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(閑話)ある男の独り言
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──なにあのうれしそうな顔。マジムカつくんですけど。
椙山の恥ずかしそうな顔と高城先輩の見た事のないようなあの笑顔。
つまり結局のところ椙山は先輩とうまくいったという事だ。あの高城先輩が自ら彼女だと認めたんだから間違いなかった。おまけに邪魔するなとまで言われ釘を刺される始末。
──俺的には最終的に真瀬がもっていくと思ってたんだけどな。残念。
今朝兄貴の口から聞かされるまでは全く予想だにしていなかった展開。運動部の間では結構前から噂になっていた椙山の片思いは高城先輩の卒業によってピリオドを打たれるかと思われたが延長戦にもつれ込んだ。
俺は知っている。草食系の真瀬と違ってああ見えて高城先輩は隠れ肉食系……しかもかなりのツンデレだ。
学校では女になんて興味ないしくらいの勢いだったけど、先輩はわざとそんな風を装っていたんだと俺は思ってる。華々しく東京で大学デビューを果たしてイケてる本領を発揮し始めたらすぐにかわいい彼女をGETして、そのまま一気に結婚まで突っ走るタイプだと思う……いや、もしかしたら次々アップデートしていくという可能性もある。羨ましすぎる。
なんだかんだで兄貴も真瀬もかなり一途に一人の事を思い続ける傾向がある。一歩間違ったらストーカー呼ばわりされるやばいヤツだ。真瀬の場合は結構顔に出るから分かりやすいんだけど。
──あ~。真瀬のヤツ知ってるのかな、椙山の事。
高城先輩が東京の大学に行って、椙山との遠距離恋愛がどれくらい続くかはまだ分からない。先輩が大学で他の女に目移りをしないとも限らない。真瀬のことだからきっと椙山の事をしばらくは諦める事が出来ずにグズグズとくすぶっているだろうが、まだ逆転のチャンスは残っているのかもしれない。
──遠距離か~。金、かかるんだろうなぁ。……ま、俺には関係ないけど。
ゆっくりと自転車をこいで帰っていると、目の前で原付が停止した。
「ユウト、お前ちんたらしてないで早く帰って来いよ。腹減った。昼飯。」
「げ、兄貴……。さっきまで雨降ってたのになんで原付乗ってるの?そんなに免許取れたの嬉しい訳?」
「お前帰ったらぶっ殺す!」
「だって朝俺と同じくらいに家出てなかった?」
「……いいから急いで帰ってこい、このアホ!」
「はいはい。あ、そういえばさっき高城さん見たよ。彼女と一緒だった。」
「馬鹿、お前そういう大事なことはもっと早く言えよ!で?隼のやつどんな感じだった?」
「どんな感じって……めっちゃデレてたけど。」
「マジか……。やべ、超見てぇ。どっち行ったの?アイツら。」
「高城家の方──」
「それって……まずくね?ちょっと見て来るわ、先帰ってて。」
「へ?」
原付で走り出した兄貴の後姿が妙にウキウキしているように見えたのは俺の気のせいなんかじゃない。
「我が兄ながらゲスすぎる……。ていうか高城さんの邪魔したら目線だけで兄貴殺されそうだな。」
ま、そうなったらあの原付は形見として俺が引き継ごう。
さて、今日の昼飯は何にするかな~……ん?
「あ!今日日曜じゃん!俺じゃなくて兄貴のメシ当番の日!」
椙山の恥ずかしそうな顔と高城先輩の見た事のないようなあの笑顔。
つまり結局のところ椙山は先輩とうまくいったという事だ。あの高城先輩が自ら彼女だと認めたんだから間違いなかった。おまけに邪魔するなとまで言われ釘を刺される始末。
──俺的には最終的に真瀬がもっていくと思ってたんだけどな。残念。
今朝兄貴の口から聞かされるまでは全く予想だにしていなかった展開。運動部の間では結構前から噂になっていた椙山の片思いは高城先輩の卒業によってピリオドを打たれるかと思われたが延長戦にもつれ込んだ。
俺は知っている。草食系の真瀬と違ってああ見えて高城先輩は隠れ肉食系……しかもかなりのツンデレだ。
学校では女になんて興味ないしくらいの勢いだったけど、先輩はわざとそんな風を装っていたんだと俺は思ってる。華々しく東京で大学デビューを果たしてイケてる本領を発揮し始めたらすぐにかわいい彼女をGETして、そのまま一気に結婚まで突っ走るタイプだと思う……いや、もしかしたら次々アップデートしていくという可能性もある。羨ましすぎる。
なんだかんだで兄貴も真瀬もかなり一途に一人の事を思い続ける傾向がある。一歩間違ったらストーカー呼ばわりされるやばいヤツだ。真瀬の場合は結構顔に出るから分かりやすいんだけど。
──あ~。真瀬のヤツ知ってるのかな、椙山の事。
高城先輩が東京の大学に行って、椙山との遠距離恋愛がどれくらい続くかはまだ分からない。先輩が大学で他の女に目移りをしないとも限らない。真瀬のことだからきっと椙山の事をしばらくは諦める事が出来ずにグズグズとくすぶっているだろうが、まだ逆転のチャンスは残っているのかもしれない。
──遠距離か~。金、かかるんだろうなぁ。……ま、俺には関係ないけど。
ゆっくりと自転車をこいで帰っていると、目の前で原付が停止した。
「ユウト、お前ちんたらしてないで早く帰って来いよ。腹減った。昼飯。」
「げ、兄貴……。さっきまで雨降ってたのになんで原付乗ってるの?そんなに免許取れたの嬉しい訳?」
「お前帰ったらぶっ殺す!」
「だって朝俺と同じくらいに家出てなかった?」
「……いいから急いで帰ってこい、このアホ!」
「はいはい。あ、そういえばさっき高城さん見たよ。彼女と一緒だった。」
「馬鹿、お前そういう大事なことはもっと早く言えよ!で?隼のやつどんな感じだった?」
「どんな感じって……めっちゃデレてたけど。」
「マジか……。やべ、超見てぇ。どっち行ったの?アイツら。」
「高城家の方──」
「それって……まずくね?ちょっと見て来るわ、先帰ってて。」
「へ?」
原付で走り出した兄貴の後姿が妙にウキウキしているように見えたのは俺の気のせいなんかじゃない。
「我が兄ながらゲスすぎる……。ていうか高城さんの邪魔したら目線だけで兄貴殺されそうだな。」
ま、そうなったらあの原付は形見として俺が引き継ごう。
さて、今日の昼飯は何にするかな~……ん?
「あ!今日日曜じゃん!俺じゃなくて兄貴のメシ当番の日!」
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