22 / 59
2
雨の日フレーバーティー
しおりを挟む
今日は休日だというのに朝から一日中雨が降っている。部屋の中は昼近くなっても薄暗く、王宮では昨夜からの灯りが消されないままだ。こんな日にわざわざ外に出ることもないだろう──。
レジナルドももちろんジークフリートと共に王宮にこもって…、暇を持て余している…。
「ねぇ、ジークさ。」
ちょうど休憩にしようかと手が止まったところの王太子に話しかける。
「?」
「もしジークが王族に生まれてなかったら、何になりたかった?」
「王族に生まれてなかったら…か。そうだな…レジーは騎士じゃなかったら菓子屋でもしていたのか?」
「…そう、最近俺進む道を間違えた気がしてるんだよね…。」
「そうでもないだろう?案外騎士も似合っていると思うが?」
「案外って…。それより、ジークの方が想像つかないよね──王族じゃないとか…。」
「自分が王族でなかったらよかったのにと思うことはよくあるが。…そうだな。外国を自由に旅して回りたいから、貿易商か何かだろうな…」
「貿易商──」
流暢に外国の言葉を操る金髪碧眼の青年…。なんて似合いすぎる姿だろうか…。想像しただけでゲンナリである。
「…ジークは何してても似合いそうだよな。」
「そんなことないだろう?それよりも貿易商をしていたら菓子屋とは知り合いそうにないがな。」
「リア様は何してただろうな?」
「…そうだな。リアは──。」
「あら、私のお話でしたか?」
タイミングよく執務室に現れたのは侍女たちを伴ったセシリアだった。ジークフリートは驚いた様子をしたがすぐさま立ち上がりソファーまで嬉しそうにエスコートをする。
「あぁ。もし自分たちが今の地位についていなかったらと言う話をしていた。」
「リア様は何になっていたと思う?ちなみに俺は菓子屋でジークは貿易商ね!」
「お菓子屋さんに貿易商ですか…」
セシリアはソファーに座るとしばらく考え込んでいる。その間に侍女の手によってお茶の準備が静かに整えられていく。
「…駄目です、何も思いつきません!」
「え~?何かひとつくらいないの?」
「叶えたい夢ややりたい事、何か思いつかないのか?」
「……あ、ひとつだけ」
「何?何?」
「お花を…枯れないようなお花を作りたいと思ったことがあります。」
「枯れないような花?」
「花屋ではないな。庭師?いや、もっと研究所の様な所か?」
「どうなのでしょう?そこまで深く考えた事もございませんから…。」
枯れないような花とは何だろうか?…ん?なんかいい香りがするな…?!
「あ、紅茶屋さんは?ほら、花が使われたのがあるだろ?香りとか付けるのに。」
「それでは随分意味合いが違わないか?」
すでに紅茶を手に持っていたジークフリートはカップの香りを確かめながらそれを一口飲んだ。
「いいじゃん!そしたら俺の店でその紅茶取り扱うし!ジークは外国に茶葉の買付け行って来てよ!なんなら珍しい花とかさ!」
「茶葉の買い付け…」
「それ、とっても楽しそうですね。」
「俺の作った菓子と併せて人気が出る事間違いなしだ!」
レジナルドは満足そうに頷くと、いつものように紅茶に砂糖をスプーン2杯入れしっかりとかき混ぜ口にする。──これは…何の香りだろう?思わずカップに鼻を寄せてもう一度香りを確かめる。
「これは柑橘の香りだな…花ではなさそうだ。」
「あ…」
──花じゃなかったのか。いやそこ笑いすぎだろ、ジーク!
レジナルドももちろんジークフリートと共に王宮にこもって…、暇を持て余している…。
「ねぇ、ジークさ。」
ちょうど休憩にしようかと手が止まったところの王太子に話しかける。
「?」
「もしジークが王族に生まれてなかったら、何になりたかった?」
「王族に生まれてなかったら…か。そうだな…レジーは騎士じゃなかったら菓子屋でもしていたのか?」
「…そう、最近俺進む道を間違えた気がしてるんだよね…。」
「そうでもないだろう?案外騎士も似合っていると思うが?」
「案外って…。それより、ジークの方が想像つかないよね──王族じゃないとか…。」
「自分が王族でなかったらよかったのにと思うことはよくあるが。…そうだな。外国を自由に旅して回りたいから、貿易商か何かだろうな…」
「貿易商──」
流暢に外国の言葉を操る金髪碧眼の青年…。なんて似合いすぎる姿だろうか…。想像しただけでゲンナリである。
「…ジークは何してても似合いそうだよな。」
「そんなことないだろう?それよりも貿易商をしていたら菓子屋とは知り合いそうにないがな。」
「リア様は何してただろうな?」
「…そうだな。リアは──。」
「あら、私のお話でしたか?」
タイミングよく執務室に現れたのは侍女たちを伴ったセシリアだった。ジークフリートは驚いた様子をしたがすぐさま立ち上がりソファーまで嬉しそうにエスコートをする。
「あぁ。もし自分たちが今の地位についていなかったらと言う話をしていた。」
「リア様は何になっていたと思う?ちなみに俺は菓子屋でジークは貿易商ね!」
「お菓子屋さんに貿易商ですか…」
セシリアはソファーに座るとしばらく考え込んでいる。その間に侍女の手によってお茶の準備が静かに整えられていく。
「…駄目です、何も思いつきません!」
「え~?何かひとつくらいないの?」
「叶えたい夢ややりたい事、何か思いつかないのか?」
「……あ、ひとつだけ」
「何?何?」
「お花を…枯れないようなお花を作りたいと思ったことがあります。」
「枯れないような花?」
「花屋ではないな。庭師?いや、もっと研究所の様な所か?」
「どうなのでしょう?そこまで深く考えた事もございませんから…。」
枯れないような花とは何だろうか?…ん?なんかいい香りがするな…?!
「あ、紅茶屋さんは?ほら、花が使われたのがあるだろ?香りとか付けるのに。」
「それでは随分意味合いが違わないか?」
すでに紅茶を手に持っていたジークフリートはカップの香りを確かめながらそれを一口飲んだ。
「いいじゃん!そしたら俺の店でその紅茶取り扱うし!ジークは外国に茶葉の買付け行って来てよ!なんなら珍しい花とかさ!」
「茶葉の買い付け…」
「それ、とっても楽しそうですね。」
「俺の作った菓子と併せて人気が出る事間違いなしだ!」
レジナルドは満足そうに頷くと、いつものように紅茶に砂糖をスプーン2杯入れしっかりとかき混ぜ口にする。──これは…何の香りだろう?思わずカップに鼻を寄せてもう一度香りを確かめる。
「これは柑橘の香りだな…花ではなさそうだ。」
「あ…」
──花じゃなかったのか。いやそこ笑いすぎだろ、ジーク!
0
あなたにおすすめの小説
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月 瑠々奈
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。
慈悲深い天使のテーゼ~侯爵令嬢は我が道を征くつもりだ
あとさん♪
恋愛
王太子の婚約者候補に名を連ねながら、政権争いに敗れ、正式任命されなかった侯爵令嬢パトリシア。
彼女には辺境伯家との縁組が命じられた。辺境伯は毛むくじゃらの天をつくような大男で、粗野で野蛮人だと王都では噂されている。さらに独立して敵国に寝返るかもしれないと噂される辺境伯家に嫁いだら、いったいどうなるの?
いいえ、今まで被り慣れた巨大な猫を、この際、盛大に開放させましょう。
わたくしは過去の自分を捨て、本来のわたくしに戻り、思うまま生きてやります!
設定はゆるんゆるん。なんちゃって異世界。
令嬢視点と辺境伯視点の2話構成。
『小話』は、2人のその後。主に新婚さんの甘々な日常。
小説家になろうにも掲載しております。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
【完結】元強面騎士団長様は可愛いものがお好き〜虐げられた元聖女は、お腹と心が満たされて幸せになる〜
水都 ミナト
恋愛
女神の祝福を受けた聖女が尊ばれるサミュリア王国で、癒しの力を失った『元』聖女のミラベル。
『現』聖女である実妹のトロメアをはじめとして、家族から冷遇されて生きてきた。
すっかり痩せ細り、空腹が常となったミラベルは、ある日とうとう国外追放されてしまう。
隣国で力尽き果て倒れた時、助けてくれたのは――フリルとハートがたくさんついたラブリーピンクなエプロンをつけた筋骨隆々の男性!?
そんな元強面騎士団長のアインスロッドは、魔物の呪い蝕まれ余命一年だという。残りの人生を大好きな可愛いものと甘いものに捧げるのだと言うアインスロッドに救われたミラベルは、彼の夢の手伝いをすることとなる。
認めとくれる人、温かい居場所を見つけたミラベルは、お腹も心も幸せに満ちていく。
そんなミラベルが飾り付けをしたお菓子を食べた常連客たちが、こぞってとあることを口にするようになる。
「『アインスロッド洋菓子店』のお菓子を食べるようになってから、すこぶる体調がいい」と。
一方その頃、ミラベルを追いやった実妹のトロメアからは、女神の力が失われつつあった。
◇全15話、5万字弱のお話です
◇他サイトにも掲載予定です
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる