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魔物討伐隊 立入制限区域レベル6にて
願掛け
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イスタは驚きの声をあげる。精霊は気まぐれな為、滅多に人前には姿を現さないとされている。
時々運の良い者が、成熟した聖樹に、白く光る存在を見ることがあるくらいで、会話ができるとなるとさらに希少な体験だった。
「故郷の…父が、ずっと何十年も病魔ストレスに悩まされていて…精霊に会えたら何かアドバイスくれるかもって考えてるんだ」
ノエルの養父、アーサー・リンデジャックは、昔、魔物と対峙した時に追った怪我のせいで、右腕を失っていた。その怪我の後遺症か、長年病魔ストレスに悩ませられているのだ。
精霊の研究は、遭遇することも稀である為、あまり進んでいない。精霊の加護により、聖樹が発現するが、そのあたりの事象はほとんどが解明されていなかった。
そして、実はノエルには、あと一つ精霊に会えたら確かめたいことがあった。
――『あの魔女がカレンを呪った時に残した痕跡がカレンの身体に残ったままだからね』
ノエルが小さい時に、精霊から聞いた言葉は、忘れること無く、ずっとノエルの頭に残っていた。
亡くなった母はもういないけれど、なぜ死んでしまったのか、呪いとは何か…ノエルは母の身に起きた真実を知りたかった。
「精霊に…?そっか…今回の機動部隊は成熟した聖樹の捜索のために発動されるから…ノエルさんも帯同すれば、精霊に会えるかもしれないってことなんですね」
イスタのサファイアブルーの瞳がノエルのヘーゼルナッツの瞳をまっすぐ見つめる。
「俺は、今回派遣された目的からも、おそらく機動部隊に任命されると思います。ノエルさんも任命されるなら、俺が、ノエルさんの代わりに聖剣を使いますね」
「イスタ…ありがとう。もし僕も帯同できたら、回復魔術でも治癒魔術でもなんでも使って、できる限りのサポートをするから」
ノエルは微笑みながらイスタに向って両手をぐっと握って見せる。
「くっ…可愛い…あの化け物級の隊長達ほどではないにしても、俺も結構魔力量は多いんです。だから、ノエルさんときっと相性も良いはず…です…」
イスタが少し顔を赤くして、小さい声でボソボソと話していた時、ノエルは物置小屋の壁板の隙間から、光が、差し込んでいるのに気がついた。
「あっ…晴れたみたいだよ!」
ノエル達は小屋から出て、空を仰ぎ見た。
先ほどの雨が嘘みたいに止んで、空には濃い虹がかっていた。
「あっ…!そうだ!ノエルさん、海の地方オラクルには、古くから信仰される願掛けがあって…こうやって、右手と左手を組んで、虹が消えないうちに願い事を3回唱えるんです。精霊に会えますようにってお願いしましょう」
イスタはそう言って、右手と左手を組んで、ノエルに見せる。
「願掛け?どうやって手を組むの?」
ノエルはイスタの手を見ながら同じように自分の手を組もうとするが、よくわからず、イスタに尋ねる。
「こうやるんです」
イスタは、ノエルの背後にまわると、後ろからノエルの両手を掴み、手を組ませる。そして、ノエルの手を握ったまま、両手をノエルの額に近づける。
「願い事、3回です。唱えて」
ノエルは心の中で「精霊に会えますように」と、3回唱えた。
「…終わりました?」
「うん、ちゃんと願掛けできた」
ノエルが背後に居るイスタを見上げてそう答えた時、突然声をかけられた。
「ノエル?こんなところで、何して…」
「リンデジャック…貴方…」
討伐第1部隊隊長ランドルフ・ヴィクセンと、リッツェンの側近であるフェルナン・ルシアノが立っていた。
時々運の良い者が、成熟した聖樹に、白く光る存在を見ることがあるくらいで、会話ができるとなるとさらに希少な体験だった。
「故郷の…父が、ずっと何十年も病魔ストレスに悩まされていて…精霊に会えたら何かアドバイスくれるかもって考えてるんだ」
ノエルの養父、アーサー・リンデジャックは、昔、魔物と対峙した時に追った怪我のせいで、右腕を失っていた。その怪我の後遺症か、長年病魔ストレスに悩ませられているのだ。
精霊の研究は、遭遇することも稀である為、あまり進んでいない。精霊の加護により、聖樹が発現するが、そのあたりの事象はほとんどが解明されていなかった。
そして、実はノエルには、あと一つ精霊に会えたら確かめたいことがあった。
――『あの魔女がカレンを呪った時に残した痕跡がカレンの身体に残ったままだからね』
ノエルが小さい時に、精霊から聞いた言葉は、忘れること無く、ずっとノエルの頭に残っていた。
亡くなった母はもういないけれど、なぜ死んでしまったのか、呪いとは何か…ノエルは母の身に起きた真実を知りたかった。
「精霊に…?そっか…今回の機動部隊は成熟した聖樹の捜索のために発動されるから…ノエルさんも帯同すれば、精霊に会えるかもしれないってことなんですね」
イスタのサファイアブルーの瞳がノエルのヘーゼルナッツの瞳をまっすぐ見つめる。
「俺は、今回派遣された目的からも、おそらく機動部隊に任命されると思います。ノエルさんも任命されるなら、俺が、ノエルさんの代わりに聖剣を使いますね」
「イスタ…ありがとう。もし僕も帯同できたら、回復魔術でも治癒魔術でもなんでも使って、できる限りのサポートをするから」
ノエルは微笑みながらイスタに向って両手をぐっと握って見せる。
「くっ…可愛い…あの化け物級の隊長達ほどではないにしても、俺も結構魔力量は多いんです。だから、ノエルさんときっと相性も良いはず…です…」
イスタが少し顔を赤くして、小さい声でボソボソと話していた時、ノエルは物置小屋の壁板の隙間から、光が、差し込んでいるのに気がついた。
「あっ…晴れたみたいだよ!」
ノエル達は小屋から出て、空を仰ぎ見た。
先ほどの雨が嘘みたいに止んで、空には濃い虹がかっていた。
「あっ…!そうだ!ノエルさん、海の地方オラクルには、古くから信仰される願掛けがあって…こうやって、右手と左手を組んで、虹が消えないうちに願い事を3回唱えるんです。精霊に会えますようにってお願いしましょう」
イスタはそう言って、右手と左手を組んで、ノエルに見せる。
「願掛け?どうやって手を組むの?」
ノエルはイスタの手を見ながら同じように自分の手を組もうとするが、よくわからず、イスタに尋ねる。
「こうやるんです」
イスタは、ノエルの背後にまわると、後ろからノエルの両手を掴み、手を組ませる。そして、ノエルの手を握ったまま、両手をノエルの額に近づける。
「願い事、3回です。唱えて」
ノエルは心の中で「精霊に会えますように」と、3回唱えた。
「…終わりました?」
「うん、ちゃんと願掛けできた」
ノエルが背後に居るイスタを見上げてそう答えた時、突然声をかけられた。
「ノエル?こんなところで、何して…」
「リンデジャック…貴方…」
討伐第1部隊隊長ランドルフ・ヴィクセンと、リッツェンの側近であるフェルナン・ルシアノが立っていた。
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