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第一章 とある魔女
【二品目 魔女の薬】
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【二品目 魔女の薬】
こんにちは。
私はシルフ、風の精霊よ。
今は訳あって第一等級魔女様のステラ様のお店でアルバイトなるものをしています。
このお店にお客様が来ることは滅多に無いのだけれどね。
こんにちは。
ウンディーネはウンディーネ、水の精霊だよ。
愛称でディーネと呼ばれるの。
シルフと一緒に魔女、ステラ様のお店でアルバイトなるものをしています。
このお店にお客様が来ることは滅多に無いのだけどね。
「…あの…こちらのお店に魔女様がいると…聞いたのですが…」
今日はお客様がくる稀な日のようです。
____
______
________
_______________
「…あの…こちらのお店に魔女様がいると…聞いたのですが…」
春の清々しい陽気に包まれたある日。
田舎村『ベリア』の近くにある森…の中にある魔女の店に一人の人間の客が来ていた。
容姿は見惚れる程眩しい橙色の髪を三つ編みにした歳若い女性である。
「「こんにちは、お客様。本日はどのようなご要件でしょう?」」
シルフとウンディーネが並んで挨拶をすると、女性は店の中を見渡した。
「ま、魔女様はお薬を作れると聞いて参りました!お会い出来ないでしょうか?」
決心を決め、不安そうな顔でそう言うと、勢いよくお辞儀した。
「あら、今日は良い天気ね。これはお客が来る訳だわ」
店の奥にある扉から大きな帽子を頭に乗せた、第一等級、星屑の魔女ステラが出てきた。
欠伸をし、どうやら気楽な様子である。
「おはようございますわ、魔女様。どうやらお薬をご希望のようですの」
「おはようございます、魔女様。事情を聞いて差し上げては如何でしょう?」
シルフとウンディーネが同時にステラの方を振り向く。
「ええ、勿論。応接室に案内して」
「「ただいま。此方です」」
店の右壁にあるreception roomと書かれた扉へ女性を案内し、本日の仕事が始まる。
「そうね、先ずは名前を聞きましょう」
机を挟み、向かい合った薄紫色のソファにて、ステラと女性が座っている。
シルフとウンディーネはどうやら紅茶を入れに行って居るらしい。
「私は…セレナと申します。ベリア村の農家の娘です」
ベリア村は大きく発展している訳では無いが、農業の盛んな村だ。
他にも酪農など、生産量はこの国でもトップクラスである。
「それで、薬を希望だったわね。私に…魔女に頼むって事は相当な重病かしら」
「はい。ユウナ…妹なのですが、どの薬を飲ませても熱が冷めず、咳が止まらないのです」
「…まぁ一度様子を見ないと分からないわね。一応聞くけれど、王都の医者には見せたの?言っちゃなんだけど、ベリアより良い医者
が居るでしょう。それに薬も」
「勿論、王都の医者はこの村の医者より優れています。その分、私達の様なそこらの平民には払えぬ診察料ですので…」
セレナと名乗った女性はスカートを握り締めて悔しそうな顔をした。
王都の優秀な医者となると診察料もそれなりで、平民にはとても払えない。
予想するに彼女は王都の医者に小馬鹿にされたのだろう。
王都の人間とは他者を蹴落とす傾向がある。
人間族は団結力は強いが、知能があり余っている為、そのような傾向になってしまったのだろう。
ステラがセレナの瞳を見つめ、何かを考えているとシルフとウンディーネが入ってきた。
「紅茶をお持ちしましたわ」
「ダージリンティーですよ」
「シルフ、ディーネありがとう」
手馴れた手付きで紅茶を淹れ、中間地に角砂糖入れを置くと、ステラのソファの後ろに立ち並ぶ。
「さて、と。取り敢えず症状を詳しく聞いて、薬を持って診察しましょう。と言っても私は魔女で医者ではない病に特別詳しい訳じゃないけれど」
「ですが魔女様はどの魔法族より優れた頭脳をお持ちですの」
「知識は豊富ですから、医者並みですよ」
「専売特許では無いわよ。魔女の作る薬は人間が作るよりも強力で細かい作用があるから、ちゃんと気をつけないとね」
紅茶をすすり、カップを置くとステラは口角を上げた。
「安心して。悪い事はしないもの」
アメジスト色の瞳には静かな怒りが感じられた。
こんにちは。
私はシルフ、風の精霊よ。
今は訳あって第一等級魔女様のステラ様のお店でアルバイトなるものをしています。
このお店にお客様が来ることは滅多に無いのだけれどね。
こんにちは。
ウンディーネはウンディーネ、水の精霊だよ。
愛称でディーネと呼ばれるの。
シルフと一緒に魔女、ステラ様のお店でアルバイトなるものをしています。
このお店にお客様が来ることは滅多に無いのだけどね。
「…あの…こちらのお店に魔女様がいると…聞いたのですが…」
今日はお客様がくる稀な日のようです。
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「…あの…こちらのお店に魔女様がいると…聞いたのですが…」
春の清々しい陽気に包まれたある日。
田舎村『ベリア』の近くにある森…の中にある魔女の店に一人の人間の客が来ていた。
容姿は見惚れる程眩しい橙色の髪を三つ編みにした歳若い女性である。
「「こんにちは、お客様。本日はどのようなご要件でしょう?」」
シルフとウンディーネが並んで挨拶をすると、女性は店の中を見渡した。
「ま、魔女様はお薬を作れると聞いて参りました!お会い出来ないでしょうか?」
決心を決め、不安そうな顔でそう言うと、勢いよくお辞儀した。
「あら、今日は良い天気ね。これはお客が来る訳だわ」
店の奥にある扉から大きな帽子を頭に乗せた、第一等級、星屑の魔女ステラが出てきた。
欠伸をし、どうやら気楽な様子である。
「おはようございますわ、魔女様。どうやらお薬をご希望のようですの」
「おはようございます、魔女様。事情を聞いて差し上げては如何でしょう?」
シルフとウンディーネが同時にステラの方を振り向く。
「ええ、勿論。応接室に案内して」
「「ただいま。此方です」」
店の右壁にあるreception roomと書かれた扉へ女性を案内し、本日の仕事が始まる。
「そうね、先ずは名前を聞きましょう」
机を挟み、向かい合った薄紫色のソファにて、ステラと女性が座っている。
シルフとウンディーネはどうやら紅茶を入れに行って居るらしい。
「私は…セレナと申します。ベリア村の農家の娘です」
ベリア村は大きく発展している訳では無いが、農業の盛んな村だ。
他にも酪農など、生産量はこの国でもトップクラスである。
「それで、薬を希望だったわね。私に…魔女に頼むって事は相当な重病かしら」
「はい。ユウナ…妹なのですが、どの薬を飲ませても熱が冷めず、咳が止まらないのです」
「…まぁ一度様子を見ないと分からないわね。一応聞くけれど、王都の医者には見せたの?言っちゃなんだけど、ベリアより良い医者
が居るでしょう。それに薬も」
「勿論、王都の医者はこの村の医者より優れています。その分、私達の様なそこらの平民には払えぬ診察料ですので…」
セレナと名乗った女性はスカートを握り締めて悔しそうな顔をした。
王都の優秀な医者となると診察料もそれなりで、平民にはとても払えない。
予想するに彼女は王都の医者に小馬鹿にされたのだろう。
王都の人間とは他者を蹴落とす傾向がある。
人間族は団結力は強いが、知能があり余っている為、そのような傾向になってしまったのだろう。
ステラがセレナの瞳を見つめ、何かを考えているとシルフとウンディーネが入ってきた。
「紅茶をお持ちしましたわ」
「ダージリンティーですよ」
「シルフ、ディーネありがとう」
手馴れた手付きで紅茶を淹れ、中間地に角砂糖入れを置くと、ステラのソファの後ろに立ち並ぶ。
「さて、と。取り敢えず症状を詳しく聞いて、薬を持って診察しましょう。と言っても私は魔女で医者ではない病に特別詳しい訳じゃないけれど」
「ですが魔女様はどの魔法族より優れた頭脳をお持ちですの」
「知識は豊富ですから、医者並みですよ」
「専売特許では無いわよ。魔女の作る薬は人間が作るよりも強力で細かい作用があるから、ちゃんと気をつけないとね」
紅茶をすすり、カップを置くとステラは口角を上げた。
「安心して。悪い事はしないもの」
アメジスト色の瞳には静かな怒りが感じられた。
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