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一匹目!
※ダンジョンわんこ日記 六日目
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今日、吾は新しい遊びを発明した。
押し入れから顔を出して、マスターが近寄って来たら中に入り、逆側から顔を出す遊びだ。
最初はマスターに開けてもらった襖だが、今は鼻先で開けられるようになっている。
「待て待てー」
「わふわふー」
しばらく遊んだ後で、マスターは疲れたからひと休みと言い出した。……大丈夫かな。
『大地の祝福』使ったほうがいい?
HPが全回復して欠損も状態異常も回復するぞ。広範囲に効果があるから、大家の腰痛も回復できる。
疲れたと言ってたくせに、マスターはステータスボードを確認し出す。
スマホまで出したので、だれかに電話するのかと思った。友達との長電話は昨夜たくさんしたのにな。
困ったマスターなのだ。
吾は良いボスモンスターなので、押し入れから顔を出してマスターを待っている。
あんまり遅いようなら洗濯籠に入っちゃおうかな。
でも今はトイレじゃないから膝に乗っちゃおうかなー、とか思っていたら、
「タロ君、ダンジョン行く?」
「ん。マスターが行くなら行くぞ」
押し入れを出ると、マスターは吾を抱っこして『転移』した。
ボス部屋に着いたマスターが不思議そうな顔をする。
なにかの匂いを感じているらしい。吾も鼻をふんふんしてみた。
「ああ、スライムの花が咲いたみたいだぞ」
ダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスして、スライムのことを確認してみる。
スライム内に生じる薬草はポーションの材料だ。
花ならミドルポーション、実ならミドルポーションとハイポーションの中間の効果があるミドルポーション+が作れるが、異世界ではスライム内の薬草がそこまで成長するのは珍しかった。このダンジョンのモンスターはスライムを食べる前に人間に倒されてるし、吾のマスターの魔力も上質だから成長が速まったに違いない。
でもそんなことはどうでもいいことだ。
マスターがダンジョンに来たのは、苺を作るためだった。
苺……吾のボス部屋を苺でいっぱいにしてくれるのだろうか。昨日、大家や春人達に苺をお裾分けしたことに後悔などないものの、好きなときに好きなだけ苺が食べられるなら最高だ。
ダンジョンの苺は外で作った苺より大きかった。
春人や冬人の頭くらいあるかもしれない。
ダンジョンの施設がマスターの魔力を増幅しているのだろう。マスターはこの世界の人間なので、入り口から入って来てダンジョンに吸収されているこの世界の魔力と相性がいい。
美味しく苺を食べていたら、スライムが落ちてきた。
苺が食べたくて落ちて来たのだという。
もうちょっと食べたい気もしたが、吾はスライム達に苺を譲ってやった。マスターに名前を付けられたからには、スライム……いやアジサイ達も吾の群れの仲間だからな。
お腹いっぱいになった吾とマスターはお昼寝した。
しかし、吾は早めに目が覚めてしまった。
マスターが起きてきたら喜ばせようと思って、影を倒してコアを集めておく。確か苺を作る腕輪の付与効果の回数は後一回だ。
九回ほど影を倒していたら飽きてきた。
なにかあったときのためにMPも残しておかなくてはいけないし、この辺りで止めておこう。……マスターが寝てると退屈なのだ。
吾は、ちょっとだけ鼻でマスターをつつくことにした。
マスターが起きた後、アジサイ達がミドルポーションを作った。
吾の影コアを使ったから、千五百瓶もできたのだ。
できたミドルポーションは人間達に与えた。DPを稼ぐためには人間達が欲しがるものを与えてやらないといけないからな。
……大家や春人達用に何本か取っておいても良かったのではないか?
と思ったのは、吾の騒霊やスライムリレーでミドルポーションをエントランスに運び終わった後だった。
マスターも気がついたらしく、しまった、と呟いていた。まあこのダンジョンに棲むアジサイ達はモンスターに食われないから、またすぐ薬草ができると思うのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アパートに帰ってから、吾と同じ双頭なのにマスターのように二足歩行しているオルトロス星人が出てくる映画を見せてもらった。
すごく面白かった。マントぶわーでカッコ良かったのだ!
ヒーローショーに行ったら、オルトロス星人に会えるのかな?
押し入れから顔を出して、マスターが近寄って来たら中に入り、逆側から顔を出す遊びだ。
最初はマスターに開けてもらった襖だが、今は鼻先で開けられるようになっている。
「待て待てー」
「わふわふー」
しばらく遊んだ後で、マスターは疲れたからひと休みと言い出した。……大丈夫かな。
『大地の祝福』使ったほうがいい?
HPが全回復して欠損も状態異常も回復するぞ。広範囲に効果があるから、大家の腰痛も回復できる。
疲れたと言ってたくせに、マスターはステータスボードを確認し出す。
スマホまで出したので、だれかに電話するのかと思った。友達との長電話は昨夜たくさんしたのにな。
困ったマスターなのだ。
吾は良いボスモンスターなので、押し入れから顔を出してマスターを待っている。
あんまり遅いようなら洗濯籠に入っちゃおうかな。
でも今はトイレじゃないから膝に乗っちゃおうかなー、とか思っていたら、
「タロ君、ダンジョン行く?」
「ん。マスターが行くなら行くぞ」
押し入れを出ると、マスターは吾を抱っこして『転移』した。
ボス部屋に着いたマスターが不思議そうな顔をする。
なにかの匂いを感じているらしい。吾も鼻をふんふんしてみた。
「ああ、スライムの花が咲いたみたいだぞ」
ダンジョンマザーツリーのデータベースにアクセスして、スライムのことを確認してみる。
スライム内に生じる薬草はポーションの材料だ。
花ならミドルポーション、実ならミドルポーションとハイポーションの中間の効果があるミドルポーション+が作れるが、異世界ではスライム内の薬草がそこまで成長するのは珍しかった。このダンジョンのモンスターはスライムを食べる前に人間に倒されてるし、吾のマスターの魔力も上質だから成長が速まったに違いない。
でもそんなことはどうでもいいことだ。
マスターがダンジョンに来たのは、苺を作るためだった。
苺……吾のボス部屋を苺でいっぱいにしてくれるのだろうか。昨日、大家や春人達に苺をお裾分けしたことに後悔などないものの、好きなときに好きなだけ苺が食べられるなら最高だ。
ダンジョンの苺は外で作った苺より大きかった。
春人や冬人の頭くらいあるかもしれない。
ダンジョンの施設がマスターの魔力を増幅しているのだろう。マスターはこの世界の人間なので、入り口から入って来てダンジョンに吸収されているこの世界の魔力と相性がいい。
美味しく苺を食べていたら、スライムが落ちてきた。
苺が食べたくて落ちて来たのだという。
もうちょっと食べたい気もしたが、吾はスライム達に苺を譲ってやった。マスターに名前を付けられたからには、スライム……いやアジサイ達も吾の群れの仲間だからな。
お腹いっぱいになった吾とマスターはお昼寝した。
しかし、吾は早めに目が覚めてしまった。
マスターが起きてきたら喜ばせようと思って、影を倒してコアを集めておく。確か苺を作る腕輪の付与効果の回数は後一回だ。
九回ほど影を倒していたら飽きてきた。
なにかあったときのためにMPも残しておかなくてはいけないし、この辺りで止めておこう。……マスターが寝てると退屈なのだ。
吾は、ちょっとだけ鼻でマスターをつつくことにした。
マスターが起きた後、アジサイ達がミドルポーションを作った。
吾の影コアを使ったから、千五百瓶もできたのだ。
できたミドルポーションは人間達に与えた。DPを稼ぐためには人間達が欲しがるものを与えてやらないといけないからな。
……大家や春人達用に何本か取っておいても良かったのではないか?
と思ったのは、吾の騒霊やスライムリレーでミドルポーションをエントランスに運び終わった後だった。
マスターも気がついたらしく、しまった、と呟いていた。まあこのダンジョンに棲むアジサイ達はモンスターに食われないから、またすぐ薬草ができると思うのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アパートに帰ってから、吾と同じ双頭なのにマスターのように二足歩行しているオルトロス星人が出てくる映画を見せてもらった。
すごく面白かった。マントぶわーでカッコ良かったのだ!
ヒーローショーに行ったら、オルトロス星人に会えるのかな?
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