3 / 4
第一章 とある魔女
【三品目 魔女の診察】
しおりを挟む
【三品目 魔女の診察】
「ここが私の家です。今は妹しか居ませんのでご安心ください」
ベリア村のセレナの家に来るまで、多くの人に不審な目で見られた。
今回の訪問はステラ単身である。
「さて、早速見ましょうか」
本来人間は魔女を忌み嫌い、恐れているがセレナには大きな拒否反応は見られない。
そう、見えない様にしているのだ。
恐らく周りの人間にいざとなれば助けてくれと相談していたのだろう。
道のりでステラの感じた目線は恐怖、心配、怒り…様々な感情だった。
警戒されていることを分かってステラは働く訳だが、このことに関してアルバイトをしている精霊達は良く思っていないらしい。
そして診察が始まった訳だが、魔女の診察とは魔力を感知し調べる。
又は医者よりも優れている魔法を用いて身体の隅々まで調べる方法がある。
「…微かに魔力の反応があるわね」
そうステラが言うと、セレナの表情が険しくなる。
人間の中で魔力と言えば魔法族。
つまりは魔女であるステラが原因なのではと疑っているのだ。
「それってどういう事ですか…!」
セレナが勢いよく椅子から立ち上がる。
ステラはそれを横目で見ながら「まぁ最後まで聞きなさい」と言って妹のユウナの手を触る。
「妹さん、よく森に遊びに行っていたでしょう」
「えぇ…確か体調が悪くなった日も遊びに行っていたような」
ユウナの部屋には森にある木の実や草花が大量に飾られていた。
「魔法植物…即ち魔力を持つ植物に触ったのね。指先に微かに残っている」
「つまりユウナは魔法植物の毒でこうなってしまったと?」
「ま、そういう事ね。発熱と咳を引き起こす毒を持つのはラティフォリアだったかしらね~」
ステラは立ち上がり、花が飾られている棚の方へ近寄る。
そこには不自然に桃光りする花があった。
「この花に私が解毒魔法を掛ければ妹さんの症状も軽くなるはずよ。後は私が専用の薬を作るから、それで完治って所かしらね」
ステラが花に触れると花は更に輝きを増す。
《解毒魔法 二の句 デトックス》
花はステラの解毒魔法に掛けられ、光の粒となって消滅する。
先程まで息を荒くしながら辛そうにしていたユウナは体は火照って居るが、呼吸が落ち着き始めている。
初めて魔法を間近で見たセレナは目を丸くしていた。
警戒心を抱いていた瞳は和らぎ、安心からか潤んでいる。
「本当に…本当にありがとうございます、魔女様」
その様子を見てステラは薄く微笑む。
底知れぬ瞳の奥に優しさの念が込められていた。
____
______
________
_______________
「お帰りなさいませ、魔女様。無事解決されたようですわね」
「お帰りなさいませ、魔女様。全て事をなされたのですね」
ステラが店へ帰る頃、時計は十三時を指していた。
「ええ。まぁ、薬を作って暫くは様子見だけれどね」
「…魔女様はお優しい方ですわ」
「…村の者は恐れ知らずです」
シルフとウンディーネが悲しそうな顔をすると、ステラは微笑した。
「…都合のいい時ばかり頼って、って思ってるの?」
店にある古い籐椅子に腰掛けると窓の外を眺めながら言葉を続ける。
「人間って、そういうものでしょう。良く言えば大切な者の為に手段を選ばないなんて、素敵でしょう?」
シルフとウンディーネは二人で顔を見合わせて「魔女様がそういうのなら」と、微笑み合うのだった。
「ここが私の家です。今は妹しか居ませんのでご安心ください」
ベリア村のセレナの家に来るまで、多くの人に不審な目で見られた。
今回の訪問はステラ単身である。
「さて、早速見ましょうか」
本来人間は魔女を忌み嫌い、恐れているがセレナには大きな拒否反応は見られない。
そう、見えない様にしているのだ。
恐らく周りの人間にいざとなれば助けてくれと相談していたのだろう。
道のりでステラの感じた目線は恐怖、心配、怒り…様々な感情だった。
警戒されていることを分かってステラは働く訳だが、このことに関してアルバイトをしている精霊達は良く思っていないらしい。
そして診察が始まった訳だが、魔女の診察とは魔力を感知し調べる。
又は医者よりも優れている魔法を用いて身体の隅々まで調べる方法がある。
「…微かに魔力の反応があるわね」
そうステラが言うと、セレナの表情が険しくなる。
人間の中で魔力と言えば魔法族。
つまりは魔女であるステラが原因なのではと疑っているのだ。
「それってどういう事ですか…!」
セレナが勢いよく椅子から立ち上がる。
ステラはそれを横目で見ながら「まぁ最後まで聞きなさい」と言って妹のユウナの手を触る。
「妹さん、よく森に遊びに行っていたでしょう」
「えぇ…確か体調が悪くなった日も遊びに行っていたような」
ユウナの部屋には森にある木の実や草花が大量に飾られていた。
「魔法植物…即ち魔力を持つ植物に触ったのね。指先に微かに残っている」
「つまりユウナは魔法植物の毒でこうなってしまったと?」
「ま、そういう事ね。発熱と咳を引き起こす毒を持つのはラティフォリアだったかしらね~」
ステラは立ち上がり、花が飾られている棚の方へ近寄る。
そこには不自然に桃光りする花があった。
「この花に私が解毒魔法を掛ければ妹さんの症状も軽くなるはずよ。後は私が専用の薬を作るから、それで完治って所かしらね」
ステラが花に触れると花は更に輝きを増す。
《解毒魔法 二の句 デトックス》
花はステラの解毒魔法に掛けられ、光の粒となって消滅する。
先程まで息を荒くしながら辛そうにしていたユウナは体は火照って居るが、呼吸が落ち着き始めている。
初めて魔法を間近で見たセレナは目を丸くしていた。
警戒心を抱いていた瞳は和らぎ、安心からか潤んでいる。
「本当に…本当にありがとうございます、魔女様」
その様子を見てステラは薄く微笑む。
底知れぬ瞳の奥に優しさの念が込められていた。
____
______
________
_______________
「お帰りなさいませ、魔女様。無事解決されたようですわね」
「お帰りなさいませ、魔女様。全て事をなされたのですね」
ステラが店へ帰る頃、時計は十三時を指していた。
「ええ。まぁ、薬を作って暫くは様子見だけれどね」
「…魔女様はお優しい方ですわ」
「…村の者は恐れ知らずです」
シルフとウンディーネが悲しそうな顔をすると、ステラは微笑した。
「…都合のいい時ばかり頼って、って思ってるの?」
店にある古い籐椅子に腰掛けると窓の外を眺めながら言葉を続ける。
「人間って、そういうものでしょう。良く言えば大切な者の為に手段を選ばないなんて、素敵でしょう?」
シルフとウンディーネは二人で顔を見合わせて「魔女様がそういうのなら」と、微笑み合うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる