騎士様は甘い物に目がない

ゆみ

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雨の日フレーバーティー

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 今日は休日だというのに朝から一日中雨が降っている。部屋の中は昼近くなっても薄暗く、王宮では昨夜からの灯りが消されないままだ。こんな日にわざわざ外に出ることもないだろう──。
 レジナルドももちろんジークフリートと共に王宮にこもって…、暇を持て余している…。
「ねぇ、ジークさ。」
 ちょうど休憩にしようかと手が止まったところの王太子に話しかける。
「?」
「もしジークが王族に生まれてなかったら、何になりたかった?」
「王族に生まれてなかったら…か。そうだな…レジーは騎士じゃなかったら菓子屋でもしていたのか?」
「…そう、最近俺進む道を間違えた気がしてるんだよね…。」
「そうでもないだろう?案外騎士も似合っていると思うが?」
「案外って…。それより、ジークの方が想像つかないよね──王族じゃないとか…。」
「自分が王族でなかったらよかったのにと思うことはよくあるが。…そうだな。外国を自由に旅して回りたいから、貿易商か何かだろうな…」
「貿易商──」
 流暢に外国の言葉を操る金髪碧眼の青年…。なんて似合いすぎる姿だろうか…。想像しただけでゲンナリである。
「…ジークは何してても似合いそうだよな。」
「そんなことないだろう?それよりも貿易商をしていたら菓子屋とは知り合いそうにないがな。」
「リア様は何してただろうな?」
「…そうだな。リアは──。」
「あら、私のお話でしたか?」
 タイミングよく執務室に現れたのは侍女たちを伴ったセシリアだった。ジークフリートは驚いた様子をしたがすぐさま立ち上がりソファーまで嬉しそうにエスコートをする。
「あぁ。もし自分たちが今の地位についていなかったらと言う話をしていた。」
「リア様は何になっていたと思う?ちなみに俺は菓子屋でジークは貿易商ね!」
「お菓子屋さんに貿易商ですか…」
 セシリアはソファーに座るとしばらく考え込んでいる。その間に侍女の手によってお茶の準備が静かに整えられていく。
「…駄目です、何も思いつきません!」
「え~?何かひとつくらいないの?」
「叶えたい夢ややりたい事、何か思いつかないのか?」
「……あ、ひとつだけ」
「何?何?」
「お花を…枯れないようなお花を作りたいと思ったことがあります。」
「枯れないような花?」
「花屋ではないな。庭師?いや、もっと研究所の様な所か?」
「どうなのでしょう?そこまで深く考えた事もございませんから…。」
 枯れないような花とは何だろうか?…ん?なんかいい香りがするな…?!
「あ、紅茶屋さんは?ほら、花が使われたのがあるだろ?香りとか付けるのに。」
「それでは随分意味合いが違わないか?」
 すでに紅茶を手に持っていたジークフリートはカップの香りを確かめながらそれを一口飲んだ。
「いいじゃん!そしたら俺の店でその紅茶取り扱うし!ジークは外国に茶葉の買付け行って来てよ!なんなら珍しい花とかさ!」
「茶葉の買い付け…」
「それ、とっても楽しそうですね。」
「俺の作った菓子と併せて人気が出る事間違いなしだ!」
 レジナルドは満足そうに頷くと、いつものように紅茶に砂糖をスプーン2杯入れしっかりとかき混ぜ口にする。──これは…何の香りだろう?思わずカップに鼻を寄せてもう一度香りを確かめる。
「これは柑橘の香りだな…花ではなさそうだ。」
「あ…」
──花じゃなかったのか。いやそこ笑いすぎだろ、ジーク!
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