魔女の店

汐桜

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第一章 とある魔女

【四品目 魔女の食卓Ⅰ】

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【四品目  魔女の食卓Ⅰ】

「魔女様どうされましたの?」
「魔女様どうしたのですか?」

とある日の昼下がり。
空の上を悠々と鳥が飛び回る、そんな時。
魔女の店の住民は揃って昼食を食べていた。

「何だか最近食事が質素な気がするのだけど」

今日の昼食のメニューはトウモロコシ粉を練って焼き、薄く伸ばしたトルティーヤ。
それの付け合せとしてトマトの煮物。簡素なサラダ。

ステラにとっては質素な食事らしい。
要するに肉が無いのだ。
そして近くにあるベリア村も貧相な村なので高価な物など売っていないのだ。

「仕方がありませんのよ、魔女様」
「貯金も減ってきているのです、魔女様」

魔女の店は基本客が来ない。
つまりは収入源が無いのだ。

「ここ数日、お肉を口にしていない気がする…」

「では狩りに行かれます?」
「では狩りに出かけますか?」

「狩りって…確かに私なら人間には行けない森の奥まで行けるけど、面倒なのよ」

「血抜きとか、大変ですものね」
「捌くのも、大変ですよね」

「…お金が無いのよね?」

「ええ、貯金は残り銀貨二枚。あと二食分ですわね」
「はい、貯金は残り銀貨二枚。日用品を買えば無くなってしまいます」

ステラは何かを企むように口角を上げた。

「さて、たまにはお仕事頑張りますか」

____
______
________
_______________

「「森の奥まで参りましたが何をするのです?」」

店の更に奥…の奥には魔法植物や魔物が多く生息している。
魔物とは、魔力を持つ生物で害をなす者も居れば平和な者もいる。

「食料を買おうにも村に食料が無い。食料を買おうにも金がない。それなら両方とも自分達で調達すればいいのよ」

ステラは自信満々にそう豪語した。
シルフとウンディーネは黙ってステラを見つめる。

「魔物には色々な種類が居るわ。中には食べられるべくして生まれたものもね」

「結局、狩りをなさるのですわね」
「お手伝い出来ることはします」

「先ずは魔力探知ね」

魔力探知とは周囲の魔力を持つものを探す魔法である。
上級の魔法になるほど姿がはっきりと探知できる。

《魔力探知魔法 三の句 デプレセンシオ》

ステラが目を瞑って暫く経つと、目を開けて北の方角を指差した。

「あっちに大きいのがいるわね」

「「では参りましょう」」

魔力探知で見つけた魔物に向かって足を進めるうちに、光る植物や一角兎が姿を見せ始めた。

「まぁ、元気な一角兎ですわね」
「兎はシチューにすると美味しいのですよ」

シルフとウンディーネが頬に手を当ててうっとりとした顔をする。

「兎肉か…今日は荒稼ぎしましょ」

ステラは肩幅に脚を広げ、一角兎に向かって片手を広げる。

《光魔法 フォトン・アローシェイプ》

魔法の詠唱をすると辺りの光が集まり、光で出来た矢が空中に浮び上がる。
光属性の魔法である。
魔法には属性というものがあり、それぞれ特徴がある。
光属性の特徴の一つとして、攻撃的な魔法を使っても痛みはあるが傷がつかないのだ。

作り出された矢は一角兎に刺さり、生命の途絶えた一角兎は地面に倒れた。

「お見事ですわ、魔女様」
「縄で縛って、ウンディーネが運びます」

ウンディーネが縄で一角兎の手足を縛り、肩に乗せて更に奥へとまた歩き出す。

「ステラ様。大きいの、とは一体どのような魔物なんですの?」
「ステラ様。大きいの、とは一体どのような味なのですか?」

「猪よ、猪。と言ってもサイズは家くらいあるけどね。味は美味しいと思うわよ。精霊の口に合うかは知らないけれど」

精霊の二人は顔を見合わせて目を見開いていた。

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