騎士様は甘い物に目がない

ゆみ

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王女のタルト

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「セシリア嬢、お昼をご一緒しても?」
「はい、喜んで」
 ジークフリートには内緒だが、レジナルドは密かにセシリアを同士だと考えている。…お菓子に対する熱い思いを分かち合える同士。
 しかしあの候爵家で育ったセシリアが例のチョコレートクッキーどころか、料理人が作った菓子は一切食べた記憶が無いと言うのには驚いた。実に勿体ない!聞けば茶会なども数える程しか出ていないと言うから本当にお菓子に縁がなかったのだろう。
 今日はジークフリートに昼のデザートを忘れず用意する様に頼み込んでおいたから、きっとセシリアも喜んでくれることだろう。
「リア、貴方の口に合うといいのだけれど…」
 ジークフリートが勿体ぶってレジナルドには見えないような絶妙な角度で菓子を差し出している。絶対にこの間の緑のクッキーの仕返しだ!陰険な王太子め!
 セシリアは目を輝かせてそちらを覗き込むと嬉しそうに小さく声をあげた。
「まぁチョコレートタルトですか?」
「チョコレート…タルト?」
 例の茶会以降チョコレートのお菓子はセシリアに気を使わせるから余り王宮で出さないようにしていると聞いている。全くジークフリートのやつは気が効かない…。
「あぁ、リアはチョコレートがなのだろう?」
「はい…です」

あぁ…。
もしかしなくても、ジークフリートはこの一言を聞きたくてわざわざ準備したのか?そうなのか?

「姉上も  だよ、…この菓子が…。」

なんだそのは!
あぁ、もぅ勝手にやってくれ…2人で…。

「甘い…甘すぎる…」
「レジナルド様?」
「レジーもタルト、一つどうだ?」
「──貰う。」
 甘い物に罪はない。
 しかし、これでいいのか?同士よ!甘いものに絡め取られるように引き寄せられているのに、気付いているのだろうか?誘惑に負けそうな気持ちはよく分かる、よく分かるが負けた後の何とも虚しい気持ちもまた知っている身としては、セシリアを逃がしてやる事もそろそろ考えなければいけない様な…。
 まぁ、レイラ嬢と候爵夫人が何を企んでいるのか分かるまではとりあえずジークフリートに任せておくしかないのだが…。
「──そろそろ時間だな。レジー、リアを送ってくれるか?」
「あぁ」
 執務室のドアを開けて廊下を確認する。
「ジーク、レイラ嬢がこちらに来るぞ──」
 うん、思ったより早かった…かな。
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