6 / 59
1
王女のタルト
しおりを挟む
「セシリア嬢、お昼をご一緒しても?」
「はい、喜んで」
ジークフリートには内緒だが、レジナルドは密かにセシリアを同士だと考えている。…お菓子に対する熱い思いを分かち合える同士。
しかしあの候爵家で育ったセシリアが例のチョコレートクッキーどころか、料理人が作った菓子は一切食べた記憶が無いと言うのには驚いた。実に勿体ない!聞けば茶会なども数える程しか出ていないと言うから本当にお菓子に縁がなかったのだろう。
今日はジークフリートに昼のデザートを忘れず用意する様に頼み込んでおいたから、きっとセシリアも喜んでくれることだろう。
「リア、貴方の口に合うといいのだけれど…」
ジークフリートが勿体ぶってレジナルドには見えないような絶妙な角度で菓子を差し出している。絶対にこの間の緑のクッキーの仕返しだ!陰険な王太子め!
セシリアは目を輝かせてそちらを覗き込むと嬉しそうに小さく声をあげた。
「まぁチョコレートタルトですか?」
「チョコレート…タルト?」
例の茶会以降チョコレートのお菓子はセシリアに気を使わせるから余り王宮で出さないようにしていると聞いている。全くジークフリートのやつは気が効かない…。
「あぁ、リアはチョコレートが好きなのだろう?」
「はい…大好きです」
あぁ…。
もしかしなくても、ジークフリートはこの一言を聞きたくてわざわざ準備したのか?そうなのか?
「姉上も 大好き だよ、…この菓子が…。」
なんだその間は!
あぁ、もぅ勝手にやってくれ…2人で…。
「甘い…甘すぎる…」
「レジナルド様?」
「レジーもタルト、一つどうだ?」
「──貰う。」
甘い物に罪はない。
しかし、これでいいのか?同士よ!甘いものに絡め取られるように引き寄せられているのに、気付いているのだろうか?誘惑に負けそうな気持ちはよく分かる、よく分かるが負けた後の何とも虚しい気持ちもまた知っている身としては、セシリアを逃がしてやる事もそろそろ考えなければいけない様な…。
まぁ、レイラ嬢と候爵夫人が何を企んでいるのか分かるまではとりあえずジークフリートに任せておくしかないのだが…。
「──そろそろ時間だな。レジー、リアを送ってくれるか?」
「あぁ」
執務室のドアを開けて廊下を確認する。
「ジーク、レイラ嬢がこちらに来るぞ──」
うん、思ったより早かった…かな。
「はい、喜んで」
ジークフリートには内緒だが、レジナルドは密かにセシリアを同士だと考えている。…お菓子に対する熱い思いを分かち合える同士。
しかしあの候爵家で育ったセシリアが例のチョコレートクッキーどころか、料理人が作った菓子は一切食べた記憶が無いと言うのには驚いた。実に勿体ない!聞けば茶会なども数える程しか出ていないと言うから本当にお菓子に縁がなかったのだろう。
今日はジークフリートに昼のデザートを忘れず用意する様に頼み込んでおいたから、きっとセシリアも喜んでくれることだろう。
「リア、貴方の口に合うといいのだけれど…」
ジークフリートが勿体ぶってレジナルドには見えないような絶妙な角度で菓子を差し出している。絶対にこの間の緑のクッキーの仕返しだ!陰険な王太子め!
セシリアは目を輝かせてそちらを覗き込むと嬉しそうに小さく声をあげた。
「まぁチョコレートタルトですか?」
「チョコレート…タルト?」
例の茶会以降チョコレートのお菓子はセシリアに気を使わせるから余り王宮で出さないようにしていると聞いている。全くジークフリートのやつは気が効かない…。
「あぁ、リアはチョコレートが好きなのだろう?」
「はい…大好きです」
あぁ…。
もしかしなくても、ジークフリートはこの一言を聞きたくてわざわざ準備したのか?そうなのか?
「姉上も 大好き だよ、…この菓子が…。」
なんだその間は!
あぁ、もぅ勝手にやってくれ…2人で…。
「甘い…甘すぎる…」
「レジナルド様?」
「レジーもタルト、一つどうだ?」
「──貰う。」
甘い物に罪はない。
しかし、これでいいのか?同士よ!甘いものに絡め取られるように引き寄せられているのに、気付いているのだろうか?誘惑に負けそうな気持ちはよく分かる、よく分かるが負けた後の何とも虚しい気持ちもまた知っている身としては、セシリアを逃がしてやる事もそろそろ考えなければいけない様な…。
まぁ、レイラ嬢と候爵夫人が何を企んでいるのか分かるまではとりあえずジークフリートに任せておくしかないのだが…。
「──そろそろ時間だな。レジー、リアを送ってくれるか?」
「あぁ」
執務室のドアを開けて廊下を確認する。
「ジーク、レイラ嬢がこちらに来るぞ──」
うん、思ったより早かった…かな。
0
あなたにおすすめの小説
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。
慈悲深い天使のテーゼ~侯爵令嬢は我が道を征くつもりだ
あとさん♪
恋愛
王太子の婚約者候補に名を連ねながら、政権争いに敗れ、正式任命されなかった侯爵令嬢パトリシア。
彼女には辺境伯家との縁組が命じられた。辺境伯は毛むくじゃらの天をつくような大男で、粗野で野蛮人だと王都では噂されている。さらに独立して敵国に寝返るかもしれないと噂される辺境伯家に嫁いだら、いったいどうなるの?
いいえ、今まで被り慣れた巨大な猫を、この際、盛大に開放させましょう。
わたくしは過去の自分を捨て、本来のわたくしに戻り、思うまま生きてやります!
設定はゆるんゆるん。なんちゃって異世界。
令嬢視点と辺境伯視点の2話構成。
『小話』は、2人のその後。主に新婚さんの甘々な日常。
小説家になろうにも掲載しております。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
【完結】元強面騎士団長様は可愛いものがお好き〜虐げられた元聖女は、お腹と心が満たされて幸せになる〜
水都 ミナト
恋愛
女神の祝福を受けた聖女が尊ばれるサミュリア王国で、癒しの力を失った『元』聖女のミラベル。
『現』聖女である実妹のトロメアをはじめとして、家族から冷遇されて生きてきた。
すっかり痩せ細り、空腹が常となったミラベルは、ある日とうとう国外追放されてしまう。
隣国で力尽き果て倒れた時、助けてくれたのは――フリルとハートがたくさんついたラブリーピンクなエプロンをつけた筋骨隆々の男性!?
そんな元強面騎士団長のアインスロッドは、魔物の呪い蝕まれ余命一年だという。残りの人生を大好きな可愛いものと甘いものに捧げるのだと言うアインスロッドに救われたミラベルは、彼の夢の手伝いをすることとなる。
認めとくれる人、温かい居場所を見つけたミラベルは、お腹も心も幸せに満ちていく。
そんなミラベルが飾り付けをしたお菓子を食べた常連客たちが、こぞってとあることを口にするようになる。
「『アインスロッド洋菓子店』のお菓子を食べるようになってから、すこぶる体調がいい」と。
一方その頃、ミラベルを追いやった実妹のトロメアからは、女神の力が失われつつあった。
◇全15話、5万字弱のお話です
◇他サイトにも掲載予定です
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる