51 / 68
都市税争奪対抗戦編
51話 ゼス死す
しおりを挟む
自陣地の防衛が、壊滅状態に陥っている事に気付いたドリボラの攻撃部隊が前線から後退し守りに入ったのだ。
これに、気付いたゼスが風音に事態を報告しようとした時だった。
「隙あり! 待っていたぜ!! バルラ!! ベルラ!! 」
ゼスの後方から、首に黒布を巻いた魔獣召喚士が召喚済みのヘルドック4体に襲いかからせた。
「くっ!! しまった!? 」
2体が両手に噛みつき、2体が両足に噛みついた。完全に動きを封じられ地面に転がされてしまった。
「くっ… 油断しちまったぜ どうにかしないと… 」
「遅いぜ てめぇは終わりだよ!! 」
隠語を、駆使して攻撃したい場所を的確に… そんな調教方法が昔から存在したのだ。特に、裏家業を生業として者は隠語で攻撃箇所を使い分けていたのだという。
当然、契約魔獣の首を狙った攻撃は禁止事項とされているが、隠語を使われると立証するのが難しいため処分が有耶無耶にされてしまう。
この場合、ゼスに対してバルラ『腕を攻撃しろ』ベルラ『足に攻撃しろ』と命じた魔獣召喚士はゼスを殺した後で魔獣契約を破棄すれば良い。
「くそ!! 」
「グワッハハハ!! 」
観客席から悲鳴が聞えた。
「「「キャーーー! 」」」
「おい ヤバいぞ あれは… 」
ヘルドッグ4体が、ゼスの身体に噛みつき辺りが血で赤く染まりだす。
「グルルルルル… 」
ヘルドックは、首を揺さぶり続ける。更に出血するゼス。
「ちっ… 意識が 朦朧としてきた… 」
風音は、ネビルの手下を探している最中だったが観客席の異変に気付く。視線の先を確認すると、4体のヘルドックに噛みつかれたゼスが倒れていた。
「ゼスーーーー!! 」
風音は、俊足でゼスの元に駆け寄るとヘルドックを次々と蹴り殺す。
「きさま… 許さんぞ」
風音は、身体を震わせネビルの手下である魔獣召喚士の両手首、両足首を手刀で切断した。
「うぎゃーー!! 助けて!! 」
その場で、転げ回る召喚士を無視してゼスの側に走っていく。
「ゼス!! しっかりするんじゃゼス!! 」
「か… かざねさん 試合はどうなった? 勝ったのか? 」
「しっかりしろ! まだだ! まだ終わってはおらん! 」
「そうか… じゃあ祝杯だな… 帰って何か作らないと… 」
意識が、すでに飛んでいる状態だ。顔から血の気が引いている。
「風音!! ゼスさん!? どうしたんだこれ!? 」
異変に気が付いた俺とカーベルは風音の元に走った。
「どうしたも何も… そこに転がっている召喚士の魔獣4体にゼスが… 」
風音の後ろには両手首、両足首を切断された男が転がっていた。
「どうにかならないのか 風音!! 」
「… 出血が多すぎる」
ゼスの周りは血だらけだった…
「か… かざねさん いるのか? 」
ゼスが意識を取り戻した。
「ゼス!! しっかりしろ! 」
「ゼスさん! しっかりして!! 」
俺達は声を掛け続けた。
「か… かざねさん 俺… 死ぬのか? ここで死ぬのか? 」
「死なん! お前はこんなところで死ぬ気か? ならんぞ!! 」
「こんな… こんなところで 死にたく… ない」
ゼスが再び意識を飛ばした。もう、時間が無い…
「託也 カーベル ゼスの顔を隠せ わしの血を飲ませる」
「風音… 」
「早くしろ! ゼスを死なせて良いのか!? さっさとしろ!! 」
俺とカーベルは、観客から見えないように外套を広げる。風音は、自分の手を切りゼスに血を飲ませた。その間、風音はゼスに語りかける。
「飲め… こんなところで死ぬのは馬鹿だけじゃ 飲め 生きろ 生きてわしらと旅を続けるぞ ゼス 誰がわしらの飯を作るんじゃ? 」
「風音… 」
「風音様… 」
「ところでお前達 なぜ持ち場を離れた? 」
「パネルで人数確認したよ アサシンは居なかった 相手はオブジェクト前にいる10名足らずだけだよ… 」
「そうか… とりあえず、様子をみよう 戦闘不能としてゼスを陣地に運んでおけ 残りはわしが片付ける」
「わかった… 」
風音は、そう言うと真っ直ぐ敵陣地へ1人で向かった。
俺達はゼスを抱えて、陣地の入場通路に運んだ。
風音の、氷穴展開はゼスが倒れている時に解除されていた。防衛しているドリボラの冒険者に風音が降参を促す。
「お前達… 見ての通り実力の差は歴然 降参を薦めるがどうする? 」
ドリボラの冒険者は最後まで抵抗するようだ。
「降参はしない… 人数だけでいえば まだ、うちに分がある」
「2度と冒険者が出来なくなるぞ? 良いのか? 」
「誰もがビビると思ったら大間違いだぜ!! 」
突然、剣を振りかぶった男に風音は無反応。
ビシャーーーー!!
僅かに避けた、風音であったが腕を切り落とされる。血が吹き出す。
「よし! 散々、仲間の手足を切ってくれたお返しが出来たぜ! 」
横から話に割って、風音に剣を切りつけた冒険者が言い放った。
「ほーう… お前は、あいつらの仲間か なら見逃せんのう」
スパン
風音は、残った方の手で手刀を作り切りつけてきた冒険者の手首を切り落とす。冒険者の手は剣を握ったまま地面に落ちた。
「ぎゃああ!! いでぇぇぇ!! いでぇぇぇぇょよぉぉぉ!! 」
「「「「ひぃぃー!! 」」」
ズボッ グリ
風音は、手首を切り落とした冒険者の目玉を1つ刳り貫いた。
「きゃーーー!! あたしは駄目 降参するわ… 」
「お… おれも 冗談じゃねえ!! 降参だ… 」
次々に、降参する冒険者達。最初に話した冒険者以外全てのドリボラ陣営の参加者はパネルから消えていた。
ボコボコ
風音の腕が高速再生しだした。
「まったく… また着替えねばなるまい」
そう言うと、真っ赤な着物から真っ黒い着物へと変更する。
「お前は降参しないのか? 」
風音がパネルを確認する。どうやら、Sランク冒険者のようだ。
「あ… ああ 負けるのは間違いないだろう しかし、戦わずして負ける訳にはいかないんだ… それが冒険者として俺の生き様だ」
「なるほどのう… 良い心がけと言いたいところじゃが それで冒険者として終わっても構わないというのか? 」
「… それも、仕方のない事なんだと思う」
その冒険者は下を向き意地を通す気のようだ。
「良かろう 本人の自由じゃ」
風音は、そう言うとドリボラのオブジェクトに手を添えた。
スガーーーーーンッ!!
風穴で、オブジェクトを粉々に吹き飛ばした。
ドンドンドンドンドドドドドンドーーン!!
試合終了の合図が鳴る。
風音は、その冒険者の横に行き肩を叩く。
「また今度じゃ」
風音は自陣へスタスタと戻って行った。
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 」」」
「あんた達 すげえよ!! 強すぎるぜ!! 」
「決勝は楽しみだぜ!! こりゃ、もしかしたらもしかするかもな! 」
「メイドス!! そうか… あんただろ! 北ダンジョン攻略したの! 」
「ああ! きっとあいつらだぜ! すげえもん見させて貰ったぜ! 」
「決勝頑張れよ!! 」
割れんばかりの声援がメイドスに送られた。
だが、誰一人としてその歓声を聞く者はいなかった… すぐに、通路に運ばれているゼスの元へ皆が走る。
「託也! ゼスは何処じゃ? 」
風音が走りながら、ゼスの居場所を俺に聞いてきた。
「戦闘不能と、審判に言って治療を頼んだよ そこの待合室にいるはずだよ」
30分間、試合前に待機させられた部屋を目指す俺達。
部屋に飛び込む風音。
「ゼス!! ゼスーーー!! しっかりしろ! 」
風音はゼスに覆いかぶさるように身体を揺らす。
「いててて… どうしたんだ かざねさん 痛いじゃないか… 」
「ゼスーーー!!」
「「「ゼスさーーん!! 」」
「お… おお みんな無事か すまんな なんか、意識が無くなってたようだ 試合の途中までは覚えているんだが… 勝ったのか? 」
「決まってるじゃん ゼスさん! そんな事より… 本当に良かったよ グスッ… 」
俺は、はじめて人前で涙を流した。その涙は、面で隠れて誰にも見られていなかった。
「託也… どうしたんだよ? 一体… 」
ゼスは、何で俺が泣いてるのか状況が飲み込めていない様子だ。
「まったく… 心配させおって グスッ…」
「かざねさんまで… 」
「「「グスッ… 」」」
結局、全員泣いていたのだった。
「あ… あのう」
存在を忘れていた…
運営を任されている特務機関の治療士だろう。2人の特務員がそこにいた。
「あ… 帰っていいですか? 」
「うむ 良くやってくれたのう 礼を言うぞ」
風音が、治療士に礼を言うと何もしてないと言い出した治療士。
「なに!? 」
「いえ… 私達がここに来た時には、すでに傷口は塞がっており心拍も正常でした… 」
「… 」
風音はゼスの手足を確認する。
「傷が無いのう… 」
風音は、手刀でゼスの腕を軽く傷つける。
シュッ
「あ… かざねさん 痛い… 痛くないな… あれ? 」
風音はニヤリとした。
「あー お前達ご苦労じゃったな 帰って良いぞ」
「あ はい… では、お大事に」
治療士が、帰ったのを確認するとゼスに風音が告げる。
「ゼス 引き継いだようじゃのう わしの血を」
「えっ!? 何それ 何の事だ かざねさん!? 」
「見てみろ 傷が塞がっておろう」
風音が、手刀で与えた傷は完全に塞がっていた。
「な… 飲んだのか!? 俺が、かざねさんの血を… 」
「説明は後じゃ とりあえず、飯じゃ みんな飯に行くぞ」
俺達は、飯を食いに闘技場を後にした。
これに、気付いたゼスが風音に事態を報告しようとした時だった。
「隙あり! 待っていたぜ!! バルラ!! ベルラ!! 」
ゼスの後方から、首に黒布を巻いた魔獣召喚士が召喚済みのヘルドック4体に襲いかからせた。
「くっ!! しまった!? 」
2体が両手に噛みつき、2体が両足に噛みついた。完全に動きを封じられ地面に転がされてしまった。
「くっ… 油断しちまったぜ どうにかしないと… 」
「遅いぜ てめぇは終わりだよ!! 」
隠語を、駆使して攻撃したい場所を的確に… そんな調教方法が昔から存在したのだ。特に、裏家業を生業として者は隠語で攻撃箇所を使い分けていたのだという。
当然、契約魔獣の首を狙った攻撃は禁止事項とされているが、隠語を使われると立証するのが難しいため処分が有耶無耶にされてしまう。
この場合、ゼスに対してバルラ『腕を攻撃しろ』ベルラ『足に攻撃しろ』と命じた魔獣召喚士はゼスを殺した後で魔獣契約を破棄すれば良い。
「くそ!! 」
「グワッハハハ!! 」
観客席から悲鳴が聞えた。
「「「キャーーー! 」」」
「おい ヤバいぞ あれは… 」
ヘルドッグ4体が、ゼスの身体に噛みつき辺りが血で赤く染まりだす。
「グルルルルル… 」
ヘルドックは、首を揺さぶり続ける。更に出血するゼス。
「ちっ… 意識が 朦朧としてきた… 」
風音は、ネビルの手下を探している最中だったが観客席の異変に気付く。視線の先を確認すると、4体のヘルドックに噛みつかれたゼスが倒れていた。
「ゼスーーーー!! 」
風音は、俊足でゼスの元に駆け寄るとヘルドックを次々と蹴り殺す。
「きさま… 許さんぞ」
風音は、身体を震わせネビルの手下である魔獣召喚士の両手首、両足首を手刀で切断した。
「うぎゃーー!! 助けて!! 」
その場で、転げ回る召喚士を無視してゼスの側に走っていく。
「ゼス!! しっかりするんじゃゼス!! 」
「か… かざねさん 試合はどうなった? 勝ったのか? 」
「しっかりしろ! まだだ! まだ終わってはおらん! 」
「そうか… じゃあ祝杯だな… 帰って何か作らないと… 」
意識が、すでに飛んでいる状態だ。顔から血の気が引いている。
「風音!! ゼスさん!? どうしたんだこれ!? 」
異変に気が付いた俺とカーベルは風音の元に走った。
「どうしたも何も… そこに転がっている召喚士の魔獣4体にゼスが… 」
風音の後ろには両手首、両足首を切断された男が転がっていた。
「どうにかならないのか 風音!! 」
「… 出血が多すぎる」
ゼスの周りは血だらけだった…
「か… かざねさん いるのか? 」
ゼスが意識を取り戻した。
「ゼス!! しっかりしろ! 」
「ゼスさん! しっかりして!! 」
俺達は声を掛け続けた。
「か… かざねさん 俺… 死ぬのか? ここで死ぬのか? 」
「死なん! お前はこんなところで死ぬ気か? ならんぞ!! 」
「こんな… こんなところで 死にたく… ない」
ゼスが再び意識を飛ばした。もう、時間が無い…
「託也 カーベル ゼスの顔を隠せ わしの血を飲ませる」
「風音… 」
「早くしろ! ゼスを死なせて良いのか!? さっさとしろ!! 」
俺とカーベルは、観客から見えないように外套を広げる。風音は、自分の手を切りゼスに血を飲ませた。その間、風音はゼスに語りかける。
「飲め… こんなところで死ぬのは馬鹿だけじゃ 飲め 生きろ 生きてわしらと旅を続けるぞ ゼス 誰がわしらの飯を作るんじゃ? 」
「風音… 」
「風音様… 」
「ところでお前達 なぜ持ち場を離れた? 」
「パネルで人数確認したよ アサシンは居なかった 相手はオブジェクト前にいる10名足らずだけだよ… 」
「そうか… とりあえず、様子をみよう 戦闘不能としてゼスを陣地に運んでおけ 残りはわしが片付ける」
「わかった… 」
風音は、そう言うと真っ直ぐ敵陣地へ1人で向かった。
俺達はゼスを抱えて、陣地の入場通路に運んだ。
風音の、氷穴展開はゼスが倒れている時に解除されていた。防衛しているドリボラの冒険者に風音が降参を促す。
「お前達… 見ての通り実力の差は歴然 降参を薦めるがどうする? 」
ドリボラの冒険者は最後まで抵抗するようだ。
「降参はしない… 人数だけでいえば まだ、うちに分がある」
「2度と冒険者が出来なくなるぞ? 良いのか? 」
「誰もがビビると思ったら大間違いだぜ!! 」
突然、剣を振りかぶった男に風音は無反応。
ビシャーーーー!!
僅かに避けた、風音であったが腕を切り落とされる。血が吹き出す。
「よし! 散々、仲間の手足を切ってくれたお返しが出来たぜ! 」
横から話に割って、風音に剣を切りつけた冒険者が言い放った。
「ほーう… お前は、あいつらの仲間か なら見逃せんのう」
スパン
風音は、残った方の手で手刀を作り切りつけてきた冒険者の手首を切り落とす。冒険者の手は剣を握ったまま地面に落ちた。
「ぎゃああ!! いでぇぇぇ!! いでぇぇぇぇょよぉぉぉ!! 」
「「「「ひぃぃー!! 」」」
ズボッ グリ
風音は、手首を切り落とした冒険者の目玉を1つ刳り貫いた。
「きゃーーー!! あたしは駄目 降参するわ… 」
「お… おれも 冗談じゃねえ!! 降参だ… 」
次々に、降参する冒険者達。最初に話した冒険者以外全てのドリボラ陣営の参加者はパネルから消えていた。
ボコボコ
風音の腕が高速再生しだした。
「まったく… また着替えねばなるまい」
そう言うと、真っ赤な着物から真っ黒い着物へと変更する。
「お前は降参しないのか? 」
風音がパネルを確認する。どうやら、Sランク冒険者のようだ。
「あ… ああ 負けるのは間違いないだろう しかし、戦わずして負ける訳にはいかないんだ… それが冒険者として俺の生き様だ」
「なるほどのう… 良い心がけと言いたいところじゃが それで冒険者として終わっても構わないというのか? 」
「… それも、仕方のない事なんだと思う」
その冒険者は下を向き意地を通す気のようだ。
「良かろう 本人の自由じゃ」
風音は、そう言うとドリボラのオブジェクトに手を添えた。
スガーーーーーンッ!!
風穴で、オブジェクトを粉々に吹き飛ばした。
ドンドンドンドンドドドドドンドーーン!!
試合終了の合図が鳴る。
風音は、その冒険者の横に行き肩を叩く。
「また今度じゃ」
風音は自陣へスタスタと戻って行った。
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 」」」
「あんた達 すげえよ!! 強すぎるぜ!! 」
「決勝は楽しみだぜ!! こりゃ、もしかしたらもしかするかもな! 」
「メイドス!! そうか… あんただろ! 北ダンジョン攻略したの! 」
「ああ! きっとあいつらだぜ! すげえもん見させて貰ったぜ! 」
「決勝頑張れよ!! 」
割れんばかりの声援がメイドスに送られた。
だが、誰一人としてその歓声を聞く者はいなかった… すぐに、通路に運ばれているゼスの元へ皆が走る。
「託也! ゼスは何処じゃ? 」
風音が走りながら、ゼスの居場所を俺に聞いてきた。
「戦闘不能と、審判に言って治療を頼んだよ そこの待合室にいるはずだよ」
30分間、試合前に待機させられた部屋を目指す俺達。
部屋に飛び込む風音。
「ゼス!! ゼスーーー!! しっかりしろ! 」
風音はゼスに覆いかぶさるように身体を揺らす。
「いててて… どうしたんだ かざねさん 痛いじゃないか… 」
「ゼスーーー!!」
「「「ゼスさーーん!! 」」
「お… おお みんな無事か すまんな なんか、意識が無くなってたようだ 試合の途中までは覚えているんだが… 勝ったのか? 」
「決まってるじゃん ゼスさん! そんな事より… 本当に良かったよ グスッ… 」
俺は、はじめて人前で涙を流した。その涙は、面で隠れて誰にも見られていなかった。
「託也… どうしたんだよ? 一体… 」
ゼスは、何で俺が泣いてるのか状況が飲み込めていない様子だ。
「まったく… 心配させおって グスッ…」
「かざねさんまで… 」
「「「グスッ… 」」」
結局、全員泣いていたのだった。
「あ… あのう」
存在を忘れていた…
運営を任されている特務機関の治療士だろう。2人の特務員がそこにいた。
「あ… 帰っていいですか? 」
「うむ 良くやってくれたのう 礼を言うぞ」
風音が、治療士に礼を言うと何もしてないと言い出した治療士。
「なに!? 」
「いえ… 私達がここに来た時には、すでに傷口は塞がっており心拍も正常でした… 」
「… 」
風音はゼスの手足を確認する。
「傷が無いのう… 」
風音は、手刀でゼスの腕を軽く傷つける。
シュッ
「あ… かざねさん 痛い… 痛くないな… あれ? 」
風音はニヤリとした。
「あー お前達ご苦労じゃったな 帰って良いぞ」
「あ はい… では、お大事に」
治療士が、帰ったのを確認するとゼスに風音が告げる。
「ゼス 引き継いだようじゃのう わしの血を」
「えっ!? 何それ 何の事だ かざねさん!? 」
「見てみろ 傷が塞がっておろう」
風音が、手刀で与えた傷は完全に塞がっていた。
「な… 飲んだのか!? 俺が、かざねさんの血を… 」
「説明は後じゃ とりあえず、飯じゃ みんな飯に行くぞ」
俺達は、飯を食いに闘技場を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる