騎士様は甘い物に目がない

ゆみ

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候爵夫人のチョコレートクッキー

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「今朝の訓練は流石にキツかったなぁ!あ~、今日は学園休みたいくらいだ…。」
 がっくりと肩を落として足を引きずるレジナルド。しかし少し前を歩くジークフリートの足取りはかなり軽そうに見える。
「訓練前に何かスコール団長と揉めてたじゃないか?あれが原因だろう…」
「あぁ、まぁ…な。」
 第一騎士団団長のスコール公爵は何を隠そうレジナルドの父親だ。今朝の訓練前に父親と揉めていたのは週末にいきなり見合いの予定をねじ込まれたからに他ならない。
 ジークフリートはレジナルドを待つつもりは無いようで既に馬車に乗り込んでいる。
「…お前、少しは親友をいたわれよ!」
「親友の前に護衛としてどうなんだ?その態度…」
「しょうがないだろ…痛って!」
 レジナルドが文句を言いながら乗り込むとそれを合図に馬車が滑るように走り出す。
「あ~もぅ帰りたい!すぐにベッドでゴロゴロしたいぃ!」
「お前…」
 呆れたようにジークフリートが此方を見ているが今朝の父の剣を受けたのはレジナルドなのだ!あのスマートな見た目の父から一体どんな風にしたらあんな馬鹿力が出てくるのか…。
「いや、あれは絶対八つ当たりだ。見合いを断るのが相当面倒くさかったに違いない!」
「──見合い?」
 ジークフリートはレジナルドの言葉に何か思い当たる事があったようで、横に置いてあった荷物を探り出した。そしてすぐにレジナルドの目の前に差し出されたのは淡い黄色の包み。何やら甘い匂いが漂ってくる…。
「こ、これは候爵家のチョコレートクッキー!」
「…レジー、お前、開けなくても匂いで中身まで分かるのか?」
「ジーク!俺のためにわざわざ?ありがとう!!」
「──いや、候爵夫人がたまたま持って来ただけだから。」
「あー…そっか。──そうだよな。で?」
「で?って…?」
「今度もまた断るんだろう?なんて言ったか、あのご令嬢…」
「レイラ・ビューロー候爵令嬢だ…。」
「どうせまたお茶会の誘いだろ?」
 ジークフリートは窓の外に目を向けると珍しく面倒くさそうに頷いた。
「このチョコレートクッキーに免じて、1回くらい茶会開いてやれば満足するんじゃないの?」
「…お前なぁ、他人事だと思って簡単に…。」
「レイラ嬢がお前の好みじゃないのは知ってるけどさ、でも確か派手な美人だったろ?セシリア嬢とは姉妹なんだよな?」
「あぁ、夫人は確か後妻だったろ?姉妹の血は繋がってないんじゃないか?」
「へぇ、そうなんだ。」
「まぁでも、そろそろ断り続けるのも面倒になってきた事だし。一度何処かで会わないとまずいだろう…。」
「王太子殿下も婚約者決まるまで大変だね。」
「お前もな…」
 今日もまたいつも通り、学園での一日が始まろうとしていた。
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