たとえ番でないとしても

豆狸

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16・たとえ未来視でも過去視でも

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『だが、すべて、ではなかった。吹雪で周囲を飲み込み、すべてを自分と同じものにしているくせに、その白い竜自体はツギハギだった。……なんらかの方法で、ニコラオスの魔力をほかの存在で包んでいるのだと感じた。ニコラオスの死後、魔力の源である心臓を燃料にして白い竜を動かしていたのではないかと思う』
「そんな、そんな恐ろしいことを、だれが……」
『わからん。おそらく我が子は未来視さきみで、世界の終わりを回避するために自分がた未来を父である吾に伝えたのだろう。死は運命だが、世界が終わってしまっては、なにもなくなってしまっては新しい運命も始まらない』

 吹雪という形で強い光の魔力を放ちすべてを破壊し世界を終わらせようとする白い竜に対抗出来るのは、光に相反する闇の魔力を持つ私だけだと精霊王様はおっしゃるのです。

『闇の力が弱ければ光に飲まれてしまい、結局世界は終わるだろう。しかし、ディアナほど闇の魔力があれば、あの白い竜にも対抗出来るはずだ。吾も闇の魔力を持っているが、あの白い竜に対抗出来るほどではない』

 精霊王様の言葉に、前のことを思い出して心臓を締め付けられるような気持になりました。
 あのとき世界は終わりました。
 自分が死んだからそう感じただけ、そもそもあんなこと起こっていないのだと思うこともありましたが、今もあの記憶を前の──未来の記憶、一度起こったことだと感じていました。本当にあれが事実なら世界は滅んでしまうのです。

「……精霊王様……」
『ディアナ?』

 私は精霊王様に、自分に残る記憶のことを打ち明けました。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

『おそらくその結界は、そなたが白い竜から自分の身を守るため無意識に張ったものだろう。目視しにくい闇の魔力を持つため魔力自体がないと思われ、牢屋暮らしで魔導の使い方も学んでいなかったのに結界を張るとは……生存本能の賜物だな』

 精霊王様は、私の話を信じてくださいました。

『時が戻ったということは』
「勘違いかもしれませんが……」
『いや、そなたの記憶は未来視さきみとは違うものを感じる。時が戻ったのだとしたら我が子も未来視さきみではなく過去視かこみなのやもしれぬな。そなたには白い竜を打ち倒すほどの力はなかったが、飲み込まれて反発し増幅された闇の魔力が逆流して時間を巻き戻したのではないかと思う』
「そんなことがあるのでしょうか」
『さあ?』

 精霊王様はそう言って、後ろ足で頭を掻きました。
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