騎士様は甘い物に目がない

ゆみ

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パン屋のクッキー

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 本日は晴天なり。
 それなのにレジナルドの心はパッとしない。どんより曇り空…と言うよりは今にも土砂降りになりそうな気配だ。
「あ~、よりによって休みの日にステーリア語の再テストか。」
 ヴィルヘルム王国の騎士に隣国ステーリアの語学が何処まで必要なのか分からない。でも王太子に必須である事は分かっている。多分…その側近である自分にも。ジークフリートは今日の試験も余裕だったことだろう。なんせ王族だ、頭の作りが違いすぎる。
 こんな風に頭を使った後には甘い物を食べて糖分を…。学園の帰り道、王都の表通りを1本入ったところにある商店街をフラフラ歩いてそんな事を考えていると、パン屋の裏手からパンをかじりながら出てきた青年とすれ違った。
──パン屋か…。こんな時間だしパンは諦めるとして、焼き菓子でも残ってるかな?
 糖分を求めて小さなパン屋に気まぐれで入ってみることにした。
 昼をとっくに過ぎていることもあり、パンの籠はほぼ空になっている。なかなか人気のある店らしい。店番をしている少女はいらっしゃいませと声をかけたきり何も言ってくる様子もない。そこでふとカウンターにある箱に目が止まる。
「クッキー?」
 近付いてみると果たしてそこにはまさに今レジナルドが求めている糖分が!
──ナッツにドライフルーツ、粉砂糖にこれはチョコレート…!おぉ、何だこの緑のクッキーは?
 とりあえず手当り次第全種類買い占める事を密かに心に決めるとその場で食べたい気持ちをぐっと抑え、支払いを済ませる。
「また来るよ!」
 果たしてパン屋のクッキーは候爵家のクッキーを超えることが出来るのか!
 レジナルドはさっきまでの沈んでいた気持ちは何処へやら、足取りも軽く王宮へと帰って行くのだった。
──ジークのやつにはこの緑のクッキーを味見させてやる!
 断じて嫌がらせなどではない。
 明日、レジナルドが学園で再テストを受ける時にジークフリートは王宮でビューロー候爵令嬢と楽しい茶会を開くはず。候爵夫人は手土産にチョコレートクッキーを持たせるだろうから明日には食べ比べが出来るかもしれない。
「あ~…また嫌な事思い出しちゃった…クッキー食べて今夜は徹夜で勉強かな…」
 頑張れ!自分!
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