一番良かったのですけれど……もっと激しく怒鳴りつけていれば良かったのかしら。
まあ、終わったことを悔やんでも仕方がありません。
女公爵となるのですから、今後はお父様を見習って冷徹非情な貴族となることを目指します。
それに、今の私はひとりではありません。
「エリザーベトお嬢様、お菓子を買って来ましたよ」
「アントーン様、お嬢様ではないでしょう?」
私の言葉に、外出から戻ったアントーン様が微笑みました。
「そうでした。……そうだったね、エリザーベト」
彼は私が学園を卒業したら、この家へ婿に入ってくれることになったのです。
今は侍従ではなく、父の補佐として仕事を仕込まれています。
お休みの今日は、私が学園へ行っている間に街でお菓子を買ってきてくれました。……以前彼が恋していると言った相手は、私のことだったのです。王太子殿下の婚約者として努力していた私を支えたいと思ってくれていたのだそうです。
「まあ! アントーン様は私の好きなお菓子をご存じでしたのね」
「もちろん。ずっと貴女のことを見ていたからね」
公爵家の当主夫婦となれば、家のため王国のため非情な決断をしていかなくてはなりません。それでも彼とふたりなら、やっていけると思うのです。
──それからしばらくして、男爵令嬢とその取り巻きだった殿方達が事故死したり病死したりしたという話を聞きました。廃太子となった殿下もです。
神殿へ入ったパトリックお兄様だけは無事でした。
公爵家当主として非情な決断をなさるお父様ですが、やはり身内に対しては情を捨てきれなかったようです。
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