騎士様は甘い物に目がない

ゆみ

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溶けたチョコレート

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「レジナルド、お前も一緒に来い!」
「はいっ!」
 早朝、レジナルドは父であるスコール団長と共に騎士団の訓練所に急いだ。もともと早朝訓練に参加する予定だったが、緊急の呼び出しがあったからだ。
 ステーリアの王太子はジークフリートよりも前にセシリアを手に入れようとあれこれ画策しているようだが、昨夜候爵邸の者と密かに連絡を取ったとの報告だった。セシリアは未だ王宮に留まっているので、恐らくは候爵夫人と接触したのだろう。しかし今更候爵夫人に何の用があるというのだろうか?
 緊急に集まり対応を話し合った結果、レジナルドは引き続きセシリアの護衛につき警戒を強め、騎士団の方で候爵邸とステーリア王太子の周りを探ることになった。
 その日の夜、レジナルドが遅くになってようやく公爵邸に戻ると、つい先程戻ったばかりのような父親が待っていた。
「レジー、少し話せるか?」
「はい。」
 二人で父の書斎に入ると、疲れた様子の父親から手短に説明を受ける。
「候爵夫人が首飾りを?」
「あぁ。候爵夫人はもともと商家の嫡男に嫁いでいたんだ。だがその男が盗賊に襲われて亡くなってしまって、今はその義弟が跡を継いでヴィルヘルムでも有数の商いをするようになっている。」
「その商家から首飾りを取り寄せて、それがステーリア側に渡ったと…」
「あぁ、かなり大きな取引だったようだ。」
──ステーリア王太子がヴィルヘルムで何故そんな大きな取引を?
「狙いは?」
「さぁな。まぁ、ステーリアでは手に入れることの出来ないような珍しい宝石でも出たのかもしれないな。」
「珍しい宝石…ですか。」
 結局、その件に関しては怪しい取引と言う訳でもないのでそのまま様子を見ることになった。
「しかし、高価な首飾りなんて、お前には一生縁のない話だな。この前の見合いも断った事だし。どうせ渡すような相手もいないんだろう?」
「…」
「──まだ甘い夢を見ているのか?」
「…なんですか、それは。」
「ビューロー候爵家のに心奪われて居るんだろう?」
「ち、違います!」
「そうか、それならいいが…。」
「あ、や、良くは無いです。候爵家の料理人が作るチョコレートクッキーは確かに美味いので…。」
「チョコレートクッキー?」
「そうだ、今度ビューロー候爵に頼んでみてくれませんか?」
「…お前、気は確かか?まさかその頭の中身は溶けているんじゃ…?」
「なっ?!」
「違うと言うならばチョコレートでも詰まってるんだろ?」
「いくらなんでもその言い方はないでしょ!」
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